誰もが期待していた勝利。
誰もが想像していた通りの勝利。
現代のキング・オブ・スプリンター、マルセル・キッテルがジロ最初のスプリントステージを制した。
jsportsより
アーネムからナイメーヘンまでの190km。オランダらしいド平坦のステージ。ラストに1.13kmで74mを登る4級山岳。16ジロ最初の山岳賞ジャージ着用者も決まるステージだ。
アクチュアルスタート直後に生まれた逃げは3人。ニッポヴィーニファンティーニのジャコモ・ベルラート、ディメンションデータのオマール・フライレ、そして地元ロットNLユンボの逃げ巧者マーティン・チャリンギ。最大で8分以上のタイム差を作りながら、集団も教科書通りのペースでそのタイム差を詰めていく。
先頭3人の「山岳争い」は予想通り白熱の展開となったが、ここを獲ったのは昨年ブエルタの山岳王フライレ。
jsportsより
4級山岳ならではのスピード感のある山頂争い。ブエルタでも魅せてくれたフライレの山頂スプリントは圧巻! 初日の山岳賞ジャージを獲得した。
メイン集団のスプリントポイント争いも白熱。キッテルは相変わらずここでは絡んでこないが、昨年ポイント賞を獲得したジャコモ・ニッツォーロが2つとも(集団の中での)先頭通過を果たす。
jsportsより。写真は第1スプリントポイント。
しかし一方で、チーム・スカイのエリア・ヴィヴィアーニも3位と2位に入り着実にポイントを重ねていく。昨年も最初のスプリントステージでいきなりのステージ優勝を果たした男。今年も期待がかかっていたが…
最後はやはりあの男、マルセル・キッテルがその力を見せつけて文句のない勝利を掴み取ったのである。
しかしラスト5kmの時点で、どんな展開になるのかは正直、予想がつかなかった。キッテルを擁するエティックス・クイックステップがまったく集団の前方に出てこず、スプリンターチームの中では唯一エフデジだけが前方でトレインを形成している状態であった。
残り1kmでようやく先頭に出てきたエティックス。これを追うのがエフデジのトレイン。期待されたオリカ・グリーンエッジのカレイブ・ユワンはたった一人でキッテルについていく。しかし結局ユワンは集団の中に飲み込まれてしまう。
ラストはエティックスとエフデジの一騎打ち。これを制したのは、圧倒的な加速力を見せつけたキッテル。「中盤までは散々仕事したくせにラストでは影も形もなくなる」というのが定番だった今期クラシックシーズンのエティックスと比して、今日のエティックスはむしろ、最後の最後、最も重要な場面でしっかりと仕事をした形となった。
一方できっちり2位につけたエフデジのアルノー・デマール。今年ミラノ~サンレモの覇者でもある彼は、最大のライバルであるナセル・ブアニ不在のこのジロでどれだけ存在感を出していけるのか、期待である。
そしてニッツォーロはポイント賞連覇を成し遂げられるのか。そのためにはもっと「2位」を積極的に取っていかなければいけないかもしれないが…。
本日のもう1人のヒーローは文句なしにこの人。ニッポヴィーニファンティーニのジャコモ・ベルラート。一緒に逃げていたチャリンギとフライレに何か仲間はずれ(?)のようなことをされていた彼は、何度捕まえられても諦めない粘りの姿勢で、実に4度のアタックの末に単独での逃げを掴み取った。
jsportsより
その後も10kmに及ぶ単独の逃げを成し遂げたベルラート。プロコンチネンタルチームとして、しっかりとその存在感をアピールする素晴らしい走りであった。彼もまだまだ24歳と若手。これからの活躍も期待したいところである。
ジロ・ディタリア第2ステージ。平穏な平坦ステージでありながら、意外なほどに見所の多かった今ステージ。明日もまた、似たようなステージとなるが、やはり気になるのは、この第2ステージでの勝利を経て1秒差の総合3位に登りつめたキッテルが、果たしてマリア・ローザを着ることができるのかどうか、ということ。
まったく目の離せないジロ・ディタリア。引き続き楽しみに放送を待つばかりである。