りんぐすらいど

サイクルロードレース情報発信・コラム・戦術分析のブログ

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2019シーズン 10月主要レース振り返り(前編)

いよいよシーズンもクライマックス。ただし、まだまだ重要なレースは数多くある。

そのうちの1つが、シーズン最後のモニュメント 、イル・ロンバルディア。

よって、この10月は、この「ロンバルディア」の前哨戦レースが数多く行われる。

 

イタリアの秋の山岳クラシックを制するのはどういった選手たちか。

イル・ロンバルディアを占ううえでも、まずはその開幕直前にこれらのレースの結果に注目しておきたい。

www.ringsride.work

 

また、イル・ロンバルディアの翌日にはパリ~ツールも開催される。

こちらの前哨戦とも言えるフランスのワンデーレースもいくつか開催されている。

それらは1クラスだったりするのでここでは取り扱わないが、唯一HCクラスのツール・ド・ユーロメトロポールについては触れているので参考にしていただきたい。

 

まずは、ロンバルディア&パリ~ツール開幕直前の今、前編としてこれらの前哨戦について確認していこう。

 

↓昨年同時期の振り返りも要チェック↓

www.ringsride.work

 

 

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スパルカッセン・ミュンスターラント・ジロ(1.HC)

ヨーロッパツアーHCクラス 開催国:ドイツ  開催期間:10/3

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実にドイツらしいフラットなピュアスプリンター向けワンデーレース。過去の優勝者もグライペルやキッテル、デゲンコルブなどドイツ人に溢れている。昨年はパスカル・アッカーマンが絶対優位かと思いきや、チームメートのサム・ベネットと横並びのスプリントをしてしまい、その勝利をワルシャイトに奪われる。

今年はアッカーマンの単独エース。リードアウターにジロでも強力なタッグを組んでいたリュディガー・ゼーリッヒ、その前の牽引役としてアンドレアス・シリンガーやミヒャエル・シュヴァルツマンを用意するなど豪華な布陣で、必勝態勢で臨むことに。

その対抗馬として期待されるのは、ツアー・オブ・ブリテン3勝と調子の良さを取り戻してきたディラン・フルーネウェーヘン。しかしこちらはゴール前1kmでまさかのパンク。テウニッセンが代理でスプリントに挑むも、6位で終わってしまった。

 

こうなれば、本当にアッカーマンが敵なしか、と思われたが、最後の瞬間にドゥクーニンク・クイックステップのリードアウターが一気に抜け出す。

その勢いのまま、ホッジが先頭でフィニッシュラインに。最後はホッジもアナウンスを聞くまで自分の勝利が信じられなかったようだが、勢いでは明らかにアッカーマンを凌駕していた。素晴らしい勝利だった。

Embed from Getty Images

スプリンター最強軍団のドゥクーニンクとはいえ、今回はモルコフもサバティーニもリケーゼも連れてきていないため、大本命とは思えなかった。しかし最後の瞬間に、ボーラを完全に圧倒する素晴らしいリードアウトを見せたフロリアン・セネシャル。強力なリードアウターたちがいなくなるドゥクーニンクの来期に向けた希望の光となった。

 

 

が、問題も発生。

ゴール前、リードアウトを終えたセネシャルが降りてきた際に、スプリントを開始していたワルシャイトと接触し、スポートフラーンデレンの選手を巻き込んで落車。

これをワルシャイトの所為だと判断したセネシャルが、ゴール後のインタビューのカメラが回っている前で思い切りワルシャイトに殴りかかったのだ。

www.cyclingnews.com

 

映像を見る限り、ワルシャイトの所為、というのはやや疑問が残る。

レース直後の選手は非常に感情が高ぶっており、思わずよくない言葉を発してしまうことなどはよくあることだが、それでも手を出してしまうのはかなりマズい。

選手としては本当に本当に素晴らしい走りをしただけに残念。

のちに冷静に謝罪ツイートなどがあって、それにワルシャイトも笑顔で応じるみたいなやり取りがあればいいんだけれど・・・。

 

なお、このレースをもって、マチュー・ファンデルポールの2019年シーズンのロードレースは終了。

途中、アタックする素振りなども見せたものの、最終的にはチームメートでベルギー王者のティム・メルリエのアシストに専念。

結果として彼の表彰台をサポートした。

 

今年はアムステルゴールドレースでの驚きの勝利など成果もあったものの、ロンド・ファン・フラーンデレンでの落車や世界選手権での大失速など悔しい思いも経験した。

来年はまたさらなる成績を残してくれることを期待している。 

 

 

ジロ・デッレミリア(1.HC)

ヨーロッパツアーHCクラス 開催国:イタリア  開催期間:10/5

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今年のジロ・デ・イタリアの初日タイムトライアルでも使用された「サン・ルーカ」の激坂を5回登るレイアウト。

ディエゴ・ローザ(チーム・イネオス)やジュリオ・チッコーネ(トレック・セガフレード)といったイタリア人ライダーたちが終盤で積極的なアタックを繰り出して先頭に躍り出るが、最後の周回に入る直前ですべてプロトンに吸収された。

最終周回ではウリッシ、ブランビッラ、ルディ・モラール(グルパマFDJ)が抜け出すも、フィニッシュまで2kmを残し最後のサン・ルーカの登りが始まるタイミングで捕まえられる。過去2度ロンバルディアを制しているヴィンツェンツォ・ニバリはここで失速し、ローザが再び前に出てベルナルのために牽引するも、そのベルナルも登りの途中で力尽きた。

最後の戦いで最初に攻撃を仕掛けたのは昨年の世界選手権3位のウッズだった。しかしこの攻撃をいとも簡単にいなし、単独で抜け出したのがブエルタ覇者ログリッチェ。今年の世界選手権タイムトライアルではブエルタの疲れが残っているかのような不調ぶりを見せていたが、春のジロの同じ舞台でのタイムトライアル覇者でもある彼とこの登りとの相性は抜群だったようだ。

Embed from Getty Images

 

本人としても、レースを開始した時点ではそこまで調子が良いとは思っていなかったようだ。だが、レース全体を通して、チームメートのセップ・クス、ジョージ・ベネット、アントワン・トールクらが積極的に彼を助けようとしたことが、力になったのかもしれない。

いずれにせよ、彼のこの秋の大本命であるはずのイル・ロンバルディアに向けて、このレースを通してしっかりと調子を戻すことができているようだ。彼の次の目標は来週火曜日のトレ・ヴァッレ・ヴァレジーネ。連勝なるか。
 

 

ツール・ド・ユーロメトロポール(1.HC)

ヨーロッパツアーHCクラス 開催国:ベルギー  開催期間:10/5

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ベルギー・ワロン地方のフランス国境沿いで行われる伝統的なレース。2016年以降はワンデーレースとして開催されているが、ディラン・フルーネヴェーヘン、ダニエル・マクレーとピュアスプリンターが連勝している。

昨年は雨の中、荒れた展開に。出入りの激しい終盤戦を制したのは、同年フランドル2位のマッズ・ペデルセン。終盤の最後の最後の抜け出しから逃げ切りで勝利を掴んだ。

そのペデルセンが、今年は世界王者に。早くも特別カラーのバイクが用意され、このレースで初お披露目のはずだったのだが・・・やはりあの大雨の世界選手権で体調を崩してしまったようで、途中リタイアに。

最後は30名程度に縮小された集団でのスプリント。ドゥクーニンク・クイックステップが数を残し、ペトル・ヴァコッチによるレイトアタックと集団内でのホッジのスプリントの2枚体制で確実に勝利を掴み取ろうとしたのだが――そのホッジが、ラストのコーナーで曲がり切れずにフェンスに激突。その際に前転して頭からフェンスの足元に落下するという危険な落車をしてしまった。

即、病院に運ばれたホッジ。大事にならなければ良いのだが。

 

そして集団の方では、ホッジをリードアウトする予定だったセネシャルが体制を立て直して自ら勝利を掴もうとスプリントを開始するが、これをギリギリで振り切って先頭でラインを超えたのは、ワロニー・ブリュッセルのアレハールト。

元トレック・セガフレードのトレーニー。なかなか成績を出し切れずにいた彼だが、2日前のミュンスターラント・ジロではチームメートのアモリー・カピオより上位の8位に入るなど確かに調子を上げていた。

それでも、今回が初のプロ勝利。それをHCクラスで叩き出したものだから、本人もゴールの瞬間、信じられないといったジェスチャーを見せる。 

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良い表情。こういう勝利の瞬間は、見ていて嬉しくなるものだ。

 

そして、セネシャルも、2日前のミュンスターラント・ジロでの超強力なリードアウトに続いての2位と絶好調。もしもホッジが落車しなければ、再び完璧なコンビネーションによる勝利が演出されていたかもしれない。

ミュンスターラント・ジロではゴール後の殴り掛かり騒動でケチのついた彼ではあるものの、来期のより若返るドゥクーニンクトレインの要として、より重要度の高まる選手となりそうだ。 

 

 

グラン・プレミオ・ブルーノ・ベヘッリ(1.HC)

ヨーロッパツアーHCクラス 開催国:イタリア  開催期間:10/6

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前日にジロ・デッレミリアが開催されたのと同じエミリア=ロマーニャ州ボローニャ県に存在するモンテヴェーリオの周辺を巡るレース。

最後は登坂距離1.5㎞、平均勾配5.3%のザッポリーノの丘を含む周回コースを10周。最後のザッポリーノの頂上からゴールまでは9㎞しかなく、毎年この登りでアタックしたクライマーとこれを追うパンチャー/登れるスプリンターとの追いかけっこが白熱の展開を生む。

今回も、最後の登りを利用して飛び出した7名ーーマルタン、モレマ、ヘイグ、バルベルデ、ゴデュ、ガルシア、そしてコルブレッリーーがそのまま逃げ切る展開に。

とくにガルシアはチームメートのコルブレッリのために献身的に前を牽き、この思いに応えるべくコルブレッリは最後、長めのスプリントを開始。追いすがるバルベルデを振り切ってシーズン3勝目を記録した。

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彼がこのレースに勝ったのは、バルディアーニ時代の2015年に続いて2度目。あのときは集団スプリントでの決着だったが、今回は逃げ切り集団に飛び乗っての勝利となった。

彼はジャパン・カップにも出場予定。優勝候補の1人だが、古賀志林道の登りをこなせるかがキーポイント。

その意味で、今回の勝利はジャパンカップ制覇に向けての大きな鍵となるだろう。

 

 

トレ・ヴァッレ・ヴァッレジーネ(1.HC)

ヨーロッパツアーHCクラス 開催国:イタリア  開催期間:10/8

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「3つの渓谷」を越え、最後はヴァレーゼの街の周回コースでフィニッシュ。最後は集団スプリントになるパターンも多く、イル・ロンバルディア前哨戦の中では比較的登れるスプリンターやパンチャーにチャンスのあるレースの1つである。

終盤、単独で抜け出したルイスレオン・サンチェス。集団内にはヤコブ・フルサングも残しており、アスタナはチームとして良い状態を作ることができていた。

一方、ジロ・デッレミリアの覇者プリモシュ・ログリッチェは、やや不利な状況に置かれていた。先頭を駆け抜けるサンチェスに対し、40秒遅れで追走を仕掛ける集団の中にはヴィンツェンツォ・ニバリ、ダヴィデ・フォルモロ、ダニエル・マーティン、アレハンドロ・バルベルデなどの強力なライダーたちが含まれており、ログリッチェはこれに乗り遅れてしまっていたのだ。

しかし、信じられないようなアクシデントが発生する。この強力な追走集団を先導していたモトバイクが、ラウンドアバウトで間違った進路を取ってしまったがゆえに、追走集団は皆、しばらくその間違った道を突き進んでしまったのだ。

気づいたときにはすでにかなりの道を進んでしまっている状態であった。すぐさま引き返したニバリたちではあったが、すでにメイン集団も通り過ぎたあとで、勝負を諦めざるをえなかった。

のちにダニエル・マーティンは語っている。「こんな風にコースを複雑にすると、レースはクリテリウムのようになってしまう。プロのレースはクリテリウムであるべきではない」。

ヴィンツェンツォ・ニバリも憤慨し早々に自転車を降りてチームバスに向かいながら語った。「レースのルートは多少は知っていた。けど、まさかモトが間違った道を進むなんて思っていなかった。このレースは好きだけど、ちょっと主催者はコースについてやりすぎてしまい始めてるんじゃないかな」

www.cyclingnews.com

 

優勝候補たちが信じられない形で勝負権を失ったあとも、ログリッチェにとっては決して良い状態ではなかった。集団内にフルサングを残したまま独走するサンチェスに対し、これを追走するチームメートが周囲にはいなかったのだ。

そんな彼を救ったのはチーム・イネオスであった。とくにサルヴァトーレ・プッチョの献身的な牽引によって、サンチェスは残り1kmで捉えられてしまった。

そして、足を貯めていたログリッチェは、残り500mで抜け出した。混沌とした状況の中で疲弊しきっていたプロトンは誰もこれを追うことができなかった。

3日前のジロ・デッレミリアに続く快勝。ブエルタ覇者は、今年まだ彼が絶好調であり続けていることをはっきりと示した。

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ただ、ログリッチェもこのレースの展開が彼にとって「幸運だった」ことを認めている。そして彼にとっての本番はあくまでも今週末のイル・ロンバルディア。

昨年は最後のチヴィリオの登りで引き離されてしまった彼が、今度こそ勝利を掴み取ることができるか。

そこに向けて、現状彼が万全の態勢であることは間違いない。 

 

 

ミラノ〜トリノ(1.HC)

ヨーロッパツアーHCクラス 開催国:イタリア  開催期間:10/9

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1876年初開催の「イタリア最古のクラシック」。そのレイアウトは実に特徴的で、レースの大半はロンバルディア平原でフラットなレイアウトを進み、最後の25kmでトリノ近郊のスペルガ峠を2回登る構成となっている。

最後は登坂距離5km、平均勾配9%のスペルガ峠山頂フィニッシュ。イル・ロンバルディア含むこの前哨戦群の中では最もピュアクライマー向きのレースであり、グランツール山岳ステージさながらの山岳バトルが期待された。

 

前半の平坦区間で5名の逃げが生まれるが、その中で最後まで生き残ったのはドゥクーニンク・クイックステップのレミ・カヴァニャのみであった。

今年のブエルタ・ア・エスパーニャで覚醒を遂げたこの24歳のフランス人は、スペインでの奇跡をもう一度成し遂げようと努力したものの、エガン・ベルナルのために決死の牽引を見せるタオ・ゲオゲガンハートの奮闘によって、あえなく残り20kmを切ったところで吸収されてしまった。

そしてプロトンの人数は40名ほどにまで絞り込まれていた。

スペルガの2回目の登坂、すなわち最終決戦を前にして、プロトンの支配権を握ったのはEFエデュケーション・ファーストだった。アレックス・ハウズ、そしてタネル・カンゲルトが懸命にペースアップを図り、この結果、過去2度のイル・ロンバルディア制覇を成し遂げているフィリップ・ジルベールもここで陥落した。

残り4kmを切って、いよいよウッズが攻撃を仕掛けた。最初にこれに反応できたのはアスタナのゴルカ・イサギレとミッチェルトン・スコットのジャック・ヘイグのみだった。のちに、グルパマFDJのエース、ダヴィ・ゴデュが追随する。

先行するウッズ、そしてゴデュの2人のエース級の選手の勢いは良好で、これを危険視したプロトンからはさらなるエース級の選手たち――すなわち、アレハンドロ・バルベルデ、エガン・ベルナル、アダム・イェーツ――が抜け出して、最終的な優勝候補集団が先頭に形成された。

ゴルカもヘイグも脱落し、先頭はエースたちのみに。小細工の無い、意地と意地のぶつかり合いが始まった。

 

ここでも積極的に動いたのはウッズだった。残り1.8kmで彼は再びアクセルを踏んだ。そして、ダヴィ・ゴデュはこの日最もアグレッシブな走りを見せた。彼はこの後、4度にわたるアタックを繰り出した。攻撃をするたびに彼の顔は苦しくゆがみ、アタックの距離もごくわずかなものに留まった。

しかし彼は諦めることなく繰り返し、繰り返し攻撃を仕掛け続けた。残り500mで最後の攻撃を繰り出し、これがマイケル・ウッズの最後の、そして決定的な攻撃によってかわされたとき、ゴデュの戦いは終わった。

しかし彼は敗北したが、最も鮮烈な走りを届けてくれた。来年も彼は、グルパマFDJの明確なるエースの1人として活躍してくれることだろう。

 

そして、ウッズの最後の攻撃に喰らいつくことができたのは元世界王者のバルベルデだけだった。いつものバルベルデならば、最後までこれについていき、そして最後の最後、スプリントでライバルを打ち負かす、というパターンを得意としていた。

が、ウッズの加速は、ここまで2度の攻撃を繰り出していたにも関わらず、なおも鋭さを保っていた。カナダ人の最後の攻撃に、その後輪につけていたはずのバルベルデも、まったく手も足も出せずに終わった。

 

そして、ウッズは昨年の世界選手権の借りを返した。

チームにもたらした16勝目。パリ~ニースのマルティネス、ロンド・ファン・フラーンデレンのベッティオル、ツール・ド・スイスのヒュー・カーシー、ブルターニュ・クラシックのセプ・ファンマルク、ブエルタ・ア・エスパーニャのセルヒオ・イギータに続く、大きな勝利。

チームはこの勢いを、土曜日の本戦、イル・ロンバルディアにつなげることができるか?

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そして、驚きの走りを見せたのが、9位に入ったケビン・リベラ。

まだ21歳で、しかもコスタリカ人。コスタリカ人といえばアンドレイ・アマドールが有名だが、彼に続く選手というのはそう思い当たることはなかった。

しかしこのリベラ、今年は7月のシビウ・サイクリングツアーで総合優勝を成し遂げている。1クラスのレースではあるが、過去にはベルナルやイバン・ソーサが総合優勝を果たしている、注目すべきレースの1つだ。

実際、アンドローニの名伯楽ジャンニ・サヴィオがベルナル、ソーサに続き手塩にかけて育てている才能であることは間違いなさそうだ。来年はまだアンドローニ。しかしその次の年には、ほぼ間違いなくビッグチームへの移籍がありそうだ。ツール・ド・ラヴニールなどでの活躍にも期待したい。

 

グラン・ピエモンテ(1.HC)

ヨーロッパツアーHCクラス 開催国:イタリア  開催期間:10/10

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チーム・イネオスの、チーム・イネオスによる、チーム・イネオスのためのレースとなった。

そもそも、2日後のイル・ロンバルディアを見据えてか、各チーム主力級の選手を出し惜しみ、その時点でイネオスが圧倒的にチーム力が高かったのは事実だ。

とはいえ、残り30kmあたりから最後のオローパの登りの中腹まで常にヨナタン・カストロビエホが先頭を牽引し続け、その後も先頭はプッチョ、ローザ、ソーサと常にイネオスが牽き続け、他のどのチームも前には出られなかった。レースの序盤ですら、フィリッポ・ガンナによる牽引が目立ったほどだった。

唯一アタックできたのは、AG2Rラモンディアルのマティアス・フランク。しかしこれも、ディエゴ・ローザの牽引でいとも簡単に吸収される。このとき集団は20数名にまで絞り込まれていた。

そして、最後にソーサに先頭が切り替わるとすぐさま集団は先頭に数名だけを残すこととなった。しかもそこから、次々と有力選手がこぼれていく。最後には、ベルナルとソーサの2人だけとなった。

そこから放たれる、エガン・ベルナル。残りはもう、1.8kmしかなかった。この状態で彼に敵うものなど当然、いなかった。しかもベルナルを発射させたあと、なおもソーサは余裕をもっていた。そうしてベルナルを追いかけるピータースの後輪につけて、足を貯め始めた。

最後はベルナルが堂々たる勝利。自らの第2の故郷とも言うべきイタリア、それもとくに拠点としていたピエモンテでの勝利は、格別たる思いであったことだろう。

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そして、ソーサが易々と2位。最後までイネオスは圧倒的であった。2013年・2015年のクリス・フルームとリッチー・ポートの最強コンビを思い出させるような鮮やかな勝利だった。

 

そして、9位につけたのは、今年のツール・ド・ラヴニール総合4位で現在AG2Rラモンディアルのトレーニーとなっているクレモン・シャンプッサン。

来期はAG2Rラモンディアルに正式加入することがすでに決まっている、フランスの次世代のホープ。バルデもラトゥールも今年は苦しいシーズンだったことを考えると、AG2Rにおける重要な存在となりかねない男である。

 

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