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フレッシュ・ワロンヌ2016

 アルデンヌ・クラシック第2弾。別名「水曜日のクラシック」。名物の「ユイの壁」は全長1.3kmで121mを登る、平均勾配9.3%、最大勾配も一説では26%に到達するという激坂。動画を見ればわかるが、単発でも足をついてしまいそうな勾配が、カーブを曲がるたびに延々と続いていく。ここを集団で駆け上がっていくプロトンの姿は、プロの自転車選手の凄さを改めて実感させてくれる。


Huy Climb

 レースはモビスターとカチューシャが中心となってコントロール。かなりのペースで集団を絞りつつ、勝負はラスト1.3kmのユイの壁での決戦にもつれ込む。

 役者は揃っていた。2012年優勝かつ2015年ツールのユイの壁ステージで優勝したホアキン・ロドリゲス。2014年2位でツールのユイの壁は4番目に登り切ったダニエル・マーティン。そして昨年度初出場で2着となったジュリアン・アラフィリップ。しかし昨年、一昨年と連勝し、合計3勝しているアレハンドロ・バルベルデが、頭一つ飛び抜けている印象。直近のステージレース、ブエルタ・ア・カスティリヤ・レオンでもステージ2勝と総合優勝を果たしており、絶好調このうえない、といった様子だ。

 ホアキンが先行する場面もあったものの、その直後のダニエル・マーティンのペースアップでホアキンは脱落。直前のアムステル・ゴールド・レースでの落車が響いているのか、本調子ではなかったのかもしれない。そしてバルベルデは、落ち着いてマーティンの背中に張り付いている。

 最後のカーブを曲がり直線へ。ここでバルベルデがマーティンの前に出てラストスパート。アラフィリップもこれに食らいついていくものの、バルベルデの勢いは衰えず、差は少しずつ開いていく。そしてバルベルデ、ゴール!

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https://twitter.com/doriko666/status/722795851899228162

 最多優勝経験者となっただけあって、レース運びに抜群の安定感をもち、ライバルの動きを抑えつつ適切なタイミングで攻撃を仕掛けてその勝利をつかみ取った。今年はジロ初出場とのことだが、この勢いのまま、マリア・ローザも獲得してしまいそうにも感じられた。

 

 ゲスト解説として登場した新城幸也選手も繰り返し強調していたように、このユイの壁で勝負できる選手は限られている。それ以外の選手が勝利を手にしようと思うならば、「遠くから」アタックを仕掛けて逃げ切るほかない。

 残り6km、「コート・ド・シュラーブ」の登りで鋭いアタックを仕掛けたティム・ウェレンスも、そのように考えていたのかもしれない。パリ~ニース最終ステージでコンタドールとポートとともに逃げステージ勝利を飾り、先日のアムステルゴールドレースでも残り7kmからのアタックで果敢に攻めた24歳の有望株である。

 一時はそれなりに開いた距離も、集団の先頭をエティックスが懸命に牽いたこともあり、残り2kmで一気に吸収された。やはり勝負はユイの壁へ。ウェレンスはここでも残念な結果にはなってしまったが、いつかはこのアルデンヌ・クラシックで勝利する日も近いだろう。もしかしたらそれはこの週末かもしれない。(あるいはイル・ロンバルディアでの勝利のほうが早いか?)

 

 意外な結末の続いた先週・先々週とは対極に、下馬評通りの強さを見せつけた選手が勝ったフレッシュ・ワロンヌ。一方でアラフィリップ、ウェレンスと、若い選手も着実に育ちつつあるところも見えてきている。次なるクラシック、「モニュメント」リエージュ~バストーニュ~リエージュは果たしてどのような結末になるのか。楽しみは尽きない。

 

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