りんぐすらいど

サイクルロードレース情報発信・コラム・戦術分析のブログ

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クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2019 全チームスタートリスト&プレビュー

本日開幕の「ツール・ド・フランス前哨戦」クリテリウム・ドゥ・ドーフィネに出場する全22チーム154名の選手のスタートリストと簡単なプレビューを掲載。

レース観戦中の選手確認に加え、その選手・チームの情報を多少なりとも入れるうえでの参考になれば幸い。

 

総合優勝最右翼はクリス・フルーム。対抗はアダム・イェーツ。そして個人的に最も注目したいのはティボー・ピノとグルパマFDJといったところ。今回の彼らの気合の入り方は半端ないと思っている。

スプリントではサム・ベネットが飛びぬけているだろうが、単純なピュアスプリントのほとんどないドーフィネでは波乱が待ち受けている。昨年も1勝しているインピーが対抗で、個人的にはカリフォルニア、ノルウェーと着実に成績を出してきているシクロクロス上位勢のネオプロ、ヨリス・ニューウェンハイスに大注目だ。

 

順当な強者が勝つか、意外なニューヒーローが登場するか。

 

コースプレビューはこちらから

www.ringsride.work

  

 

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1~.チーム・イネオス(INS)

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総合★★★★★

スプリント★☆☆☆☆

逃げ★★☆☆☆

昨年はジロに出場していたため、2年ぶりの出場となるクリス・フルーム。今期ここまでの成績は「当然」良くないが、彼とチームにとってそれは問題にならないだろう。

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プールス、クヴィ、キリエンカ、モスコンにスタナード、ファンバーレとあまりにも容赦なさすぎるロースターには草生える。

キリエンカが病気で5月頭まで戦線離脱していたのが不安要素? しかしロマンディではファンバーレがそのキリエンカに匹敵する走りを見せていたのでやはり最強ぶりにゆるぎはない。そもそも今大会のプロフィール自体がとてもこのチーム向きである。

結局今年も、このチームが勝ってしまうのか?

 

 

11~.ミッチェルトン・スコット(MTS)

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総合★★★★★

スプリント★★★★☆

逃げ★☆☆☆☆

ジロのサイモン失墜はとても残念だった。ロードレースは甘くはない。毎年最高の力を発揮しきれないことを経験し、それを乗り越えることでより強くなっていく。

 

だからこそ、昨年あまりにも苦しい時間を過ごしたアダムの、今年のシーズン冒頭からの絶好調振りを見て、今年は彼の年であるという確信を得た。

ティレーノ~アドリアティコでの走りはそれを強く印象付けるものであったし、課題であったTTの改善も見られるレースだった。

www.ringsride.work

 

2016年ブエルタのチャベス総合3位を支えたホーゾン、昨年のジロで目覚ましい活躍をしたヘイグといった強力な若手山岳アシストも引き連れておりチーム体制も万全。

まずはこのドーフィネを制し、ツールに向けて最高の滑り出しを見せよう。

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また、スプリントにおいても昨年1勝しているインピーがメスゲッツを引き連れて参戦。コースもインピー向きで、十分に勝利を狙えそうだ。

 

 

21~.AG2Rラモンディアル(ALM)

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総合★★★★☆

スプリント★★★☆☆

逃げ★★★☆☆

バルデは果たして調子が良いのか、悪いのか。

パリ〜ニース総合5位は悪くなかったが、荒れ狂う暴風雨により他の総合優勝候補たちが軒並み崩れていった結果でもある。カタルーニャは最終ステージで落車リタイアとなったが、その時点での総合成績は8位である。

アルデンヌ・クラシックではアムステルゴールドレースの9位くらいで、調子の良かった昨年や一昨年と比べると低迷した。これは落車明けだったのも影響したのかもしれない。

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不安要素はチーム体制にもある。

昨年は高地キャンプを共にしたドモン、ラトゥール、ヴィエルモーズといったツール最強山岳アシストたちと共に乗り込んだやる気十分のドーフィネだった。それで総合3位。

しかし今回は、純粋なクライマーはシェレルとジェニエスくらい。1週間のステージレースならばそこまでアシスト体制は問題にはならないが、今年のツールに向けたチームの「バルデ一点集中体制」に変化が訪れているようには感じる。

代わって、かつてのこのチームのような「逃げからのステージ優勝」を目指す体制に切り替わりつつあるか?  ジロはその結果、ピーターズの勝利という大きな成果を手に入れた。

今回もコズネフロワ、グジャールなどの逃げスペシャリストに期待。ナーゼン、ヴェントゥリーニも、ピュアスプリントでは厳しいかもしれないが、混戦や登りスプリントでは勝機を得られそう。

 

 

31~.UAEチームエミレーツ(UAD)

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総合★★★★☆

スプリント★★☆☆☆

逃げ★★☆☆☆

クリテリウム・ドゥ・ドーフィネとは非常に相性の良いマーティン。ここ3年は総合3位→総合3位→総合4位と来ている。直近のイツリア・バスクカントリーでも総合2位と、悪くない。UAEツアーでも、チームTTで失った36秒がなければ総合3位に入ることができていた。

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チーム体制は決して盤石ではない。しかしそこは、昔からの彼の宿命であり、そこまで問題ではない。ただ今大会、勝負を左右するのが第4ステージの個人TTと、第7ステージの「常に勾配が一定の」超級山岳山頂フィニッシュといった、彼が得意とするタイプのステージではないことが気がかり。

TTでタイムを落としたのちに、この第7ステージの終盤で得意の果敢アタックを決めてジャンプアップし、昨年と同じく総合4位くらいに留まる――といった未来が見えるような気がする。

 

 

41~.ドゥクーニンク・クイックステップ(DQT)

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総合★★★☆☆

スプリント★★★★☆

逃げ★★★☆☆

エーススプリンターはホッジ。ただし起伏に弱い彼が最後まで残れる可能性のあるステージは多くない。

むしろアラフィリップが勝てるステージの方が多そうだ。実際、第6ステージ終了時点でマイヨ・ジョーヌを着てるのは、もしかしたら彼かもしれない。

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同じように登りスプリントや、アルデンヌ風味ステージの逃げ切りで、ジルベールやスティバルの活躍が十分に期待できる。カヴァニャやヴァコッチも含め、相変わらず誰が勝ってもおかしくないチーム。

そんな中、いつも献身的すぎる働きをこなしてくれる鉄人デクレルクにも、奇跡のような勝利がもたらされることを密かに楽しみにしてる、のだが・・。

 

 

51~.ボーラ・ハンスグローエ(BOH)

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総合★★★★☆

スプリント★★★★★

逃げ★★★☆☆

イツリア・バスクカントリー総合3位のブッフマンは、本気で総合を狙う初めてのツールに挑む。その前哨戦ドーフィネにおける右腕は、ツアー・オブ・ターキー総合優勝のグロスチャートナー。残念ながら彼はツール本戦への出場は予定していないようだが、この2人が揃うだけでも、今大会の総合優勝争いに十分に食い込める気がしてくる。

ブッフマンの今の調子を確認する上で非常に重要なレースだ。

 

そしてこのチームの今大会のもう1つの、もしかしたらより上位の目標が、いまや世界トップスプリンターの1人となっているサム・ベネットによる勝利量産だ。

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かつてはピュアスプリントの印象もあった彼だが、ツアー・オブ・ターキーやハンマー・スタヴァンゲルでの活躍を見ていると、登りに対しての適性が着実に上がってきているように感じる。

よって、今回のドーフィネでのレイアウトにも十分対応可能。2勝、場合によっては3勝も狙えるかも。

 

そして、彼を支えるべく集まったミュールベルガー、フィングステン、そして負傷したドリュケールに代わり急遽加入したアーチボルド――すべて、ベネット・ブッフマンも含めてプロコンチネンタル時代からの叩き上げメンバーだ。

サガンもマイカもいなくても、このチームは頂点を目指せるだけの強さを持っていることを示してやれ!

 

 

61~.アスタナ・プロチーム(AST)

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総合★★★★☆

スプリント★★☆☆☆

逃げ★★★☆☆

2017年ドーフィネ覇者、フルサング。しかしその年のツールは、落車が影響して悔しい途中リタイアとなった。

2018年のツールも目立つ走りはできず、フラストレーションの溜まる年となった。

しかし今年は、ストラーデビアンケから始まるアルデンヌ系クラシックで絶好調。常にジュリアン・アラフィリップに喰らいつく走りを見せ、最後はリエージュ〜バストーニュ〜リエージュで見事優勝した。

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ステージレースでもアスタナ自体の調子の良さにも助けられ、ブエルタ・アンダルシア総合優勝、ティレーノ〜アドリアティコ総合3位、イツリア・バスクカントリー総合4位と、例年以上の成績でここまで来ている。

 

チームとしては、今回のドーフィネに関してはそこまで万全ではない。ツールではサンチェスやビルバオが合流予定。その際に重要になるゴルカ、そしてルツェンコが、今大会どこまでアシストとして機能するかに注目しておこう。

なお、登りスプリント多めの今大会、過去ブエルタ2勝のコルトニールセンのスプリント勝利にも期待したくはなるが、最近の彼は純粋なスプリントというよりは山岳逃げでの勝利のイメージが強いため、今回もその方針で行くかも。前待ちにも使える非常にありがたい存在。

 

 

71~.コフィディス・ソルシオンクレディ(COF)

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総合★☆☆☆☆

スプリント★★★★☆

逃げ★★★★☆

ブアニ、スープ体制で狙うスプリント。2013年ブエルタ山岳賞のエデ、アタプマ、ロセット、ベルハネで狙う山岳逃げ。元アスタナのハンセンも、第7・第8での逃げ切り勝利を狙える存在ではある。

選択肢は多いが、いずれも中途半端なイメージ。結果として、何も成果は得られずに終わりそうなイメージも。そんなイメージを打ち破る成果を期待したいところではある。

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81~.モビスター・チーム(MOV)

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総合★★★★☆

スプリント★☆☆☆☆

逃げ★★★☆☆

ナイロ・キンタナもまた、バルデ同様に読めない男。

今年はパリ~ニース総合2位、カタルーニャ総合4位だが、昨年もカタルーニャ総合2位、バスク総合5位でツールは総合10位に沈んだので、あまり参考にならない。それでも昨年はスイス総合3位だったため、このドーフィネでも結果は出せるかもしれない。

いずれにせよ、彼がワールドツアーデビューした2012年以来7年ぶりとなるドーフィネへの参加。当時はウィギンスやエヴァンスを破っての勝利を果たしている彼が、今回も鮮やかな勝利でツールに向けた良い滑り出しを見せられるか。

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チームメンバーについては、アナコナやアマドールも合流予定のツール本戦と比べるとやや見劣りする。バルスとかフェルナンデスは好きなので、活躍してほしくはあるけれど・・・。 

 

キンタナ以外では上記メンバーの山岳逃げや、オリヴェイラのTT勝利などを狙うくらいか。

 

 

91~.グルパマFDJ(GFC)

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総合★★★★★

スプリント★☆☆☆☆

逃げ★★☆☆☆

個人的には今大会最大の総合優勝候補と考えている。ツールまでは無理でも、せめてドーフィネは!

実際、これまでにないくらいにピノのために完璧に準備されたチームメンバーが揃った。ゴデュ、モラール、ライヒェンバッハ。重要な平坦アシストもフランス王者のルー、ラダニュ、ボネと刺客なし。スプリントとか、逃げとか、そういった甘えは一切なく、ただひたすらにピノの総合優勝だけを目標に据えた布陣だ。

いやこれは勝つでしょ。間違いなく勝つでしょ。勝ってくれ。

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惜しむらくはここに、プライドラーの姿がないこと・・・。

 

 

101~.チーム・ユンボ・ヴィズマ(TJV)

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総合★★★★☆

スプリント★☆☆☆☆

逃げ★★★☆☆

昨年ツール総合5位、ブエルタ総合4位のクライスヴァイクが、今年のツールの総合表彰台を狙う。TT能力も武器になりうる彼が、まずはこのドーフィネを制する可能性は十分にある。

ただしそのためには、これまで以上の登坂力における覚醒が必要。今大会の超級山岳山頂フィニッシュでそれを見せられるか。

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また、ジロではその山岳アシスト体制の弱さが露呈してしまった今チーム。クスはジロからの連投となるが、当時は急遽の参戦決定に準備が十分ではなかったとの意見も見られた。

今回もジロ後という意味では万全ではないかもしれないが、なんとかリベンジとなる走りは見せてほしい。昨年のブエルタも第1週の走りは凄まじかったものの、後半で失速。そのスタミナと体力の配分が今後の課題であり、ジロ後というシチュエーションは、実はその点で彼にとっては良い経験となるかもしれない。

 

元アクセオン所属のパウレスも、確実に持っているはずの才能がまだ花開いていない男。今回、それが覚醒するタイミングになるかもしれない。山岳逃げ切り勝利とか、いきなりやってのけてもおかしくはない。

 

そして、北のクラシックを傷心のまま終えたヴァンアールトの復帰戦でもある。ワールドツアー初のステージレース。おそらくは彼にとっての次の最大の目標はビンクバンクツアーで、今回はそこに向けての調整レースという位置づけにはなるだろうが、登りスプリントでの上位入賞や、果敢な逃げなどを見せてくれるかもしれない。

 

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111~.トレック・セガフレード(TFS)

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ヘラルドサン・ツアー後に気管支炎にかかり、UAEツアーでもカタルーニャでもそこからの復帰がうまくいかず結果を出せなかったポート。しばらく休んでの復帰戦となったツアー・オブ・カリフォルニアでは、クイーンステージのマウント・バルディで調子を取り戻してきた様子を見せたものの、メカトラブルも合わさって、表彰台にすら登れずに終わった。

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決して万全ではない彼が、今回のドーフィネでどこまでコンディションを整えてきているか。チームも彼に依存するのではなく、様々な可能性を見据えたメンツに。

よって、戦うにしてもポートは単騎だ。

 

 

121~.EFエデュケーション・ファースト(EF1)

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総合★★★☆☆

スプリント★☆☆☆☆

逃げ★★☆☆☆

このチームも今年、かなり雰囲気の良い状態でここまで来ている。この勢いを継続していけば、今年のツールもまた、思いがけぬ成果を出しうる。

そこで鍵になるのが、ツールでウランを支える役割を期待されるウッズとヴァンガーデレン。勝ちまでは期待しないものの、悪くない走りは見せて欲しい。総合TOP5に入れれば上出来だ。

そして、ステージ優勝では、今年のティレーノ〜アドリアティコの登りフィニッシュで連日上位に入っていたベッティオルと、昨年ブエルタで逃げ切り勝利したクラークに期待。とくにベッティオルは、彼向きのレイアウトが多くある今大会で、何とか結果を出してみせてほしいところ。

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その他は若手中心。ファンデンベルフとオーウェンは間違いなく才能がありつつも現時点では大きな成果を残せていないので、このあたりでなんとか。

 

 

131~.チーム・カチューシャ・アルペシン(TKA)

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総合★★☆☆☆

スプリント★★★☆☆

逃げ★★★☆☆

すごい好きな選手ばかりなんだけど、なかなか結果を出すのは難しいだろうな、という印象。デビュシェールは今大会のような混戦・非ピュアなスプリントでは力を発揮しやすいのでワンチャン。ダウセットもTTでワンチャン。ゲレイロも本来ならば総合TOP10に入ってもおかしくはない才能を持ってはいる・・・。

ゲレイロはパンチャー的な部分もあるため、登りスプリントでの上位入賞や、第7ステージで終盤に抜け出して、という方法も狙っていきたいところ。超級山岳を登り切れれば、だけど。

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スタートリストがアルファベット順=明確なエースを決められない、という時点で、チーム自体がこの大会に向けた目標を見失っている感がある。そしてカチューシャっていつもそんな感じ・・・。

 

 

141~.ロット・スーダル(LTS)

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総合★★☆☆☆

スプリント★★☆☆☆

逃げ★★★★☆

ブエルタ山岳ステージ逃げ切り経験者アルメ、彼と同じ年に2勝しているマルチンスキーが山岳逃げ切りを狙うだろう。

スプリントでは同じくブエルタで勝ってるクークレールが、メルツのアシストを受けながらエースを担うだろうが、流石に勝つのは難しそう。

むしろ最も期待したいのが、パンチャー向けのレイアウトとなりそうな第2ステージや第5ステージでのランブレヒトの勝利。元U23リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ覇者の彼は、今年のバスク1周の激坂フィニッシュで2位、アムステルゴールドレース6位、そしてフレーシュ・ワロンヌ4位と、アルデンヌや激坂への適性の高さを見せつけている。今大会で、アラフィリップを打ち破って勝利するところを見たい!

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さらにもう1人、カールフレドリク・ハーゲンにも注目。昨年までチーム・ジョーカーに所属していたネオプロだが、ツール・ド・ロマンディの登りフィニッシュで上位に入る足を見せていた。

ランブレヒトを食うような活躍を見せてくれること、期待している。

 

 

151~.バーレーン・メリダ(TBM)

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総合★★☆☆☆

スプリント★★★★☆

逃げ★★☆☆☆

今回は総合争いはあまり考えていないだろう。ディラン・トゥーンスも、昨年のパリ〜ニースで総合6位などには登りつめているが、やはりあくまでもパンチャーの延長線上という印象。ステージレーサーとは言い難い。

パーンシュタイナーも山岳アシストとしては優秀だが、自らステージレースの総合優勝を目指していく実績はまだない。

 

となれば、コルブレッリのスプリントがこのチームの最大の目標。

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とはいえ発射台もピベルニク頼りなので、ある程度単身で挑まねばならず、上位には食い込んでも勝つまでは厳しいかも。

ツール・ド・ロマンディのプロローグで勝利したトラトニクの、TTでの好成績にも期待。

 

 

161~.CCCチーム(CPT)

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総合★☆☆☆☆

スプリント★☆☆☆☆

逃げ★★★★☆

ジロもそうだったが、今年のこのチームのグランツールの目標はひたすら割り切ってステージ優勝を狙うこと。ジロでもアントゥネスを中心に積極的な逃げは見せていた。

それは今回も同様。昨年はブエルタとジロ・デッレミリアで逃げ切り勝利をしてみせた職人デマルキに、UAEツアーでめっちゃ積極的だったロスコフの逃げに期待。また、ジロでは早々にリタイアしてしまったテンダムも、リベンジの走りを見せてほしい。エースのアシストという役目から解き放たれた彼の、10年ぶりの勝利・・・今回のドーフィネか、ツールで、ぜひ。

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ロスコフはTTステージでの勝利も狙っていきたい。

 

 

171~.チーム・ディメンションデータ(TDD)

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総合★☆☆☆☆

スプリント★★★★☆

逃げ★★☆☆☆

ジロが散々すぎた中で、何とか1つでも多くの成果を残していきたいこのチーム。ツールがどうとか考える前に、まずはこのドーフィネでの1勝だ。

可能性は十分ある。ドーフィネで過去4勝、ポイント賞経験もあるボアッソンハーゲン、ドーフィネでもツールでも逃げ切り勝利をしているカミングス・・・しかしいずれも、そのキャリア全盛期は過ぎ去った印象だ。

 

その中で期待をかけたいのは昨年のツアー・ダウンアンダー山岳賞のドラミニと、今年のアフリカ大陸選手権ロード王者のデボッド。

とくに、育成チームからの昇格組であるデボッドは、今年出場レースもまだほとんどない未知数過ぎる若手だが、昨年同じく大陸王者となっていたゲブレイグザブハイアーが、昨年のブエルタ、そして今回のジロと積極的な走りで注目を集めていたのを見るに、デボッドもまた、このドーフィネで輝く可能性はある。

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ベテランに頼るチームはやがて失墜する。着実に存在感を示していくチームは若手から元気である。このチームも、後者のようになるべく、上記若手をいかに輝かせられるかに注目したい。

 

 

181~.ヴィタルコンセプト・B&Bホテルス(VCB)

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総合★★★☆☆

スプリント★★★☆☆

逃げ★★★☆☆

ピエール・ローランの総合orステージ優勝、マンザンのスプリント上位入賞、そしてゴチエのステージ優勝といったところにフォーカスが当てられたロースター。今回、残念ながらツール出場ならずだったが、その分ここで成果を出して、その名前を売っていかなければならない。正直、このチーム、そんなに目立っていないので。

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しかしプロコンチネンタルの割にはメンツの年齢層が高いのは気になる。若手の爆発力で思いがけぬ大金星を、という期待を持てないのはちょっと残念だ。

 

 

191~.ワンティ・グループゴベール(WGG)

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総合★★★☆☆

スプリント★☆☆☆☆

逃げ★★★★☆

ずっと期待されてるマルタンも、そろそろ結果を出さねば厳しい。このままではずっとプロコンのエースのままの器で収まってしまいそう。それはそれで、別に悪くはないんだけどさ。

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あとは、デガントの逃げ、そして、個人的に大好きなエイキングのステージ優勝に期待。彼が最近一番目立ったのは・・・ジロ・デ・シチリアでのあのガッツポーズ・・・?

 

 

201~.チーム・アルケア・サムシック(PCB)

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総合★★☆☆☆

スプリント★★★☆☆

逃げ★★★☆☆

祝・ツール出場。過去ツール山岳賞バルギルと、過去ツール11勝のグライペルという目玉選手の存在が大きかったか。

しかし彼らが果たして結果を出せるかというと今のところは微妙と言わざるをえない。バルギルはムラが多すぎるし、今年のパリ〜ニースもカタルーニャも完走しきれてない。今月頭に復帰したものの、どこまで本調子かは怪しい。今大会も、ツールまでにコンディションを上げていくための調整に集中することだろう。

 

グライペルはより深刻。今季はアミッサ・ボンゴでの1勝のみ。パリ〜ニースでも、エシュボルン・フランクフルトでも、昨年大暴れだったダンケルクですら、勝負に絡むこともできなかった、紛うことなき絶不調。

チームのアシスト体制にその原因を見る向きは当然ある。なにせここまで、これほどのトップスプリンターを迎えることのなかったチームなのだから。昨年の英国ロード王者、コナー・スウィフト(ベン・スウィフトの従弟)の緊急加入はその対策の1つだったようだが、今大会の出場はなく、ツール出場も現時点では不明。ウェルテンとかもいれば強いとは思うんだけどなぁ。

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結果として、デュラプラスなどの逃げに期待するしかないのか。それだって、勝ちにつながるとは思えないが・・。

 

 

211~.チーム・サンウェブ(SUN)

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総合★★★☆☆

スプリント★★★☆☆

逃げ★★★☆☆

ジロのリベンジを・・・!と思っていた中で、そのときの膝の痛みが回復しきっていないということで、ドーフィネとツールでの総合争いに不安を抱えているとのコメントがデュムランから出されてしまった。

www.cyclingnews.com

少なくとも今大会はその調子を見るための走りに終始しそうだ。彼向きのコースプロフィールだけに、残念ではあるが仕方ない。

その分、自由を得た他メンバーの走りに期待。とくに、現代オランダシクロクロス界でマチュー・ファンデルポールの次の実力者と言っても言い過ぎではなさそうな、ヨリス・ニューウィンハイスに全員注目すべきだ!

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冬の間はずっと病気?怪我?で戦線離脱していた彼が、予定より早く復帰したカリフォルニアで起伏越しのスプリントで4位に入る。

ツアー・オブ・ノルウェーでもクリストフ、そして絶好調のチームメート、ボルを抑えてのステージ2位。

パンチャー向けレイアウトでのスプリントに滅法強いことを証明した彼にとって、今回のドーフィネのレイアウトは、その名前を全世界に轟かせる最大のチャンスだ。

 

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