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サイクルロードレース情報発信・コラム・戦術分析のブログ

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初心者の、初心者による、初心者のためのJプロツアー2020シーズンガイド② 全17戦プレビュー

前回の「注目チーム編」に続き、「初心者のJプロツアーガイド」後編は、今年のJプロツアーで開催が決まっている17戦について簡単な紹介を行う。

中には日程調整中でありこれから日程などが変更になったり、追加されるレースもありうるので、その点は注意。

 

↓2020Jプロツアー全17戦予定表暫定版(場所、日程は変更の可能性あり)↓

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昨年も開催されているレースについては昨年のレース展開も振り返ってみる。

その場合は主にシクロワイアードの記事を参考にしている。

 

↓注目チーム編はこちら↓

www.ringsride.work

 

 

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第1戦 東日本ロードクラシック群馬大会

4/19(日)  群馬サイクルスポーツセンター

1周6㎞×25周=150㎞

12:10スタート

 

昨年は集団スプリントで決着。当時宇都宮ブリッツェンに所属していた岡篤志とチーム・ブリヂストン・サイクリングの沢田桂太郎・今村駿介が横並びのスプリント。アウト側に大きく振った岡が映像判定の結果、優勝した。

ラスト50mが緩やかな右カーブの登りで、アウト側の方がスピードが伸びるというのがシクロワイアードの記事での分析。今年も位置取りが重要な意味を持ちそうだ。

www.cyclowired.jp

 

 

第2戦 西日本ロードクラシック広島大会

4/26(日)  広島中央森林公園

1周12.3km×13周=159.9km

11:45スタート

 

最初に逃げた4名は6周目に吸収されるが、入れ替わりで10名の逃げが生まれる。途中のブリッジがありつつも、残り2周の段階でタイム差は2分、先頭12名に。

そこで逃げ集団内のホセビセンテ・トリビオとオールイス・アウラール(共にマトリックスパワータグ)がペースを上げると逃げ集団が崩壊。最終周回でアウラールがさらに繰り返し加速し、唯一食らいつこうとしていた岡篤志が残り3㎞で突き放された。

最後はアウラールの独走勝利。2位は岡、3位はブリヂストンサイクリングの平塚吉光となった。

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第3戦 宇都宮ロードレース

5/9(土)  宇都宮森林公園周辺(予定)

1周6.7㎞×14周=93.8㎞(予定)

 

2014年までのジャパンカップで使われていたコースを逆回りで使用。鶴カントリー倶楽部周辺を回る激しいアップダウンコースで、ゴール前には名物「鶴の壁」が登場。スプリント力だけでなく登坂力とパンチ力が鍵になる難コースだ。

昨年は序盤のアタック合戦の末、岡篤志とその兄岡泰誠(イナーメ信濃山形)の兄弟が2人だけの逃げを形成。これは9周目に吸収されるが、そのあともなかなか決定的な逃げは生まれない。最終周回に抜け出した増田成幸(宇都宮ブリッツェン)、今村駿介(ブリヂストンサイクリング)、小石祐馬(チームUKYO)、トマ・ルバ(キナンサイクリング)、入部正太朗(シマノレーシング)とのちに単独で追いついてきた窪木一茂(ブリヂストン)の6名でのパンチスプリントとなり、これを制した今村がJプロツアー初勝利を果たした。

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第4戦 宇都宮クリテリウム

5/10(日)  清原工業団地(予定)

1周3㎞×20周=60㎞(予定)

 

長方形の真ん中にヘアピンコーナーが設けられ、アップダウンは一切なしのオールフラット。クリテリウムらしく逃げが決まりづらく、昨年も最大で12名の逃げが生まれたが、15周目までにはすべて吸収し、集団スプリントに持ち込まれた。

ここはやはり、地元宇都宮の宇都宮ブリッツェンが主役。残り1㎞を過ぎた時点で集団の支配権をブリッツェンが掌握し、阿部嵩之と鈴木龍にリードアウトされた小野寺玲が先頭のままラスト200mの最終カーブをクリアした。

昨年も同じ宇都宮クリテリウムを制している「オノデライダー」。ゴール前に詰めかけた熱狂的なファンを湧かせる勝利をプレゼントした。

 

 

第5戦 Mt.富⼠ヒルクライム

6/7(日)  富士スバルライン(富士北麓公園)

24㎞?

6:55スタート?

(参考:開催概要 | 富士の国やまなし 第17回 Mt.富士ヒルクライム

 

今年初開催のレース。大会自体は2004年から行われており、アマチュア向け一般参加イベントとして愛されてきていたが、今年からJプロツアーの1ステージとしても利用されることとなった。

まだ正確な情報は出ていないようだが、おそらく距離は一般参加者たち同様の24㎞。富士北麓公園から富士山五合目まで。2015年までJプロツアーでも開催されていた富士あざみラインを使用したルートではなく、富士スバルライン(吉田口)を使用する。

公式サイトのスケジュールを確認するとJプロツアーのスタートは6:55らしいが・・・? 観戦は困難を極めそうだ。

 

 

第6戦 東広島サイクルロードレース 

7/4(土)  広島大学・東広島キャンパス(予定)

1周5.5㎞×17周=93.5㎞(予定)

 

昨年初開催のレース。全国第3位の広さを誇るという広島大学・東広島キャンパスの周辺道路の一部を使用。短いが最大15%ほどの勾配をもつ区間も含まれており、決してイージーなコースではない。

昨年は序盤から佐野淳哉、ホセビセンテ・トリビオ、入部正太朗、小野寺玲といった実力者集団が含まれた大きめな逃げが生まれるが、逃げ集団の中でも分裂と縮小が繰り返されて混乱したため、残り2周半ですべて吸収されてしまう。

そのあともアタック合戦が止まず常に展開が動き続けたが、最終周回の最後の登り区間で、総合リーダージャージを着ていた岡篤志がアタック。そのまま独走のままゴールに到達し、強さを見せつけた。

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第7戦 広島クリテリウム

‪7/5(日)  広島市商工センター(予定)

1周1.7㎞×30周=51㎞(予定)

 

JRの駅からも近く、広島に行ける人ならばJプロツアーの中でも屈指のアクセスのし易さを誇るのではないかと思われるこのレース。クリテリウムということもあり、逃げ切りはまず難しく、集団スプリントの中で勝機を見出すピュアスプリンターたちが輝くレースだ。

最後に競ったのは4名のピュアスプリンター。宇都宮クリテリウムの覇者・小野寺玲、昨年の大分アーバンクラシック前哨戦クリテリウムの覇者・黒枝咲哉、そしてブリヂストンサイクリングからは、咲哉の兄の士輝と沢田桂太郎が参加した。

勝ったのは士輝。宇都宮クリテリウムでは小野寺に敗れ2位、前日の東広島ロードレースでは集団先頭を取ったものの岡に逃げ切られの2位と悔しい思いを味わってきただけに、今回の勝利は嬉しかったようだ。

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第8戦 石川サイクルロードレース 

7/12(日)  福島県石川町(予定)

1周13.6㎞×7周=102.2㎞(予定)

 

激しいアップダウンを特徴とするハードコースで、逃げ切りや抜け出しが基本となるコースだという。また、時期的に梅雨明けが重なることが多く、暑さとの戦いとなることも多い。

そんな中、昨年は異例の大雨。気温も20度近くとかなり寒いうえに、展開としても異例の集団スプリントとなった。勝ったのは岡篤志。昨年に続き、宇都宮ブリッツェンによる石川ロード連覇となった。

なお、一昨年は35度を超える灼熱の中でのサバイバルレース。最後は経験豊富な鈴木龍が入部正太朗をスプリントで下して勝利していた。

今年も同様に暑さとの戦いとなれば、より実力を持ったタフな選手が生き残るサバイバル展開となることだろう。

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第9・10戦 群馬ロードレース8月大会/交流戦

8/22(土)・8/23(日)  群馬サイクルスポーツセンター

 

昨年から始められた、E1の選手の一部がJプロツアーで走ることができるという「交流戦」の2020年シーズン第一回。

10月にも開催が予定されており、昨年は6月と9月に開催されていた。そして、6月大会は1周6㎞のコースを30周する180㎞というJプロツアーとしては異例の長さを誇ったが、2日開催となった9月大会では13周78㎞と25周150㎞(ただし実際のレースでは台風の接近により78㎞に短縮)で行われた。今回の8月大会も2日間構成なのでどうなるかは不明。そのあたりは詳報を待とう。

いずれにせよ、コース自体は第1戦の東日本ロードクラシックと同じ。あとは長さと天気によって展開は色々と変化することだろう。

昨年の6月大会を振り返っておくと、距離と雨と寒さによって、集団が捕まえきれなかった逃げが決まった形となったが、残り3周の時点でメイン集団から飛び出した窪木一茂が一人で追いつき、同様に逃げに乗っていた石橋学とのコンビネーションでホセビセンテ・トリビオを打ち破って勝利した。 

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第11戦 JBCFチームタイムトライアルチャンピオンシップ

9/5(土)  栃木県渡瀬遊水池(予定)

1周5.3㎞×3周=15.9㎞(予定)

 

2018年に復活したチームタイムトライアル。今年で3回目となる。

チームとしての実力がはっきりと出るのがこのチームタイムトライアルという種目。2018年は宇都宮ブリッツェンが優勝、マトリックスパワータグが2位、そしてチーム・ブリヂストンサイクリングが3位と、国内最強3チームが表彰台を独占した。

そして昨年もこの3チームが独占。ただし、勝ったのはトラック選手の橋本を含めたブリヂストン。そして2位はマトリックスのままで、ブリッツェンが3位である。ブリッツェンは昨年は岡を出さなかったのも影響しているかもしれない。

参考までに、昨年の各チームの出場選手を確認。

 

  • ブリヂストン:黒枝士輝、孫崎大樹、徳田優、近谷涼、橋本英也、沢田桂太郎
  • マトリックス:ホセビセンテ・トリビオ、アイラン・フェルナンデス、佐野淳哉、小森亮平、狩野智也、安原大貴
  • ブリッツェン:鈴木譲、阿部嵩之、小坂光、堀孝明、小野寺玲

 

マトリックスは牽引役の佐野を失ったことは多少影響が出るか?

ブリッツェンは昨年TT王者の増田が出るかどうか。

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第12戦 JBCFタイムトライアルチャンピオンシップ

9/6(日) 栃木県渡瀬遊水池(予定)

1周5.3㎞×3周=15.9㎞(予定)

 

雨、風の影響を受けやすいステージではあるものの、概ね実力がはっきり出やすいのが個人TT。有力勢としては2017年覇者の佐野淳哉(レバンテフジ静岡)、2018年覇者の窪木一茂(ブリヂストンサイクリング)、そして2018年2位で昨年の全日本TT王者の増田成幸(宇都宮ブリッツェン)などが挙げられるだろう。

とくに佐野は新チーム・レバンテフジ静岡に貴重な勝利をもたらす重要なチャンス。もしかしたら例年以上に気合を入れて臨むことになるかもしれない。

なお昨年は台風のため中止。

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第13戦 南魚沼ロードレース

9/13(日)  新潟県南魚沼市・三国川ダム(予定)

1周12㎞×11周=132㎞(予定)

 

ダムを利用した高低差の激しい難関コース。一昨年までは激坂が特徴的だったが、昨年は方向を逆に。勾配が緩やかになった分登りの距離は長くなり、また違った難しさをはらむことに。今年はどっち周りになるかは、まだわからない。

ただ、一昨年も昨年も、勝ったのは結局、フランシスコホセ・マンセボ(マトリックスパワータグ)だった。とくに昨年は120㎞独走勝利というあまりにも圧倒的な勝ち方。他のコースと違い、登坂力が大きく反映されやすいコースだからだろうか。かつてツール・ド・フランス総合4位を経験しているレジェンドの本領発揮となった。

逆に、ここについていくことが今の日本人選手に必要な部分である。今年の南魚沼は、日本人選手の執念をぜひ見てみたい。

なお、自分の地元ということもあり、現地観戦に行きたいのだが・・・今年は日程的にかなり厳しいだろう。翌週に実家に帰る必要があるので・・

正直辺鄙なところなので観戦者も少なく、かつ自分が現地観戦した一昨年の方向なら激坂もあるため、かなりゆっくり走れる選手たちを間近で応援できる良いレースだと思う。

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第14戦 山口クリテリウム

9/26(土)  山口市山口県庁前?

1周1.3㎞×40周=52㎞?

 

2016年に開催され、2017年は台風で中止。そして昨年はチームタイムトライアルが開催されたため、今年で3回目となる。

一昨年まで開催されたものと全く同じであれば山口県庁前のコースを使用することになるだろう。ただし一昨年は名前が「維新やまぐちクリテリウム」だったので微妙に違うかも? 日程もまだ調整中で不明なところが多い。

一応2年前のことを確認すると、例に漏れず集団スプリントによる決着となり、黒枝咲哉(シマノレーシング)が初勝利。この1ヶ月後にも大分アーバンクラシック前哨戦クリテリウムでも勝利することになり、絶好調であることを示していた。

今年もクリテリウムレースは何度か開催されるが、共通する優勝候補としてはこの咲哉と士輝(ブリヂストンサイクリング)、小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)、今村駿介(ブリヂストンサイクリング)、そして今年からJプロツアー復帰となる愛三工業レーシングの大前翔や草場啓吾あたりにも注目しておきたい。

 

 

第15戦 秋吉台カルストロードレース 

9/27(日)  山口県美祢市(予定)

1周29.5㎞×5周=147.5㎞(予定)

 

その名の通り、日本最大のカルスト台地「秋吉台」を舞台にした豪華なレース。今年で4回目の開催となる。

勾配の厳しいアップダウンが繰り返され、とくに残り1㎞から始まる登りは150mの標高を一気に登るものであり、平均勾配15%の超激坂。「カルストベルグ」なんて呼ばれているとか。

昨年は個人総合優勝を巡るアウラールと岡、チーム総合優勝を巡るマトリックスパワータグとブリヂストンサイクリングによる熾烈な争いが展開。カルストベルグでアタックするマンセボに、統率力で集団コントロールを試みるブリヂストンの激しい鍔迫り合い。

最後のカルストベルグで飛び出した織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)と、これを追いかけて抜け出した岡、アウラール、マンセボ、石橋学(ブリヂストン)の5名が塊となってフィニッシュへ。

2vs1の状況に焦ったという岡が早駆けし、これを難なく捕らえたアウラールが逆転個人総合優勝を決める勝利を掴み取った。

そしてマンセボを3位に入れることにも成功したマトリックスもチーム総合優勝を決め、マトリックスは個人・チームのダブルクラウンを2年ぶりに達成したのである。

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第16・17戦 群馬ロードレース10月大会/交流戦

8/22(土)・8/23(日)  群馬サイクルスポーツセンター

 

2020シーズンJプロツアー最終戦は、群馬CSCを舞台にした交流戦の2回目。こちらも2日構成で開催される。

距離等については、昨年の9月大会を踏襲するのであれば、1周6㎞のサーキットコースを1日目は13周計78㎞、2日目は25周計150㎞となるだろうと思われる。

昨年の9月大会の展開を参考までに確認しておくと、1日目はオールイス・アウラールを中心として最終周回に形成された逃げが、心臓破りの坂でメイン集団に吸収。

この瞬間を狙っていたというヴィクトワール広島の谷順成が勢いよく飛び出し、集団もお見合いしたことにより、そのまま谷が逃げ切り勝利。

自転車競技人生で初の勝利を掴み取った。

 

2日目は6周目で13名の逃げが形成され、メイン集団もそこから飛び出した追走集団も追いつけないまま逃げ切りを確定させる。

11周目の心臓破りの坂で逃げ集団もバラつき始め、12周目でオールイス・アウラール(マトリックスパワータグ)と紺野元汰(イナーメ信濃山形)、のちに追いついてきたE1クラスの中里仁(ラファ・サイクリングクラブ)の3名による逃げが生まれる。そして最終周回の心臓破りの坂でアウラールが抜け出し、その強さを見せつけてシーズン3勝目を記録する(そのあとも3勝して結局この男は2020シーズンのJプロツアーで単独6勝を挙げることに)。

アウラールの強さはもちろん、最終的に2位につけた中里の強さとアグレッシブさもまた評価すべきものであった。E1クラスタが表彰台の2番目に立つという結果は、この交流戦の意義を感じさせるものとなった。

今年もまた、この交流戦で、E1クラスタの実力者たちがしっかりと目立てる結果となってほしい。

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以上、17レースを見てきたが、まだ日程やレース数には変化が起こる可能性はある。 

公式サイトや各種メディアの報道に注意していこう。

 

 

なお、Jプロツアーについては来年度2021年から「改革」を予定している。

チーム体制、レース体制は大きく変化する可能性があり、現時点での詳細は下記のリンクに詳しい。

www.cyclowired.jp

 

その全容はおそらく夏以降に少しずつ判明することになるだろう。

うまくいくかどうかはともかく、この変化が何かしら良い影響を与えるチャレンジとなることを願っている。

 

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