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「強くなり続けるためには自分自身を少しずつ変えていかなければならない」ーーロマン・バルデの早すぎるシーズン終了の理由、ジロ・デ・イタリア、オリンピック、世界選手権へのモチベーション

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今年のツール・ド・フランスを総合15位*1で終えたロマン・バルデ(フランス、29歳)は、「心身ともにリフレッシュする」ためにあまりにも早すぎるシーズンの終了を選択した。

 

そこから3ヶ月。さいたまクリテリウムに山岳賞ジャージを着て参戦した彼に、Cycling Newsがインタビューした記事の内容を紹介していく。

www.cyclingnews.com

 

※以下、対話形式でお届けするが、元記事にあるのはバルデの発言のみ。インタビュアーの発言はバルデの発言から逆算した「空想」であるため、注意。

 

 

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1年を振り返って

 

ーーバルデ、今年の1年はあなたにとってどんなシーズンでしたか?

 

ロマン・バルデ今までに経験したことのないような1年だった。とても難しく、期待をはるかに下回っていた。

これまでの僕の進歩はほぼ線形で、年を重ねるごとに少しずつ良くなってきていたし、ツール・ド・フランスにおいてはとくにそうだった。

それなのに今年のツールは散々だった。辛かったよ。 

 

ーーあなたはツール・ド・フランスを終えて早くもシーズンを終了することに決めました。その理由を教えてください。

 

とても疲れて失望していたけれど、気持ちが完全にダメになったわけではなかった。僕はこのスポーツを深く愛しているし、自分の能力に対する信頼も失ってはいない。

ただ単に出場するだけのレースを数多く重ねるつもりはなかった。レースに出場すれば、僕はそこで勝とうとしてしまう。ツール・ド・フランスの後にも多くのレースに出場することはできるけど、そこで50位前後を行ったり来たりして満足したくはなかった。

だから僕は自分にストップをかけた。それは論理的なことであり、僕はいたずらにレースに出るよりは、回復することに時間を費やそうと考えたんだ。 

 

ーーもう回復は十分ですか。

 

今はフレッシュな気持ちで、来シーズンに向けての準備ができている。オーストラリアでの初めてのレース*2に向かうことが今から待ちきれないね。

本当に贅沢な休暇を過ごすことができた。普段なら2〜3週間程度のところを、今年は2ヶ月丸々、自転車から離れられていたからね。10月の頭から少しずつ自転車に乗り始め、トラックを少しやって、11月にはシクロクロスに挑戦するつもりだ。

シクロクロスは元々好きだったんだけど、今まではあまり本気でとりかかれてはいなかった。それが僕に自分の「パンチ」を取り戻させる助けになればいいと思っている。今年は本当に、それが欠けていたと思っているから。それがなければ僕は肝心のところで加速ができず、勝利を得ることはできない。

このシクロクロスで、その「パンチ」を取り戻す方法を見つけたいと願っている。 

 

ーーこの1年であなたが得たものを教えてください。

 

僕はこの1年で沢山のことを学んだ。本当に沢山のことを。

その中でもとくに僕が重要だと思ったことは、「強くなり続けるためには自分自身を少しずつ変えていかなければならない」ということ。

毎年毎年全く同じことを繰り返していても、それはけっして進歩には繋がらないんだ。

 

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2020年の目標について

 

ーー先日、来年のジロ・デ・イタリアのコースが発表されました。あなたには初めてのジロ・デ・イタリア参加の可能性はありますか。

 

可能性は大いにあるよ。ツール・ド・フランス以外のグランツールに出場してみたいと強く思っている*3

 

ーージロ・デ・イタリアの来年のコースは3つもタイムトライアルのステージが用意され、あなたにとってはあまり望ましくないコースなのではないでしょうか。

 

たしかにタイムトライアルの距離は長い。けれど、それは僕にとってあまり問題ではないように思える。今年も同様にタイムトライアルの距離は長かったけれど、TTスペシャリストではないカラパスが勝ったよね。

それに、はっきりとした事実として、ジロはツールよりもオープンなレースだと思っている。何が起きてもおかしくない、チャンスの多いレースだって。

 

――一方でツール・ド・フランスのコースは、タイムトライアルの距離も短く、山岳TTであり、かつ山岳ステージの多いクライマー向けのものです。あなたに向いているツール・ド・フランスなのではないでしょうか。

 

それはここ3〜4年ずっと聞いている気がするな。「あなた向けのツールだ」って。

実際には、そういうわけじゃないこともよくあった。

 

――あなたにとって、2020年の目標とするレースは何ですか。

 

個人的には、オリンピックと世界選手権で結果を出したいと思っている。それこそ僕向きのコースだしね。

知ってると思うけど、僕はワンデーレースにも強い情熱を持っていて、これらのレースが来年に向けた僕のモチベーション源になっている。

 

ーーグランツールよりもワンデーレースの方がモチベーションが高いということですか。

 

いや、もちろんグランツールも楽しみだよ。来年は2つのグランツールに出場したいと思っている。

グランツールの準備をすることは、クラシックのためのそれと比べても大変だとは思っているけれど、バランスのとれたスケジュールを組むことができれば、それは十分に可能なことだとも思っている。

  

ーー来年は成功のシーズンとなりそうですか。

 

そう思っている。今年、早めにシーズンを終えたことは、今僕をとてもフレッシュな状態にさせてくれており、それは僕の2020年シーズンを本当に大きなものとしてくれそうだ。

来年はきっと、結果を出せるよ。

 

 

  

早すぎるシーズン終了で否応無く私たちを不安にさせたバルデ。しかしさいたまクリテリウムでは元気な姿を見せてくれ、そしてこのインタビューでは前向きな言葉も聞かれた。

 

「強くなり続けるためには自分自身を少しずつ変えていかなければならない」ーーその言葉の通り、来年の彼は今までとは大きな変化を次々と見せてくれそうだ。

ツアー・ダウンアンダーへの挑戦、ジロ・デ・イタリアへの挑戦、オリンピック、そして世界選手権。もしかしたら、ツール・ド・フランスへの参戦がない、ということすらありうるかもしれない。

 

だがそれは、決して後ろ向きな決断ではない。

彼はまだ進化し続けようとしている。その先に、彼が再び輝くときが待っているはずだ。

 

 

がんばれロマン。もう一度、最強のフランス人クライマーとしての姿を見せてくれ。

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*1:2013年のツール初出場以来最も低い順位でのフィニッシュ。

*2:ツアー・ダウンアンダーのこと。

*3:ロマン・バルデはグランツールライダーの中では珍しく、これまで7回のツール・ド・フランス出場経験がありながら、それ以外のグランツールの出場経験は2017年のブエルタ・ア・エスパーニャのみである。

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