Class:ワールドツアー
Country:オーストラリア
Region:南オーストラリア州アデレード周辺
First edition:1999年
Editions:22回
Date:1/21(火)~1/26(日)*1
いよいよ2020年シーズンの開幕。初戦はいつも通り、南オーストラリア州を舞台にしたツアー・ダウンアンダー!
昨年から勝負所となるウィランガ・ヒルが最終日に移動し、総合争いが最後までわからないより白熱した展開に。
今年はさらに、もう1つの「総合争いの舞台」パラコーム登りフィニッシュも用意され、2017年以来のリッチー・ポート総合優勝となるか、ダリル・インピーがまさかの3連覇を果たすか、それともまた別の選手が2020年シーズン最初のワールドツアー覇者となるのか。
全6ステージのポイントをまとめたコースプレビューをどうぞ。
※記事中の時間はすべて日本時間。終了時間は予定時間。参考:時差はアデレードが日本より1時間半早い。
↓参考:昨年の全ステージレビュー↓
↓注目選手プレビューはこちらから↓
- シュワルベ・クラシック 51㎞(平坦)
- 第1ステージ タヌンダ〜タヌンダ 150km(平坦)
- 第2ステージ ウッドサイド〜スターリング 135.8㎞(丘陵)
- 第3ステージ アンリー〜パラコーム 131㎞(丘陵)
- 第4ステージ ノーウッド〜マレー・ブリッジ 152.8㎞(平坦)
- 第5ステージ グレネルグ〜ヴィクター・ハーバー 149.1㎞(丘陵)
- 第6ステージ マクラーレン・ヴェイル〜ウィランガ・ヒル 151.1㎞(丘陵)
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シュワルベ・クラシック 51㎞(平坦)
毎年恒例の顔見せクリテリウム
1/19(日)17:15~18:15(Jsports放送開始は17:00~)
毎年恒例の、UCI非公式前哨戦クリテリウム。ただし、例年の、アデレード市内の公園周辺でのクリテリウムではなく、アデレード市中心部、ヴィクトリア・スクエア周辺での開催となる。
公式サイトでは「伝統的な開幕ステージが数年ぶりに戻ってきた!」と書いてあるが、昔の前哨戦クリテリウムはいつもここでやっていたのだろうか?
レースの名前もシュワルベというドイツのタイヤメーカーが冠スポンサーとなり、変更。ただ、全長51㎞という距離感、カーブの数、オールフラットであることなどは例年とほぼ変わらず。
いつも通り、途中の中間ポイント狙いの逃げが散発的に出つつ、最後は集団スプリントで決着することだろう。
なお、昨年実験的に行われた「レース時間が1時間になるように周回数を調整」というシクロクロス形式ではなく、1.7㎞の周回コースを30周、とかっちり決まることに。昨年のあれは、いろいろ苦情が来たのだろうか・・?
第1ステージ タヌンダ〜タヌンダ 150km(平坦)
2020年最初のスプリンター頂上決戦
1/21(火)9:30~13:15(Jsports放送開始は11:30~)
例年初日はスプリンターズステージとはいえしっかりとラインレースを用意してきていたツアー・ダウンアンダーだが、今年は初日ステージに、1周30kmの周回コースを5周させるコースを用意してきた。
ただし、ダウンアンダー・クラシックのような、ド平坦のクリテリウム形式のコースではない。周回コースの途中には、平均勾配7.2%の短い登り「ブレークネック・ヒル」が用意されている。全部で5回登ることになるこの登りは、2周目(46.9㎞地点)と4周目(106.8㎞地点)の通過の際が3級山岳ポイントとして位置付けられており、逃げメンバーの中で初日の山岳賞ジャージ獲得を狙う選手たちによる激しいバトルが繰り広げられることだろう。
ラストは例年通りの集団スプリント。2016・2017年はカレブ・ユアンが、2018年はアンドレ・グライペルが、そして2019年はエリア・ヴィヴィアーニが開幕ステージを勝利している。
今年もその3名全員が出場。新チームに移籍したヴィヴィアーニがその強さが健在であることを示す勝利を掴むか、2019年ジロ以降絶好調だったユアンがリベンジを果たすか、昨年は出場できなかったグライペルが悪夢のような2019年をぶち破るような鮮烈な復活勝利を遂げるか。
もしかしたら、2020年最強候補のサム・ベネットも、最強発射台モルコフと共に乗り込んでくる可能性も。
2020年最初のワールドツアーで、勝つのは一体、誰だ?
第2ステージ ウッドサイド〜スターリング 135.8㎞(丘陵)
パンチャーがタイムを稼ぐべき日
1/22(水)9:30~12:53(Jsports放送開始は11:30~)
アデレードの東、ハロゲートの西に位置する丘陵地帯の中の街ウッドサイドで周回コースを2周。その後南下して、お馴染みのスターリング周辺のアップダウン周回をぐるぐる回る。総獲得標高は2,357m。
スターリングはダウンアンダーお馴染みの登りフィニッシュである。決して厳しい勾配ではないが、2段階の登りはピュアスプリンターを勝利から遠ざけ、パンチャーたちにチャンスをもたらす。2014年はディエゴ・ウリッシが、2015年はフアンホセ・ロバトが、2016年はジェイ・マッカーシーが勝利を掴んだ。そして2016年はこの登りの一段階目で脱落していたカレブ・ユアンは、2018年に登場した際には逆に勝利を掴んだ。翌年、ハッタ・ダムを制することになる彼の、伏線とも言うべき勝利だった。
今年もパンチャーたちの勝負の舞台になりそう。そして、勝敗だけでなく、総合を狙う選手たちにとっては、2位3位に入ることで得られるボーナスタイムの存在が重要になる。
実際、2018年の覇者ダリル・インピーは、最終的な総合成績においてリッチー・ポートと0秒差であったが、インピーはこのスターリング登りフィニッシュで2位に入り、ボーナスタイム6秒を得ていたのである。
第3ステージ アンリー〜パラコーム 131㎞(丘陵)
総合優勝者を占う最も重要な1日
1/23(木)9:30~12:57(Jsports放送開始は11:30~)
アデレード市街の東に広がるアデレードヒルズは、ワイン用の葡萄の一大産地である。それはすなわち、この地域が激しいアップダウンに満ち溢れているということ。同じアデレードヒルズを舞台にした第2ステージに引き続き、ピュアスプリンターには優しくない丘陵ステージが続く。
そもそも、ラストのパラコームは、ウィランガ・ヒルと並ぶ「総合請負人」である。コークスクリューも重要なセクションだが最後はスプリントで決まることも多いそれと違って、パラコームは、1.2㎞と短いものの、平均勾配は9.9%と、非常に強烈。
そして、重要なことを告げよう。この登りフィニッシュが用意されたのは過去に2回。1回目の2015年にこのステージを制したローハン・デニスは、その年の総合優勝者となっている。2回目は2017年。この年のパラコーム覇者リッチー・ポートは、ウィランガ・ヒルも共に制し、2位のエステバン・チャベスに48秒差をつける圧勝を遂げた。
もちろんポートは、この年を含む6年間連続でウィランガ・ヒルを制している。しかし彼がダウンアンダーを制したのは、この2017年のみであった。
結局のところ、ウィランガ・ヒルにツアー・ダウンアンダーの勝者を決める力はない。それを決めるのはーーこの、パラコームである。
第4ステージ ノーウッド〜マレー・ブリッジ 152.8㎞(平坦)
ピュアスプリンターたちの最後のチャンス
1/24(金)9:30~13:38(Jsports放送開始は11:30~)
今大会最長ステージ。前半はアデレードヒルズの丘陵地隊を走るが、後半は概ねフラット。スプリンターたちによる集団スプリントで決着がつくことだろう。
ウィランガ・ヒルが最終日に設けられ、伝統的なアデレード市内周回コースがなくなった昨年から、ピュアスプリントステージは2つに限られてしまった。数少ないチャンスを巡り、この日も熾烈な争いが繰り広げられるはずだ。
第5ステージ グレネルグ〜ヴィクター・ハーバー 149.1㎞(丘陵)
パンチャーはここでどれだけ稼げるか
1/25(土)9:10~13:10(Jsports放送開始は11:30~)
その名の通り港町を意味するヴィクター・ハーバーは、アデレード市街地から南に85㎞に位置する海沿いの街である。
ツアー・ダウンアンダーではお馴染みの街で、直近の2017年・2018年はそれぞれ集団スプリントでカレブ・ユアン、エリア・ヴィヴィアーニが勝利した。
しかし今年のコースレイアウトは、サイモン・ゲランスが勝利した2016年に酷似している。すなわちゴール前20㎞地点に山岳賞ポイントが用意された、決してピュアスプリンター向きではないコース。実際、2016年のときは、カレブ・ユアンやマーク・レンショー、アダム・ブライスなどのスプリンターたちは6分31秒遅れでフィニッシュしている。
よって、今年も、スプリンターたちが生き残る可能性は低そうだ。そうなるとどうなるか? たとえばダリル・インピーのようか、パラコームやウィランガ・ヒルでタイムを失う恐れのあるパンチャータイプの選手たちが、ボーナスタイムを稼ぐ
絶好のチャンス、というわけだ。
すなわちここも、総合争いにおける、非常に重要なステージだ。10秒は、ダウンアンダーでは、かなり大きい。
第6ステージ マクラーレン・ヴェイル〜ウィランガ・ヒル 151.1㎞(丘陵)
最終決戦ウィランガ・ヒル
1/26(日)9:10~12:58(Jsports放送開始は10:00~)
ダウンアンダーの象徴たる定番ウィランガ・ヒルは、昨年と同様に最終日に設定された。山岳賞も総合争いも、この日に決着を迎える。
ウィランガ・ヒルは、全長約3㎞、平均勾配約7%。
登り始めが最も厳しく、10%近い勾配。そこからしばらくは7%前後の(他と比べれば)やや緩やかな勾配が続き、残り1.3㎞近くから、9%に達する「勝負所」が現れる。
例年、リッチー・ポートが勝負を仕掛けるのがこの部分だ。ただ、2019年はややその走りに陰りが見えた。結果的にも、ワウト・プールスとダリル・インピーにタイム差なしでゴールされている。
果たしてウィランガ・ヒル7連覇の偉業は達成させられるのか。それとも、その伝説はついに終わりを告げるのか。
なお、ウィランガ・ヒルは最後まで厳しい勾配が続くわけではなく、残り400mは2.3%程度の緩やかな勾配となる。
ここでタイムを失いたくないパンチャー系の選手たちは、とにかく残り400mまで耐え抜くこと。
次回は注目選手プレビュー予定。
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*1:前哨戦クリテリウム「ダウンアンダー・クラシック」(非UCI)は1/19(日)開催。