激しい雨が降りしきるキアンティ・クラシッコ。後半の総合勢が走るタイミングではゴール直前が激しい雨に見舞われ、落車も多発する状況となった。ツール・ド・ロマンディでも好走を見せ、大きな期待がかけられていたロシアの新星イルヌール・ザッカリンも、第1計測ではかなりの記録を残しながら、途中の落車によって大きくタイムを失った。ステージ優勝とマリア・ローザ奪還も期待されていたトム・デュムランも、1位から2分近くの差をつけられてのゴールとなった。
その中で、前半でスタートしたプリモシュ・ログリッチェが、見事なステージ優勝を果たした。元スキージャンプ選手という異色の経歴を持つこの青年は、第1ステージでも優勝したデュムランに0.03秒差という僅差で2位につけている。紛うことなき実力者であり、ザッカリンと並んでロシアの次代を担う選手となるかもしれない。
2位に10秒もの差をつけてゴールするログリッチェ。jsportsより。
ゴール直前でも再び落車したザッカリン。マリア・ローザを見えていただけに残念な結果に終わった。jsportsより。
総合優勝候補のメンバーの中では、ニバリがログリッチェから2分13秒遅れで最も良いタイム。バルベルデはそこから11秒遅れており、不安視されていたランダはバルベルデよりも4秒速いタイムを叩き出した。2年前の同じく長距離TTで圧倒的な走りを見せたリゴベルト・ウランはログリッチェから4分12秒遅れと、ニバリから数えればほぼ2分の遅れを喫し、総合争いからほぼ脱落する結果となった。マイカはニバリから43秒遅れ、チャベスはニバリから1分35秒遅れである。
そんな総合争いの中で、驚きの走りを見せたのが、新人賞ジャージを着用するボブ・ユンゲルス。なんとログリッチェから45秒遅れのステージ6位。デュムランよりも1分13秒速いという結果を叩き出し、失速したザッカリンに代わりマリア・ローザ着用候補に一気に躍り出た(ステージ開始前は総合14位である)。
だがさらに驚きの走りを見せたのが、マリア・ローザを着るジャンルーカ・ブランビッラである。昨日のまさかの総合1位獲得から一夜明けて、今日はその栄誉をたっぷりと浴びながらゆっくりゴールする日…などと、本人はまったく思っていなかったようだ。全力の走りを見せた結果、なんとニバリよりも8秒速いタイムでゴール。総合タイム差でもユンゲルスとの1秒差をギリギリで守り、連日のマリア・ローザ着用を果たした。
結果として、総合1,2位をエティックス・クイックステップが独占する結果となった。もちろんユンゲルスの新人賞ランキングは盤石なものとなり、クラシックシーズンが不調に終わったエティックスが、ここに来て存在感を現しつつある。
波乱の第1週も終わりを告げ、いよいよジロも中盤戦に突入する。休息日明けの第10ステージはいきなり総合争いが激化しそうなステージとなっているだけに、目が離せないものとなるだろう。
昨日に続きマリア・ローザを着用するブランビッラ。jsportsより。
第9ステージを終えての総合順位。1位と2位とのタイム差は実に1秒! jsportsより。
【参考:第9ステージにおける総合勢のタイム差】
1.ヴィンツェンツォ・ニーバリ
2.ミケル・ランダ(+7秒)
3.アレハンドロ・バルベルデ(+11秒)
4.ラファル・マイカ(+43秒)
5.エステバン・チャベス(+1分35秒)
6.リゴベルト・ウラン(+1分59秒)
「3強」はしっかりとタイム差をまとめてきた形となる。とくにランダがしっかりとキープできたことで、まだまだ総合優勝争いは予想がつかない状態だ。
一方で得意のはずのTTでこの結果となり、ウランは総合優勝争いがかなり厳しくなってきたか。あとは表彰台争いで、どこまでマイカとチャベスが挽回してくるか。チャベスは現状の総合上位にいるわけではないが、ここ数回の山岳ステージではよい走りを見せているだけに期待したいところだ。