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UCIロード世界選手権2019 男子エリートロードレース 注目国スタートリスト&プレビュー

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いよいよ今年のロード世界選手権もクライマックス。

最終日となる本日開催される男子エリートロードレースの注目国をピックアップしてプレビューしていく。

 

今大会のコースについては下記のリンクの通りプレビュー記事を書いているが、その特徴は「最終周回突入と同時の14㎞ロングエスケープ」も、「残り6㎞から始まる最大10%勾配を利用した中距離エスケープ」も、あるいは「ラスト600mからの緩やかな登りスプリント」でも、いずれの勝ち方も考えられる選択肢の多さである。

さらに、女子エリートロードレースの展開を見ていると、以外にも序盤の山岳地帯でのセレクションが大きく影響したように思う。男子は女子ほど序盤の山岳が厳しくはないものの、スプリンターたちにとってはやはり厳しく、登坂力のある選手たちによるサバイバルが起きやすいコースにもなるかもしれない。

 

以上を踏まえ、このレースで主導権を握るためには、単一の勝ち方を狙うエースのみを抱えるよりは、幅広い戦略を取り得る層の厚さが重要になりそうだ。

 

そういった観点で、以下に注目国をピックアップしていく。

独断と偏見による選別だが、参考になれば幸い。

 

↓コースプレビューはこちら↓

www.ringsride.work

 

 

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10~17.ベルギー

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層の厚さとバランスのとれた編成。チーム力は揺るぎないトップ。

 

優勝候補はジルベールとファンアーフェルマートのダブルエース体制。ファンアーフェルマートは牽制しがちで勝ち逃げ集団に乗り遅れる癖があるが、そこは後続を信頼してアタックを繰り出して逃げ切りも狙えるジルベールの存在がうまくカバーできている。エースばかりではなくデクレルクやランパールトなど強力なアシストに回れる選手もいて、万全の構え。

そして、ダークホースがエヴェネプールの存在。これだけエース集団が集まっている中でも、おそらく彼はフリーハンドを許されているのではないか。ジルベールよりも早いタイミングで抜け出して、独走勝利を狙う動きはぜひしてほしい。

もちろん、さすがにもう彼を逃がしてくれるほどプロトンも甘くはない。「危険な逃げ」たるエヴェネプールを全力で捕まえに来るだろう。

だからこそ、他のエース軍団が光る。エヴェネプールが周りから警戒されるだけの存在になることによって、このチームがより強くなるわけだ。

Embed from Getty Images

 

加えてもう1つの選択肢。この地域にはよくある悪天候に見舞われたとき、悪天候キラーのティム・ウェレンスが火を噴く。

そうでなくともウェレンスは直近のカナダ2連戦でも9位・4位と好調。終盤のアタックに定評のある彼の存在は、ベルギーチーム第4の優勝候補として、このチームの取り得る戦略の幅をさらに広げてくれるだろう。

 

 

34~41.オランダ

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今大会最大の優勝候補を抱えつつ、選択肢も多いチーム。

 

マチュー・ファンデルポールが絶対のエース。直前のツアー・オブ・ブリテンでも区間3勝と総合優勝。勝ち方も、緩やかな登りスプリントで集団先頭の数が絞られた中での勝利から、終盤抜け出しによる微妙な逃げ切り、逃げを捕まえる直前に抜け出して先頭を抜き去ってからのアムステル形式など。ベルギーチームのエース軍団が駆使するあらゆるタイプの勝ちパターンを、マチュー1人で全部潰してしまえそうだ。

Embed from Getty Images

もちろん、完全に無敵というわけではない。世界選手権前最後のレースとなったプリムス・クラシックでは、終盤のアタックにすかさずペテル・サガンとファンアーフェルマートが反応して食らいつき、失敗に終わった。ライバルたちが彼の攻撃に牽制することなく強調して早い反応を示されると、さしものマチューもこれを振り切りきることは難しい。

そんなときに、もう1人のエースとも言うべきテウニッセンの存在に期待したい。今年のツール開幕ステージでサガンらを打ち破り優勝し、マイヨ・ジョーヌを着た男。似たような混沌とした展開、あるいは緩やかな登りスプリントにおいては、彼もまた優勝候補の1人である。

マチューとテウニッセン、あるいは残り6㎞からの飛び出し要員としてのバウケ・モレマ。マチュー一強体制と見せかけ、実はここもそれなりに選択肢が多い。

ファンエムデンやファンバーレなど、機関車役の強さも魅力。とくにファンバーレは登りもこなせるルーラーなので、今大会のレイアウトにはばっちりだ。ランゲフェルドも今年のロンドで、飛び出したベッティオルのために集団を抑え込む役割を見事に果たした。

  

 

18~25.フランス

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アラフィリップがツールの疲れから完全回復し、調子の良さを見せつけられるか。

 

エースは当然、アラフィリップ。今年はストラーデビアンケとミラノ〜サンレモを制し、アルデンヌ・クラシックでも存在感を示した。同じく好調だった昨年は、さすがにインスブルックのレイアウトがクライマー向けすぎて最後は失速するも、今年のレイアウトは完璧にアラフィリップ向きだ。

ただし、直前のカナダ2連戦の様子を見ていると、少し不安が残る。アグレッシブな走りは良いのだが、その勢いが最後まで続かないきらいがある。まだ本番ではないためにこれで良いのか、それとも頑張りすぎたツールのツケがまだ残ってしまっているのか。

www.ringsride.work

 

逆にこのモンレアルで調子の良い走りを見せたコズネフロワが、この走りが最後の決め手になったのかギリギリで選考入り。ケベックでもナーセンより上位でフィニッシュに到達しており、かなりコンディションは良さそうだ。2年前のU23世界王者。

そして、ブエルタでは驚きの逃げ切り勝利をしてみせたレミ・カヴァニャ。彼の存在が、このフランスチームの選択肢を広げる。あらゆる危険な逃げをアラフィリップが対応しなければならない状況を作ってしまえば勝ちは遠ざかる。いかに、このカヴァニャやコズネフロワが、アラフィリップの代わりに動いていけるかが重要になるだろう。

ギャロパンやルーなど、アップダウンもこなせるルーラー役も揃っておりバランスはよい。ラポルトはスプリンターだが、彼が最後の勝負に絡む可能性は低いとは思う。それよりは、彼もTT能力は高いので、アシストとしての働きがメインになるのではないか。

 

 

65~72.オーストラリア

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ポジション取りや危険な動きへのチェックができるアシストがいればマシューズにもチャンス。 

 

ケベックで勝ったマシューズがエース。とはいえ、ケベックの勝ち方は運良く手元に転がってきたチャンスをしっかりと掴み取った結果によるもの。

それはそれで重要なことだし、最後の小集団スプリントになったときに勝てる足があるのは安心できる要素だが、まずはそんな一か八かの状況にならないことが大事。

www.ringsride.work

 

その意味で、カナダでの課題だった位置取りはデニスやダーブリッジがなんとか対応してもらいたい(多分ドッカーやサザーランドは前半のアシストが中心になると思うので)。

その他、危険な動きへのチェックに勝ちも狙えるクラーク、ハースあたりのアタッカーで。

そして、カナダ2連戦ではこのチェックの動きが非常に巧みだったヘイグの存在は心強い。とくにケベックでは、上記リンクにあるように、危険なサガンたちの逃げを潰す大きな役割を果たした。ただのクライマーではない。器用な男だ。

 

 

153~156.スロバキア

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単独で戦わざるをえないことが最大のネック。それ以外では優勝候補。 

 

人数も少なく、ほぼペテル・サガン一強のチーム。バシュカは発射台としては非常に有能だが、今回のコースレイアウトで純粋にペテルを撃ち出すシーンに恵まれることはないだろう。

ユライ・サガンもクラシックで集団の先頭をコントロールする場面はよく見るものの、絶対的な信頼感のあるアシストというわけではない。

昨年までは前年覇者国ということでボーナスで出場人数が多めに確保されていたが今年はそこがかなり厳しい。普段、ポイントを稼げるのがペテル・サガンだけと言っても過言ではないので。

 

といったところで、やはりペテル・サガンが単独でどうにかしなければならない国ではある。もちろん、それでもなんとかやれるのだが、直近のカナダ2連戦でもプリムス・クラシックでも、ライバルの動きにしっかりと反応し、珍しく牽制もせず積極的な動きを繰り出しているものの、それが裏目となって勝ちを得られずに終わっている。

後手に回らざるをえない状況でどうやってチャンスを掴むか。

ただ、2年前のベルゲン世界選手権でも最終版まで集団内で足を貯めていて最後に勝利をつかみ取っていたので、同じ勝ち方ができないわけではないだろう。

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1~9.スペイン

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ディフェンディングチャンピオンのバルベルデももちろん連覇を狙う資格はある。ただやっぱり彼が優勝候補になるにはパンチャー/スプリンター寄り過ぎるし、どちらかというと集団で牽制して勝機を逃しそう。

よって、最も可能性を持つのはイバン・ガルシア。登りに強いスプリンターとして着実に成長しつつあり、直前のGPモンレアルではファンアーフェルマート、ウリッシに次ぐ3位を記録した。

あとはゴルカもワンチャン。ただ彼はアシストとしても非常に有能なので、そっちで活躍してほしくはある。今年のフルサングのアルデンヌ・クラシック活躍の陰には常にゴルカの存在があったので。

 

 

73~80.デンマーク

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ここも強豪揃いの優勝候補チームである。アラフィリップと並んでアルデンヌ・クラシック絶好調だったリエージュ〜バストーニュ〜リエージュ覇者フルサング、昨年のインスブルックでも積極的な走りを見せ、アムステルゴールドレースとオンループ・ヘットニュースブラッドで勝っているヴァルグレン(今年やや低調なのが気になる)、ドイツツアーでもレイトアタックからの逃げ切りを決めたアスグリーン。このあたりはいずれも今大会の優勝候補である。

コルトニールセンは昔のイメージであれば集団スプリントになったときの優勝候補だったと言えるだろう。やや登り勾配のスプリントは本来彼の得意とするところであった。

ただし最近の彼はスプリンターというよりは、デヘントも真っ青なエスケープスペシャリスト。今大会でも、終盤のかき回し役を演じてくれることだろう。

 

 

87~92.ノルウェー

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優勝候補はもちろんクリストフとボアッソンハーゲン・・・だが、純粋なパンチャーという意味ではカールフレドリクハーゲンにも適性はある。今年のブエルタ・ア・エスパーニャ総合8位と驚きの成果を出した彼だが、本来の得意分野は登りスプリントだ。

ただ、今回のヨークシャーは激坂ハンター向けというよりは登れるスプリンター向けなので、やはり中心となるのは先の2人である。

アムンドグレンダール・ヤンセンも直前のブリテンで、よりパンチャー向けのレイアウトではテウニッセン以上のリザルトを出していたりするので、状況によっては期待できる。もちろん発射台としても。ノルウェー王者だしね。

 

 

42~48.コロンビア

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非常に強い選手たちが揃っている。が、まったく勝てるイメージが湧かない。それはベルゲンのときも感じたが、基本的にピュアクライマーばかりだから・・。そうじゃないとホッジとモラーノは今回のレイアウトで最後まで耐えられるかはかなり微妙。両極端である。

ベルナルが自ら辞退し代わりに入ったベタンクールが最も適性があると言えるだろう。ベルナルは正しい決断だったと思う。

 

 

57~64.スロベニア

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ログリッチェは少なくとも今回の優勝候補ではないだろう。ポガチャルはまだ、バスクカントリーの登りスプリントで強い姿を見せていたので適性はないわけではない。

が、実際的に最も可能性が高そうなのはモホリッチの逃げ。トラトニクもときおりアグレッシブなので期待したい。ボーレのスプリントはさすがに厳しいよね。

 

 

81~86.イギリス

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スプリントならベン・スウィフト。アタックからの小集団スプリント勝負ならゲオゲガンハートかアダム・イェーツか。アダムは直前のカナダ2連戦でもそこそこ上位に入ったり、アグレッシブに動いていたので期待したい。が、基本的には有力チームとは言えなさそうだ。

 

 

99~104.スイス

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アルバジーニ・・・と見せかけて、ルーラー/パンチャーの両方の素質をもつディリエや、昨年のインスブルックU23覇者ヒルシに期待。ヒルシはバスクカントリーの登りスプリントでも強かった。

また、シュテファン・キュングの独走勝利も大きな武器である。人数の少なさがこのチームの最大の弱点で、アシスト役のシェアー、ウィスはいずれも仕事人だが責任重大である。ディリエもアシスト役に回る可能性も。

 

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