りんぐすらいど

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ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ2019 コースプレビュー

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Class:ワールドツアー

Country:スペイン

Region:カタルーニャ州

First edition:1911年

Editions:99回

Date:3/25(月)~3/31(日)

 

 

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第1ステージ カレーリャ~カレーリャ 164km(丘陵)

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毎年恒例の開幕ステージは、いきなり1級山岳が3つも登場するステージながら、例年スプリンターたちが覇を競い合う「平坦」ステージ。

昨年はそれでもまだ登りが少なく純粋なスプリントステージのように思えたが、今回は2年前までと同じく「スペイン風」平坦ステージである。

昨年はホッジ、2年前はチモライ、3年前はブアニが優勝している。

一方で4年前はピエール・ローランを含む3名による逃げ切りが決まっており、やはり一筋縄ではいかない。

 

今大会もやはり(直前にミラノ~サンレモが開催されることもあり)有力なスプリンターの出場がないカタルーニャ。

昨年優勝のホッジのほか、今年まだ良いところの少ないグライペルや、ダウンアンダーで活躍したベヴィン、また今年サガンやベネットの発射台として活躍しつつあるボーラの若手エリック・バシュカなどに期待したい。ボーラには昨年バスクで1勝しているマッカーシーもおり、そちらがエースとなる可能性もあるけれど・・・。

 

 

第2ステージ マタロ~サント・フェリウ・デ・フイソルス 179.6km(平坦)

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マタロスタートは近年のカタルーニャの毎年恒例。

ただしゴール地点のサント・フェリウ・デ・フイソルス——有名なリゾート地「コスタ・ブラバ」の一部を有する古い港町――は実に25年ぶりの登場。

よって、データは少ない。コースマップ見る限り登りフィニッシュのようにも見えるが、大方のレースプレビュー記事では平坦フィニッシュという見方が強いようだ。

全体的には標高は低くフラットステージであることは間違いないようだ。カタルーニャにしては、だけど。

 

 

第3ステージ サント・フェリウ・デ・フイソルス~バルテル2000 179km(山岳)

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その名の通り標高2000mに達する超級山岳「バルテル2000」山頂フィニッシュ。

昨年も第3ステージに予定されていたが、積雪によりキャンセル。短縮された丘陵ステージでトーマス・デヘントによる「非常にフォトジェニックな」ゴールが演出された。

登坂距離11.2km、平均勾配7.6%。2013年にはナイロ・キンタナが、2014ねんにはティージェイ・ヴァンガーデレンが制しているこの本格的な山頂フィニッシュで、今年こそピュアクライマー同士の真剣勝負を見ることができるか。

 

 

第4ステージ イアナース~ラ・モリーナ 150.3km(山岳)

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カタルーニャの定番の1つとなっている1級山岳ラ・モリーナ(登坂距離12km、平均勾配4.3%)を2回登るレイアウト。一度山頂に辿り着いたあとに少し下り、ラスト2kmで再び登りに転ずる。

過去2年はバルベルデが連勝。その前はダニエル・マーティンやティージェイ・ヴァンガーデレンなどが制している。

今年もその辺りの選手に期待したいが、より注目すべき選手として、昨年バルベルデに喰らいついてのステージ2位となったベルナルを挙げたい。

昨年のこの時期すでにツアー・ダウンアンダー新人賞やコロンビア・オロ・イ・パ(現ツアー・コロンビア)総合優勝などの成果を出していた彼だが、ワールドツアーレースで他の有力選手を抑えてバルベルデに喰らいつく走りを見せたという点で、このレースのこのラ・モリーナ山頂フィニッシュで真に頭角を現したと言ってよい。

Embed from Getty Images

 

昨年は結局最終日に落車リタイアし、総合2位は夢に終わるが、その後のツール・ド・ロマンディで早くもリベンジの総合2位に登りつめ、やはり規格外の存在であることを示した。

先日はパリ~ニース総合優勝を成し遂げた彼が今大会も総合優勝候補であることは間違いなく、その意味でこの日の彼の走りには最大限の注目を注いでおきたい。

ってか、そこにフルームまで加わっているんだから、マジでやばい。

 

だが、もう1人、エヴェネプールやポガチャルと並ぶ、注目すべきルーキーの存在を忘れてはならない。

その男の名はジノ・マーダー。ツール・ド・ラヴニール区間2勝と総合3位、U23世界選手権4位の男。

今期は初頭のブエルタ・ア・アサンフアンで総合11位と控えめに終えた他はほとんどレースに出ておらず不気味な沈黙を保っているが、彼の秘められた実力がこの日、発揮されるかもしれない。

 

 

第5ステージ プッチサルダー~サン・クガ・ダル・バリェス 188.1km(平坦)

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34年ぶりの登場となる、カタルーニャ州北端、フランスとの国境沿いに位置するピレネー山中の町プッチサルダーからスタート。

よって序盤は1級山岳を含む山岳コースであり、逃げ切りを狙いたいエスケープスペシャリストたちが積極的な攻撃を仕掛けてくることが予想される。

 

しかし、昨年の第3ステージのスタート地点にもなったサン・クガ・ダル・バリェスでのゴールは十分にフラットと言え、今大会2度目のスプリントフィニッシュのチャンスとなる。

よって、逃げ切りを狙いたい逃げ巧者たちと、数少ないスプリント勝利のチャンスを掴み取りたいスプリンターチームたちとの攻防戦が繰り広げられるであろうステージとなっている。

また、デヘントさんが出てくるか?

 

 

第6ステージ バルス~ビラ・セカ 169.1km(平坦)

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 この日も豊富な山岳と、そこからの下りを経ての集団スプリントフィニッシュとなる「カタルーニャ風」スプリントステージ。

ただ見た目ほどには標高もきつくなく、前日ほどには逃げ切りにチャンスのあるステージとは言えないかもしれない。

ゴール地点の「ビラ・セカ」は「乾燥した町」を意味する。

フィニッシュはわずかに登ったレイアウトということで、マイケル・マシューズなどが最も可能性のあるスプリンターとなるかもしれない。怪我の状態や調子にもよるけれども・・・。

 

 

第7ステージ バルセロナ~バルセロナ 143.1km(丘陵)

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州都バルセロナを舞台にした毎年恒例のアップダウン周回コース。

バルセロナ郊外の「モンジュイックの丘(登坂距離2km、平均勾配5.7%、最大勾配8%)を8回登る。

 

過去4年の成績を並べると、

  • 2015年:バルベルデがスプリントを制する。
  • 2016年:アレクセイ・ツァテヴィッチとプリモシュ・ログリッチェが逃げに乗り、最後はツァテヴィッチがスプリントを制する。
  • 2017年:バルベルデがスプリントを制する。
  • 2018年:サイモン・イェーツが逃げ切り。

となっており、総合成績に関係のないパンチャー/クライマー系が抜け出せばそのまま逃げ切り勝利となる可能性が高いだろうし、そうでなくプロトンでのスプリント勝負となれば、そういうシチュエーションに専ら強いバルベルデの圧倒的有利となりそうだ。

 

例年、僅差での決着となりがちなカタルーニャ。

この日もまた十分に総合成績の変動が起こりかねないステージとなっており、最後まで気の抜けない1日となる。

 

 

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