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ジャパンカップ・サイクルロードレース2019 プレビュー

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Class:アジアツアー HCクラス

Country:日本

Region:宇都宮

First edition:1992年

Editions:28回

Date:10/20(日)

 

いよいよこの週末に開催される「ジャパンカップ・サイクルロードレース」。

今年も、世界各国から有力選手たちが多数集い、古賀志の激坂を駆け上がる。

 

興奮間違いなしの国内最大のロードレースについて、コースおよび今年の注目選手たちをプレビューしていく。

 

 

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平均勾配10%の激坂勝負

ジャパンカップ・サイクルロードレースの最大の見所は、何と言っても獲得標高185mを1〜2㎞程度で駆け上がる、平均勾配10%の古賀志林道の登りである。

合計で14周するため、総獲得標高は2,600m近くに達する。

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とくに頂上までのラスト1キロは勾配が厳しく、毎年ここでのアタックが勝敗を大きく左右する。

 

そして、古賀志林道の頂上からゴールまでは約8㎞。

テクニカルな下りを含むそのレイアウトは、まるでミラノ〜サンレモやイル・ロンバルディアにも似て、古賀志で抜け出す登坂力・ダウンヒル能力・最後の平坦を逃げ切る独走力・そして小集団スプリントで勝つためのスプリント力のすべてを要求される、非常にバランスの良い見事なコースレイアウトといえる。

 

それがゆえに、このレースの勝者はその多くが、トップレースで活躍している選手たちである。

 

たとえば2005年・2008年の覇者ダミアーノ・クネゴ、2010年の覇者ダニエル・マーティン、2015年の覇者バウケ・モレマはいずれもイル・ロンバルディアを制している。2016年覇者ダヴィデ・ヴィレッラは翌年のブエルタ・ア・エスパーニャ山岳賞獲得者であり、今年もアスタナ・プロチームの強力な山岳アシストとして、グランツールでも活躍している。

 

今年も、ソンニ・コルブレッリやマイケル・ウッズ、ツール総合3位のステフェン・クライスヴァイク、モレマなど世界トップライダーが集結。

ただ、シーズン最終盤のため、すでに半分オフに入りかけている選手もおり、すべてのライダーがトップコンディションで挑めているわけではない。

結果として、伏兵的な存在が驚きの勝利を見せるときもある。

そして今年は、2015年に3位に入った新城幸也も参戦。

12年ぶりとなる日本人選手による優勝も、期待できるかもしれない。

 

 

今年の「古賀志王」の座は、誰の手に?

次の項目では、注目すべき「チーム」を確認していく。

 

 

注目チーム紹介

バーレーン・メリダ

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実力だけならば、登れるスプリンターのソンニ・コルブレッリがエース。直近のGPブルーノ・ベヘッリでも優勝しており、コンディションは悪くないはずだ。スプリンターではあるものの、古賀志くらいならば難なくこなせるだろう。

ただ、日本人としてはやはり新城幸也の勝利に期待したい。実際、彼は2015年には3位に入っており、エースを担う資格は十分にある。怪我からの復帰が遅れ、逆にほかのどの選手よりもコンディションが整っているとも言える。ブエルタ・ア・エスパーニャ最終日の集団スプリントでは15位。たとえば新城が古賀志でアタックを仕掛け、コルブレッリが集団に待機して、どちらでも戦える体制、というのも悪くないと思うんですがどうでしょう!?

そのほかにも、ブエルタ総合15位のヘルマン・ペルンシュタイナーや、ジロでニバリを献身的にアシストしたダミアーノ・カルーゾなど、強力なメンバーを揃えてきている。

古賀志で新城をアシストするカルーゾなんて絵を見れたら、卒倒しそうである。

 

 

EFエデュケーション・ファースト

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エースはもちろん、今年のミラノ〜トリノ覇者でイル・ロンバルディア5位のマイケル・ウッズ。ジャパンカップのレイアウトは彼にとって最も得意とするタイプと言っても過言ではない。トリノで見せたあの執念の走りを、古賀志で、目の前で、見たい。

そして、つい先日、今年いっぱいでの現役引退を発表したタイラー・フィニーも走る。元U23個人タイムトライアル世界王者。栄光を約束されたようでいながら、大きな事故にも遭い、少しずつ人生に対する価値観が変わる中、迷いの果てに導きだした結論だった。

彼が最後に、自転車をやっていて良かったと思えるような経験を、この古賀志で、日本で与えてあげたい。こんな極東の地で、これだけの人が彼を応援してくれていた、ということを。

 

 

チーム・ユンボ・ヴィズマ

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今年のツール総合3位のステフェン・クライスヴァイクが走る。その他、ブエルタで山岳アシストとしてログリッチェの総合優勝を支え、自らも区間1勝を遂げたセップ・クス、ロベルト・ヘーシンク、クーン・ボウマン、そして平坦アシストとして、ブエルタではトニー・マルティンに負けない集団コントロール力を見せたホフステーデも揃っており、そのままグランツールを走れそうなメンツ。半端ない。

ユンボは度々ジャパンカップへの情熱を噂されており、シーズンの開幕のタイミングでもうすでに立候補が何人も出て決まっているのだとかなんとか。

 

 

トレック・セガフレード

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我らが別府史之はもちろん、ジロ山岳賞&ツールでマイヨ・ジョーヌ着用のジュリオ・チッコーネや、イル・ロンバルディアを優勝したばかりのバウケ・モレマ、そしてこれからまだまだ成長を遂げること間違いなしの有望株イーグなど、こちらもかなりメンツが良い。

別府はどちらかというとルーラータイプなので、クリテリウムは優勝候補ながらもロードではエースを担うことはないだろう。優勝候補は2015年の覇者モレマ。そのためのアシストとして輝く別府を楽しみにしていよう。

 

 

ニッポ・ヴィーニファンティーニ

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2017年覇者マルコ・カノラはもちろん、今年のジロでマリア・ネッラを獲得した初山翔の黄金のエスケープを見てみたいし、今や国内最高峰クライマーの1人である中根英登も十分に優勝候補足り得ると思っている。

中根はシーズン序盤のツアー・コロンビアで区間5位に入るなど良いスタートダッシュが切れていたものの、そのあとはさほど振るわず、直近のイタリア秋のクラシックでも悔しい結果に終わった。ここで一発、リベンジかましておきたい。

そして、来期はデルコマルセイユへの移籍が決まった日本の若手期待株の1人、石上優大の走りにも注目。

 

 

他にも注目すべきチーム、選手は数あれど、キリがないのでこの辺で。

プロコンチネンタルチームも、日本ではなかなか見ることのできないワロニー・ブリュッセルがいたり、日本チャンピオンの入部正太朗は格好良かったりするのでぜひとも目に焼き付けておこう。

 

あと、個人的には、ミッチェルトン・スコットのトレーニーとしてやってくるジェームズ・フーシェにも注目。脚質はルーラータイプなので優勝候補ではないが、結構珍しいニュージーランドロード王者。ラグビー・オールブラックスでも有名なシルバーファーンがあしらわれたチャンピオンジャージは結構格好良いので、これを生で見られるのが楽しみだったりする。

ニュージーランド国内選手権ロードでも得意の逃げで掴み取ったフーシェ。今回も、逃げからのまさかの展開も、ありうるかも?

 

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