りんぐすらいど

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ジロ・デ・イタリア2019 コースプレビュー 第2週

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いよいよ大会はアルプスの地に。モンテ・ビアンコ。フランス名モンブラン。「白い山」。

 

平坦ばかりの平穏な第1週・・・と思いつつ波乱ばかりの連続だった第1週に引き続き、第2週のコースを見ていく。

最初の2ステージは極端なほどのオールフラット。しかしそれを乗り越えて現れるのは、フィニッシュ直前に設けられた最大勾配20%の激坂や、20km超のロングクライム、そして総獲得標高4000m超のハードステージ、そしてイル・ロンバルディア・ステージ・・・

いよいよ総合勢の争いが本格化。例年にも増して何が起こるかわからない今年のジロ・デ・イタリア。第2週の最後にマリア・ローザを着るのは本命ログリッチェか、リベンジを狙うサイモン・イェーツか、王者ヴィンツェンツォ・ニバリか、それとも・・・。

 

↓第1週のコースプレビューはこちらから↓

www.ringsride.work

 

↓第3週のコースプレビューはこちらから↓ 

www.ringsride.work

 

 

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第10ステージ ラヴェンナ〜モデナ 145㎞(平坦)

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ラヴェンナ!

世界史を専攻していた者ならば誰もが聞いたことあるはずのあの「ピピンの寄進」のラヴェンナである。

それが重要事となるくらいかつては繁栄していた都市で、異民族から東ローマ帝国まで拠点にし続けていた街だった。そのときの建築物は世界遺産として保存されている。

一方のモデナも中世〜近世に各勢力の取り合いになるほど重要な地政学的地位を持ちつつ、近年ではフェラーリの本拠地があるなど自動車産業で栄えた。

いずれもエミリア=ロマーニャ州。すなわち、今大会のスタート地点、ボローニャの近くにまで戻ってきたのだ。このあとはアルプスに少しずつ近づいていく。

 

そしてまるで嵐の前の静けさのように、極端なまでに真っ平らなレイアウト。これもまた、ジロらしいステージである。

この日、逃げ切りなどほぼありえない。ラスト2㎞も完全なるストレートで、各チームの誇るスピードスターたちによる、ガチンコのパンチスプリントを見ることができるだろう。

すでにガビリアは大会から去ってしまった。ヴィヴィアーニもチクラミーノのポイントで大きなペナルティを背負ってしまって、ややモチベーションが低下している? その意味で大会最強のピュアスプリンターはアッカーマンといった様相だが、そこにユアン、デマール、モスケッティなどがどう対抗していくか。

 

 

第11ステージ カルピ〜ノーヴィ・リーグレ 221㎞(平坦)

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エミリア=ロマーニャ州を抜け、「アルプスの麓」の1つ、ピエモンテ州へ。

トリノを州都にするこの地域は、すでにしてアルプスの香りが強く漂う。

ただし広大なポー平原を舞台とするコース自体は、前日に続きオールフラット。

ラストが前日よりもやや登っているように見えるが、実際にはなんの障害にもならないであろう。

ラスト3㎞に直角コーナーがあるが、そのあとはひたすらゴールまでまっすぐ。

 

ノーヴィ・リーグレを含むアレッサンドリア県はあのファウスト・コッピの生まれ故郷。彼に関する話がレース中にも出てくるかもしれない。

そして、日本人にとってはこのフィニッシュ地点は重大な意味を持つ。今から9年前、2010年の第5ステージの同じフィニッシュで、逃げ切った新城幸也がステージ3位に入ったのだ。そしてこの逃げを作ったきっかけが、彼のアタックだったというのだから驚きだ。

今大会すでに、第3ステージで144kmを逃げている初山翔。

この日の彼の走りにも、期待しておきたい。

 

 

 

第12ステージ クーネオ〜ピネローロ 158㎞(丘陵)

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昨年のジロの第19ステージでフルームが見せた80㎞独走勝利は、1949年にファウスト・コッピが果たした192㎞の独走勝利に例えられることもあった。そのときコッピが走ったルートも同じクーネオ〜ピネローロ。

もちろん、今回のルートはそのときよりもずっと短く、厳しい山岳も存在しない。ただ1つ、ゴール前残り40㎞から登り始める、聳え立つ異様なる峠「モントゾ」。今大会に初めて登場する1級山岳だ。

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登坂距離8.8㎞。決して短くないその登坂の平均勾配は9.5%。常に厳しい勾配が続き、最大勾配14%区間は山頂まで残り3㎞に位置する。山岳賞を狙う選手たちによる熾烈な争いが繰り広げられそうだ。

総合勢においても、山頂からゴールまで32㎞残っているとはいえ、ここでかなりのセレクションがかかりそうな予感がする。

 

そしてラストも簡単ではない。ゴール前2.5㎞からの500mに、平均勾配13.2%、最大勾配20%の超激坂が待ち構えている。しかも、登りの直前には石畳も!

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その登りの後も、180度カーブや直角カーブが連続する難易度の高いレイアウト。

激坂でアタックを仕掛けたパンチャーが逃げ切るか、それとも集団がこれを捕まえるか・・。

なお、ピネローロは、かの有名な「鉄仮面」が収容された要塞があるという。

 

 

第13ステージ ピネローロ〜チェレゾーレ・レアーレ 196㎞(山岳)

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今大会最初の本格的な山頂フィニッシュは、イタリア北西部・ピエモンテ州のグラン・パラディソ国立公園内にあるラゴ・セッル(セッル湖)に至る登坂となる。

平均勾配は5.9%、最大勾配は14%と、この後に来る超強烈な登りを考えればその難易度はまだまだ決して高すぎはしないが、それでも登坂距離20㎞超は十分にハード。しかもラスト5㎞は平均勾配9.2%、最大勾配13%と高難易度のため、この日を終えて総合上位に来るのは本格的なクライマーたちのみとなるだろう。

勝者を限定はしないが、勝てない人は確実に炙り出されるステージだ。

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まだログリッチェはその絶好調ぶりを維持することだろう。ライバルたちに求められるのは、この後に来るかもしれないチャンスに向けて、まずはここで落とさないようにすることだ。無理なアタックがなされるというよりは、生き残りをかけたサバイバルな展開が予想される。ただし、サイモン・イェーツだけは違った動きをするかもしれない。

ラスト500mは非常に緩やかなため、そこまで生き残ったクライマーたちによるスプリント勝負になるかもしれず、その際はログリッチェとイェーツに有利と言えるだろう。

 

セップ・クス、ルーカス・ハミルトンなどの若きアシストたちの走りっぷりにも注目したい。

 

 

第14ステージ  サン・ヴァンサン〜クールマイユール  131㎞(山岳)

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モンブランやマッターホルン(チェルヴィーノ)、モンテローザなどの高峰が連なるイタリア最北西部、ヴァッレ・ダオスタ州を舞台にして行われる短距離山岳ステージ。スタート直後から2級山岳が待ち受け、ほぼ平坦のない、登るか下るかの繰り返しのステージとなる。ラストはそれこそモンブラン(モンテ・ビアンコ)に至る道の途中にあるスキーリゾート。ジロでは実に60年ぶりの登場となる。

獲得標高は4000m。正真正銘のサバイバルステージだ。地形的には総合有力勢による一騎打ちというよりかは、逃げ切りに有利なステージと見ることができる。たとえば前日の登りで総合争いから脱落してしまったクライマーたちが、ステージ優勝や山岳賞争いに切り替えて(あるいは一か八かの総合ジャンプアップにかけて)逃げに乗ってくるかもしれない。十数名から20名以上の逃げ集団ができる可能性も。

 

もちろん総合において重要な役割を果たすのは、残り35.4㎞地点から登り始める最後の1級山岳「コッレ・サン・カルロ」。

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登坂距離10.5㎞、平均勾配9.8%。ジロらしさに溢れる厳しすぎる登坂を前にして、いよいよ本格的なセレクションがかかる。

総合勢についても、実に小さな塊しか残っていない可能性は十分にあるだろう。

 

 

第15ステージ  イヴレーア〜コモ  232㎞(丘陵)

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再びプロトンはピエモンテ州に。オレンジ戦争で有名なイヴレーアの街を抜けて東方に突き進みロンバルディア州へ。前半はポー平原の真っ平らな道のりを行くが、残り100㎞からはイル・ロンバルディアと全く同じコースを使用する。

まずは、イル・ロンバルディアでの「教会の鐘の音」でお馴染みのがマドンナ・デル・ギザッロ。登坂距離8.6㎞、平均勾配6.2%。ただしこれは下りも含めた数値で、登り始めの4㎞は平均勾配9%、最大勾配14%。最後の1.3㎞も10%近くある厳しい勾配だ。

そのあとは当然、コルマ・ディ・ソルマーノ。ただし、クレイジーな激坂「ムーロ・ディ・ソルマーノ(ソルマーノの壁)」は使用しない。登坂距離9.6㎞、平均勾配6.6%は比較的大人しい登りとなっている。

そしてイル・ロンバルディア最後の勝負所。昨年もピノがニバリを突き放し勝利を手に入れたチヴィリオの登りだ。登坂距離4.2㎞、平均勾配9.6%、最大勾配14%の短くも鋭い登りは、この日も勝負を左右することになるだろう。

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何しろ最後のこのチヴィリオの頂上からゴールまではわずか8.7㎞の下り。

2019ジロの「ロンバルディア覇者」の栄光は誰の手に?

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2015・2017のロンバルディア覇者、ニバリ。今大会も当然、期待されているであろう。 

 

↓第3週のコースプレビューはこちらから↓ 

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