りんぐすらいど

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ツアー・オブ・オマーン2019 コースプレビュー

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Class:アジアツアー HCクラス

Country:オマーン

Region:オマーン北東部(首都マスカット周辺)

First edition:2010年

Editions:10回

Date:2/16(土)~2/21(木)

 

かつてこの時期はドバイ・ツアーやツアー・オブ・カタールなどの中東レースが存在していた。しかしカタールは財政難で中止となり、ドバイ・ツアーも今年からUAEツアーとして統合された。

よって、今年の中東レースの初戦はこのオマーンとなった。HCクラス以上だと、このオマーンとUAEツアーのみとなってしまった。

 

中東レースといえば、そのドバイやカタールが代表的であったが、とにかく砂漠で行われるピュアスプリンター向けのレイアウト、という印象が強かった。

しかしこのオマーンに関しては、山岳地帯が広がる国の北東部を利用しているため、第1ステージ以外はいずれも山がちなコースとなっている。

 

それゆえに集まる選手もグランツールで活躍するようなオールラウンダーが中心。2013年・2014年にはクリス・フルームが、2016年にはヴィンツェンツォ・ニバリが総合優勝している。

今年もクイーンステージの「グリーンマウンテン」を中心に、クライマー/パンチャーたちが活躍するステージレースとなるだろう。

 

なお、開催曜日は一般的なステージレースと違って「土曜日から木曜日」なので注意。

イスラム圏はキリスト圏と違って、安息日が金曜日となるため、その金曜日を避けるようなスケジュール設定となっているようだ。

 

今回はこの中東レースのコースプレビュウを行っていく。

 

↓注目選手プレビューはこちら↓

www.ringsride.work

 

 

 

第1ステージ アルサワディビーチ~ソハール・コーニッシュ 138.5km(平坦)

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首都マスカットを中心に展開されるツアー・オブ・オマーンだが、この日だけはマスカット特別行政区から北西に少し離れて、オマーン湾に面するアルサワディビーチからさらに北西に向けて海岸線を突き進む。

実に中東レースらしい、オールフラットなレイアウト。ただしツアー・オブ・オマーンとしては珍しいレイアウトでもあり、実際、今大会もここまでフラットなコースはこの日だけ。

ピュアスプリンターたちはこの日にしっかりと勝利を掴み取っていきたい。

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2年前のオマーンもアルサワディビーチをスタートしたスプリンター向けのステージで開幕。そのときは中東マイスターのクリストフが勝利。 

 

 

第2ステージ ロイヤル・カバリー・オマーン~アル・ブスタン 156.5km(丘陵)

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ロイヤル・カバリー・オマーンとは、オマーンの首都マスカットの北西数kmに位置する都市スィーブにある競馬場らしい。この都市に存在する「王立馬術センター(Royal Stables and Equestrian Centre)」に隣接、あるいは関係する施設なのだとは思う。

この都市はほかにも有名な施設が多く、ナセーム庭園や王立オマーン技術防衛大学、そしてマスカット国際空港なんかもこの都市に存在する。

 

そんな、海岸線の大きめな都市からスタートしたプロトンは、いよいよオマーンらしい山岳・丘陵地帯へと突入していく。

ゴール4km手前に登坂距離1.4km、勾配9%の厳しい登り。そこから下ってフィニッシュ自体も少し登っており、登れるスプリンターかパンチャーが主役となるステージとなるだろう。

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第3ステージ シャティ・アル・コルム~クライヤト 192.5km(丘陵) 

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第2ステージに引き続き内陸を使ったアップダウンコース。マスカット中心部のビーチ、シャティ・アル・コルムからスタートして、少し都市部から離れた位置にある山岳地帯でゴールを迎える。

ラストは2.8km、平均勾配6.5%の登りフィニッシュだ。

このフィニッシュのレイアウトは残り42.5km地点で一度通過する。そこで足の加減を確かめたうえで、今大会の総合表彰台を狙うクライマーたちは大会最初の「力試し」を行うことになる。

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第4ステージ イティ~オマーン・コンベンション&エキシビジョンセンター 131km(丘陵)

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登坂距離3~4km、平均勾配7~9%の「ブシェール・アラムラット」を使用するツアー・オブ・オマーン定番コース。

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この登りを登って、また逆方向から登り返して、さらにまた登る。3連続登坂。

今年は昨年の第4ステージとほぼ同じものとなっており、そのときはアスタナが主導権を握って絞り込まれた小集団の中から、登りもこなせるスプリンター、コルトニールセンが勝利を掴んだ。

また2013年にはクリス・フルームやアルベルト・コンタドールがこの登りを利用して飛び出し、最後はフルームがコンタドールをスプリントで下して勝利している。

 

ただし、最後の登りの山頂からゴールまで13kmしかなかった2013年や、20kmしかなかった2018年と違い、今年はその距離が30kmにまで広がっている。少なくともクライマーが逃げ切るには長すぎるか。

ただラストも登りスプリントとなっているため、いずれにせよピュアスプリンターには厳しいレイアウトとなるだろう。

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第5ステージ サマイル~ジャバル・アル・アクダル(グリーンマウンテン) 152km(山岳)

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毎年恒例のクイーンステージ。

登坂距離5.7km、平均勾配10.5%の本格的な山頂フィニッシュが用意され、今大会の総合優勝者を決める唯一の決戦が開始される。

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昨年はゴールまで2kmの地点から、アスタナ・プロチームのヤン・ヒルトがアレクセイ・ルツェンコとミゲルアンヘル・ロペスの2人を引き連れてペースアップ。

ライバルたちもついていけず、最後はルツェンコとロペスの2人旅。そして鮮烈なるワンツーフィニッシュを飾った。

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第6ステージ アル・ムージュ・マスカット~マトラ・コーニッシュ 135.5km(平坦)

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昨年の最終日とまったく同じレイアウト。完全なフラットではなく、わずかな丘の存在が、ピュアスプリンターたちの足を少しずつ蝕んでいく。

だからか、北のクラシックにも強いアレクサンドル・クリストフが、同じ周回コースを3年連続で制している。昨年彼に勝利をもたらしたロベルト・フェラーリもしっかりと連れてきており、今年も絶対の優勝候補となるだろう。

チームに新加入のフェルナンド・ガビリアがブエルタ・ア・サンフアンですでに2勝している。クリストフもこのままただの「2番手」で終わるつもりはないだろうから、このオマーンでどれだけ意地を見せられるか。

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次回は今大会の優勝候補となる注目選手たちをプレビュウ。 

 

 

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