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パリ〜ニース2021 全チームスタートリスト&プレビュー

 

今年のロードレースシーズンの本格開幕を告げる「ミニ・ツール・ド・フランス」ことこのパリ~ニース。

その出場全23チーム161名のスタートリストと簡単なプレビューを記載していく。

レース中の参考に少しでもなれば幸い。

 

↓コースプレビューは以下のリンクから↓

www.ringsride.work

 

 

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1~.ボーラ・ハンスグローエ(BOH)

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DS:クリスティアン・プーマー(オーストリア)、イェンス・ゼムケ(ドイツ)

総合★★ / スプリント★★★ / 逃げ★

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当然最も注目すべきはパスカル・アッカーマンのスプリント勝利だが、今年もエトワール・ド・ベセージュの第4ステージでクリストフ・ラポルトに敗れ実質2位となる、UAEツアーでもベネットとユアンの頂上決戦に入り込めず「2番手ポジション」に落ち着かざるをえないなど、状況は決して良くはない。

ただ、昨年のブエルタ・ア・エスパーニャでは確かにベネットに匹敵しうる走りは見せていた。少しずつ本来の実力を取り戻しグランツールまでにコンディションを整えておきたい。

総合では昨年総合優勝者のシャフマンが、より得意であるはずのストラーデビアンケやティレーノ〜アドリアティコへの出場を蹴ってこちらに。意欲は十分にあるだろうが、「イネオス/ユンボ不在」の昨年と違う今年の状況の中で、彼が「本物」であることを示せるか。

 

 

11~. チームDSM(DSM)

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DS:ウィルベルト・ブルクハウゼン(オランダ)、マルク・リーフ(オランダ)

総合★★ / スプリント★★ / 逃げ★★

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昨年総合2位のベノート、昨年ジロ・デ・イタリア総合2位のヒンドレー、昨年ツール・ド・フランス区間2勝のクラーウアナスン、昨年ツール・ド・フランスで区間2位、今年もUAEツアーで区間5位などを記録しているボル、そして昨年のブルターニュ・クラシックにおけるマイケル・マシューズの優勝の立役者となったエークホフなど、このチームが揃えられる最大戦力を揃えたと言った印象に満ち溢れている。

とくに昨年は実に見事なチームワークを発揮し、その後のツールなどで炸裂する「サンウェブ劇場」の原型ともなったのがこのパリ〜ニースだった。

正直見た目だけでいえば「勝てない、目立たない」という結果すら想像できる体制ではあるが、今年もきっとその想像を超える活躍をして見せてくれるはずだ。

 

 

21~.EFエデュケーション・NIPPO(EFN)

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DS:フアンマヌエル・ガラテ(スペイン)、アンドレアス・クリール(ドイツ)

総合★ / スプリント★ / 逃げ★★

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UAEツアー総合5位のポーレス、2年前のパリ〜ニースで「逃げ切り」勝利してるコルトニールセンなど、良い選手は揃っている。が、それがどう有機的に結びつくのかは未知数・・・

また、UAEツアーの個人タイムトライアルでまさかの2位に入って驚かせたビッセガーが、今回の第3ステージのタイムトライアルでどれだけの走りを見せてくれるのかにも注目したい。距離も同じくらいだし、そのときの1位だったガンナは今回はいない。

とは言え、あの時と違って登りも豊富にあるタイムトライアルだし、元トラックレーサーの彼がどこまでその起伏に適応できるかは未知数。やっぱり今回も星を入れるのは、少し躊躇うかなぁ。

 

 

31~.チーム・ユンボ・ヴィスマ(TJV)

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DS:フランス・マーセン(オランダ)、グリシャ・ニールマン(ドイツ)、メリーン・ゼーマン(オランダ)

総合★★★ / スプリント★ / 逃げ★

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ついに「最強チーム」が本格始動する。ストラーデビアンケのワウト・ファンアールトと合わせ、主力メンバーのシーズンインとしては全チーム中最も遅いチームではないだろうか。

それだけにそのコンディションは未知数ではあるものの、ログリッチが今大会総合優勝候補であることは間違いない。メンバーも非常に豪華で、このままツール・ド・フランスに乗り込んでもそこまで問題がないように感じるほどだ。

平坦アシストはファンエムデンと1人で3人分の働きをするマルティン、山岳アシストはクライスヴァイクとベネットの2大エース級。さらには昨年ブエルタの第17ステージでログリッチ最大級の危機を救ったホフステッドと、サンウェブから移籍してきた若手オランダ人実力派クライマー、オーメンがどこまで走れるか。

あとはパリ〜ニースにつきものの横風トラブルに巻き込まれないように・・。

 

 

41~.イネオス・グレナディアーズ(IGD)

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DS:ガブリエル・ラッシュ(ノルウェー)、ハビエル・サンディオ(スペイン)

総合★★★ / スプリント★ / 逃げ★

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過去に2度パリ〜ニースを総合優勝し、昨年のツール・ド・フランス総合3位たるポートと、昨年のジロ・デ・イタリア総合優勝者で今年のツール・ド・フランスのエース候補でもあるゲイガンハートのダブルエース体制。アシストとしては昨年のジロの「最強山岳アシスト」であったデニスと、昨年ブエルタのリチャル・カラパス総合2位の立役者アマドールが強すぎる。デプルスも今年のプロヴァンスでは若手カルロス・ロドリゲスに振り落とされる場面もあったが、今度こそ良いところを見せたい。

ファンバーレ、スウィフトも相まってこちらもグランツールにすぐにでも行ける体制となっており、昨年は完全にしてやられてしまったユンボ・ヴィズマの山岳トレインに対しどこまで対抗できるかに注目だ。

しかし今年のイネオスは例年にも増してエース乱立状態だが、こうやって「プロヴァンスのベルナル、UAEのアダム、ニースのポート&ゲイガンハート」と様々な体制を「試して」いるような雰囲気を感じており、ユンボともかつてのイネオス自身とも違う戦略がなかなかに興味深い。

 

 

51~. チーム・キュベカ・アソス(TQA)

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DS:ガブリエーレ・ミッサーリア(イタリア)、アールト・フィアハウテン(オランダ)

総合★ / スプリント★★★ / 逃げ★★

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今年もクラシカ・ドゥ・アルメリア優勝など調子は良いニッツォーロ。昨年もパリ〜ニースで1勝しているし、大雨など荒れた展開ならばさらにチャンスが増す。強豪スプリンターも多く出る今大会だが、そこでしっかりと実績を積んで今年こそツール・ド・フランスでの勝利を狙いたいところ。

逃げ屋もアルメ、カンペナールツと揃っており、とくにカンペナールツは(というかキュベカ・アソス自体が)先日のル・サミンでかなりアグレッシブで良い走りを見せていたので、調子は良さそう。今回も期待したい。

問題は総合。ファビオ・アルは復活を強く願ってはいるものの、現時点で好材料は何一つない。チームとしてもエースナンバーはやはり2017年覇者セルヒオ・エナオに。ただ、エナオもまた、ここ最近のUAE時代は期待された走りができていたわけではなく・・。

 

 

61~.アスタナ・プレミアテック(APT)

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DS:スティーヴ・バウアー(カナダ)、ドミトリー・フォフォノフ(カザフスタン)

総合★★ / スプリント★ / 逃げ★★★

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ツール・ド・ラ・プロヴァンスでは昨年ほどの活躍は見せられなかったウラソフ。直近のアルデシュ・クラシックでは6位と悪くなかったので期待したいが、将来グランツールを制する可能性のある彼が克服すべきは「安定性」の壁。ポガチャルやログリッチが持つこの安定感を示せるような走りを見せられるか。

脇を固めるルツェンコ、サンチェス、イサギレ、フライレは山岳アシストとしても有能だが、過去の実績もある選手たちばかりで、山岳ステージでの逃げにも注目していきたい。

 

 

71~.トレック・セガフレード(TFS)

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DS:ステフェン・デヨング(オランダ)、グレゴリー・ラスト(スイス)

総合★ / スプリント★★ / 逃げ★★

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エリッソンドやベルナールなど、良い選手はいるのだがエース不在という印象。山岳では逃げくらいしか、やれることはないか?

スプリントでは昨年シャンゼリゼ2位のピーダスンがどこまで走れるかに注目したい。同じツール・ド・フランスの、荒れに荒れた第1ステージのスプリントでもアレクサンダー・クリストフに次ぐ2位で、2019年の世界選手権では冷たい雨の中、2020年のヘント〜ウェヴェルヘムも強い横風で大混乱になった中で、ともにマッテオ・トレンティンを下しての勝利を果たしている。

よって、パリ〜ニースが例年通り荒れた展開の中でのスプリントを用意するようであれば、そこにピーダスンの勝機を見出すことはできそうだ。

ただそうでもなければ、何もなし得ずに終わってしまう危険性もあるチーム。

 

 

81~. グルパマFDJ(GFC)

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DS:ティエリー・ブリコー(フランス)、フレデリック・ゲドン(フランス)

総合★★ / スプリント★★★ / 逃げ★★

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パリ〜ニースとの相性は抜群なデマールと、昨年ブエルタ・ア・エスパーニャ区間2勝で今年もアルデシュ・クラシック優勝など絶好調なゴデュのダブルエース体制。

とはいえチームメンバーはほとんどがデマールのためのトレイン要員。ゴデュに与えられたのは、昨年のブエルタで最も彼を支えてくれたアルミライルのみ。

それでも十分に結果を出してくれそうなところもあり、表彰台、もしくはステージ優勝を必達目標にしよう。

 

 

91~.ロット・スーダル(LTS)

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DS:マキシム・モンフォール(ベルギー)、クルト・ファンデヴァウエル(ベルギー)、マルク・ヴァウテルス(ベルギー)

総合★ / スプリント★★ / 逃げ★★★

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山岳でのデヘントやジルベールの逃げ、パンチャー向けの第4ステージでのジルベールの勝利、そしてデゲンコルプのスプリントが主な勝ちパターンになるだろう。

だがその中でこのチームは若手の活躍に期待したい。昨年から素晴らしい走りを見せており先日のUAEツアーでもジュベルハフィート区間5位と強さを見せつけたファンフック、昨年のジロ・デ・イタリアで区間6位や8位に入ったスプリンターのオルダーニ、そして最も注目したいのが、昨年6月からロット・スーダル入りした「ネオプロ1年目」フェルメールス。昨年はブリュッセル・サイクリング・クラシック4位やヘント〜ウェヴェルヘム12位、ベルギー国内選手権TTのエリートカテゴリで5位など、ネオプロとは思えない活躍を見せていた彼が、先日のツール・ド・ラ・プロヴァンスでもかなりアグレッシブな走りを見せていた。

今回もまずは逃げなどで、かもしれないが、その走りには常に注目をしておきたい。スプリントトレインの中での働きなどにも、期待できるかも。第3ステージの個人タイムトライアルでTOP10に入る可能性すらありそうだ。

 

 

101~.チーム・アルケア・サムシック(ARK)

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DS:イヴォン・カエル(フランス)、アルノー・ジェラール(フランス)、ケヴィン・リナルディ(フランス)

総合★★ / スプリント★★ / 逃げ★★

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総合エースのバルギル、エーススプリンターのブアニと、しっかりと勝てる選手を用意してきてはいるが、このチームのすべてを叩き込んだ、というメンバーでもない。必然的に逃げなどで目立とうとする試みが必要だろう。デュラプラスとか、ブエとかはその手のベテランである。

ただ実際バルギルにとってはキンタナとは別でエースを張れるチャンスではあるので何とか結果を出したいところ。ブアニにとっても、今年のツール出場を確実なものとするためにはこういった大舞台での結果が求められる。パリ~ニースとは相性悪くないはずなので、なんとか・・。

 

 

111~.ドゥクーニンク・クイックステップ(DQT)

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DS:クラース・ローデヴィック(ベルギー)、トム・スティールス(ベルギー)

総合★ / スプリント★★★ / 逃げ★★★

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ユアンがいないので実力でいえばこのベネットとデマールが今大会の最強スプリンター候補と言えるだろう。あとは混乱さえなければーー横風くらいであれば、ドゥクーニンクはむしろ武器にするくらいだし、過去のこのレースでのベネットの勝利はそれこそ冷たい雨降りしきる中での混戦スプリントでの勝利なので、相性は悪くないけれど・・・。

あとはフィリッポ・ガンナにも負けないくらいの「逃げスペシャリスト」カヴァニャの爆走と、UAEツアーではファウスト・マスナダ以上の登坂力を見せる場面もあったマッティア・カッタネオの山岳逃げなどにも期待したい。今年の最終日ニースの「逃げ切り勝利者」の候補はこのカッタネオだとも思っている。

 

 

121~.コフィディス・ソルシオンクレディ(COF)

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DS:ジョン=ルック・ジョンロン(フランス)、アラン・デュロイユ(フランス)

総合★★ / スプリント★★ / 逃げ★★

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エトワール・ド・ベセージュ、オンループ・ヘットニュースブラッドと調子の良さを見せ続けているラポルトと、昨年ツール・ド・フランス総合11位のマルタンとのダブルエース。ラポルトにとっては混戦となれば可能性を見出せるのがこのパリ〜ニース。マルタンも、できれば表彰台に入り込み、今年のさらなるブレイクへのきっかけにしてほしい。

ゲシュケ、ワライス、ペリションなどの逃げにも期待したい。

 

 

131~.チーム・バイクエクスチェンジ(BEX)

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DS:デイビット・マクパートランド(オーストラリア)、マシュー・ヘイマン(オーストラリア)、ロレンツォ・ラパージ(ベルギー)

総合★★ / スプリント★★ / 逃げ★

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チームに「出戻った」マシューズ。彼もまたこのパリ〜ニースとは非常に相性の良い選手で、スプリント勝利はもちろん個人タイムトライアルでの好成績も期待できそう。とにかく、伸び伸びと走ってもらいたい。ただ、グローブスもかなりエース級の活躍を見せているので、今回純粋スプリントにおいてどちらがエースとなるかは少し不明である。

総合ではアダムとヘイグなき今、サイモン・イェーツに次ぐエース候補となっているルーカス・ハミルトンに注目。正直山岳アシストは皆無と言って良い状況だが、昨年のジロ・デ・イタリアもある意味で「ゲイガンハート的な」走りも期待できる兆しを見せていただけに、期待はしていきたいところだ。

 

 

141~.AG2Rシトロエン・チーム(ACT)

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DS:ジュリアン・ジュルディ(フランス)、シリル・デッセル(フランス)

総合★ / スプリント★ / 逃げ★★

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今年はすっかりクラシックチームと化したこのAG2Rだが、その中でも総合を担いうる新メンバーとしてやってきたオコーナーとユンゲルスの力試しとも言えそうな今大会。

そんな中、注目しておきたいのがパレパントル。今年の「シーズン開幕戦」グランプリ・シクリスト・ラ・マルセイエーズでまさかの勝利。その後もラ・プロヴァンス総合12位やアルデシュ・クラシック7位など、着実に進化しつつあるこの「生え抜き」選手の活躍は今後も目を離せない。

 

  

151~.UAEチーム・エミレーツ(UAD)

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DS:ファビオ・バルダート(イタリア)、ファブリツィオ・グイディ(イタリア)、ジョン・ウェイクフィールド(南アフリカ)

総合★★ / スプリント★★ / 逃げ★★

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クリストフ、トレンティンのスプリンター2枚看板。どちらも荒れた展開が得意なだけに予想しづらいが、一応ツール・ド・ラ・プロヴァンスではスプリンター向けの第1・第4ステージではクリストフの方が、パンチャー向けの第2ステージではトレンティンの方が前でフィニッシュしている。いずれもあまり良い成績ではなかったけれども・・・。

総合ではコスタやデラクルスなどの実力者はいるものの、最も期待したいのはマクナルティ。昨年のブエルタ・ア・アンダルシアで総合7位、ジロ・デ・イタリアでは総合15位。TTも得意なのでパリ〜ニースとの相性も悪くないはずだ。今年はジロ・デ・イタリアでダヴィデ・フォルモロと共にエース待遇での出場予定なので、ここで好成績はしっかりと出しておきたいところ。

 

 

161~.バーレーン・ヴィクトリアス(TBV)

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DS:ロルフ・アルダク(ドイツ)、ニール・スティーブンス(オーストラリア)

総合★★ / スプリント★★ / 逃げ★★

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エースナンバーはトゥーンス・・・だが、ミッチェルトン・スコットから移籍したヘイグも、ツール・ド・ラ・プロヴァンスではワウト・プールスと共に良い走りをしていて総合7位なので期待はできる。もちろん、昨年のブエルタ・ア・エスパーニャではその才能の片鱗を見せ始めていたマーダーの活躍にも期待したいところ。

バウハウスは今年もツール・ド・ラ・プロヴァンスで区間1勝、UAEツアーでは区間3位など、相変わらずシーズン序盤の調子は良い。今年はそれが、このパリ~ニースまで続くかどうか。荒れた展開となったときに可能性のある選手の1人だとは思っている。

そして新城幸也、今期初レース。実は2012年以来9年ぶりの出場となる。

ぜひその活躍をテレビで見せてほしいところだ。

 

 

171~.チーム・トタル・ディレクトエネルジー(TDE)

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DS:ブノワ・ジュノゾ(フランス)、ティボー・メイス(フランス)

総合★★ / スプリント★★ / 逃げ★★★

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ラトゥール、ボアッソンハーゲン、ローレス、ヴィエルモなど、今年ワールドツアーチームから大量の有力選手を獲得して補強したこのトタル・ディレクトエネルジー。しかし、ここまでのレースでの彼らの走りは正直期待外れといったところか。このあたりからそろそろエンジンをかけていかないと・・・そんな中、そのメンバーを集結させたこのレースに対する意気込みはかなり高そう。

もちろん、では勝ちきれるかというと心もとないのは確か。まずはラトゥールが総合上位、もしくは第7ステージや第8ステージでの逃げからの勝利を期待したいところ。ボアッソンハーゲンも真正面のスプリントというよりは逃げ勝ちの方が向いているかも。 

 

 

181~.モビスター・チーム(MOV)

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DS:ホセルイス・アリエタ(スペイン)、ホセルイス・ハイメレナ(スペイン)

総合★ / スプリント★ / 逃げ★★

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ここ最近のモビスターがよくやる極端な「力を抜いた」ロースター。昨年のジロ・デ・イタリアもそんな感じだった・・・。

見方を変えれば、昨年あたりから大量に獲得し始めた若手選手たちへの活躍の機会を与えている方針ということも言える。たとえば昨年のジロ・デ・イタリアではその中からセルジオ・サミティエが才能の片鱗を見せる走りを披露してくれていた。

今回でいえばたとえばエースナンバーのヨルゲンセン。彼は今年のツール・ド・ラ・プロヴァンスの第2ステージのラスト11㎞で、ロット・スーダルのフロリアン・フェルメールシュと共に飛び出し、ラスト4.3㎞まで逃げ続ける走りを見せていた。総合でも14位と、悪くない。

あるいはヤコブス。先日のオンループ・ヘットニュースブラッドのラスト40㎞「モレンベルク」で形成された17名の逃げの中にモビスターで唯一入り込み、可能性を感じさせる走りを見せてくれていた。

もちろん、ボーラからやってきたミュールベルガーは十分に「勝てる」選手だし、ホセ・ロハスの安定感も頼りになる。

ただこのチームにはぜひ、若手選手たちの活躍を期待したいところ。

 

 

191~.イスラエル・スタートアップネーション(ISN)

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DS:リオネル・マリー(フランス)、レネ・アンドルレ(チェコ)、ディアク・デモール(ベルギー)

総合★ / スプリント★★ / 逃げ★★

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こちらも勝ちまで拾うのはちょっと苦しい体制。一応グライペルが先日のUAEツアーでは区間5位などここ数年の中では最も調子が良さそうだが、スプリントでの実績はバルビエの方が上と見ることもできそう。逃げではブランドル、ベヴィン、ニーランズが積極的な走りを披露してくれそうだが、勝ちまで到達するのはちょっと足りないかも。

ワールドツアー2年目。なんとか結果を積み重ねていくためにも、こういうレースでもしっかりと実績を残していきたいところだが。

 

 

201~.アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ(IWG)

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DS:スティーヴン・デニーフ(ベルギー)、イレール・ファンデルシュルーレン(ベルギー)

総合★ / スプリント★★ / 逃げ★★

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昨年急遽のワールドツアー昇格が決まり、正直移籍獲得も間に合っていなかっただろう。正直かつてのCCCチームに近い、ほぼUCIプロチーム並みと考えていい今年の陣容の中から、できる限りの戦力を引っ張ってきた印象は受ける。

この中で最も勝ちに近い選手はダニー・ファンポッペル。あとはグランプリ・シクリスト・ラ・マルセイエーズでも積極的な動きを見せていたエイキングやタラマエが逃げで頑張ってほしいところ。

もちろん、かつてアフリカ勢初のツール・ド・フランス最終日特別賞ジャージ、と期待していたメインチェスが復活してくれることは期待したい。だが、ここ最近の彼は本当にかつての強さが幻のようになっており・・・頑張れ。

 

 

211~.B&Bホテルス・p/b KTM(BBK)

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DS:ジミー・アングルヴァン(フランス)、イヴォニック・ボルジャーニ(フランス)、ディディエ・ラス(フランス)

総合★ / スプリント★★ / 逃げ★★

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グランプリ・シクリスト・ラ・マルセイエーズでは最終盤に4枚のアシストを残したながらコカールを発射させていたこのチーム。もちろん、その最終盤でアシストは結構早めに崩壊はしてしまったし勝てなかったのだけれど、状態は決して悪くなさそう。まずは区間TOP5には入っていきたい。

あと注目しているのが昨年のツール・ド・フランスでピエール・ローランと共に連日山岳逃げで活躍していたパシェ。飛躍の可能性を感じさせた走りだっただけに、今回のパリ~ニースでも期待したい。

 

 

221~.アルペシン・フェニックス(AFC)

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DS:ミシェル・コルネリッセ(オランダ)、フレデリック・ウィレムス(オランダ)

総合★ / スプリント★★★ / 逃げ★★

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直近のUAEツアー、ル・サミン、そしてストラーデビアンケと、ワールドツアー顔負けの「チーム力」を見せているこのチーム。今回も、面子の実績以上の走りを披露してくれることに期待したい。とくに今年はグランツールすべての出場を決めているだけに、山岳ステージでの彼らの走りがいかほどのものになるかはしっかりと見極めていきたいところ。

とはいえ、勝利の基本はフィリプセンのスプリント。UAEツアーでは残念ながら見る機会のなかった彼のスプリントは、今大会の優勝候補と十分に言える存在だ。

また、ベルギー王者デボントも、ル・サミンなどでかなり積極的な走りを見せていた。山ではさすがに厳しいだろうが、逃げ向きの第6ステージなどでは十分にチャンスがありそうだ。

 

 

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