まずは、深い悲しみに包まれた1週間だった。
その中で、同じように若い才能をもつ男たちが輝く1週間でもあった。
ツール・ド・ポローニュ。長い伝統を持ち、しかしその割にコンパクトで大人しいこのステージレースで、どんなヒーローが生まれ、どのように勝利を掴み取っていったのかを、簡単に解説していく。
- 第1ステージ クラクフ〜クラクフ 132.3km(平坦)
- 第2ステージ タルノフスキェ・グルィ〜カトヴィツェ 152.7km(平坦)
- 第3ステージ ザブジェ〜ホジュフ 157km(平坦)
- 第5ステージ コパルニア・ソリ・「ヴィエリチカ」〜ビェルスコ=ビャワ 154km(丘陵)
- 第6ステージ ザコパネ〜コシチェリスコ 160km(山岳)
- 第7ステージ ブコビナ・リゾート〜ブコビナ・タトシャンスカ 153.3km(山岳)
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第1ステージ クラクフ〜クラクフ 132.3km(平坦)
ポーランドの旧首都クラクフを発着する平坦コース。終盤はクラクフ市街地を利用した1周4㎞の周回コースを3周しフィニッシュする、集団スプリントが期待されたステージだった。
逃げは3名。
- シャルル・プラネ(チーム・ノボノルディスク)
- ヤコブ・カツマレク(ポーランド・ナショナルチーム)
- アドリアン・クレク(ポーランド・ナショナルチーム)
いずれも逃げに乗って目立つ必要のある選手たちで、勝ちを狙っているわけではない。3つある山岳ポイントはすべてプラネが獲得し、初日の山岳賞ジャージ着用者となった。
逃げ3名は残り16㎞ですべて吸収。いよいよ周回コースへと突入する。
その最後の周回に入った直後、ツール・ド・フランスを欠場したマーク・カヴェンディッシュがチームメートと共に落車。リベンジの機会すら与えられないまま、この日の勝負権を失った。
それ以外の有力スプリンターはほぼ出揃った状態でフィニッシュへ。
ドゥクーニンク・クイックステップのボブ・ユンゲルスが残り2.5kmからひたすら牽き倒した。あまりにも強力すぎて残り1.6kmで集団が分裂しかけたほどである。
残り1kmでユンゲルスの牽きが終了。先頭に出されたのはアシストを2枚残したユンボ・ヴィズマ。1人目のアシストはすぐに脱落したため、残り1人が800m近くを牽く羽目に。
そうなるとどうしてもペースが上がらず、これにしびれを切らしたベン・スウィフトが、残り500mからちょっと早すぎるスプリントを開始。これにつられてその他のチームのアシスト陣も含めごちゃっと早めの駆け出しを行うが、最後に左手からガビリア、そしてアッカーマンが抜け出してくる。
最初に先頭を取ったのはガビリアだった。が、彼もまた、少し駆け出しが早すぎて、ゴールにたどり着く前に、失速。
そして、これを追い抜いていったのがアッカーマンだった。ひたすら長い長いスプリントを最後まで走り切って、先頭でゴールした。
純粋なパワー勝負となった今大会最初の集団スプリント。
昨年2勝し、今年もジロでマリア・チクラミーノを獲得している現ドイツ最強スプリンターが強さを見せつけた形だ。
第2ステージ タルノフスキェ・グルィ〜カトヴィツェ 152.7km(平坦)
第1ステージに引き続き平坦コース。逃げも前日に引き続きとなるプラネとポーランドナショナルチームの2名だけ。
- シャルル・プラネ(チーム・ノボノルディスク)
- パウェル・フランチャック(ポーランド・ナショナルチーム)
この日もプラネが山岳賞ポイントを独占。チーム・ノボノルディスクに所属する彼も1型糖尿病患者。連日の見事な走りは、チームとしての使命をしっかりと果たすものとなっている。
そして最後は予定通りの集団スプリント。残り1.5㎞から1㎞にわたってボブ・ユンゲルスが先導。その後ろにはトレック・セガフレード、そしてポーラ・ハンスグローエのトレインが控えていたものの、残り300mで7番手くらいの位置にいたガビリアが単独で抜け出した。
ガビリアの勢いは鋭く、出遅れたアッカーマンはまったく追いつくことができなかった。しかし、この抜け出しにいち早く反応したメスゲッツが、そのまま残り150mでガビリアの背後から飛び出した。
普段はマッテオ・トレンティンの発射台役を演じることも多いメスゲッツ。過去ポローニュとの相性はよく、2位や3位に入ることも何度もあったが、ワールドツアー勝利自体は実に5年ぶり。大金星であった。
第3ステージ ザブジェ〜ホジュフ 157km(平坦)
3日連続で続く平坦スプリントステージ。連日逃げに乗り山岳ポイントを独占するプラネがこの日も逃げに乗り、第1ステージでも逃げに乗ったクレクもまた、2回目の逃げに成功した。
- シャルル・プラネ(チーム・ノボノルディスク)
- アドリアン・クレク(ポーランド・ナショナルチーム)
- エフゲニー・シャルノフ(ガスプロム・ルスヴェロ)
たった1つの4級山岳は、この日もプラネが獲得した。合計獲得山岳ポイントは6となった。
3名は終盤まで逃げ続けたものの、最終周回に入ると同時(残り6㎞)にプラネがタイヤを滑らせて落車。すぐ後ろにいたクレクも巻き添えを食らって足止めされてしまう。
1人残されたシャルノフはその後も懸命に逃げ続けたが、ドゥクーニンク・クイックステップが牽引するプロトンによって残り3.1㎞で捕まえられてしまった。
そして集団スプリント。
完璧なリードアウトから発射されたアッカーマンが先行するも、集団なかほどから上がってきたファビオ・ヤコブセンが、失速して落ちてきたガビリアを踏み台にしながら再加速。アッカーマンの勢いすらも凌駕して最高速度のままゴールに突っ込んだ。
そのスプリント自体は素晴らしかった。
しかしそこに至るまでのポジション取りにおいて、グルパマFDJのマルク・サローの身体を強引に押しのけて前に出た瞬間が映像に映し出されていた。
これが危険行為と判定されて降格処分を受けることに。
結果、2位でゴールしたアッカーマンがこの日の勝者となった。
そしてもう1つ、悲しい出来事が。
雨に濡れた路面に滑ったビョルグ・ランブレヒト(ロット・スーダル)が、落車時の当たり所が悪く、そのまま心肺停止に陥った。
急ぎ病院に運ばれて蘇生手術を受けるも適わず、帰らぬ人となってしまった。
The biggest tragedy possible that could happen to the family, friends and teammates of Bjorg has happened… Rest in peace Bjorg... ❤️ pic.twitter.com/9u9LZkp2Rt
— Lotto Soudal (@Lotto_Soudal) August 5, 2019
これを受けてレース主催者は翌日の第4ステージを「着順を含むすべてのリザルトを争わないニュートラル走行」とすることに決めた。
ランブレヒトのチームメートであるロット・スーダルの6名を中心に、黒い喪章を腕に巻いた選手たちがゆっくりとゴールに向かって走り、そして最後にランブレヒトのゼッケンNo.である「143」が刻まれたゴール前で黙とうをささげた。
R.I.P. Bjorg.
第5ステージ コパルニア・ソリ・「ヴィエリチカ」〜ビェルスコ=ビャワ 154km(丘陵)
悲痛な悲しみに彩られた追悼ステージを乗り越え、ロット・スーダルの6名を含んだプロトンは皆、再び闘いの舞台へと舞い戻った。
この日は最初の3ステージとは異なり、大会初の1級山岳を含んだ丘陵ステージ。総合争いも山岳賞争いも本格的に開始されるこのステージで、以下の4名の逃げが生まれた。
- シャルル・プラネ(チーム・ノボノルディスク)
- シモン・レキタ(ポーランド・ナショナルチーム)
- カミル・グラデク(CCCチーム)
- イェーレ・ワライス(ロット・スーダル)
プラネは当然、山岳賞ジャージの確保を狙っての逃げであった。しかし、1級山岳以外にも2級山岳が2つも登場するこのステージで、山岳賞獲得に本気を出してきたワールドツアーチームに抗うことはできなかった。
見事、2つの2級山岳の山頂を先頭通過し、合計で10ポイントを獲得したのはカミル・グラデク。山岳賞ジャージの着用権をプラネから奪い取った。
しかし、ピュアスプリンターたちを振るい落としたいチームの思惑もあり、残り33.1km地点の1級山岳を前にしてプロトンがペースアップ。4名の逃げはここで吸収される。
そして山頂間際でアタックしたのがロット・スーダルのカールフレドリク・ハーゲン。チームとしても、何とかランブレヒトのために何かを持ち帰りたい。
しかし、これを差し切って1級山岳山頂先頭通過を果たしたのは、アスタナ・プロチームのロドリゴ・コントレラスであった。
1級山岳の先頭は一度に10ポイントも獲得できる。2級山岳を2つ先頭通過したグラデクも10ポイントを保有しているものの、より高いクラスの山岳を制しているコントレラスが優先され、翌日の山岳賞ジャージ着用者はこの25歳のコロンビア人となった。
さて、下りの途中でダウンヒルスペシャリストのマテイ・モホリッチ(バーレーン・メリダ)が抜け出し、そこにスガブ・グルマイ(ミッチェルトン・スコット)とサイモン・ゲシュケ(CCCチーム)が残り21kmの周回コース入り口で合流。
なんとか逃げ切りを狙っていた3名だったものの、ラスト1周(残り7km)で完全に捕まえられ、そして最後の登りスプリントに。
残り1.5kmでミゲルアンヘル・ロペスがアタック。すかさずボーラ・ハンスグローエのダヴィデ・フォルモロがチェックに入る。残り1kmでこの2人が捕まると、集団の先頭はイネオスに。
タオ・ゲオゲガンハート、そしてパヴェル・シヴァコフがベン・スウィフトを先導し、登り勾配を駆け上がっていく。
そして残り200mで満を持してスウィフトがスプリントを開始。しかしその背後につけていたルカ・メスゲッツが反対側から同時にスプリントを開始。
そして最後は地力でスウィフトを凌駕し、大会2勝目を記録した。
5年ぶり、ポローニュでは初勝利だった3日前に続く立て続けの勝利。勢いというのは恐ろしいものだ。かつてメスゲッツは平坦スプリントが強いという印象だったが、先日のツアー・オブ・スロベニアでの勝利と合わせ、ここまで登りへの適性があるとは。
来期はトレンティンが抜けてしまうミッチェルトン・スコットだが、ダリル・インピーと合わせ、しっかりとチームの勝ち星を維持してくれそうだ。
第6ステージ ザコパネ〜コシチェリスコ 160km(山岳)
1級山岳を含む周回コースを利用し、合計で6回1級山岳を登る厳しいステージ。第4ステージがニュートラルになったこともあり、総合争いはこの日に巻き起こることとなった。
形成された逃げは4名。ワールドツアーチームだけで形成された、「本気の逃げ」である。
- ジョフリー・ブシャール(AG2Rラモンディアル)
- ペトル・ヴァコッチ(ドゥクーニンク・クイックステップ)
- シモン・ゲシュケ(CCCチーム)
- トマス・マルチンスキー(ロット・スーダル)
昨日はロドリゴ・コントレラスが1級山岳を1つ獲って山岳賞を手に入れていたが、この日は何せ6つもの1級山岳が用意されている。これまでの山岳賞ポイント獲得者が逃げに乗れなかった時点で、山岳賞ジャージの持ち主の変更は決まったようなものである。
今回そのチャンスを手に入れたのは、ランブレヒトのチームメートであり、そのうえでポーランド人のマルチンスキー。モチベーションは二重にあり、さらに彼はブエルタ2勝の実力者である。
結果、3つの1級山岳を山頂通過し、30ポイントで見事山岳賞ジャージ首位に。ランブレヒトへの捧げものを手に入れた。
とはいえ、プロトンも総合争いへの早めの仕掛けを開始しており、残り50kmを過ぎたあたりで、すでに集団の人数も30名ほどにまで縮小していた。
そして、逃げ4名とのタイム差も一気に縮まり、残り40kmでこれを完全吸収。一つになった先頭集団の中から、アスタナのメルハウィ・クドゥスやユンボのアントワン・トールクなど、セカンドエース的な存在によるアタックが頻発し始める。
そんな中、残り25.5kmで抜け出したのが、前日も逃げに乗っていたスガブ・グルマイ。さらに少し遅れてベン・スウィフトもこれにブリッジし、メイン集団とのタイム差を40秒近くに広げたまま、最後から2番目の1級山岳へと突入した。
この1級山岳(登坂距離2.7km、平均勾配8.8%)の登りで、グルマイを突き放したスウィフトは独走を開始。メイン集団も15名ほどにまで絞り込まれ、スウィフトから20秒遅れで山頂を通過した。
優勝候補だったミゲルアンヘル・ロペスも、この登りで脱落してしまった。
そのあとも有力勢によるアタックが繰り返されるが、そんな中、残り12kmでジェイ・ヒンドレーがアタック。そこにパヴェル・シヴァコフ、そしてネオプロのヨナス・ヴィンゲゴーがついていき、3名での抜け出しに成功する。
残り24.5kmから逃げ続けてきたスウィフトももう限界だった。最後の1級山岳の登り(残り6.5km)で3人に追い抜かれてしまう。登りの直前でなんとかこの3人に追い付いてきたドゥクーニンク・クイックステップのジェームス・ノックスも、登りが始まった途端に引き離されてしまった。
それだけこの3人の実力は、この日抜け出ていた。
そして、プロトンに20秒近いタイム差をつけたまま、残り500m看板のところまできた3名は、たっぷりと牽制し合いながら、最後のスプリント勝負に懸ける。
先頭はヒンドレー。繰り返し後ろを振り返りながら、残る2人の出方を窺う。2番手はシヴァコフ。スウィフトが逃げていたおかげで前に出る義務を果たさずに済んでいた彼は、最も足を残しているはずだった。そして最も未知数な男ヴィンゲゴー。彼は一番後ろに待機しながら、自らの仕掛け所をひたすら待ち続けていた。
残り150m。ここで、ヴィンゲゴーがアクセルを踏んだ。残る2人は気づいていない。自らの隣に彼が現れたことにシヴァコフが気づいたときにはすでに、ヴィンゲゴーの加速は始まっていた。
ハンドルを左右に激しく振りながら必死で追いかけるシヴァコフ。しかし、ヴィンゲゴーとの距離は、少しずつ開いていくばかりだった。ヒンドレーはもう、2人を見送ることしかできなかった。
ヨナス・ヴィンゲゴー・ラスムッセン。今年23歳のデンマーク人。昨年までは100%デンマーク人のコンチネンタルチーム「コロクイック」に所属していたネオプロで、これまでに大きな勝利はない。
昨年のジロ・デッラ・ヴァッレ・ダオスタのプロローグで勝利したり、ツール・ド・ラヴニールのデンマーク代表の1人としてチームTTでの勝利を手助けしたりと、独走力に秀でている、ということくらいしか特徴はなかったように思われる。
そんな彼の大金星。ステージ勝利と、そして総合リーダージャージがついてきた。
いよいよ1周間のポーランド決戦も最終日。
果たして、ヴィンゲゴーは総合リーダーを守り切ることができるか。
第7ステージ ブコビナ・リゾート〜ブコビナ・タトシャンスカ 153.3km(山岳)
前日に続きこの日も1級山岳が連続する高難易度ステージ。総獲得標高は3,000mを超える。
逃げ切りステージ勝利、山岳賞、総合逆転など様々な思惑が入り混じり、全部で14名もの大規模な逃げ集団が形成された。
- マテイ・モホリッチ(バーレーン・メリダ)
- ミカル・ゴワシュ(チーム・イネオス)
- シモーネ・ペティッリ(UAEチームエミレーツ)
- トマス・マルチンスキー(ロット・スーダル)
- カールフレドリク・ハーゲン(ロット・スーダル)
- カルロス・ベタンクール(モビスター・チーム)
- ホセホアキン・ロハス(モビスター・チーム)
- クレモン・シュヴリエ(AG2Rラモンディアル)
- サイモン・ゲシュケ(CCCチーム)
- セルジュ・パウェルス(CCCチーム)
- マティアス・ルトゥルニエ(コフィディス・ソルシオンクレディ)
- イヴァン・ロヴニー(ガスプロム・ルスヴェロ)
- メルハウィ・クドゥス(アスタナ・プロチーム)
- スガブ・グルマイ(ミッチェルトン・スコット)
山岳賞首位のマルチンスキーは、2つの1級山岳山頂を先頭通過し、なんとか賞の確定を狙って行く。しかし、ポーランド人ライダーに負けないくらいにこのレースに思いを懸けているのは、地元ポーランド国籍のチーム、CCCである。その「逃げ番長」であるゲシュケが、終盤まで逃げ続けたことで、1級山岳の「2位通過」や「3位通過」などを細かく重ねていった。
結果、60ポイントまで積み重ねたゲシュケが、マルチンスキーに対して3ポイント差で山岳賞逆転。チームの最大のスポンサーに対して、何とか面目を保った形となった。
そして、逃げ集団でステージ勝利に向けた決定的な動きが巻き起こったのは残り57km。
カテゴリのついていない登りの下りで、逃げスペシャリストのモホリッチが抜け出した。第5ステージにて、残り33kmからのアタックでは逃げ切れなかった彼が、今回はその2倍の距離でチャレンジをした。
そして、残り50kmを切ったところから始まる最後から2番目の1級山岳で、いよいよ総合勢も動き始める。
まず仕掛けたのはボーラ・ハンスグローエ。次にタオ・ゲオゲガンハートの強力な牽引でチーム・イネオスも動き始めた。そして山頂に至る直前で総合9位ラファル・マイカと総合11位ゲオゲガンハート、そしてアスタナの総合12位ヨン・イサギレが抜け出す。
この逃げはやがて下りで追い付かれるものの、この一連の動きで集団の人数は10名程度に絞り込まれ、そして総合首位ヴィンゲゴーの姿はそこにはなかった。
その後、メイン集団では大きな動きは起こらず。イネオスがライバルたちの動きを完全に封じ込め、そのままパヴェル・シヴァコフの逆転総合優勝を守り切った。
シヴァコフはこれで4月のツアー・オブ・アルプスに続くキャリア2つ目の総合優勝。そしてワールドツアー初優勝となる。昨年は同じU23で活躍し同時にイネオス(スカイ)に加入したベルナルと比べ、なかなか芽の出ない苦しい時期を過ごしたが、今年は年初から活発に動き、そして着実に成績を伸ばしてきている。
現時点ではブエルタに出場するかは決まっていないものの、今回のこの走りが、その選考に影響を及ぼす可能性は十分にありそうだ。
もちろん、アルプスのとき同様、彼を強力にサポートし続けたゲオゲガンハートについても。
そして、57kmという距離をたった1人で逃げ続けたマテイ・モホリッチが、およそ1年ぶりの勝利を手に入れた。
元U23世界王者であり、才能が次々と生まれるスロベニアにおける重要選手の1人。
今や多くの選手が真似をする危険なダウンヒルスタイルを早い時期から確立し、下りを利用した独走を得意とするエスケープスペシャリストが、後続に1分近いタイム差をつけて、プロ11勝目を記録した。
天に指を1本、そして2本掲げて、同じく若き才能として台頭するはずだった男への祈りを捧げながら。
総合リザルトは以下の通り。大きな総合争いが巻き起こる機会が少なく、上位は団子状態。
厳しい登りをこなしていけるクライマー(もしくはクライマー寄りのパンチャー)たちの中で、タイミングを見出して抜け出すことに成功した選手たちが上位に入り込むことができた形だ。イネオスのチームとしての力も存分に発揮された。
ヒンドレー、およびクリス・ハミルトンの、オーストラリア人若手コンビの活躍も嬉しい。期待されながらも、なかなか活躍の機会のなかったこの2人が、今後さらなるチャンスを掴んでいけることを期待している。
一方で、ガビリア(とUAE)は大丈夫か? 早すぎる飛び出しで失速する姿が目立った。
来期は盟友リケーゼとの再合流を果たすという彼が、正直「失敗」に終わった2019年のリベンジを果たしてくれることを楽しみにしている。
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