りんぐすらいど

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今後のUCIルール変更点まとめ

イギリスの老舗自転車情報サイト『Cycling Weekly』で「2019年シーズンを前に知っておくべき11のUCIルール・レギュレーション変更点」と題した記事が掲載されていたので紹介・解説をしておく。

www.cyclingweekly.com

 

こんなタイトルだが変更点の中にはおそらく2020年以降の内容だろうと思われるものも多いため注意が必要。

また、私の拙い英語力に基づく理解のため、不正確・不適切な部分があればご指摘頂きたく。

また、以下記事内容は@roadtoeurope氏から頂いた情報も参考にしており、この場を借りて感謝申し上げたい。もちろん、内容に関する責任は私が背負うものとなる。

 

  

 

1.選手のユニフォームに関するルールの厳格化

 こちらの記事も参考にされたし。

bikenewsmag.com

 

新しいレギュレーションによると、選手のユニフォームは選手の「形」を変えることは許されず、選手の身体の「保護」「安全」以外のあらゆる目的を持つことを禁止する、と明記されるらしい。これは2019年からの変更。

具体的には上記の記事でも触れられている通り、「ユニフォームの表面の凹凸の高低差は1㎜以下」というルールが追加されるとのこと。

 

これはチーム・スカイの「マージナルゲイン」の考え方と、それによって生じる「不公平」に対する対抗策であろう、と考えられている。

 

賛否両論ありそうなルール改定ではあるが、今年のクリテリウム・ドゥ・ドーフィネのチームTTでも見られたような、選手自体の身体能力とは異なった要素で圧倒的な差がつけられてしまう可能性が真に存在するのであれば、そこは調整が必要なのかな、と感じないことはない。

もちろんそれはユニフォームだけでなく、バイク、タイヤなど他機材にも言えることではあるし、どこまでという加減は難しい話である。

なお、ロット・スーダルが使用した「ジェル」については既に禁止されている。

 

 

2.チームプレゼンテーション

レースの前に行われるチームプレゼンテーション。これを、新しいルール下ではレース日の前(ステージレースの場合は初日の前)に開催することが可能になった、とのこと。

このあたり、よく知らないのだけど、むしろ今までは禁止だったの? グランツールに関しては完全に初日以前に行っているけれど、あれは例外だったのかしら。

 

他にも変更点はあって、

  • チームプレゼンテーションには全選手およびスポーツディレクターの参加が義務付けられた。
  • チームプレゼンテーションの時間は最大で1時間とする。

 

記事中でも、後者のルール変更は選手の練習時間や夕食の時間を妨げられないようにする適切な変更点であると評価されている。

 

 

3.第2、第3の区分

ここがイマイチよく分からない内容で、とりあえず原文を以下に貼っておく。

the UCI is also making changes to the three division system, currently made up of WorldTour, Pro Continental and Continental.

Instead from 2019, the second and third divisions will be renamed – pro continental will become the UCI ProSeries division, while continental will become the UCI Continental Circuits division.

UCIはまた、現在『ワールドツアー』『プロコンチネンタル』および『コンチネンタル』と分けられているシステムを変革する。

 2019年より、このうちの2番目と3番目の区分の名称を変更する。すなわち、プロコンチネンタルをUCIプロシリーズに。そしてコンチネンタルをUCIコンチネンタルサーキットに」

 

これだけ読めば、2019年から

  • 現行のプロコンチネンタルチーム ⇒「UCIプロシリーズ」チーム
  • 現行のコンチネンタルチーム ⇒「UCIコンチネンタルサーキット」チーム

 

という名称の変更があるかのように読めてしまう。

しかし、9月末にこれに関するUCIルール改定案の報道があり、以下の記事でも解説されている。

bikenewsmag.com

 

この中では「UCIプロシリーズ」というのはあくまでもレース群の名称であって、チームの名称ではないとされている。

 

また、以下の記事では次のように述べられている。

inrng.com

UCIプロフェッショナルコンチネンタルチームは『UCIプロチーム』に改称される。これは(レース群の名称としての)『UCIプロシリーズ』と対応する形で良い名称とは言えそうだが、同時に混乱も招きかねない。たとえばミッチェルトン・スコットとコフィディスは共にプロのチームだが、新制度下ではコフィディスのみが(名称としては)『プロチーム』となるのだ。プロコンチネンタルチームというのは奇妙な名前ではあったが、それが独特であるという点で有用だった。新制度の名称では、事情をよく知らない人たちにとっては混乱を招く結果を生むだろう・・・」

 

この記事ではプロコンチネンタルチームの名称変更は「UCIプロチーム」となるらしい。しかし記事中でも述べられているように、これはかなり混乱を招きそう・・・昔のUCIの制度もなんか似たような名前だったよね??

そしてその場合、現行のコンチネンタルチームはどうなる? また、この名称の開始時期は、Cycling Newsの元記事ではあくまでも2019年となっているが、それはその、現実的ではないよね・・・?

 

この3番の変更点については現状、謎が深まるばかり。

誰か詳しい人、解説をお願いしたい。

 

こっちも参考に。

 

 

4.補給

2019年より、スタート直後の補給禁止エリアが、現行の50kmから30kmに短縮されるらしい?

実は現行のルールについても良く知らなかったりするので、この解釈が正しいかは若干自信がない。どうでしょう。

また、ラスト20kmでの補給禁止ルールは現行のまま維持とのこと。

(これも賛否あるルールだよね)

 

新しいルール変更(多分)として、

  • スプリントポイント、山岳賞ポイント、補給エリアの1km手前からは補給禁止
  • 山岳賞が設定された登りの山頂での補給は禁止

 

特に後者は割と当たり前の風景として見られたものだったので、この変更は各チームの戦略の変更などにも影響が出そう。

とくに下りは食べ物の消化に良いという話を聞いたこともあるので、絶好の補給ポイントだったんだけどなぁ。

 

この辺りは選手の安全第一ということと、過去にもあったような「補給の隙をついてのアタック」などを防ぐ目的というのもあるのかもしれない。

 

 

5.チームタイムトライアル

こちらも、以下の記事を参考にするとよろし。

bikenewsmag.com

<blockquote class="twitter-tweet"><p lang="ja" dir="ltr">UCIから次年度以降の世界選チームタイムトライアルの開催概要について正式発表。各国のエリート及びU23カテゴリーから男女それぞれ3名の選手を選出し、国対抗の男女混合チームタイムトライアルレースとする。詳細は以下のリンク参照。 <a href="https://t.co/3zUMvMRLJC">https://t.co/3zUMvMRLJC</a></p>&mdash; ルッカ Yoco (@Lucca196) <a href="https://twitter.com/Lucca196/status/1045011378916847616?ref_src=twsrc%5Etfw">September 26, 2018</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script> <blockquote class="twitter-tweet"><p lang="ja" dir="ltr">UCIから次年度以降の世界選チームタイムトライアルの開催概要について正式発表。各国のエリート及びU23カテゴリーから男女それぞれ3名の選手を選出し、国対抗の男女混合チームタイムトライアルレースとする。詳細は以下のリンク参照。 <a href="https://t.co/3zUMvMRLJC">https://t.co/3zUMvMRLJC</a></p>&mdash; ルッカ Yoco (@Lucca196) <a href="https://twitter.com/Lucca196/status/1045011378916847616?ref_src=twsrc%5Etfw">September 26, 2018</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script>

 

まあ大体上記のリンクで語りつくされているけれど、改めてまとめると以下の形に。

  • 新しい形式のチームTTでは、男女それぞれ最低2名から最大6名まで、合計で最大12名まで選出し競技を行う。
  • 世界選手権においては国別で男子3名・女子3名の計6名でチームを組んで競技を行う。

 

近年の女子レース地位向上と合わせる形で非常に面白い試みだとは思う。

しかし、うまくいくかどうかはわからない。身体能力も文化も違う男女ロードレーサーチームTTというある意味危険な競技を一緒に行うことに、複数のリスクが生じる可能性はある。また、練習とかってどうするの?的な・・・

 

この後に言及する女子レースの活性化プロジェクトが軌道に乗ってからでもこういう改革はいい気がするんだけどなーと思わなくはない。上記リンク先のUCIのツイートに対しても批判的なコメントが・・・。

 

 

6.ワールドランキング

2019年より新しい世界ランキングシステムを採用するとのこと。

第1に、個人ランキングに関してはワンデーレース用とステージレース用とに分割するとのこと。

これはなかなか、功罪ありそうな勇気ある変革である・・・確かにこの2つをごっちゃにすることの弊害はあったものの、果たしてそこを分けることで「世界一のロードレース選手」を表現することができるのか?

 

またチームランキングは各チームメンバーの個人ランキングにおける上位10名の点数を合計したもので競うのだとか。

これまでのルールってどんなだっけ? あまり違和感のない内容である。

 

上記の「個人ランキング」「チームランキング」に加えて「国別ランキング」、この3つが新ランキングシステムの3本柱になるとのこと。

また個人ランキングは3つの分類(ワールドツアー/プロシリーズ/コンチネンタルサーキット??)をまたぐ形となり、現行でよく参照されるような「ワールドツアーランキング」に当たるものはなくなる・・・ということだろうか。

 

 

7.クラシックにおけるワールドツアーポイント

これは非常に明確な変更である。以下の2つ。

  1. 5大モニュメントのワールドツアーポイントを現行の500から600に。
  2. ストラーデビアンケのワールドツアーポイントを現行の300から400に。

 

特に疑問を挟む余地もない変更である。

 

 

8.UCIへの重大な侵害を犯したレース主催者に対して

なんかUCIの強い情念を感じるルール改定である・・・。

 

UCIへの「重大な侵害(serious infringement)」を犯したレース主催者に対し、「罰金」「カレンダーからのレース除外」「レースのランクの降格」などの処罰が行われるとのこと。

では何が「重大な侵害」に当たるかというと、「倫理規定違反」「管理期限の超過(failure to meet administrative deadlines)」「チームに対しレース参加費を要求し徴収すること」などが含まれるという。

 

 

9.女子ワールドツアー

現行では「UCI女子チーム」として46ものチームが同じカテゴリに属している女子ロードレース事情。所属選手数も8名から19名とその差がかなり大きい。

その現状を改革するために、女子ロードレースでも「ワールドツアー」ライセンスを発行していこうよ、というのがこの改革の趣旨。

ただしいきなり男子と同じ形に、というのは難しいので、2020年段階ではまず5チームに発行予定なんだとか。

そして各ワールドツアークラスのレース主催者に対しては、2019年~2021年は合計で15チームの招待を義務付け、2022年からは、「全ワールドツアーチーム」を招待することを義務づける(=男子と同じ体制にする)のを目標としているらしい。

 

 

10.チーム規模

これは男子の話だけど、現行のワールドツアーチームの裁定人数が23名のところを、今後は27名~30名のいずれかにしよう、という案らしい。

この曖昧さから言っても、この話もおそらく(早くて)2020年からだろう。

一方で現行の18チーム体制を、最終的には15チームほどにまで削減したいというのがUCI(ラパルティアン)の意向。

とはいえ、別記事では向こう3年間は18チームを維持するという話も出ているので、こちらに関しては2020年からでさえないかもしれない。

UCIプロシリーズ」の話とも絡んできそうな話である。

 

 

11.グランツールワイルドカード

3で触れた話ともかなり関わっている話で、そのときに挙げたリンク先でも言及されている。かなり大きな改革である。

とりあえず原文を引用する。

the two best UCI ProSeries teams will automatically be given the chance to ride in the three-week races.

The three best ProSeries teams will also have the right to take part in the UCI Classics Series and other WorldTour events.

 

先にも述べた「UCIプロシリーズ」がレース群の名称であるとすれば、そのレース群で「上位2組」に入ったチームは自動的にグランツールでの出場権を得られ、「上位3組」に入ったチームは「UCIクラシックシリーズ」やその他のワールドツアークラスのレースへの出場権を得られる、という内容である。

 

気になるのは上記の「UCIプロシリーズ『チーム』」という表記。もちろん、「UCIプロシリーズで上位2組の『チーム』は」という意味にも取れるのだけれど、結局この名称はチームに与えられた名称なのかレース群に与えられた名称なのか・・・。

 

どのグランツールにどう出場権が割り振られるのかなど細かなところがかなり気になる内容ではあるが、そのあたりはこれから明確になる部分が大きいのだろう。

他記事でも言及されている通り、この制度は2020年以降に適用される様子。

 

グランツールワイルドカードに関しては不透明な部分も多く、今年のアクアブルー・スポート解散のきっかけの1つにもなっている。

その辺りのルールの明確化を図れるのであれば、この改革自体は悪くないと思う。あとは変な混乱がないようにしてくれれば・・・。

 

 

と、いうことで Cycling News の記事に基づいて今後のUCIルール変更点をまとめてみた。

不明確な部分も多く申し訳ないが、様々な媒体で発表されるルール変更点を1つにまとめた記事というのは貴重な気がするので、活用して頂きたい。

そのうえで不明確・不正確な部分の修正・確認は随時行っていくべきだと思うので、気になる部分があればぜひご指摘のほどお願い申し上げる。