コースプレビューに続き、注目選手を紹介。
今回のアルプスは絶対的に強い選手が少なく、若く地味だけど実力のある選手たちが総合上位に入ってくる可能性があり、非常にわくわくする。解説しがいがあるというか・・・。
なお、ピュアスプリントを期待できるステージもないし実際スプリンターもほぼいないので、今回は総合上位候補のみ紹介。
以下記載の年齢はすべて、2019/12/31時点のものとなります。
- 1.ヴィンツェンツォ・ニバリ(イタリア、35歳)
- 13.ラファル・マイカ(ポーランド、30歳)
- 21.ペリョ・ビルバオ(スペイン、29歳)
- 41.アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、23歳)
- 55.パヴェル・シヴァコフ(ロシア、22歳)
- 64.エリー・ジェスベール(フランス、24歳)
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1.ヴィンツェンツォ・ニバリ(イタリア、35歳)
バーレーン・メリダ(TBM)所属
ジロ2勝を含む3大グランツール全てを制し、モニュメントもイル・ロンバルディアを2回、ミラノ〜サンレモを1回勝っている、ある意味で現役ライダー最高の実績を持つ男である。
2017年もジロとブエルタの両方で表彰台に登る。昨年はツールに焦点を合わせるも、調子の好悪を判断する前にアクシデントによって途中退場してしまった。
今年は再び、「ホームグラウンド」のジロを第1優先とする。そのあとのツール出場も予定しているが、まずはジロ。
今年は例年と比べてもかなりレース出場数を抑えている様子のニバリ。今回はミラノ〜サンレモ以来のレースとなる。
4/1〜4/15の日程でテネリフェでのキャンプに参加。帯同しているコーチのパオロ・ズロンゴ曰く、「マスカ山(登坂距離4.5㎞、平均勾配12%)での登坂タイムは、彼が最も調子の良かったシーズンと同等のものを示している」とのこと。
昨今、来期のトレック・セガフレード移籍がまことしやかに囁かれる彼が、どれだけの走りを見せられるか注目したい。
13.ラファル・マイカ(ポーランド、30歳)
ボーラ・ハンスグローエ(BOH)所属
2013年のジロ総合7位、2014年のジロ総合6位。同年のツールではステージ2勝と山岳賞を持ち帰り、翌年のブエルタでは総合表彰台に登りさえした。誰もが、2010年代後半におけるグランツール優勝候補の1人と考え、ボーラ・ハンスグローエにおける、サガンと並ぶ2大スターの1人と考えたことだろう。
しかしこの2年、彼はグランツールの総合TOP10からは遠ざかることとなった。完全なる失速。1週間のステージレースですら、その存在感を示すことがほとんどなくなってしまった。
今年、彼はツールをパスし、ジロとブエルタに集中することとなる。仕切り直し。ある意味で、最後のチャンスだ。
チームは彼に対してどんな思いを抱いているのか。今回のボーラは、ピュアスプリントステージなど一切ないにも関わらず、完全なるアッカーマンのためのスプリント体制。マイカに与えられた山岳アシストはポリャンスキのみ。
この逆境の中で成果を出すことが求められている。元・ポーランド最強の若手は、再び栄光を取り戻すことができるか。
21.ペリョ・ビルバオ(スペイン、29歳)
アスタナ・プロチーム(AST)所属
元エウスカルテル。プロコンチネンタルチームのカハルラルを経て、2017年からアスタナ入り。フルサングやロペスの有力アシストとしての活躍が期待された彼だが、昨年のジロ・デ・イタリアではロペスの総合3位をアシストしつつ自らも総合6位に入る快挙! しかもそのまま間をおかずクリテリウム・ドゥ・ドーフィネに出場してステージ優勝をするなど、驚異のタフネスさも発揮した。
今年に入ってからもバレンシアナ総合3位、ムルシア総合3位、アンダルシア総合4位など実績も積み上げている。
クライマー同士のスプリントにも強く、独走力も高い彼のポテンシャルはもはやアシストの域を超えており、今大会ではついに、単独エースの座を与えられた。ここでぜひ、結果を出したいところ。昨年も開幕ステージで1勝しているこのレースとは、相性も良いはずだ。
41.アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、23歳)
ガスプロム・ルスヴェロ(GAZ)所属
昨年のベイビー・ジロ(U23版ジロ・デ・イタリア)総合優勝者にして、ツール・ド・ラヴニール総合4位の、シヴァコフに続くロシア期待の若手。
あえてワールドツアーへは行かず、2020年まで母国ロシアのプロコンチネンタルチームで経験を積むことにした彼は、今年もブエルタ・アンダルシア総合8位や、ジロ・デ・シチリア総合4位など結果を残しつつある。今回のアルプスでどれほどの成果を出せるか。彼もまた、間違いなく2020年代の中心になりうる存在だ。
55.パヴェル・シヴァコフ(ロシア、22歳)
チーム・スカイ(SKY)所属
今大会のスカイのエースナンバーを着るのはケニー・エリッソンド。昨年のこのアルプスでフルームを支え、その勢いのままジロでも最も重要な局面でフルームをアシストした彼は、今回もフルームと共にアルプスへ。しかし、エリッソンドにせよ、今年はジロを狙わないフルームにせよ、本当に今大会のスカイのエースなのだろうかと言われると、疑問符がつく。
だから私は今回、このシヴァコフを推しておきたい。2017年のベイビー・ジロ&アオスタ&リザールを制するという、チクリッシモ曰く「エリートで言えばトリプルクラウンに相当する快挙」を成し遂げたという逸材。ベルナルと共に鳴り物入りでスカイ加入を果たした彼だったが、昨年の彼はベルナルと比較すると実に大人しい走りだった。
しかし今年の彼は違う。年初のオーストラリアでは常にアグレッシブな走りを見せ、また直近のスペインのレースではソーサと共にベルナルを支える見事なアシストをこなしてみせた。
今年のジロはあくまでもアシスト。しかしそんな彼が直前に与えられたチャンスがこのアルプスだと思っている。ゼッケンナンバーに関わらず、このアルプスで、シヴァコフは覚醒を遂げるものと確信している。
64.エリー・ジェスベール(フランス、24歳)
チーム・アルケア・サムシック(PCB)所属
バルギル不在の今大会、エースナンバーはベテランのブエが着用するも、総合争いを演じるのは厳しいだろう。全体としてステージ優勝や逃げを狙っていくのだろうが、その中でこのジェスベールの活躍に期待したい。
2017年のツール・ド・フランスで最年少選手として出場しながら、最終週の山岳ステージでも元気に逃げ続けるその姿に将来の可能性しか感じなかった。今年のツアー・オブ・オマーンのグリーンマウンテンではエラダやポランツを差し置いてのステージ5位&総合5位となり、いよいよ覚醒のときか、と思ってはいる。残念ながらパリ〜ニースでその覚醒を見ることはできなかったが、今大会で総合TOP10に入れれば大成功だろう。自分の目に、狂いはない・・・はず。
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