各種ステージレースが次々と展開され、ビッグネームたちがこぞってシーズン入りしている2月。
ワールドツアーレースが本格化していく3月を前にして、今年の有名選手たちの「足の調子」を見るにはちょうどいい時期である。
今回はこの、2月期の主要レースを振り返っていきたい。
- ドバイ・ツアー(2.HC)
- エトワール・ド・ベセージュ(2.1)
- ヴォルタ・ア・バレンシアナ(2.1)
- ツアー・オブ・オマーン(2.HC)
- ブエルタ・アンダルシア(2.HC)
- ヴォルタ・アン・アルガルヴェ(2.HC)
- ツール・ド・ランカウイ(2.HC)
- アブダビ・ツアー(2.WT)
- オンループ・ヘット・ニウスブラッド(1.WT)
- 一覧(1月~2月期)
ドバイ・ツアー(2.HC)
アジアツアー・クラスHC / アラブ首長国連邦
詳細は以下を参照。
中東のドバイ首長国を舞台にした、「スプリンターのためのステージレース」。
唯一の登りゴールであるハッタ・ダムステージが砂嵐のためにキャンセルになったことで、本当に純粋にスプリントだけで争われたレースとなった。
優勝はやはりこの人、当代最強のスプリンター、マルセル・キッテル。
カヴェンディッシュはまた今年も届かなかった。
一方で、苦難のシーズンを乗り越えたジョン・デゲンコルブはなんとか1勝をもぎ取るなど健闘。全ステージを通しても上位でのゴールが多く、今後さらなる活躍が期待できる。
また、昨シーズンからその存在感を高めつつあるオランダの新鋭スプリンター、ディラン・フルーネヴェーヘンも好調で、ステージ勝利こそ獲れなかったものの常に上位にランクインしていた。
エトワール・ド・ベセージュ(2.1)
ヨーロッパツアー・クラス1 / フランス
3つあるスプリントステージがすべて登り基調のフィニッシュであり、その結果、登りにも強いアレクサンダー・クリストフが1勝、アルノー・デマールが2勝という結果となった。
その他、起伏の多い逃げ切りステージでカルメジャーヌが、登りで終える個人TTでトニー・ギャロパンが勝利するなど、中堅所で実力のあるフランス人選手たちがこぞって結果を出したステージレースであった。
総合優勝はカルメジャーヌ。昨年ブエルタでブレイクしたフランスの新鋭。アラフィリップと同年。今後は更なる飛躍を果たし、各種ステージレースの総合争いに加わっていけるか、見ものである。
ヴォルタ・ア・バレンシアナ(2.1)
ヨーロッパツアー・クラス1 / スペイン
まずはナイロ・キンタナが危なげなく総合優勝。
今年も問題のないシーズン入りを果たした。
トニー・マルティンのシーズン1勝目は、得意の山岳ステージ大逃げ。母国開催の今年のツール初日TTは何としてでも勝ちたいマルティン。少しずつ調子を上げていきたいところだ。
そして、ブライアン・コカール、マグヌスコルト・ニールセンといった、若手のスプリンターたちが着実に勝利を獲得できたレースでもあった。
ツール・ド・フランスでの勝利を果たしてまずは一人前。そこに照準を合わせ、足を磨いていこう。
ツアー・オブ・オマーン(2.HC)
アジアツアー・クラスHC / オマーン
名物「グリーンマウンテン」で有名な中東レース第2弾。
昨年優勝者のニバリが欠場する代わりにロマン・バルデやファビオ・アルといった選手に注目が集まったが、最終的に勝ったのはベン・ヘルマンス。
去年もブルゴス1周で総合2位だったりと、山岳では実績のある選手だが、グランツールなどでの活躍が少ないため、結構意外に感じたものだ。
そして特筆すべきはクリストフ圧巻の3勝。
やはり中東との相性は非常にいい男である・・・あとはグランツールで、もっと実績を出せればいいのだが。
総合優勝は逃したファビオ・アルだが、グリーンマウンテンでも2位に入り、総合3位はキープしたので、決して悪いというわけではないだろう。むしろ総合10位に沈んだロマン・バルデが心配である。
ブエルタ・アンダルシア(2.HC)
ヨーロッパツアー・クラスHC / スペイン
通称「太陽の道(ルタ・デル・ソル)」とも呼ばれるスペインの伝統的なステージレース。
それゆえ、多くのトップライダーたちが参戦。起伏の激しい中級山岳ステージで鎬を削った。
コンタドールは積極的な走りを見せ、バルベルデはそれを上回るポテンシャルを発揮。ティボー・ピノもとりあえず区間勝利も飾りながら悪くないシーズンのスタートを切った。
総合上位にはそれ以外にもワウト・プールス、ディエゴ・ローザ、ミケル・ランダなど、今年の活躍が期待できる強豪クライマーたちがひしめいており・・・しかもこの3人はすべてチーム・スカイである。
ヴォルタ・アン・アルガルヴェ(2.HC)
ヨーロッパツアー・クラスHC / ポルトガル
詳細は以下を参照。
クライマーというよりはTTも強い選手が多く総合優勝しているポルトガルのステージレース。そのため、個人的にプリモシュ・ログリッチェに注目していたのだが、見事総合優勝を果たしてくれた! さすがだ!
そして同じく優勝候補であったミハウ・クフャトコフスキも総合2位。ログリッチェを突き放す走りはできなかったものの、昨年の不調を思えば、シーズン入りの仕方としては十分。
一方で、第2ステージには勝利したダニエル・マーティンが、TTは仕方ないにしても第5ステージでは存在感を発揮できなかったのが残念。昨年ほどの活躍はできないか? それともしっかりとここから持ち直してくれるか?
スプリントでもトップスプリンターを打ち破ったガヴィリアの強さ、そしてデゲンコルブを倒し勝利したグライペルの調子の良さが目立った。
ツール・ド・ランカウイ(2.HC)
アジアツアー・クラスHC / マレーシア
東アジア・東南アジア地域では最大規模となるレース。こんな名前だけれども、ここ最近はランカウイ島は使ってないらしい。
HCクラスのレースなのに、ワールドツアーチームは、昨年の総合優勝を輩出したディメンションデータだけ。しかもディメンションデータも、昨年総合優勝のレイナルト・ヤンセファンレンズバーグは出場しないというありさま。あらゆるスター選手を、同じアジアツアーのアブダビ・ツアーに獲られた結果である。
しかしそれだけに、普段のレースでは見られない戦いが見られるということで好きな人は好きらしい。
総合優勝はやはりディメンションデータのライアン・ギボン。今年23歳になる南アフリカ人。去年のレイナルトといい、南アフリカ人の有力選手の発掘には役立っているのかもしれない。
・・・もっとアジア人が頑張ってほしいところではあるが。
ステージ2勝している選手が2人。
1人はヤコブ・マレツコ。ウィリエール・トリエスティーナのエーススプリンター。昨年も12勝。今年まだ23歳と若さも武器。ドバイ・ツアーやツアー・オブ・オマーンでも、トップスプリンターたちに混ざって上位に食い込む姿も。
もう1人は今年28歳のアメリカ人、トラヴィス・マケイブ。今年はサンツアーでも1勝しており、昨年はツール・ド・サンルイスなどでも上位に来ていた。今年はワールドツアー入りしたのでさらなる活躍が期待できる。たとえばツアー・オブ・カリフォルニアとかね!
アブダビ・ツアー(2.WT)
ワールドツアー / アラブ首長国連邦
詳細は以下を参照。
昨年までは10月に開催されていた当レースが、今年ワールドツアー昇格を決めながら急遽開催中止となってしまったツアー・オブ・カタールの代わりに2月に移動。そして(金の力か)あらゆるスター選手をかき集め、さながらグランツールの如きメンバーを揃えての開催となった。
とはいえトップクライマーたちは「ただ出た」だけ、というような感じだった。その中でキンタナを、コンタドールを、ニバリをすべて突き放して勝利を掴んだのが今期調子のいいルイ・コスタ。そしてイルヌール・ザッカリンとトム・デュムランという、今後のグランツール制覇を見据えたオールラウンダーたちであった。
そしてスプリンターたちの戦いも見事であった。
とくにカレブ・ユワン。
第2ステージは残念だったが、その借りをすぐさま第4ステージで返却。
その強さ、もはや揺るぎなし。
今年はグランツールでの2勝目を見てみたいところだ。
オンループ・ヘット・ニウスブラッド(1.WT)
ワールドツアー / ベルギー
詳細は以下を参照。
一覧(1月~2月期)
勝者平均年齢:28.3歳
※クラス1以上。国内選手権や大陸別選手権は除外。