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ジロ・ディタリア2017 出場チームプレビュウ(総合争い編②)

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総合優勝を狙うのは少し厳しい? けれど表彰台、あるいは総合TOP5入りは狙っていきたい準優勝候補たち。

 

昨年4位のクライスヴァイク、5位でリタイアしたザッカリン、今年は総合優勝を狙うと宣言しているデュムラン、いよいよ総合エースを意識し始めたデニス、そして昨年ツールで活躍したモレマを含むチームを紹介する。

 

 

 

 

 

 

LottoNL-Jumbo  ロットエヌエル・ユンボ

クライスヴァイクのリベンジを、ヴァンデンブロックとクレメントの新加入で支える。昨年ブエルタでヘーシンクを支えた若きカンペナールツの走りにも注目だ。

また、屈指の逃げ屋が多いのもこのチームの特徴。ファンエムデン、バッタリン、ケイゼルと、とにかく逃げる姿が目立つ。どうでもいいがクイックステップとどっか赤いチームと並ぶと迸る信号機感を得られる。ジロだとガスプロムもいるので、信号機の出現率も高まるだろう。

 

 

スティーヴン・クライスヴァイク(オランダ、29歳)

オールラウンダー。オランダは平坦ばかりなのになぜか定期的に山に強い選手を輩出する。昨年一番の成長株がこの人。今年はイマイチ?という声も聞かれるが、アブダビツアーでの飛び出しのキレは良かった。

ちなみに昨年の個人TTでギリギリの区間2位を叩き出したので独走力も高いというイメージがあるが、そのときは山岳TTであり、もう1つの平坦TTの方は2分以上遅れた21位だったので、実は微妙である(雨だったのもあるが・・・)。

今年は基本的には平坦のTTなので、それで稼ぐのは難しいと思われる。つまり昨年よりも、条件は悪い。

 

  

ユルゲン・ヴァンデンブロック(ベルギー、34歳)

オールラウンダー。2008年ジロ総合7位。2010年ツール総合3位。2011年ブエルタ総合8位。ベルギーチームのベルギー人総合エースとして大きな期待を持たれていた。だが、それ以上の結果を出すことができなかった。そして環境を変えるべく移籍。

今年は総合エースのプレッシャーから解放され、このジロではクライスヴァイクのアシストに専念するとのこと。クライスヴァイクにとっては心強い限りだ。

  

 

ステフ・クレメント(オランダ、34歳)

ルーラー。2年間在籍していたIAMの解散に合わせ、古巣に帰ってきた。タイムトライアル能力は飛び抜けており、過去には世界選手権で3位と、国内選手権で4度優勝。

昨年ツールではチーム内最高順位である総合18位でゴールしている。平坦を中心にクライスヴァイクをサポートする。 

 

 

 

ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、25歳)

ルーラー。まだ若く、グランツールは昨年のブエルタが初挑戦だが、そこでのヘーシンクへの献身的なアシストが注目を集めた。クライスヴァイク親衛隊の1人として活躍に期待。
昨年のベルギータイムトライアルチャンピオンであり、ヨーロッパ選手権でも2位に入った。今年もアンダルシアのITTで優勝したほか、ロマンディのプロローグでも5位。

 

 

ヨス・ファンエムデン(オランダ、32歳)

ドワルスドール・ウェストフラーンデレン優勝と、ティレーノ~アドリアティコの個人タイムトライアルでもデニスに3秒届かぬ2位。いぶし銀。

 

 

エンリコ・バッタリン(イタリア、27歳)

よく逃げで見かける。平坦でも山岳でもバランスよく逃げる。過去2回ジロで優勝しており、いずれも山岳・丘陵ステージ。

だが昨年のジロでは結構スプリンターに混じって上位に入る姿も。豊かな起伏の末のスプリントで勝機を掴めるかも。そしてジロではそういうステージが多い。

 

 

ブラム・タンキンク(オランダ、38歳)

ラボバンク、ベルキン時代から在籍し続けている大ベテラン。今年はパリ〜ニースでチーム最高順位。

 

 

マルティン・ケイゼル(オランダ、29歳)

ロットNL屈指の逃げ屋。しかしそれが実を結ぶことは少ない。「愛、強い」のタトゥーが特徴。

 

 

トワン・カステリンス(オランダ、28歳)

本格的なプロ入り2年目でまだまだ実績は少ない。どちらかというと北のクラシック巧者で、今年はロンド・ファン・ドレンテで2位。

 

 

 

 

Katusha-Alpecin カチューシャ・アルペシン

ドイツのスポンサー・アルペシンが新たに加わった。本拠地もロシアからスイスに変わった。だが今回のジロはロシア人中心。エースもロシアの期待の星、ザッカリンだ。

問題は彼を支える布陣がイマイチなところ。総合だけでなく、逃げからの区間優勝も狙っていきたい。昨年ステージ優勝を挙げているタラマエが不参加なのは残念。

 

 

イルヌール・ザッカリン(ロシア、27歳)

クライマー。昨年は総合5位からの落車リタイア。クライスヴァイクと並んで悲運のエースだった。でもそこから1ヶ月で復活してツールでも区間1勝しているあたり凄い。不死身か。栗村さん曰く「天然キャラ」。

ASOからは他の選手に間違えられるなどイジメを受けている。昨年ツールではヴィシオソ、今年はパリ~ニースでクリストフと間違えられた。ジロでは多分大丈夫だろう。

ナオトインティライミに似ている気がするんだけど気のせい? 笑顔でサイコなことを言いそうなキャラとも言える。

 

  

ロベルト・キセロフスキー(クロアチア、30歳)

クライマー。ジロでは過去に2度、総合10位に入っている実力者。

だがコンタドールのアシストだった昨年まででは「うーん、キセロフスキー・・・強いんだけど、うーん、あまり頼りにできないかなぁ」というような評判があちらこちらで。

実際昨年のツールはコンタが先にリタイア、ブエルタではキセロフが先にリタイアし、その実力を発揮する機会を得られなかった。

 

 

アチェスラフ・クズネツォフ(ロシア、27歳)

ルーラー。昨年のヘント~ウェヴェルヘムで3位となり、日本でも名前が知れ渡った。と、同時にその名前に変な注目が集まりネタにされた。

実際の性格は別にそんなことない。直後のデパンヌ3日間レースで他選手を殴ったくらいである。あれ?

北のクラシックが専門で平坦牽引が主な仕事となるだろう。クラシック風味のコースが多いのもジロの特徴なので飛び出しからの逃げ切りにも注目していきたい。 

 

 

マトヴェイ・マミキン(ロシア、22歳)

ラヴニールで総合3位を獲った若き才能は、昨年ブエルタの登りでも存在感を発揮した。栗村さん曰く「女子高生のような名前」。女装してもまあ、いけなくはなさそうな顔つき。

 

 

アンヘル・ヴィシオソ(スペイン、40歳)

よく逃げている。めちゃくちゃ逃げている。現役ワールドツアーチーム最高齢グループの1人にも関わらず元気いっぱい。名前は天使を意味する。天使おじいちゃん。日本でもザッカリンの「アレ」の件で有名に。今年のチームスポンサーがアルペシンになったのは、別に彼の存在が理由ではないはずだ。

なんとなく顔つきが永田実さんに似てない?

 

 

アルベルト・ロサダ(スペイン、35歳)

クライマー。長年ホアキン・ロドリゲスを支え続けたベテラン。

 

 

パヴェル・コシェトコフ(ロシア、31歳)

オールラウンダー。ロシアのロードチャンピオン。名前はよく見る。

 

 

マキシム・ベルコフ(ロシア、32歳)

TTスペシャリスト。2013年ジロで60km独走勝利を果たした。

 

 

ホセ・ゴンサルヴェス(ポルトガル、28歳)

オールラウンダー。元カハルラル。昨年ツアー・オブ・ターキーを総合優勝したことを評価されて移籍が決まった。平坦でも山岳でもイケるので、ザッカリン親衛隊としても頼りにできそう。

 

  

 

 

Sunweb サンウェブ

デュムラン今回本気なんだって。タイムトライアルも長いし十分可能性はある、とは思う。あとは登りがどれくらいこなせるのかと、チーム力が課題。ケルデルマンとテンダムのオランダ人コンビ、あとプライドラーあたりは頼りになるだろう。

昨年最終日に優勝したアルントが出場しないのは残念。その代わりスプリントではバウハウスに期待だ。

 

  

トム・デュムラン(オランダ、26歳)

昨年は「いや狙わないから、俺総合狙わないから」と言い続け誰からも信用されなかった。第2ステージのゴール前でいきなり飛び出したり、第6ステージでちょっとアタックかけたりと、怪しい動きはしまくってた。でも結局お尻が痛くてリタイア。

ツールはさすがに狙わなかったようだが、それでもクイーンステージで勝利したりと、本当に未知数な走りをする男だ。さすがにキンタナには勝てない気がするけれど、勝っちゃってもおかしくないような気もするし、読めない。本当に読めない。

日本ではココア君と呼ばれてたりもする。由来は土井ちゃんさんに聞いてください。

個人的には一番親しみを持てる顔。なすびに似ているとか言わない!

 

 

ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、26歳)

ラボバンク-ロットNL系列が大事に育ててきたオランダ人オールラウンダー。2014年にはジロで総合7位に入った。なのに今年はサンウェブに。まあ、エースはオランダ人だし、多少はね。

 

 

ローレンス・テンダム(オランダ、36歳)

この人も元ロットNL。昨年から現チームに。もうさ、サンウェブもオランダ籍にしようよ。かつてはそうだったしね。

ツール総合9位、ブエルタ総合8位の経験有。経験豊富でデュムランにとってはこの上なく頼れる存在。

 

 

オルグ・プライドラー(オーストリア、26歳)

サンウェブの叩き上げ。言語的にも、ドイツチームらしい人材。

ずば抜けた力を持つわけではないが積極的に逃げ、昨年のジロでは総合26位。チーム内最高順位となった。こういう渋い選手、好きなのよ。顔も好み。

 

 

フィル・バウハウス(ドイツ、22歳)

スプリンター。昨年までボーラに所属。今年ノケーレ・クルスで4位。アブダビカタルーニャでも区間上位に入るなどちらほらと名前を見る。チーム最強のスプリンターは

今回がグランツール初挑戦。さすがに優勝までは望まないが、いい順位につけてほしい。3年以内ワールドツアーで優勝するぞ!

 

 

シモン・ゲシュケ(ドイツ、31歳)

ヒゲのゲシュケ。ドイツのサンタクロース。こんな男が涙を流したのだからツールは偉大だ。で、いつ髭そるの?

一流クライマーというよりはアルデンヌスペシャリストといった方が正解? デュムランのアシストよりも、飛び出しからのステージ優勝の方が向いているのかな?

 

 

チャド・ヘイガ(アメリカ、28歳)

独走力が高くグランツールの山頂ゴールで上位に入ることもある安定感のあるルーラー。

 

 

シンドレショスタッド・ルンケ(ノルウェー、24歳)

2年前ラヴニールで総合7位。昨年は初のグランツールであるブエルタを完走した。

 

 

トム・スタムスネイデル(オランダ、31歳)

プロ入り10年以上だが勝利はなし。

 

 

 

 

BMC ビーエムシー

TJはやっぱり期待できないよ~、と思いつつデニスで総合優勝を狙うのも厳しいような気がして・・・でも、ロマンディでTJにやや復活の兆し。さてどうなるか。

逃げによく乗る選手も多いので、ステージ優勝にも期待。

 

 

ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、28歳)

表のエース。問題なければ彼でいく。ただここ近年は問題ばかりで「あー、ヴァンガーデレン遅れていくぅ~」実況はお約束。本当は期待したいのだけれど、精神的には期待しないのが一番かな・・・と思ってみていたロマンディではやや復活の兆し。最終日タイムトライアルはリッチー・ポートに次ぐ4位である。

ただこのロマンディでも、プロローグで落車したり最終日TTで車に邪魔されたりとやっぱり不運は続く。マジ頼むぜ。

 

 
ローハン・デニス(オーストラリア、26歳)

ティレーノ~アドリアティコでピノを抑え、キンタナに次ぐ総合2位に輝いたことで、グランツール総合エースへの可能性が一気に浮上した。本人も将来に向けたその夢を語りつつ、「すぐではない」と。今回のジロは自由な走りを保証されるという。どれだけの結果を出せるか、楽しみだ。

アルプスではやはりクイーンステージで大きく遅れる。今回のジロも、第16ステージなどはさすがに厳しい気がする。

 

 

ベン・ヘルマンス(ベルギー、30歳)

クライマー。ツアー・オブ・オマーン区間2勝+総合優勝。さくねんのブエルタでも総合14位と、山ではめっちゃ頼りになる。

 

 

ディラン・トゥーンス(ベルギー、25歳)

今年のフレッシュ・ワロンヌで頭角を現す。今後の活躍に期待したい。グランツール出場は昨年ブエルタに続き2回目。

 

マヌエル・クインツァート(イタリア、37歳)

昨年のイタリアTTチャンピオン。BMCと言えばチームTTの無類の強さだが、その一翼を担う選手である。グランツールでは平坦牽引の中心となるだろう。

 

 

ルヴァン・ディリエ(スイス、26歳)

バランスの取れたルーラー。2年前の北極圏レースではスプリントでザッカリンを降して勝利を掴んだ。

 

 

ジョー・ロスコフ(アメリカ、27歳)

ゲルツやスコットソンなどと一緒に低クラスのクラシック系レースによく出ている印象。ジロ出場は今回が2回目。

 

 

マヌエル・センニ(イタリア、25歳)

まだ若いがバレンシアナではヘルマンスと共に総合表彰台に上がり、新人賞も獲得した。

  

 

フランシスコ・ベントソ(スペイン、34歳)

スプリンター。昨年まではJJロハスと並ぶモビスターのスプリンターとして活躍。スペインレースでの勝率が高いがジロでも過去2回勝利している。平坦牽引役としても頼りになる。

 

 

 

 

 

Trek-Segafredo トレック・セガフレード

昨年ツールで健闘したモレマがエースを担い、総合上位を狙う。スプリントでもニッツォーロが3年連続のポイント賞を狙う。ストゥイヴェンの積極的なアタックにも注目だ。

 

 

バウク・モレマ(オランダ、30歳)

昨年のツール・ド・フランスでは、モンヴァントゥーで唯一フルームとポートについていけた男だった。結局最後まではもたず陥落したが、今年もサンフアン総合優勝から始まって悪くないシーズン前半を過ごしている。

TTも強いし、総合10位以内には確実に入ってきそう。ただ、表彰台を狙えるかというと、微妙、かなぁ。

 

  

ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、28歳)

とにかく2位が多く、つけられた渾名は「2位ッツォーロ」。昨年のジロは最終日に念願の勝利・・・と思ったら斜向判定を受けて取り消された。直後にポイント賞の表彰を受けるも不満気な表情。

だが今年もポイント賞を取れれば、3年連続となる。これは1981年のジュゼッペ・サローニ以来の快挙である。ただ勝利も欲しいね、やっぱり。

 

 

ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、25歳)

トレックの誇るスプリンターにして屈指のアタッカー。昨年はクールネ〜ブリュッセル〜クールネで見せた逃げ切り勝利と、叶わなかったもののツール・ド・フランス第2ステージで見せた逃げが印象的。ちょっと前には「カンチェラーラの後継者」なんて言い方をしている記事もあったり。個人的には2015年のブエルタで見せた「骨折しながらスプリント勝利」の印象も強い。とにかく負けん気の強いアタッカーだ。
ジロは今回初参加。まだ25歳と若いので、これからグランツールでの勝利を重ねていってほしい。

 


エウゲニオ・アラファシ(イタリア、26歳)

ジロ・ディタリアにはここ3年連続出場。それ以外でのグランツール出場はなし。

 

 

ローラン・ディディエ(ルクセンブルク、32歳)

カンチェラーラと長い期間を共にしたルーラー。

 

 

ジュリアン・ベルナール(フランス、25歳)

昨年のブエルタに続く2度目のグランツール参戦。

 

 

マッツ・ピーダーセン(デンマーク、21歳)

2年前のラヴニールで1勝。昨年のノルウェー1周レースでも山頂ゴールを制し、山岳賞も手に入れた。

 

 

ピーター・ステティナ(アメリカ、29歳)

カリフォルニアによく出てる選手、という印象があったが、ジロも昔は出てて総合20位台に入ってたりするらしい。カリフォルニア蹴ってまで出るんだから活躍したいところ。

 

 

ヘスス・エルナンデス(スペイン、35歳)

コンタドールがティンコフから連れてきたクライマー。でも今期はまずモレマをアシストするんだね。

 

 

 

 

次回はステージ勝利狙いのチームたち。すなわち、ロット・ソウダル、オリカ・スコット、クイックステップ・フロアーズ、UAEチーム・エミレーツ、そしてキャノンデール・ドラパックを取り上げる予定。

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