Class:ワールドツアー
Country:オランダ
Region:リンブルフ州
First edition:1966年
Editions:56回
Date:4/10(日)
丘陵地帯を駆け巡る、「アルデンヌ・クラシック3連戦」の第1戦。
激しいアップダウンとカーブの多さが特徴で、「千のカーブ」と形容されることも。
この後に続くラ・フレーシュ・ワロンヌ、リエージュ~バストーニュ~リエージュと比べると登りの激しさは抑えられており、クライマーよりは純粋なパンチャー向きのレースと言える。
今年はフランス大統領選の影響で本来このタイミングで開催されるはずのパリ~ルーベが1週遅れに。
代わりにこのアムステルゴールドレースが1週早まっての開催となった。
よって、出場するメンバーもロンド・ファン・フラーンデレンに近い顔ぶれともなっており、イツリア・バスクカントリー出場組(たとえばジュリアン・アラフィリップなど)も参戦せず。
例年ならば前哨戦となるブラバンツペイルも経ていない中で、例年と違った展開が巻き起こる可能性も・・・?
今回は、そんなアムステルゴールドレース2022の勝負所を、過去のレースを参考にしながら紹介していく。
目次
- 今年のコースについて
- 残り44.1㎞「クルイスベルグ」
- 残り33.9㎞「クーテンベルグ」
- 残り23.9㎞「3回目カウベルグ」
- 残り19.3㎞「3回目グールヘンメルベルグ」
- 残り7.3㎞「3回目ベメレルベルグ」
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今年のコースについて
全長254.1㎞。
昨年はCovid-19の影響もあり、例年であれば終盤の舞台となる周回コースのみを使用するクローズドサーキットでの戦いであったが、今年は(中止となった2020年も挟み)3年ぶりに「本来の」コースが復活。
ベルギーとドイツに挟まれたオランダ南東端部マーストリヒトを出発して、40㎞を過ぎたあたりから(残り210㎞前後から)周回コースに突入。
毎回微妙にルートが異なる複雑な周回コースをおよそ4周。勝負所「グールヘンメルベルグ」「カウベルグ」「ベメレルベルグ」はそれぞれ3回登らされる。
かつてはこのレースを象徴する登り「カウベルグ」を4回登らせていた。その最後のカウベルグはフィニッシュ直前に設定されていたが、2017年大会からフィニッシュ前約20㎞の地点に移動。
それにより、かつては「最後だけ見所のあるレース」だったのが、残り3~40㎞辺りからどのアタックが決定的になるのかわからない、常に目の離せない北のクラシックのようなレースに変貌。
それは、このレースの魅力をより高めたと個人的には感じている。
果たして、今年どんなドラマが待ち受けているのか。
以下、過去のレースを参考にしつつ、勝負所を確認していこう。
(残り距離などは公式サイト Route heren - Amstel に基づいております)
残り44.1㎞「クルイスベルグ」
登坂距離600m/平均勾配8.8%/最大勾配15.5%
現在のコースが採用された最初の2017年大会で、優勝者ジルベールやティシュ・ベノート、セルジオ・エナオなどの強力な8名の逃げグループが作られた登り。グレッグ・ファンアーヴェルマートやアレハンドロ・バルベルデなどの優勝候補が取り残された。
なお、この登りの直後(登り終えてから1㎞先)にある「アイゼルボスウェグ」は、登坂距離900m、平均勾配9.3%、最大勾配17.0%とさらに強烈。
この2つはセットで決定的な動きを生み出すポイントとなっており、2019年大会もまずクルイスベルグで抜け出したジュリアン・アラフィリップがアイゼルボスウェグでさらに段階的に加速。唯一、後のリエージュ〜バストーニュ〜リエージュ覇者ヤコブ・フルサンだけがここに食らいついていった。
2019年大会ではあのマチュー・ファンデルプールも反応できなかったこのタイミング出の攻撃。
今年も勝負所になる可能性は十分にある。少なくとも、この時点でしっかりとポジションを上げておかないと、勝負が決まってしまう恐れはあるだろう。
残り33.9㎞「クーテンベルグ」
登坂距離1,200m/平均勾配5.9%/最大勾配22%
このレース最大の勾配区間を含む登り。
2017年大会ではここで、ジルベールらに取り残されたメイン集団からクフィアトコフスキが抜け出してブリッジ。ファンアーヴェルマートはこのときも決定的な動きに乗ることができなかった。
登坂力・激坂対応力のある選手が確実に抜け出すことのできるポイント。得意な選手は挽回や攻撃のチャンスであり、苦手な選手はやはりこの前の段階で攻撃を仕掛けておきたい。
2017年における最終セレクションの舞台。十分に注意しておきたい。
残り23.9㎞「3回目カウベルグ」
登坂距離800m/平均勾配6.5%/最大勾配12.8%
大会を象徴する登り。ゴール前20㎞前後という絶妙な位置に置かれ、その厳しさからも、レースの展開を左右する重要な動きが起こりやすい。
2018年大会では2013年大会覇者クロイツィゲルと、2016年大会覇者ガスパロットとがこの登りの手前で抜け出し、逃げていた5名と合流する。
昨年の2021年大会ではここで決定的な動きが巻き起こり、イネオスが3名(ピドコック、ファンバーレ、クフィアトコフスキ)にジュリアン・アラフィリップ、ワウト・ファンアールト、アレハンドロ・バルベルデ、マイケル・マシューズといった強力な小集団が抜け出す形に。また、プリモシュ・ログリッチもメカトラによって脱落してしまった。
フィニッシュまでの残り距離は結構あるが、今年もここが最も重要な勝負所となるか。
残り19.3㎞「3回目グールヘンメルベルグ」
登坂距離1,000m/平均勾配5%/最大勾配8%
2018年大会では、クロイツィゲル、ガスパロットらに置き去りにされたメイン集団の中から、バルベルデ、サガン、アラフィリップ、ウェレンス、ヴァルグレン、フルサングが抜け出して先頭に合流。
いわば「最終列車」に乗り込む最後のチャンスとなった。
昨年の2021年大会ではこの登り自体というよりは、ここを超えた先の平坦路でトム・ピドコックがアタックし、ファンアールトとマクシミリアン・シャフマンだけが食らいついたことで、最後の勝負を繰り広げることになる3名が抜け出す決定的な場面となった。
登り自体はそこまで厳しくない。ただ、フィニッシュが近づく中で、登りだけでなく平坦路も含め、先頭集団内での駆け引きが過熱することになるだろう。
残り7.3㎞「3回目ベメレルベルグ」
登坂距離900m/平均勾配4.5%/最大勾配7%
2017年大会では先頭集団からジルベールとクウィアトコウスキーが抜け出したポイント。
2018年大会も12名の先頭集団から、フルサング、バルベルデ、アラフィリップ、サガン、ガスパロット、ウェレンス、ヴァルグレン、クロイツィゲルの8名が抜け出したポイントとなっており、「最終列車」の中でのセレクション、最後の優勝候補を決める重要ポイントとなっている。
変な牽制を見せると勝機を完全に失うので、積極的な動きを心がけたい。
2018年はこの最後の登りを終えてもなお8名と人数が多く、最終的には残り2.2㎞の平坦部分でヴァルグレンがアタック。
クロイツィゲルだけがついていき、残りはお見合い状態となった。
3回目カウベルグ以降はそこまで厳しくない登りが続くため、どこでどんな攻撃が繰り広げられるか予想がつかない。
もちろん、2019年大会はさらに予想のつかないマチュー・ファンデルプールのあの「鬼牽き」があったわけで・・・
今年は3回目カウベルグや3回目グールヘンメルベルグの残り距離が以前よりもフィニッシュから遠くなっているため、また展開が異なってくる可能性はある。
果たして、3年ぶりの「真アムステルゴールドレース」で、今年のアルデンヌ最初の勝者として名を挙げるのは、誰だ?
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