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ワールドツアー全チームレビュー(2018シーズン第1四半期)

2018年シーズンの1月〜3月におけるチーム勝利数をランキングしてみた。

勝利数というのはそのチームの現在の勢いを表すバロメータと言える。2018年シーズンのここまでのロードレースシーンで、盛り上がりを見せるチーム、なかなか結果を出せずにいるチームを客観的な数字で確認し、この後の本格化するシーズンに向けての展望としよう。

 

元々は3/31時点での勝利数でランキングする予定だったが、色々と忙しく、本日4月6日までずれ込んでしまった。

中途半端ではあるが、4/6時点での勝利数でのランキングとなること、ご了承願いたい。

 

※勝利数が同じチームは、より上位のクラスの勝利数が多い方を上位にしています。

※年齢は全て、2018/4/1時点のものとなります。 

 

 

 

クイックステップ・フロアーズ(24勝)

エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、29歳) 6勝

ツアー・ダウンアンダー(2.WT) 第3ステージ優勝

→ ドバイ・ツアー(2.HC) 第2・第5ステージ優勝、総合優勝

アブダビツアー(2.WT) 第2ステージ優勝

→ ブルッヘ~デパンヌ3日間(1.HC)優勝

フェルナンド・ガヴィリア(コロンビア、23歳) 4勝

ブエルタ・ア・サンフアン(2.1) 第1ステージ優勝

コロンビア・オロ・イ・パ(2.1) 第1~第3ステージ優勝

ニキ・テルプストラ(オランダ、33歳) 3勝

→ ル・サミン(1.1) 優勝

→ レコードバンク・E3ハレルベーケ(1.WT) 優勝

ロンド・ファン・フラーンデレン(1.WT) 優勝

ジュリアン・アラフィリップ(フランス、25歳) 3勝

コロンビア・オロ・イ・パ(2.1) 第4ステージ優勝

→ イツリア・バスク・カントリー(2.WT) 第1・第2ステージ優勝

アルバロホセ・オデーグ(コロンビア、21歳) 2勝

→ ハンザーメ・クラシック(1.HC) 優勝

→ ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ(2.WT) 第1ステージ優

ファビオ・ヤコブセン(オランダ、21歳) 2勝

→ ノーケレ・コールス(1.HC) 優勝

→ シュヘルデプライス(1.HC) 優勝

アリエルマキシミリアーノ・リチェセ(アルゼンチン、35歳) 1勝

ブエルタ・ア・サンフアン(2.1) 第4ステージ優勝 

レミ・カヴァニャ(フランス、22歳) 1勝

→ ドワースドール・ウェストフラーンデレン(1.1) 優勝 

マキシミリアン・シャッハマン(ドイツ、24歳) 1勝

→ ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ(2.WT) 第6ステージ優勝

イヴ・ランパールト(ベルギー、26歳) 1勝

→ ドワースドール・フラーンデレン(1.WT) 優勝

 

まさに圧倒的な強さ。昨年、実力者が次々と抜けて弱体化するだろうという予想はどこへやら。個人が強いだけでなく、「チームとして強い」ことを今年証明した。

スプリントではヴィヴィアーニと彼のためのトレイン(サバティーニなど)が活躍。クラシックでは上記勝者以外にもジルベールやスティバール、セネシャルなどが常に集団上位に残りエースをアシスト。出場する全ての選手が主役たりうるのが、クラシックにおけるクイックステップの強さの秘訣だ。登りでもアラフィリップが絶好調だ。

56勝を記録した昨年、3月末までの勝利数は実は今年と同じ「20勝」。キッテル(今年で言えばヴィヴィアーニのポジション)が6勝、ガヴィリアが4勝しているという点まで奇妙な一致を見せている。(シュヘルデプライスまでで比較すると昨年22勝、今年24勝と昨年以上の数字となっている)

ただ、ステージレースでの勝利でそのほとんどを賄っていた昨年と違い、今年のクイックステップはその「お家芸」たるクラシックでの勝利が目立つ。しかも、若手による勝利が。

その意味で、同じ20勝でもその意味合いは大きく異なる。そしてそれは、このチームにとって、非常に良い形での変化なのだと言えるだろう。

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チーム移籍後絶好調のヴィヴィアーニ。それだけにチームに対する感謝の気持ちと責任は強く、ヘント~ウェヴェルヘムでの敗北では涙を流した。

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昨年チームメートを何度も助けたテルプストラが、今年は自ら勝利を掴んだ。3年前のリベンジを、3年前と同じ、クルイスベルフでのアタックで。

 

 

チーム・スカイ(15勝)

ミハウ・クフャトコフスキ(ポーランド、27歳) 4勝

→ ヴォルタ・アン・アルガルヴェ(2.HC) 第2・第5ステージ優勝、総合優勝

→ ティレーノ~アドリアティコ(2.WT) 総合優勝

エガンアルリー・ベルナル(コロンビア、21歳) 2勝

→ コロンビア選手権個人タイムトライアル優勝

コロンビア・オロ・イ・パ(2.1) 総合優勝

ワウト・プールス(オランダ、30歳) 2勝

ブエルタ・ア・アンダルシア(2.HC) 第2ステージ優勝

→ パリ~ニース(2.WT) 第4ステージ(個人タイムトライアル)優勝

ダビ・デラクルス(スペイン、28歳) 2勝

ブエルタ・ア・アンダルシア(2.HC) 第5ステージ(個人タイムトライアル)優勝

→ パリ~ニース(2.WT) 第8ステージ優勝

セルヒオルイス・エナオ(コロンビア、30歳) 1勝

→ コロンビア選手権ロードレース優勝

ゲラント・トーマス(イギリス、31歳) 1勝

ヴォルタ・アン・アルガルヴェ(2.HC)  第3ステージ(個人タイムトライアル)優勝

クリストファー・ローレス(イギリス、22歳) 1勝

→ セッティマーナ・コッピ・エ・バルタリ(2.1)  第3ステージ優勝

ディエゴ・ローザ(イタリア、29歳) 1勝

→ セッティマーナ・コッピ・エ・バルタリ(2.1) 総合優勝

チームタイムトライアル 1勝

→ セッティマーナ・コッピ・エ・バルタリ(2.1)

 

グランツールだけでなく、小さなステージレースでも、クラシックでも、バランスよく勝利を稼いでいく、本当に「強い」チームだ。

今年の目玉は何と言ってもエガンアルリー・ベルナルのワールドツアーチームデビュー。開幕戦ダウンアンダーでいきなり新人賞を獲得するだけに飽き足らず、エナオ、ウラン、キンタナなどが出場したコロンビア・オロ・イ・パでは総合優勝、さらには最終ステージで落車リタイアにはなってしまったものの、カタルーニャ1周レースでは本気でバルベルデと総合優勝を争う走りすら見せた。

まさに、期待以上。期待しすぎてる感すらあったのに、その予想を遥かに超えてきた。本当に、キンタナ以来の最高の逸材と言えそうだ。

他には、これまでアシストとして目覚ましい活躍を見せ続けていたプールスの調子の良さも光っている。ゲラント・トーマスがもしかすると今年でスカイを離れる可能性もあり、そうなるとスカイのグランツールのエースを担う可能性も出てくるだろう。

本来の絶対エースであるフルームはここまで沈黙。レース自体への出場は例年よりも多いくらいだけれど・・・

まあ、彼の好不調は論じても当たらない可能性の方が高い。とにかくジロでは全力を尽くし、デュムランとの激しい戦いを演じてほしい。

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昨年はクラシックとグランツールでのアシストで大活躍したクフャトコフスキ。今年はステージレースでの総合優勝を2つ。総合エースとしての素質を発揮しつつある。 

 

 

モビスター・チーム(12勝)

アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、37歳) 9勝

→ ボルタ・ア・コムニタ・バレンシアナ(2.1) 第2・第4ステージ優勝、総合優勝

アブダビツアー(2.WT) 第5ステージ優勝、総合優勝

→ ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ(2.WT) 第2・第4ステージ優勝、総合優勝

→ グラン・プレミオ・ミゲル・インドゥライン(1.1) 優勝

ダイェル・キンタナ(コロンビア、21歳) 1勝

コロンビア・オロ・イ・パ(2.1) 第6ステージ優勝

ミケル・ランダ(スペイン、28歳) 1勝

→ ティレーノ~アドリアティコ(2.WT) 第4ステージ優勝

マルク・ソレル(スペイン、28歳) 1勝

パリ~ニース(2.WT) 総合優勝

 

とにかくバルベルデの強さが圧倒的。全チーム中3位の勝利数を誇るチームの4分の3の勝利を一人で担っているのだ。当然、単身での勝利数では今シーズン圧倒的に1位。スプリンターに匹敵する勝利数を記録した昨年のバルベルデだったが、今年はこれまでのところスプリンターを凌駕している。

昨年は2月〜4月の出場したステージレースで全て総合優勝している。今年も2月〜3月に出場したステージレース全てで総合優勝しているが、4月のバスク1周に出場しないのが残念。代わりにアルデンヌ3連戦は当然出場する。フレッシュ・ワロンヌまさかの5連勝が楽しみだ。

今年のバルベルデの昨年よりさらに凄いのは、アルデンヌだけでなく北のクラシックへの強さも見せたこと。4位となったストラーデビアンケも凄いが、あれはアルデンヌの要素も含んでおり、クライマーが上位に来ることもしばしばあるためまだ分からなくもないが、凄いのは純粋なフランドルクラシックであるドワースドール・フラーンデレンで上位に来たこと。

この男、本当にどこまで進化するのか。

ついバルベルデの話ばかりしてしまうが、もう1人注目すべき選手はやはりマルク・ソレルである。昨年の同時期にカタルーニャ1周で総合3位に入り十分凄いともてはやしたが、今年はさらにそれを乗り越えてパリ〜ニースの総合優勝である。しかも、最終日にコンタドールばりの積極性を見せて、コンタドール以上の結果を出す形で。

そして、そんな彼をクイーンステージで支えたリチャルド・カラパスなど、若手の台頭著しいこともまた、このチームにとっては朗報と言えるだろう。

ナイロ・キンタナは今期ここまで成果なしだが、レース中の表情はリラックスしており、不安はない。

今年のツールは彼にとっても大きなチャンス。是非頑張ってほしい。

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止まらない男、バルベルデ。今年は果たして全部で何勝するつもりなのか・・・。昨年の個人勝利数の最大は12であり、現在9のバルベルデは・・・。

 

 

ミッチェルトン・スコット(11勝)

ダリル・インピー(南アフリカ、33歳) 3勝

ツアー・ダウンアンダー(2.WT) 総合優勝

南アフリカ選手権個人タイムトライアル・ロードレース優勝

カレブ・ユワン(オーストラリア、23歳) 2勝

ツアー・ダウンアンダー(2.WT) 第2ステージ優勝

クラシカ・デ・アルメリア(1.HC) 優勝

ヨハンエステバン・チャベス(コロンビア、28歳) 2勝

→ ヘラルド・サンツアー(2.1) 第3ステージ優勝、総合優勝

サイモン・イェーツ(イギリス、25歳) 2勝

パリ~ニース(2.WT) 総合優勝

→ ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ(2.WT) 第7ステージ優勝

アレクサンダー・エドモンドソン(オーストラリア、24歳) 1勝

→ オーストラリア選手権ロードレース優勝

アダム・イェーツ(イギリス、25歳) 1勝

ティレーノ~アドリアティコ(2.WT) 第5ステージ優勝

 

インピーのダウンアンダー総合優勝、イェーツ兄弟の活躍など、注目ポイントは多々あれど個人的に最も印象深いのはカレブ・ユワンの成長。
確かに、ダウンアンダーでは昨年のような圧倒的な走りは見せなかった。しかし、2年前のダウンアンダーではまったく歯が立たなかったスターリング登りフィニッシュで優勝。しかもミラノ〜サンレモでは、正直優勝候補とは思われていなかった中で、集団の中で突出した走りを見せていた。
2015年ブエルタでのワールドツアー初勝利こそ登りフィニッシュだったものの、それ以来はピュアスプリンターらしい走りを見せていたユワン。ライバルというべきガヴィリアは2017年ジロで山岳も軽々越える走りを見せるなど、その差は開きつつあるように思えた。
そんな中、ユワンがその兆候を見せ始めているオールラウンドな走り。まだ20代前半。この後、さらなる進化が期待できる男だ。
チャベスは昨年に続き調子の微妙さを見せている。イェーツ兄弟とクロイツィゲルが調子良いだけに、今年もチャベスは埋もれてしまうのか?

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ミラノ~サンレモでは勝てず2位だったが、この2位は彼にとって非常に大きな2位だったと思う。そう遠くない将来に、この表彰台の頂点に立つ可能性は十分にあるだろう。

 

 

チーム・ロットNLユンボ(8勝)

ディラン・フルーネヴェーヘン(オランダ、24歳) 5勝

→ ドバイ・ツアー(2.HC) 第1ステージ優勝

→ ヴォルタ・アン・アルガルヴェ(2.HC) 第1・第4ステージ優勝

→ クールネ~ブリュッセル~クールネ(1.HC) 優勝

→ パリ~ニース(2.WT) 第2ステージ優勝

プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、28歳) 2勝

→ ティレーノ~アドリアティコ(2.WT) 第3ステージ優勝

→ イツリア・バスク・カントリー(2.WT) 第4ステージ(個人タイムトライアル)優勝

ダニー・ファンポッペル(オランダ、24歳) 1勝

→ ボルタ・ア・コムニタ・バレンシアナ(2.1) 第1ステージ優勝 

パスカル・エインクホーン(オランダ、21歳) 1勝

→ セッティマーナ・コッピ・エ・バルタリ(2.1) 第1ステージ優勝

 

昨年のシャンゼリゼを制したフルーネヴェーヘンが、今期一気に覚醒中。

そのパワフルなボディから繰り出される「先行逃げ切り型スプリント」の強さについては、サイバナさんの以下の記事で丁寧に解説されている。

ついに覚醒!?ディラン・フルーネウェーヘンのパワースプリントとは? - サイバナ

個人的にはスカイから母国チームへと移籍したダニーがシーズン序盤で早速勝利を掴んでくれたこと。3年前のブエルタで見せた印象深い勝利が忘れられない選手。まだ24歳。これからがぐっと楽しみだ。

フアンホセ・ロバトとの睡眠薬問題でプロデビュー早々に謹慎処分を受けていたエインクホーンも、開幕戦でいきなり落車リタイアしたりと踏んだり蹴ったりだったが、先日のバルタリで早速勝利。

2020年までの契約で、トラブルはあったもののチームとしてもじっくりと育てるつもりはあるようだ。

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安定感抜群のTT力と、トップクライマーにも負けない登坂力を見せる絶好調のログリッチェ。今年はグランツール表彰台を狙いたいところ。 

 

 

ロット・スーダル(8勝)

ティム・ウェレンス(ベルギー、26歳) 3勝

→ トロフェオ・セッラ・デ・トラムンターナ(1.1) 優勝

ブエルタ・ア・アンダルシア(2.HC) 第4ステージ優勝、総合優勝

アンドレ・グライペル(ドイツ、35歳) 2勝

ツアー・ダウンアンダー(2.WT) 第1・第6ステージ優勝

イェーレ・ワライス(ベルギー、28歳) 1勝

ブエルタ・ア・サンフアン(2.1) 第6ステージ優勝

ティシュ・ベノート(ベルギー、24歳) 1勝

→ ストラーデビアン(1.WT) 優勝

トーマス・デヘント(ベルギー、31歳) 1勝

→ ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ(2.WT) 第3ステージ優勝

 

グライペルのスプリント勝利、デヘントの大逃げ勝利など、「らしさ」も漂う中、ティム・ウェレンスのステージレース総合優勝、ベノートのプロ初勝利など、良い変化も訪れている。

とくにベノートはステージレースでも良い結果を出した(ティレーノ~アドリアティコ総合4位)。ウェレンスと合わせ、今後のロット・スーダルの新しい方向性に向けた変化が見えつつあると言えるかもしれない。

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ティレーノ~アドリアティコで新人賞を獲得したベノート。ステージレーサーとしての成長も楽しみだ。

 

 

トレック・セガフレード(8勝)

ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、29歳) 2勝

→ トロフェオ・カンポス(1.1) 優勝

→ トロフェオ・パルマ(1.1) 優勝

ライアン・ミューレン(アイルランド、23歳) 1勝

ブエルタ・ア・サンフアン(2.1) 第3ステージ(個人タイムトライアル)優勝

ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、29歳) 1勝

ブエルタ・ア・サンフアン(2.1) 第7ステージ優勝

トムス・スクウィンシュ(ラトビア、26歳) 1勝

→ トロフェオ・リョセタ(1.1) 優勝

マッヅ・ペダースン(デンマーク、22歳) 1勝

→ ヘラルド・サンツアー(2.1) 第2ステージ優勝

バウケ・モレマ(オランダ、31歳) 1勝

→ セッティマーナ・コッピ・エ・バルタリ(2.1) 第2ステージ優勝

ハルリンソン・パンタノ(コロンビア、29歳) 1勝

→ ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ(2.WT) 第5ステージ優勝

 

細かく勝利を刻んではいるが、いずれも1クラスが多く、大きなレースでの勝利がないという意味で、勝利数ほどには目立っていない。デゲンコルブも、開幕のマヨルカチャレンジ2勝で復活したと思ったのだが、昨年は調子よかった春のクラシックでイマイチで・・・。

コンタドールが抜けた穴を埋めるべく、モレマとパンタノにはステージレースでの総合上位もしっかりと狙ってほしいのだが、その点でも現状は微妙。

 

 

BMCレーシングチーム(7勝)

ローハン・デニス(オーストラリア、27歳) 3勝

→ オーストラリア選手権個人タイムトライアル優勝

アブダビツアー(2.WT) 第4ステージ(個人タイムトライアル)優勝

→ ティレーノ~アドリアティコ(2.WT) 第7ステージ(個人タイムトライアル)優勝

リッチー・ポート(オーストラリア、33歳) 1勝

ツアー・ダウンアンダー(2.WT) 第5ステージ優勝

ユルゲン・ルーラン(ベルギー、32歳) 1勝

→ ボルタ・ア・コムニタ・バレンシアナ(2.1) 第5ステージ優勝

グレッグ・ファンアフェルマー(ベルギー、32歳) 1勝

→ ツアー・オブ・オマーン(2.HC) 第3ステージ優勝

チームタイムトライアル 1勝
→ ティレーノ~アドリアティコ(2.WT)

 

昨年と比べるとここまでの結果はイマイチ。ポートはダウンアンダーの総合優勝を逃し、デニスも昨年総合2位だったティレーノ~アドリアティコのクイーンステージで失速。ファンアフェルマートも悪くない走りは見せるもののクラシックでの勝利なし。

それでも、新加入のルーランツの勝利はBMCにとっては吉報。JPドラッカーとベヴィンという、実力はあるが決め手に欠けるスプリンターしかいないBMCにとって、グライペルの発射台として鍛えてきた彼の存在は予想以上に大きいかもしれない。

 

 

アスタナ・プロチーム(7勝)

リカルド・ミナーリ(イタリア、22歳) 2勝

ツール・ド・ランカウイ(2.HC) 第2・第4ステージ優勝

ルイスレオン・サンチェス(スペイン、34歳) 1勝

ブエルタ・ア・ムルシア(1.1) 優勝

マウヌスコルト・ニールスン(デンマーク、25歳) 1勝

→ ツアー・オブ・オマーン(2.HC) 第4ステージ優勝

ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、24歳) 1勝

→ ツアー・オブ・オマーン(2.HC) 第5ステージ優勝

アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、25歳) 1勝

→ ツアー・オブ・オマーン(2.HC) 総合優勝

ミケル・ヴァルグレン(デンマーク、26歳) 1勝
→ オンループ・ヘット・ニウスブラット(1.WT) 優勝

 

絶対的な強さを誇る少数のエースが勝利を稼ぐ、というよりも、最強ではないけれど実力のある選手たちそれぞれがチーム一丸となって勝利を掴んでいく、という印象。

実際に勝利している6人以外にも、昨年ドーフィネ総合優勝、今年もバレンシア総合3位のヤコブ・フールサン、過去ブエルタで2年連続山岳賞を獲得し、昨年はジロで区間1勝、今年もパリ~ニース最終ステージでも2位となり山岳アシストとしても活躍しているオマール・フライレ、あるいはガットやビルバオなど、本当にいぶし銀の選手たちが揃っている。

そして、昨年ドバイツアーでも何度か上位に入っていた若手実力派スプリンター、ミナーリが、今年ついに勝利を掴んだ。しかも2回。

この初勝利となったランカウイ第2ステージは、コース前半に1000mを越える1級山岳が用意されており、ミナーリにとって最大のライバルであったアンドレア・グアルディーニがっこで遅れ最後の勝負に絡めなかったのに対し、ミナーリも遅れはしたものの、チームメートの助けにより復帰を果たしている。

さらにミナーリの発射台として活躍したエフゲニー・ギディッチも、最終日にはミナーリ以上の4位でゴールし、ベストアジアライダーにも選ばれた。昨年まではアスタナの育成チームに所属していたネオプロ。ミナーリと合わせ、今後に期待大の選手だ。

 

 

AG2Rラ・モンディアル(7勝)

アレクサンドル・ジェニエ(フランス、29歳) 3勝

→ グランプリ・シクリスト・ラ・マルセイエーズ(1.1) 優勝

→ ツール・ド・ラ・プロヴァンス(2.1) プロローグ優勝、総合優勝

トニー・ギャロパン(フランス、29歳) 2勝

→ エトワール・ドゥ・ベセージュ(2.1) 個人TT優勝、総合優勝

ロマン・バルデ(フランス、27歳) 1勝

→ クラシック・ドゥ・ラルディシュ(1.1) 優勝

シルヴァン・ディリエ(スイス、27歳) 1勝

→ ルートアデリー・ド・ヴィテレ(1.1) 優勝

 

フランスの伝統的な1クラスレースで勝利を量産中。クラスは低いが勝利は勝利。とくに、新加入のギャロパン、ディリエがしっかりとチームに貢献しているのは良いこと。

また、バルデはラルディシュだけでなく、その直後のストラーデビアンケでは勝ちはしなかったものの2位と大健闘。普段出場しているパリ~ニースへの参加を蹴ってまで参戦を決めたこのレースで、ひとまず成功と言える結果を残した。

今年のツール・ド・フランスでは3年ぶりに石畳ステージが復活。1月末には現地の試走もしているというバルデ。このストラーデビアンケの結果も合わせ、気合は十分。

フルームがジロに出場する今年は、バルデにとって表彰台の頂点に立つための最大のチャンスとなるのは間違いないだろう。 

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トスカーナの厳しい未舗装路レースで2位を記録したバルデ。今年は例年以上の活躍を見せてくれそうだ。 

 

 

グルパマFDJ(6勝)

マルク・サロー(フランス、24歳) 4勝

→ エトワール・ドゥ・ベセージュ(2.1) 第1・第3ステージ優勝

→ ラ・ルー・トゥランジェル(1.1) 優勝

→ シルキュイ・サルト・ペイ・ド・ラ・ロワール(2.1) 第2ステージ優勝

ルノー・デマール(フランス、26歳) 1勝

→ パリ~ニース(2.WT) 第1ステージ優勝

リュディ・モラール(フランス、27歳) 1勝

パリ~ニース(2.WT) 第6ステージ優勝

 

今期勝利を稼いでいるサローは、24歳ながらすでにFDJ5年目。ジュニア時代から含め派手な勝利はないものの、今後も着実に稼ぎ頭となってくれそうな選手だ。

そしてデマールが、チームの名称とジャージが一新されて最初の戦いとなったパリ~ニースの開幕戦でいきなりの勝利! 勝利に大切なのはその数や格もそうだけれど、より重要なのは印象的であること。

その意味で、デマールのこの勝利は「新FDJ」にとっての最高の門出となったと言えるだろう。

ここまでピノが存在感を示せていない分、特に。

 

 

ボーラ・ハンスグローエ(4勝)

ペテル・サガン(スロバキア、28歳) 1勝

ツアー・ダウンアンダー(2.WT) 第4ステージ優勝

→ ヘント~ウェヴェルヘム(1.WT) 優勝

ジェイ・マッカーシー(オーストラリア、25歳) 2勝

→ カデルエヴァンス・グレートオーシャンロードレース(1.WT) 優勝

→ イツリア・バスクカントリー(2.WT) 第3ステージ優勝

 

若手も含め満遍なく強く勝利を稼いでいるクイックステップやアスタナとは対照的に、一部の「エース」たちが高ランクのレース勝利を稼いでいるチーム。これは昨年から変わらず。結果、勝利数の割にはUCIランクは高かったりする。

とはいえ、中身を見てみれば新加入のオスやブルグハートが素晴らしいアシストを見せていたり、登りでもフェリックス・グロースシャルトナーなどが今後を期待させる走りを見せている。

そしてマッカーシーも、ついに「オーストラリア以外」での勝利を獲得。昨年のツールでの走りも悪くなく、今年はさらなるリザルトを期待できそうだ。

 

 

チーム・カチューシャ・アルペシン(3勝)

マルセル・キッテル(ドイツ、29歳) 2勝

→ ティレーノ~アドリアティコ(2.WT) 第2・第6ステージ優勝

ネイサン・ハース(オーストラリア、29歳) 1勝

→ ツアー・オブ・オマーン(2.HC) 第2ステージ優勝

 

1~2月は苦しい時期を過ごしたキッテル。相性の悪いはずのイタリアで、復活を遂げた。あきさねゆう氏がツイッターで書いていた「チームが彼に合わせるのではなく、彼がチームに合わせた」という言葉に成程、と感じた。最近はまた、うまくかみ合わない状態が続き、得意のスヘルデプライスでも勝ちを得られなかったが、5月以降はまた、大爆発できるタイミングが来ることだろう。

勝利しているのが新加入選手ばかりというのもいくばくか寂しいところ。これもまた、ジロ以降の活躍に期待している。

 

 

バーレーンメリダ・プロサイクリングチーム(3勝)

ソニー・コルブレッリ(イタリア、27歳) 1勝

→ ドバイ・ツアー(2.HC) 第4ステージ優勝

マチェイ・モホリッチ(スロベニア、23歳) 1勝

→ グラン・プレミオ・インダストリア&アルティジアナート(1.HC) 優勝

ヴィンツェンツォ・ニバリ(イタリア、33歳) 1勝

ミラノ~サンレモ(1.WT) 優勝

 

結果だけ見ればあまり良いとは言えないだろう。それでも、結果に表れない各選手たちの働き――イヴァンガルシア・コルティナのパリ~ニースとフランドルでの走り、移籍してきたばかりのゴルカ・イサギーレの健闘。

だがやはりこのチームの主役はニバリだ。しかも、仲間を助けることも忘れないニバリ。ドバイ・ツアーのコルブレッリの勝利はニバリのサポートのおかげだし、ミラノ~サンレモでもポッジョの山頂までは、ニバリはひたすらコルブレッリのアシストだった。

コンタドールが引退した今、現役で唯一のグランツール制覇者となっているニバリ。彼の強さ、凄さが際立つ今シーズンとなっている。

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UAEチーム・エミレーツ(2勝)

アレクサンデル・クリストフ(ノルウェー、30歳) 2勝

→ ツアー・オブ・オマーン(2.HC) 第6ステージ優勝

アブダビ・ツアー(2.WT) 第1ステージ優勝

 

春の段階で2勝というのは、クリストフにとって決して良いとは言えない数字だ。とはいえ、異様に太り過ぎており、うまく噛み合わない時期が続いてもいた昨年と比べると、今年はそこまで不安を感じてはいない。

それよりは、同じ新加入のダニエル・マーティンやファビオ・アルがイマイチな方が不安。ウリッシ、ポランツ、ルイ・コスタなど実力者は揃っているので、これからのシーズンに期待だ。

 

 

チームEFエデュケーションファースト・ドラパック(2勝)

リゴベルト・ウラン(コロンビア、31歳) 1勝

→ コロンビア・オロ・イ・パ(2.1) 第5ステージ優勝

サッシャ・モドロ(イタリア、30歳) 1勝

ブエルタ・ア・アンダルシア(2.HC) 第3ステージ優勝

  

昨年同時期に勝利数0で苦しんでいたアスタナは今年好調。一方同じく0勝で苦しんでいたこのチーム(当時はキャノンデール)は、今年も苦しい時期を過ごしている。 

北のクラシックももう最終戦。ファンマルケはパリ~ルーベで花を咲かせることができるか。

 

 

チーム・サンウェブ(1勝)

フィル・バウハウス(ドイツ、23歳) 1勝

アブダビ・ツアー(2.WT) 第3ステージ優勝

 

意外なチームがこの位置に。マイク・トゥニッセン(ドワーズドール・フラーンデレン2位)やウィルコ・ケルデルマン(アブダビ・ツアー総合2位)など、勝ててはいないが強い走りをしている選手は沢山いれど・・・。

デュムランやマシューズといったエース格の不調が要因の1つ。デュムランはアブダビ・ツアーで度重なるメカトラで苦しんだからねぇ。1回目のトラブルのときは紳士的にバイクを置いた彼が、2回目のメカトラで「もうやだ!」って感じでバイクを投げたのがとても彼らしく微笑ましかった。フルームみたいな紳士を目指しつつも、紳士になりきれない的な。

 

 

ディメンションデータ(1勝)

マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、32歳) 1勝

→ ドバイ・ツアー(2.WT) 第3ステージ優勝

 

UCIランク最下位常連のこのチームは、今年は勝利数でも最下位。昨年この時期に勝利数を稼いでいたツール・ド・ランカウイで昨年総合優勝者ライアン・ギボンズを連れていかなかったりしてうまくいかなかったのも原因だ。

昨年はこの後、ボアッソンハーゲンがノルウェーで勝利数を稼いでいたものの、今年同じことが期待できるとは限らない。カヴェンディッシュも度重なる落車で現在も戦線離脱中だし、ほんと、大丈夫か。

 

 

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