例年よりもずっと後ろ倒しになっていたロードレースシーズンも終わり、いよいよ本格的なシクロクロスシーズンに突入する。
すでに3大シリーズ戦と呼ばれる重要なレース群も10月頭から開幕しており、その中でも最も遅いスタートとなるUCIワールドカップも11/29に開幕する。
そして今年もロードレース界を沸かせた2大スター、すなわちワウト・ファンアールトとマチュー・ファンデルポールも、この11月末からシクロクロスに参戦予定となる。
今回は、そのうちワウト・ファンアールトが今季初参戦予定となる11/28コルトレイク・アーバンクロスを前に、今シーズンのシクロクロスシーズンの状況の振り返りと、今後の展望について語っていきたい。
今年もティム・メルリエがスプリントで存在感を示したり、マルセル・マイセンがパスカル・アッカーマンを打ち破ってドイツ王者になったりと、ロードレース界におけるシクロクロッサーたちの影響力は計り知れない。
来年はツアー・ダウンアンダーやカデルレースの中止が発表されているなど、ロードレースシーズンの本格開幕も後ろ倒しになりそうだし、今年の12月〜1月はシクロクロスに注目していくべきだろう。
↓2年前の記事ですがこちらも参考に↓
↓今年の3大シリーズ戦のスケジュールなどはこちらを参考に↓
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2020-2021シーズンの振り返り
ロードレース界のスケジュールを大きく塗り替えた新型コロナウイルスはシクロクロス界にももちろん影響を与えている。
とくに3大シリーズ戦の1つUCIワールドカップは全11戦のところを5戦まで縮小し、例年であれば北米を舞台にした2レースで9月から開幕するところを、11月末開幕という大幅なスケジュール変更を強いられた。
そしてロードレースカレンダーの後ろ倒しもまた、マチューとワウトという2大スターのシクロクロス参戦を遅らせたことに繋がり、ある程度例年通りの開催スケジュールを保てている残り2つのシリーズ戦も例年とは少し違った雰囲気を呈しているようだ。
3大シリーズ戦の中で今年最も早いスタートを切ったのがスーパープレステージュ。
10/11にオランダの街ギーテンを舞台にした第1戦では、前年のギーテン勝者エリ・イゼールビットが落車。その隙に元ベルギー王者のトーン・アールツが単独で抜け出した。
イゼールビットはチームメートで現ベルギー王者ローレンス・スウィークと合流し追走をかけるが、結局アールツを捉えることはできず、スウィークと共にツースリーを独占するのみで終わる。
一方、10/24にベルギーのルッデルフォールデで開催された第2戦では、逆にアールツがミスを連発。
スウィークのアシストにも助けられたイゼールビットが最後は独走を開始し、逃げ切り勝利。アールツは2位フィニッシュとなり、同ポイントで首位タイとなる。
11月11日の水曜日に開催された第3戦ニール・ヤーマルクトクロス。
ここでは前戦でイゼールビットをアシストする形となったスウィークが好調。
サンドセクションで足を取られミスを連発するアールツやイゼールビットを尻目に、ほとんどミスのない完璧な走りで常にリードを保つ。
最終的にはアールツがパンクで足止めを食らい、イゼールビットも最後まで完璧なサンドセクション攻略がなしえず、スウィークの優勝が決まった。
これでスーパープレスティージュ3戦を終え、アールツ・イゼールビット・スウィークの3名で勝利を分け合う形に。
3戦目でアールツに順位で上回ったイゼールビットが総合ランキングトップに。スウィークは2戦目で5位と順位を落としたことが響いて総合3位に留まっている。
スーパープレスティージュ第4戦は11/22(日)日本時間23時からベルギー・メルクスプラスにて。
GCN Passでも見れるので、ぜひ。
↓メルクスプラスのレースレポートはこちら↓
そして3大シリーズ戦の残り2つのうち、X2Oバドカマー・トロフェー(旧DVVトロフェー)もすでに開幕している。
その第1戦オウデナールデ・コッペンベルフクロスは、ロンド・ファン・フラーンデレンでもお馴染みの激坂コッペンベルフを舞台に行われる名物レースで、昨年もチェーン落ちのトラブルに見舞われながらも圧勝したイゼールビットが、今年も2位以下に大差をつけて勝利している。
X2Oトロフェーは他2つのシリーズ戦と違って、唯一の「タイム差によるランキング」となっており、コース途中のボーナスタイム分も反映した現在の総合順位は以下の通り。
X2Oトロフェーの次戦は11/28(土)のコルトレイク・アーバンクロス。
ここでついに、ワウト・ファンアールトが復帰することとなる。
このレースについては次節で詳しく紹介するため、参照してほしい。
また、残るUCIワールドカップについても、本来のスケジュールを大幅に短縮したうえで、いよいよ上記コルトレイクの翌日11/29(日)に第1戦タボールが開幕する。ファンアールトはここにも出場することがつい先日発表された。
↓タボールのレースレポートはこちら↓
X2Oトロフェーはスーパープレスティージュ同様にGCN Passで視聴可能なので、確認しておこう。
また、UCIワールドカップについては例年通りであればYouTubeで無料で視聴できるはずだ。
追記:UCIワールドカップはYoutubeで無料視聴できますが、GCN Passでも日本語実況付きで配信が決定しました。
そして、3大シリーズ戦以外で注目すべきレースとして、11/8に開催されたヨーロッパ選手権がある。
昨年まで3年連続でマチュー・ファンデルポールが制していたこのヨーロッパ選手権も、今年はロードレースカレンダーの大幅後ろ倒しの影響でファンデルポールもワウト・ファンアールトも欠場。
となれば、この2人を除いて現在頭一つ抜けた実力をもっているエリ・イゼールビットの独壇場であった。
チームメートのマイケル・ファントーレンハウトが16秒差の2位に入り、4年前のヨーロッパ王者トーン・アールツは47秒遅れの5位に沈む。
欧州王者イゼールビット、そして現ベルギー王者ローレンス・スウィークが率いるパウェルス・サウゼン・ビンゴールが強さを誇り、そこに食らいつく元ベルギー王者トーン・アールツとそのチーム、テレネット・バロワーズ・ライオンズはやや総合力で劣る、といった構図が、今年ここまでの展開を見ていると分かってくる。
だがもちろん、この力関係も、あくまでもファンアールト、ファンデルポールが参戦前の現状だからこそ。
ここにこの2大スターが現れたとき、果たして3大シリーズ戦の行方はどうなっていくのか。
そして2月開催予定の世界選手権の行く末は。
次節では、そんなファンアールトがまず復帰を予定している11/28コルトレイク・アーバンクロスについて解説していく。
↓コルトレイク・アーバンクロスのレースレポート書きました!↓
ファンアールト復帰予定戦 コルトレイク・アーバンクロスとは?
X2Oバドカマー・トロフェー第2戦「コルトレイク・アーバンクロス」。
その名の通りベルギー・ウェストフランデレン州の街コルトレイクを舞台としたレースで、昨年はDVVフェルゼクリンゲン・トロフェー第3戦として開催され、マチュー・ファンデルポールが強さを見せて圧勝している。
コースマップは下記の通り。
スタート直後に橋を登るレイアウトが特徴的で、そこでのスタートダッシュと位置取りは非常に重要。
昨年はサンドセクションが泥塗れになったことでバイク交換の重要性やテクニックが求められ、タフなレースが展開された。
今年すでにサンドセクションで弱みを見せているエリ・イゼールビットは果たしてポイントを守り切れるか。
昨年はファンデルポールが序盤からいつもの独走態勢に持ち込むのではなく、しばらく先頭集団の後ろの方にくっついていく展開が見られた。
過酷なロードレースシーズンを終えた直後ということとやはりタフなレース、コースであることから、そういった安全策に出たのかもしれない。
もちろん、レース後半からはいつもの独走が開始されたわけだが。
その意味で、今回ワウト・ファンアールトが出場はするものの、復帰戦でこのハードなコースということで、まだまだいきなり勝利を奪い取るような展開にならない可能性も。
イゼールビット、もしくはヤーマルクトクロスで好調だったローレンス・スウィークがファンアールトから勝利を奪い取るチャンスでもある。
なお昨年はトーン・アールツが3位、イゼールビットが5位、スウィークは12位であった。
ハイライトは以下から(男子レースは1:25~)。
日本では11/28(土)23:00~ GCN Pass で視聴可能予定。
そろそろ日本語実況などを入れてもらえると・・・もちろん小俣さんが希望ですが。
↓コルトレイク・アーバンクロスのレースレポート書きました!↓
これからのオフシーズン、りんぐすらいどでは2020シーズンの振り返りと2021シーズンに向けた準備をしていく予定ですが、同様にシクロクロスの方にも注目していきたいと思いますので是非ご参考にいただければと思います。
また同様に「りんぐすらいどれでぃお」でも出演してくださっている「ちゃりよるむ」さんもブログでシクロクロスについての記事を出していく可能性が高いと思いますので、ぜひご参照ください。
これからもロードレース界にも大きな影響を与えていきそうなシクロクロス。
まだあまり注目しきれていない方は今シーズンがチャンス。2021シーズンに向けて、しっかりとチェックしていこう。
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