第2週のシエラ・ネバダでおおよその総合争いに決着はついてしまうかもしれない。それでも、この3週目にもマドリード近郊のグアダラマ山脈での3連戦が待ち構えており、その最後には一筋縄ではいかない逆転の余地を残すレイアウトも。
いずれにしても、最後まで何が起こるか分からない。それがグランツールの魅力であり、ブエルタ・ア・エスパーニャの魅力である。
2年ぶりに復活したマドリードでのスプリント決戦も含め、意外なる結末を楽しみにしていよう。
目次
- 第16ステージ サンルカル・デ・バラメダ~トマレス 189.4㎞(平坦)
- 第17ステージ アラセナ~テントゥディア修道院 162.3㎞(平坦・登りフィニッシュ)
- 第18ステージ トルヒーリョ~ピオマル峠 192㎞(山岳)
- 第19ステージ タラベラ・デ・ラ・レイナ~タラベラ・デ・ラ・レイナ 138.3㎞(中級山岳)
- 第20ステージ モラルサルサル~プエルト・デ・ナバセラダ
- 第21ステージ ラス・ロサス~マドリード 642㎞(平坦)
第1週のコースプレビューはこちらから
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第16ステージ サンルカル・デ・バラメダ~トマレス 189.4㎞(平坦)
アンダルシア州カディス県の町サンルカル・デ・バラメダはグアダルキビール川の河口に位置する町。そのグアダルキビール川に沿って北上し、最後はセビリャの街の外側を反時計回りにぐるりと囲んでその近郊のトマレスへと至る。
全体的にはフラットなレイアウトだが、最後はゆるやかな登り勾配。5年前の第13ステージで使われたときはマッテオ・トレンティンが3勝目を飾ったがそのときもリザルトとしてはジャンニ・モスコンやセーアン・クラーウアナスンが2位3位につけ、6位のニバリ以下は総合系のライダーたちが名を連ねるようなリザルトとなっていた。
その意味で、今大会最も適したスプリンターはマッス・ピーダスンかもしれない。ツール・ド・フランスでは区間1勝はしたもののスプリントでは勝てなかった彼が、リベンジを果たせるか。
プリモシュ・ログリッチあたりがこういうステージでも勝利を狙ってきそうでそれはそれで恐い。5年前トレンティンのアシストとして尽力したジュリアン・アラフィリップが、それに対抗してレムコ・エヴェネプールを発射させたり自分で勝利を狙ったりとかもありうるかも?
第17ステージ アラセナ~テントゥディア修道院 162.3㎞(平坦・登りフィニッシュ)
また来た! 平坦・登りフィニッシュ(Flat. Uphill finale)ステージ。とはいえ、ここはもう最後だけ目を瞑っても平坦とは言えないんじゃないか?
全長2㎞以上の鍾乳洞で有名なアラセナを出発して、実にスペインらしい激しい凹凸を乗り越えて最後は丘の上の修道院へ。
2級山岳テントゥディア修道院(登坂距離10.3㎞、平均勾配5%)は、このあとのグアダラマ山脈3連戦に向けての静かな序章となるだろう。逃げ切りに有利そう。
第18ステージ トルヒーリョ~ピオマル峠 192㎞(山岳)
アンダルシアから一気に北上し最終決戦の舞台マドリード近郊へ。しかし、最後の大団円を前にして、プロトンはグアダラマ山脈での最後の試練を乗り越える必要がある。
その1つ目の試練は、1級アルト・デ・ピオマル(登坂距離13.5㎞、平均勾配5%)。合計2回、それぞれ別の方向から登ることとなるが、いずれもプロフィールはほとんど変わらない(上が残り40.8㎞地点に用意された1回目の登り、下が最後の登り)。
大きな差はまだつかないかもしれない、そんな難易度の登りとなっている。
第19ステージ タラベラ・デ・ラ・レイナ~タラベラ・デ・ラ・レイナ 138.3㎞(中級山岳)
2級山岳プエルト・デル・ピエラゴ(登坂距離9.3㎞、平均勾配5.6%)を含んだ大回りの周回を2周する、山岳周回レース。スタート直後に登りがあり、スプリンターが残れるわけでもなく、総合争いが起こるほど厳しくないため、クライマー、ダウンヒルスペシャリスト、ルーラータイプも含め、割と幅広いタイプの選手にチャンスのある逃げ切り向きステージと言えるだろう。ツール・ド・フランスでのユーゴ・ウルのような感動が見られるか?
ローソン・クラドックとか、ルーク・ダーブリッジとか、バイクエクスチェンジのいぶし銀ルーラーたちの勝利シーンとか、見てみたくないか?
第20ステージ モラルサルサル~プエルト・デ・ナバセラダ
マドリードから北へ50㎞。グアダラマ山脈山中にある村モラルサルサルを出発し、最初に1級山岳プエルト・デ・ナバセラダ(登坂距離10.3㎞、平均勾配6.8%)を登らされる。
その後は山脈を越えてセゴビアの方へ顔を出したりしつつ、再び山中に舞い戻って合計3つの山を越える。
そして最後にもう一度プエルト・デ・ナバセラダへ。今度は1回目とは逆の方向で、登坂距離は10.3㎞、平均勾配6.9%となる。
最後は山頂フィニッシュではなく、山頂からフィニッシュまで、6.7㎞の平坦が続く。
と、いうことで、最後の山岳ステージの割にはそこまで難易度が高くないように見えるこのステージ。
だが、一番気を付けなければならないのは、残り37.3㎞地点に用意された1級モルクエラ峠(登坂距離9.4㎞、平均勾配6.9%)かもしれない。
登り初めこそ緩いものの、そこからは平均的に厳しい勾配が続き、残り4㎞地点には最大12%勾配区間も。頂上付近も厳しい。
前待ちなどを活用し、この登りでアタックして逆転を狙うライバルたちが現れる可能性もあり、最後の瞬間まで何が起こるか分からない要素を秘めている。
総合争いは第2週で決まってしまうのか。それとも最後の最後で意外な展開が待ち受けているのか。
思い出されるのは同じくマドリード近郊で繰り広げられた2015年ブエルタのあの大逆転劇。同じようなスペクタルが起きる可能性は十分にあるだろう。
第21ステージ ラス・ロサス~マドリード 642㎞(平坦)
ブエルタ・ア・エスパーニャ版のシャンゼリゼ、マドリードの中心地シベーレス広場を中心とした周回コースで繰り広げられる正真正銘のスプリンター決戦。
昨年はサンティアゴ・デ・コンポステーラでの個人TTを最終日に持ってきていたが、今回は伝統へと回帰。1年を締めくくるフィナーレが演じられることとなる。
過去のマドリード覇者は以下の通り。
2011年:ペテル・サガン
2012年:ジョン・デゲンコルプ
2013年:マイケル・マシューズ
2015年:ジョン・デゲンコルプ
2016年:マウヌス・コルト
2017年:マッテオ・トレンティン
2018年:エリア・ヴィヴィアーニ
2019年:ファビオ・ヤコブセン
2020年:パスカル・アッカーマン
しっかりとそのときそのときの最強スプリンターが勝利を掴んでいるこのマドリード決戦。
今大会は明確な最強が見えづらいだけに、どんな結末になるのか読めないところがあり楽しみである。
そして、栄光のマイヨ・ロホは誰の手に――。
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