Class:ワールドツアー
Country:フランス
Region:-
First edition:1993年
Editions:78回
Date:3/8(日)~3/15(日)
ヨーロッパにおけるステージレースシーズンの本格的な開幕を告げる「太陽に向かうレース」。
ただ、今年は新型コロナウイルスによる騒動で、多くの有力チームが出場を辞退。
代わりに1チーム8名にしたり、ティレーノ~アドリアティコ組の名選手が合流してきたりと、予想できない面白さを期待できる後にも先にもないレースになりそうだ。
暗いことばかり考えても意味がない。大変な状況の中で参加を決めてくれた選手たちに敬意を払い、彼らの描き出すドラマを我々ファンは純粋に楽しみにしていよう。
- 第1ステージ プレジール〜プレジール 154㎞(丘陵)
- 第2ステージ シュブルーズ〜シャレット=シュル=ロワン 166.6㎞(平坦)
- 第3ステージ シャレット=シュル=ロワン〜ラ・シャトル 212.5㎞(平坦)
- 第4ステージ サン=タマン=モンロン 15.1㎞(個人TT)
- 第5ステージ ガナ〜ラ・コート=サン=タンドレ 227㎞(平坦)
- 第6ステージ ソルグ〜アプト 160.5㎞(丘陵)
- 第7ステージ ニース〜ヴァルドゥブロール・ラ・コルミアーヌ 166.5㎞(山岳)
- 第8ステージ ニース〜ニース 113.5㎞(山岳)
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第1ステージ プレジール〜プレジール 154㎞(丘陵)
毎年恒例、パリ近郊から始まる「太陽へ向かうレース」。今年は、パリ中心地から西へ車で1時間の距離にある「プレジール」を発着する。
昨年はピュアスプリンターのためのコースが多かったパリ〜ニースだが、本来はそんなにスプリンターに優しくないのがこのレースだ。今年のパリ〜ニースはやや「いつもの姿」を取り戻したように見える。
すなわち、初日からひたすら小刻みに繰り返されるアップダウン。そして、ゴール前6㎞地点から登り始める、3級山岳ヌフル=ル=シャトー。
登坂距離1.4㎞、平均勾配7.8%。
ただし、登りの最後の400mは、平均勾配8%で、しかも石畳(未舗装路?)だ。
一応そのあとの4.6㎞は平坦および下り基調のため、ここで抜け出した選手がいたとしても結局は捕まえられて集団スプリントになる可能性もあるが、ここまでの道が決してイージーでなかったことも踏まえると、果たしてどうなるのか、全く読めない。
この時期のパリは天気が荒れることが多い点も合わさって、予想はさらに困難なものになるであろう。
なお、現時点での日曜日のパリの天気予報は雨。風は秒速7mとそこまで強くはないけれど・・・。
第2ステージ シュブルーズ〜シャレット=シュル=ロワン 166.6㎞(平坦)
第1ステージの舞台となったプレジールと同じイヴリーヌ県のコミューン、シュブルーズを出発し、プロトンはいよいよ南下を始める。
序盤〜中盤は丘陵地帯を駆け巡り、それなりのアップダウンが待ち受けるが、ラスト45㎞はほぼほぼフラット。過去数年のパリ〜ニースを襲った強烈な暴風雨が現れない限り、この日は平穏なピュアスプリンターズステージとなるはずだ。
現時点での天気予報はやっぱり雨。雨のスプリントでは、パスカル・アッカーマンにやや有利かな?
第3ステージ シャレット=シュル=ロワン〜ラ・シャトル 212.5㎞(平坦)
プロトンはさらに南下。サントル=ヴァル・ド・ロワール地域圏の北の端から南の端へと縦断する。いよいよ中央山塊の香りも漂ってきて、カテゴリは平坦に分類されるコースながら、ラスト10㎞は案外とボコボコしている。
とはいえ、この程度のアップダウンならば、登りに強いスプリンターが増えてきた昨今のプロトンであれば問題なく集団スプリントを迎えることになるだろう。
あとは、この地域には頻繁に訪れる横風に注意するのみ。この辺りの地域の天気予報は・・・常に雨、雨、雨だ。
第4ステージ サン=タマン=モンロン 15.1㎞(個人TT)
ブールジュから南に60㎞離れた「聖アマンの街」で、総合にも影響を及ぼすタイムトライアルステージが開催される。
ただし距離は昨年よりも短め。例によって登りを含むレイアウトだが、スタート直後に2㎞/4.1%の登りと、中盤に2.5㎞/5%程度の登りを含む程度で、登りのインパクトも昨年ほどではなさそう。昨年は横風の影響もあり、サイモン・イェーツが驚きのトップタイムを記録したが、今年は今のところ晴れ予報。果たして。
中間計測は中盤の登りの頂上に位置するため、中間計測での順位が即、最終順位とイコールになるわけではなさそう。中間計測直後の下りには鋭角コーナーが控えているため、ここでのテクニックも勝敗を分けそう。
なお、この街は実はジュリアン・アラフィリップ生誕の地。彼もまた普通に考えればこの日の優勝候補ではあるが、今年はここまで正直、不調続きで全く存在感がない。
この日、地元で、復活劇を見せられるか。
第5ステージ ガナ〜ラ・コート=サン=タンドレ 227㎞(平坦)
今大会最長ステージは、いよいよアルプスに入っていくオーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏を横断していく。スタート直後に登りが控えた逃げ切り向きのステージ。前日の個人タイムトライアルで、ちょうどいい感じに遅れた選手たちも出てきているだろうから、そんな彼らがステージ優勝を狙って逃げを打ってきそうだ。
ただし、アップダウンは後半に向けて少しずつ緩やかになっていく。最後の山岳ポイント(残り44.5㎞地点、登坂距離1.5㎞、平均勾配7.5%)からゴールまでは44㎞も残っている(まあ、残り17.5㎞地点の「スプリント」ポイントまで、緩やかとはいえ長い登りは残っているけれど)。
ラストも下りと平坦。スプリンター擁するチームが逃げをすべて捕まえて集団スプリントに挑む可能性が残されていないわけではない。逃げが勝つか、スプリンターチームが勝つか。
第6ステージ ソルグ〜アプト 160.5㎞(丘陵)
いよいよアルプスを越えて舞台は南仏プロヴァンス地方へ。天気も晴れが続き、気温も17度ほどにまで上がりそうだ。「太陽への道」、クライマックスである。
この日は前日と同じ丘陵ステージで、前日ほど1つ1つの登りの標高は高くないものの、最初から最後までアップダウンが絶え間なく続く。アルデンヌ・クラシックのようなステージで、さすがにスプリンターたちの出番はないだろう。
逆に、総合が動くような厳しさもないので、生粋の逃げ屋たちにとっては、今大会最大のチャンスとなるはずだ。
第7ステージ ニース〜ヴァルドゥブロール・ラ・コルミアーヌ 166.5㎞(山岳)
今大会のクイーンステージは、2018年の第7ステージのフィニッシュにも選ばれた登り。そのときは、残り4㎞でサイモン・イェーツがアタックを仕掛け、ヨン・イサギレだけがこれに食らいついたが、最終的にはこれを突き放したサイモンが独走勝利。ヨンとそれに追いついたディラン・トゥーンスは8秒遅れのゴールとなった。
今年のコースも、全体的な登りの数や難易度は2018年とそう変わらない。そのときと同じように、このコルミアーヌ単独での決着となる可能性は高そうだ。
もちろん、昨年のような逃げ切り集団の中でのバトルの可能性も。
第8ステージ ニース〜ニース 113.5㎞(山岳)
お馴染みの「エズ峠〜キャトルシュマン峠」ダウンヒルフィニッシュ・・・じゃない!?
今年はツール・ド・フランスでその峠を使う予定なのに、肝心のパリ〜ニースではあえて外してきた。フィニッシュ地点も定番の「英国人の遊歩道」ではなく、OGCニースのホームスタジアムである「アリアンツ・リヴィエラ」の近くだという。なおこのOGCニースは、現在、イネオスがオーナーを務めるチームである(当のイネオスは出場しなくなっちゃったけれど・・・)。
ただ、全体の距離や、いくつかの登りを経て最後は下ってからのフィニッシュとなる、という全体的なレイアウトはそう変わらない。それでも、ゴール前残り10㎞に最後の山頂が用意されていた昨年までと比べ、今年はゴール前20㎞に最後の山頂が用意されている点は、ここ数年繰り返されてきた「最終日の大逆転への挑戦」を難しくさせるかもしれない。
あるとしたら、残り60㎞地点にある標高1,058mのポルト峠だ。
今年のクリテリウム・ドゥ・ドーフィネ第5ステージのフィニッシュ地点にもなっているこの登りは、間に下り区間を含んだ全長13.1㎞、平均勾配4.7%の2段階の登り。ゴールまではもちろん距離はあるけれど、2018年は残り45㎞地点から抜け出したマルク・ソレルがまさかの総合大逆転勝利を決めている。昨年はナイロ・キンタナの逆転への挑戦を、隙のないトレインで完全に潰してしまったイネオスも不出場だという点も、荒れた展開を導く理由になりそう。
例年以上にアタックどころが難しくなっている今年のパリ〜ニース最終日。果たしてどんなドラマが生まれるか。
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