ツアー・ダウンアンダーと並ぶシーズン開幕戦。バランスの取れたコース編成も功を奏し、非常に豪華なメンバーも揃っている今大会。
すでに開幕してしまったものの、注目選手を総合系・スプリンター系それぞれ5名ずつ計10名、紹介していこう。
(年齢はすべて2020/12/31時点のものとなります)
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総合系
ジュリアン・アラフィリップ(フランス、28歳)
ドゥクーニンク・クイックステップ(DQT)所属
昨年も出場し、ステージ2勝して、総合優勝間違いなしと思われていた。しかし第5ステージのアルト・コロラド山頂フィニッシュにて、モビスターのチーム力に圧倒され、逆転負けを喫した。
今回はリベンジを狙う。昨年勝ったプンタネグラ・ダムフィニッシュがないのは不利だが、代わりに個人TTがこのダムにフィニッシュする登りTTで、アラフィリップ有利。そしてライバルのモビスターが昨年ほどの布陣ではないこと。
むしろ総合における最大のライバルはチームメートのエヴェネプールかもしれない。
レムコ・エヴェネプール(ベルギー、20歳)
ドゥクーニンク・クイックステップ(DQT)所属
昨年はこのレースでプロデビューを果たした。それでいていきなり個人TTで3位、アルト・コロラドフィニッシュではアラフィリップのための最大の牽引役となり、そして新人賞も獲得と、その才能を遺憾なく発揮した。
恐ろしいのは、彼自身が1年前よりもさらにずっと成長してきていることだ。欧州選手権TTでは優勝し、世界選手権TTでも2位になっている彼は、第3ステージのTTのアラフィリップ以上の優勝候補である。
そして、総合優勝すらも、彼は十分に狙っていくことができるだろう。恐ろしいダブルエースである。
ギヨーム・マルタン(フランス、27歳)
コフィディス・ソルシオンクレディ(COF)所属
ベルギーチーム・ワンティのフランス人エースとして長年戦ってきた彼が、ついにフランスチームのエースとしてワールドツアーに。昨年のツール・ド・フランスは総合12位。そのほかジロ・デ・シチリア区間1勝&総合2位や、ブエルタ・ア・ブルゴス総合5位、ツール・ド・リムザン総合2位など。
弱点はTT。また長いだらだらとした登りよりも短くパンチのある登りの方が得意なので、アルト・コロラドでどこまで走れるか。
ブランドン・マクナルティ(アメリカ、22歳)
UAEチーム・エミレーツ(UAD)所属
アメリカ期待のオールラウンダー。2018年のドバイ・ツアーで残り50mまで逃げ、同年のツール・ド・ラヴニールではタデイ・ポガチャルとイバン・ソーサとクイーンステージで同着ゴールした。2019年はすぐのワールドツアーチーム入りを目指さず、カナダチームに在籍したままジロ・デ・シチリアではロングエスケープを成功させて総合優勝を果たした。
ドバイやシチリアで見せたように大逃げが得意。また2017年世界選手権U23銀メダル、昨年も同じ種目で銅メダルと、TT能力も高い。
TTがそれなりの意味を持つこのサンフアンで、十分に活躍できる要素をもつ男だ。
オスカル・セビリャ(スペイン、44歳)
チーム・メデジン(MED)所属
1998年にケルメと契約してプロデビュー。2001年にツール・ド・フランスの新人賞、そして同年のブエルタ・ア・エスパーニャでは総合2位に躍り出た。
しかし結局一度もグランツールを制することなく、ドーピング疑惑の旋風の中にも巻き込まれ、2011年以降はコロンビアのコンチネンタルチームを渡り歩くことになる。
2017年からは「メデジン」に。ブエルタ・ア・サンフアンでは2017年総合2位、2018年総合優勝、2019年総合3位と常に好成績を残している。ヨーロッパでグランツールを戦えるだけの力を発揮した男が、地の利まで得た場合の強さを証明している。
今年は変わらず優勝候補に数え上げられることだろう。
スプリンター
フェルナンド・ガビリア(コロンビア、26歳)
UAEチーム・エミレーツ(UAD)所属
ガビリアといえばこの南米レースである。2015年にツール・ド・サンルイスに初出場して以来、開幕ステージは5連勝中。勝利数合計も8勝と、アルゼンチン最強スプリンターといった感じだ。
そんなガビリア自身は、昨年は正直、辛いシーズンだった。春先まではまだしも、ジロ・デ・イタリアで早期に落車リタイアしたあと、思うように復帰叶わず、ビンクバンク・ツアーやブエルタ・ア・エスパーニャでも、2位や3位に入る良い走りはしながらも、優勝にまではなかなか手が届かなかった。
ただ、シーズン最後のレース、ツアー・オブ・グアンシーではステージ2勝と復活の兆しを見せる。そして今年は、2年前にツール・ド・フランス2勝を導いてくれた盟友マキシミリアーノ・リケーゼが戻ってきてくれる。この南米レースでも、彼とのコンビネーションが好成績を生んできた側面もある。
ガビリアの復活なるか。新チームでは2年目に大きく成果を出すことも多いので、今年は期待したい。
ペテル・サガン(スロバキア、30歳)
ボーラ・ハンスグローエ(BOH)所属
今年ジロへの出場を決めた世界的トリックスター。昨年はダウンアンダーとサンフアンと両方出ることで世間を驚かせたが、今年はサンフアン一本に絞る。そもそも昨年のサンフアンはどちらかというとサム・ベネットのアシストに徹していた印象もあり、その意味で今年は本気で自らの勝利を狙ってきそう。
チームメートもボドナール、オス、ガットと信頼厚いメンバーばかりで、結構本気の体制のようにも思える。
アルバロホセ・ホッジ(コロンビア、24歳)
ドゥクーニンク・クイックステップ(DQT)所属
ファビオ・ヤコブセンと並ぶドゥクーニンク・クイックステップの若きエーススプリンター。2018年のプロデビュー初年度は、ヤコブセンが勝てばホッジが勝つみたいに互いに競い合う姿が印象的だった。
だが、2019年にはやや変化が。前年と違い、同じレースに出場させられることが多くなり、より平坦なステージではホッジが、起伏があったりクラシック風味のレースではヤコブセンがエースを務めるような棲み分けが発生していった。そしてブエルタ・ア・エスパーニャも、ヤコブセンだけが出場し、マドリードを含む2勝を持ち帰ってきた。ホッジにとっては、悔しい出来事だったろう。
そして、ホッジもシーズン終盤のツール・ド・ユーロメトロポールでフィニッシュ直前に激しい落車。悔しさに悔しさを重ねる結果となったホッジの、2020年の再起はここから始めたい。
昨年はこのサンフアンで2位や3位には入っている。ツアー・コロンビア2.1ではステージ優勝もしているので、可能性は十分あるだろう。
問題は、チーム体制がアラフィリップ&エヴェネプール体制なので、発射台が新加入のファンレルベルへしかいないこと・・・スティバルも発射台役は十分兼ねられるけどね。
クリストフ・ラポルト(フランス、28歳)
コフィディス・ソルシオンクレディ(COF)所属
エリア・ヴィヴィアーニの加入により、ラポルトの立場は低くなった? いや、必要以上にプレッシャーのかかるグランツールのエースの責任感から解放され、得意の1クラスやプロシリーズに重点を置けるなら決して悪くないだろう。
そしてラポルトの武器は、スプリントだけでなく、それなりの独走力やパンチ力、石畳適性など。ヴィヴィアーニとはまた違った部分での活躍は見せられるはず。
今回のサンフアンも、勝ちまでは狙えなくとも、どれだけ上位に入れるかを見てみたい。あるいは、個人TTでもそれなりに上位に入れそうではある。
トラヴィス・マケイヴ(アメリカ、31歳)
イスラエル・スタートアップネーション(ISN)所属
北米を中心に1クラスやHCクラスで勝利を重ねるスプリンター。昨年はツール・ド・ランカウイやツアー・オブ・ヒラでステージ優勝、ツアー・オブ・カリフォルニアで区間2位を獲ったりツアー・オブ・ユタでポイント賞を獲ったりと、トップスプリンターたちの活躍するレースでも存在感を示している。
今回、イスラエル・スタートアップネーションはルディ・バルビエやユーゴ・ホフステテールといったスプリンターたちも連れてきており、誰がエースを務めるのかは定かではない。
ただ、一応はアメリカ大陸という点で、マケイヴが最も勝率が高いのではないのかな・・・と思っていたら、第1ステージが終了してみると、あれ、バルビエ・・?
ということで、注目選手として挙げたものの、残念ながらエースではないかも。
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