いよいよこの14日から開幕する、2018年シーズン最初のUCIワールドツアーレース、ツアー・ダウンアンダー。
今回は、このツアー・ダウンアンダーの全チームスタートリストと、それぞれのチームへの簡単なレビューを行っていく。
※年齢は全て数え年表記となっております。
※No.は直前で変更になる可能性もあります。
- 1~.BMCレーシングチーム(BMC)
- 11~.ボーラ・ハンスグローエ(BOH)
- 21~.ミッチェルトン・スコット(MTS)
- 31~.ロット・スーダル(LTS)
- 41~.UAEチーム・エミレーツ(UAD)
- 51~.ディメンションデータ(DDD)
- 61~.バーレーン・メリダ・プロサイクリングチーム(TBM)
- 71~.チームEFエデュケーションファースト・ドラパックp/bキャノンデール(EFD)
- 81~.チーム・サンウェブ(SUN)
- 91~.アージェードゥーゼル・ラ・モンディアル(ALM)
- 101~.アスタナ・プロチーム(AST)
- 111~.チーム・カチューシャ・アルペシン(TKA)
- 121~.エフデジ(FDJ)
- 131~.モビスター・チーム(MOV)
- 141~.クイックステップ・フロアーズ(QST)
- 151~.チーム・ロットNLユンボ(TLJ)
- 161~.チーム・スカイ(SKY)
- 171~.トレック・セガフレード(TFS)
- 181~.チームユニサ・オーストラリア(UNA)
↓コースプレビューや注目選手などはこちら!↓
1~.BMCレーシングチーム(BMC)
2014年~2017年のダウンアンダー覇者が勢揃いするという、メンバーだけ見たら最強チーム。実際、ポートは最有力優勝候補だし、万が一彼の調子が上がらなくともデニスやゲランスで狙うことができるというのは安心。昨年よりはクライマー向きとは言えないコースだが、それならばゲランスで狙えるのだから本当に隙がない。
スコットソンは昨年の国内ロード王者。昨年のダウンアンダーでは平坦牽引に活躍しまくっていたので、今年もその雄姿を見たい。昨年はこのダウンアンダー以外ではイマイチだったので・・・。
リッチー・ポート、2年連続の総合優勝なるか。また、ウィランガ・ヒル5連勝という記録樹立にも期待がかかる。
総合優勝 ★★★
スプリント ★★☆
逃げ ★☆☆
11~.ボーラ・ハンスグローエ(BOH)
昨年、7年ぶりの出場を果たしたものの、結局は勝利を掴めずに終わった世界チャンピオンが、再び舞い戻ってきた。今年こそ勝利できるか? ベネット、マッカーシー、ゼーリッヒといった昨年も連れてきた発射台メンバーだけでなく、右腕ボドナールと新加入のオスまで連れてきて、昨年以上の本気さが伝わってくる??
総合優勝は新加入のケノーで狙う。カデルエヴァンス・グレートオーシャンロードレース優勝者でもあり、オーストラリアのレースとの相性は悪くない。
サガンやマッカーシーに注目が集まりがちだが、ベネットも昨年調子の良かったメンバーの1人。ターキーでは怒涛のステージ4勝を叩き出した。
総合優勝 ★☆☆
スプリント ★★☆
逃げ ★☆☆
※ベネット、ケノーが体調不良という情報も有り。本戦に間に合うか・・・?
21~.ミッチェルトン・スコット(MTS)
ダウンアンダー最強のスプリンター、ユワンをエースに据える。この2年間でクリテリウム含め14ステージ中8勝。今年も早速国内選手権クリテリウムで優勝し、幸先は良い。
若干の不安材料は、直前の国内選手権ロードで、最後の最後、マッカーシーに力負けしたところ。優勝自体はチームメートのエドモンドソンが獲得したので良いのだが、今年は昨年のようなスプリントステージ全制覇、というのは難しいかも??
昨年ダウンアンダー最強の逃げスペシャリストであったバウアーも加わり、スプリントでも逃げでも活躍してくれそうだ。そして、総合優勝争いに、若きオールラウンダー、ハウスンが絡んでくる可能性も・・・?
見事、今年の国内ロード王者に輝いたエドモンドソン。今回のダウンアンダーは、ナショナルジャージの最初のお披露目式となるはずだ。
総合優勝 ★☆☆
スプリント ★★★
逃げ ★★☆
31~.ロット・スーダル(LTS)
グライペル、4年ぶりの復活。かつてこのダウンアンダーでは2回の総合優勝と16回のステージ優勝を叩き出している。年々クライマー向きになりつつあるダウンアンダーから暫く距離を置いていた彼が、この度、満を持して復帰。ユワンの独壇場をぶち壊すことができるか?
メンバーもそれに合わせて昨年までと一新。バク、ジーベルク、デビュッシェールというグライペル親衛隊を引き連れてきてやる気満々。もちろん、昨年山岳賞のデヘントや鉄人ハンセンなど、逃げでも十分に見所アリ。
ランブレヒトは昨年ラヴニール総合2位の期待のネオプロ。総合争いに、意外な形で絡んでくるかも? ライバルはベルナル。新人賞争いに注目だ。
2017年シーズンは振るわない結果となってしまったグライペル。例年と違ったパターンでのシーズン入りを目指す今年、全盛期を取り戻すことができるか?
総合優勝 ★☆☆
スプリント ★★☆
逃げ ★★★
41~.UAEチーム・エミレーツ(UAD)
昨年はブエルタ・サンフアンで1勝し、その勢いのままアブダビ・ツアーでの総合優勝を成し遂げていたコスタ。今年はおそらく初出場となるこのダウンアンダーで、同じく幸先の良いスタートを切りたいところ。
ウリッシも比較的相性の良いレースであり、コンディションによっては総合優勝も十分に狙える選手。個人的に好きな選手なので応援したい。
ただこのチームはガチガチに総合優勝を狙うというよりも、調整も兼ねた積極的な逃げを打つ方が多くなるだろう。モーリやボノなんかは必ずと言っていいほど逃げを狙ってくるはずだ。また、コンソーニもプロ2年目でまだまだ若手の選手ではあるが、昨年のツアー・オブ・ターキーでは連日上位に食い込む走りを見せていた期待のスプリンター。勝利までは狙えなくとも、今回のダウンアンダーでどこまで実力を見せてくれるか、楽しみである。
総合優勝 ★★☆
スプリント ★☆☆
逃げ ★★☆
51~.ディメンションデータ(DDD)
2013年総合優勝者スラフテル、昨年ツアー・オブ・カリフォルニア新人賞のモートンあたりに注目。レンショーは昨年はイマイチだったが、基本的にダウンアンダーのスプリントには強い選手。
ドラミニ、デイヴィスといったネオプロや、昨年のダウンアンダー・クラシックでネオプロながら勇気ある単独エスケープを見せたオコナーなど、若手の割合が多い構成となっており、成績よりも選手たちの経験を積ませることに力点が置かれていると見ることもできるだろう。
彼ら若手の逃げに期待していきたい。
総合優勝 ★☆☆
スプリント ★☆☆
逃げ ★☆☆
61~.バーレーン・メリダ・プロサイクリングチーム(TBM)
ポッツォヴィーヴォやゴルカを加えた、バーレーン・メリダの新総合チームのお披露目式。昨年はニバリ班だったボアーロやアニョーリも加わり、結局はニバリしか目立てなかった昨年へのチームとしての反省の色が随所に見られる。
スプリンターで核となる選手がいないため、場合によっては新城がスプリントに参加する可能性も・・・? 楽しみにしたい。ボアーロは2年前のダウンアンダーの逃げでも目立っていたので、そちらも期待。ボアーロの顔はコアラに似ているのでオーストラリアのレースとは相性が良い筈(失礼)。
昨年に続き参戦。今年は1月から目立ってくれるか? 怪我には注意。
総合優勝 ★★☆
スプリント ★☆☆
逃げ ★★☆
71~.チームEFエデュケーションファースト・ドラパックp/bキャノンデール(EFD)
名前が長い。
基本は逃げを中心に少しでも目立つことが目標。とはいえ、コンディション的には悪くないはずのオーストラリア人の割合が多いのと、クラークやモレーノでの総合上位狙いも十分に可能性がある。
そもそもこのチームは期待していないときに意外な活躍を見せてくれるチームなので、我々としては期待しないようにしつつ期待したいところである。
昨年爆発したウッズも、元はこのダウンアンダーでその片鱗を見せていたりした。その意味で、今回は元アクセオンのネオプロ、オーウェンくんの頑張りに密かな注目を向けておこう。
総合優勝 ★☆☆
スプリント ★☆☆
逃げ ★☆☆
81~.チーム・サンウェブ(SUN)
メンバーの平均年齢が25歳を切るという、驚異の若手率。だからといって勝ちを捨ててるわけでは決してなく、昨年カデルエヴァンス・グレートオーシャンロードレース優勝者のアルントが、ドーフィネで1勝しているバウハウスを引き連れて本気で勝利を狙ってくるはずだ。
またハミルトンはウィランガ・ヒルなどでも良い走りを見せる元Unisa選手だし、ストーラーも昨年新人賞2位の、オージー期待の若手の1人である。十分に目立てる可能性のあるチームだと言えるだろう。
総合優勝 ★☆☆
スプリント ★★☆
逃げ ★☆☆
91~.アージェードゥーゼル・ラ・モンディアル(ALM)
このチームこそ、逃げに積極的に乗って目立たなくてはどうしようもないチーム。乗ったとしても勝利までは期待しづらいチームでもあるのだが・・・ガスタウアーとか、モンタグーティとか、逃げに乗ったときの勢いは良いんだけどねぇ。
ラトゥールの新人賞獲得は少し可能性あるかも。
総合優勝 ★☆☆
スプリント ☆☆☆
逃げ ★☆☆
101~.アスタナ・プロチーム(AST)
ここもAG2R同様、総合では正直どうしようもない(LLサンチェスが少し可能性あるくらいか?)ので、逃げで頑張るしかないチーム。
ただ個人的には、ミナーリの活躍に期待したいところ。さすがに勝利までは取れなくとも、ステージ上位に何度食い込めるかどうか。同じイタリア若手スプリンターのコンソーニと熾烈な争いを繰り広げてほしいところ。
総合優勝 ★☆☆
スプリント ★☆☆
逃げ ★☆☆
111~.チーム・カチューシャ・アルペシン(TKA)
昨年総合4位の新加入ハースをエースに据え、アシストとしてもゴンサルベスやマシャド、昨年新人賞のレストレポなどを揃えかなり本気で総合優勝を狙う布陣だ。
スプリントでは勝利を狙えそうな人材がいないのが残念。せめてプランカートルがいればなぁ。
移籍して早速チームのエースを任されるハース。昨年は惜しくも逃した表彰台を今年こそは!
総合優勝 ★★☆
スプリント ☆☆☆
逃げ ★☆☆
121~.エフデジ(FDJ)
いつもはエースのアシストを担うモラビトやプライドラー、チモライなどがそれぞれのエースとして参戦。まだコンディション的にも十分ではないだろうから結果までは求めないが、うまくハマれば勝利も狙える実力者たちだ。
あとはデュシェーヌやルーの逃げに期待、かなぁ。
総合優勝 ★☆☆
スプリント ★☆☆
逃げ ★☆☆
131~.モビスター・チーム(MOV)
昨年は赤いジャージのチームが多くてこのダウンアンダーから混乱していたが、今年はこのモビスターがアスタナに寄せ過ぎてしまって紛らわしい!と感じるダウンアンダーになるかもしれない。
チームとしてはまあ、もともと本気でこのレースに臨むチームではないのでこんなところか、といったところ。スペイン期待の星ソレルがウィランガ・ヒルでどんな走りを見せてくれるかということと、昨年も逃げで目立ったズッターリンに今年も期待、といったところか。
総合優勝 ★☆☆
スプリント ★☆☆
逃げ ★☆☆
141~.クイックステップ・フロアーズ(QST)
新チームに鞍替えしたヴィヴィアーニの早速のデビュー戦。例年この時期は南米のステージレースへの参加が多かったが、今年はキッテル親衛隊のサバティーニ、クリストフ親衛隊のモルコフを引き連れてオーストラリアへ。きっと「2位」は大量獲得してくれるはず・・・! 冗談はさておき、今年のジロに向けた調整としての意味合いも大きいとは思うので、そのコンビネーションの具合を確かめておきたい。
総合優勝狙いの選手としてはカペッキとマス。とくにマスは、調子が良ければ新人賞も狙っていけるかもしれない。
昨年の悔しいジロ不選出からの、大逆転のシーズン後半を過ごしたヴィヴィアーニ。心機一転で更なる結果を出すことができるか。
総合優勝 ★☆☆
スプリント ★★☆
逃げ ★☆☆
151~.チーム・ロットNLユンボ(TLJ)
ベネットとヘーシンクで総合上位を狙うことは十分に可能だろう。とくにベネットは先日も国内選手権に参加したばかりで、そこでも4位と悪くはなかった。21歳のときにブルゴス新人賞を獲得したオリフィエもアシストとして役立つ。
このチームの特徴は逃げに積極的である点だが、メンバーの顔触れはどちらかというと北のクラシックスペシャリストたちであって、逃げスペシャリスト、といった感じではないのだが若干不安。バッタリンが第2ステージとか第4ステージでいい逃げを見せてくれるかも。
仕上がりは悪くないはずのベネット。昨年から続く良い流れを継続していけるか?
総合優勝 ★★☆
スプリント ★☆☆
逃げ ★★☆
161~.チーム・スカイ(SKY)
サンウェブ以上に平均年齢が低い。それもそのはず、今年デビューの選手が3名*1、昨年デビューの選手が2名である。ベテラン役も比較的若めの選手で、控えめに言ってやり過ぎである。
それでも期待してしまうのは、やはり期待の若手衆が揃い踏みだからである。ベルナルは果たしてどこまでやれるのか。新人賞候補の1人である。
そして元U23世界チャンピオンのハルヴォーシュンと、元U23英国ロードチャンピオンローレス。昨年のラヴニールでも激しくやり合ったライバル同士だが、どっちがスプリントのエース獲るの?大丈夫?ゴール前で揉めない??
世界が注目する大型新人・ラブニール覇者ベルナル。ウィランガ・ヒルで、ポートに喰らいつくなどしたら驚きである。
総合優勝 ★★☆
スプリント ★★☆
逃げ ★☆☆
171~.トレック・セガフレード(TFS)
ここも若手を比較的多めに連れてきた。ネオプロも2名。個人的に注目しているのは2年前アクセオンでカリフォルニア等で活躍したゲレイロ。昨年ダウンアンダーの難関パラコーム登りフィニッシュにて7位。ブルターニュ・クラシックでも6位を獲るなど純粋なスプリント力もあり、コンディション次第では今回のダウンアンダーをかき回す選手の1人となれるだろう。
昨年は晴れてポルトガルロード王者にもなっているので、ナショナルジャージを着用しての参戦となる。
別府選手は初参戦? 開幕から日本人選手揃い踏みというのは嬉しい。
総合優勝 ★☆☆
スプリント ★★☆
逃げ ★☆☆
181~.チームユニサ・オーストラリア(UNA)
毎年恒例のナショナルチーム。Unisaとは南オーストラリア大学のことで、ダウンアンダー全体のスポンサーも務めている。
ボーデンとポーター、ロー、ヴォンホフは、昨年のオーストラリア国内シリーズのチームランキング1位*2である「ベネロング・スイスウェルネス・サイクリングチーム」に所属。デンプスターとアールはイスラエルサイクリングアカデミー、ウェルスフォードは今年新設のプロサイクリングチーム「オーストラリアン・サイクリングアカデミー」に所属している選手である。
アールはチーム右京所属だった昨年も参加しており、ウィランガ・ヒルで区間6位に入るなどの好走を見せる。ヴォンホフも2015年ダウンアンダー初日ステージで驚きの勝利を見せている選手で、今年の国内選手権クリテリウムでも2位。十分活躍が期待できる。
一方、このチームの魅力は、今後の活躍が期待される若手オーストラリア選手をチェックできるという点があり、ハミルトンなども元々このチームで走って活躍していた。しかし今回のUnisaはベテラン選手の割合が大きく、若手が少な目なのが残念である・・・まあ昨年の若手は活躍できなかったしなぁ。
ボーデン、ポーター、ウェルスフォードは今のところまったくその実力を知らない選手たちではあるが、今回のダウンアンダーでどんな走りを見せてくれるのか・・・楽しみである。
チーム右京で活躍してくれたアール。今後も注目していきたい。ジロ出場の可能性もあるかも?
総合優勝 ☆☆☆
スプリント ★★☆
逃げ ★☆☆
19チーム、全133名。
内、オーストラリア人28名(21.1%)
イタリア人19名(14.3%)
スペイン人9名(6.8%)
全体の平均年齢:29.0歳