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UCIワールドカップ第4戦「ターボル」 DVVトロフェー第3戦「フランドリアンクロス」

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UCIワールドカップ第4戦「ターボル」

2015年世界選手権、2017年ヨーロッパ選手権の舞台ともなったチェコの名コース。

厳しい登りのセクションや、登りながらのシケイン(バニーホップを必要とする障害物)が用意され、テクニックも体力も十分に必要な難コースである。

 

過去、同じコースを舞台としたビッグレースで勝利しているファンデルポールはこの日も圧勝。スタートダッシュから先行し、しばらくはトーン・アールツの背中で過ごしたものの、3周目あたりから独走を開始した。

トーン・アールツは途中のミスで失速し、代わってマイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、マーラックス・ビンゴール)が単独でファンデルポールを追走するものの、周回を重ねるごとにタイム差は開いていく。

ファンデルポールは余裕をもって障害物を攻略。一方、ファントーレンハートやアールツは周回ごとに明らかな疲れを見せる。

体力の差で、圧倒的な違いがあることを今日も知らしめたファンデルポールであった。

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この日の着順は以下の通り。

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ファンデルハールは後続集団から抜け出し、単独でファンデルポールを追っていたファントーレンハートに追い付くものの、最終周回のシケインでバイクを降りて走ることを選択したため、大きく差をつけられて3位ゴールとなった。

序盤先頭で走っていたアールツは中盤のミスで遅れるものの、なんとか総合ランキング2位のヴァンアールト、3位のヘルマンスよりも上位でゴールすることができた。

(ヘルマンスはチームメートのため、譲ってもらった部分はあるかもしれない)

 

ヴァンアールトは結局この日も7位と厳しい結果に終わる。途中まではアールツよりも前にいたのだが・・・。

今年のヴァンアールトは、もうダメなのか?

 

 

UCIワールドカップの現時点での総合ランキングは以下の通り。

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開始前は15ポイント差だったヴァンアールトとのポイント差をさらに広げたアールツ。

今日は敗けてしまったファントーレンハートも90ポイント差で、ファンデルポールが残りWC5戦全てを優勝したとしても、125ポイント差を埋めるのは決して容易ではなく、アールツの総合優勝はかなり盤石になってきていると言ってよいだろう。

 

詳細な記事は以下を参照のこと。

記事の最後にはフル枠での映像もあるため、観られなかった人は確認しておこう。

www.cyclowired.jp

 

 

 

DVVトロフェー第3戦「フランドリアンクロス」

ベルギーの北部ハンメを舞台に行われたDVV第3戦。

シクロワイアードの記事でも言及されている通り、 WC第4戦の舞台となったチェコのターボルからは900kmを超える長距離。

別のシリーズ戦が土日に連戦されるシクロクロスならではの無茶な日程に、すでにDVV緒戦でアールツに差をつけられているヴァンアールトは不参加を決める。

逆に、同じく緒戦で4分以上もの大差をつけられたファンデルポールはしっかりと参戦し、勢いのあるスタートダッシュからいつものごとく独走を開始した。

 

いや、この日は独走ではなかった。

チームメートのトム・メーウセンを後ろに従えて、彼をアシストするような走りで周回を重ねていった。

しかしそれでも、周回ごとに、後続集団とのタイム差はどんどん開いていく。最後はメーウセンを切り離したファンデルポールが、集団先頭を獲ったローレンス・スウィークに1分50秒もの大差をつける圧倒的な勝利。

DVV総合首位トーン・アールツは後半失速し、追走集団にも潜り込めずに8位、ファンデルポールから2分以上遅れてのゴールとなった。

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フランドリアンクロス リザルト

 

DVV初戦「コッペンベルグクロス」にてまさかの大失速を経験し、4分以上ものタイム差をつけられてしまった*1ファンデルポール。

正直、DVVでの総合優勝はもうありえない、と思われていた中で、この日、2分差をひっくり返したことで、前代未聞の大逆転劇への可能性が一気に高まった。

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DVV第3戦までの総合順位とタイム差

 

もちろん、アールツを逆転するにはまだ2分近いタイム差が残っている。

残り5戦を、常に20秒以上ものタイム差をつけて勝利する、というのは本来であれば決して簡単ではない。

しかし、それでもファンデルポールなら、十分にありえてしまう、というのが恐ろしいところだ。

 

 

なお、この日、もう1人注目すべき走りを見せていた選手がいる。

それが、今年はディベロップメント・チーム・サンウェブに所属する22歳のオランダ人、ヨリス・ニューウィンハイスである。

 

前日のターボルでも8位と好走を見せていたこの男、今回のフランドリアンクロスでも常に追走集団の先頭付近を走り、実際に背中にファントーレンハウトやスウィークを従えて集団の前を先導する強さを見せつけた。

まだ22歳の若手。昨年まではU23カテゴリを走っていたこの期待の星は、今年このサンウェブのチームとして走り、周りに味方もいない中で孤軍奮闘、DVVフェルゼクリンゲン・トロフェーでは現在総合8位という見事な成績を出している。

 

来年はチーム・サンウェブへの昇格が決まっている彼は、北のクラシック要員の不足を補い、たとえばパリ~ルーベなどで驚くべき成果を出してくれるかもしれない。

シクロクロスではもちろん、来年のロードでも要注目の人物だ。

*1:DVVフェルゼクリンゲン・トロフェーは、他2つのシリーズ戦と違い、ロードレースのステージレースのような「総合タイム差」で争うこととなる。なお、中間ポイントも設定されており、そこでもボーナスタイムがもたらされる。