今大会2勝目。昨年は1勝。その前年も2勝。まさにキング・オブ・ジロ。総合争いには決して絡んでは来ないけれど、「勝利」への鋭さは随一。全ワールドツアーチームの中で最も年間予算が少ないのではないかと再三にわたり指摘されていたランプレ・メリダの26歳エース、ディエゴ・ウリッシが、地元イタリア最大のレースで華々しい2度目の勝利を演出した。
jsportsより。
ステージはほぼ平坦。しかしラスト12kmに4級山岳。これもただの4級ではなく、最大勾配は16%――集団スプリントとなるか、逃げ切りが決まるか、総合争いが過熱するか、いろんな可能性を秘めたこのステージで、最初に攻撃を仕掛けたのはヴィンツェンツォ・ニバリであった。
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4級山岳の下り、得意の下りでアタックを仕掛けたニバリに、ついて来られたのはバルベルデとチャベスの2人だけ。このままゴールまで3人で行きたい――そう考えていたであろうニバリとチャベスではあるが、バルベルデだけは異なった考えを持っていた。何しろ後方の集団には、自分と同じく総合上位にいるアマドールがまだ残っている。自分だけが前でゴールする必要はない、と考えたのかもしれない。
いずれにしてもニバリのこの攻撃は封じ込められ、代わってメイン集団から件のアマドールが飛び出した。総合2位につけている彼のアタックに反応せざるをえないのがマリア・ローザを着たボブ・ユンゲルス。そして集団の総合系選手はこれに反応せず。ただ一人、ディエゴ・ウリッシだけがこれについていった。
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ユンゲルスはとにかく後方のメイン集団とのタイム差を広げたかった。だから、ステージ勝利を奪われたとしても、前を牽引するしかなかった。リーダージャージが単独で逃げ、先頭を牽引するという、なかなか珍しい光景。最後の最後で総合上位にはつけないであろうと自分自身でも感じているからこそ、彼は今この瞬間のために全力を尽くすのである。とくに、昨日のステージで、チームメイトの献身的なアシストを経て獲得したピンクジャージなのだから。
勝者は最初に述べたようにディエゴ・ウリッシ。しかし、同時にユンゲルスもまた、決して偶然ではない総合リーダーとしての貫禄を見せた走りとなった。アマドールも24秒差でユンゲルスを追う位置に。3位のバルベルデは43秒後方にいる形だ。
明日は完全に平坦のスプリントステージ。その後からはいよいよ本格的な山岳ステージが始まる。