南オーストラリアで開催されている今年最初のワールドツアーレース、ツアー・ダウンアンダー。
その、正式な第1ステージが本日、開幕した。
第1ステージはアンリーからリンドックまでの145km。
Santos Tour Down Under - Santos Tour Down Underより。
ただし、酷暑とそれに伴うレースペースの遅さから、コースディレクターやチーフコミッセール、そして選手代表(アダム・ハンセン)などの競技の結果、最後の周回数を1つ減らして118kmにコースを短縮することが決まった。
.@hostworksmedia Stage One has been shortened by ONE lap, so will now finish after 118km instead of 145km #TDU
— SantosTDU_Live (@SantosTDU_Live) 2017年1月17日
いずれにしても純粋なスプリントステージとなることは間違いなく、ピープルズチョイスクラシックで悔しい思いをしたスプリンターたちの挽回のチャンスとなるか、それとも総合成績上位を目指すライダーたちによるボーナスタイム争いが白熱するか、見ものである。
この日、逃げに乗ったのはアスタナのローレンス・デヴリーズ。
昨年も「トレーニングがてら」と言って単独で逃げに乗った男であり、今年はその焼き直しとなった。
ただし今年は第1ステージにして単独での逃げ。
これにより、初日の山岳賞を獲得するに至った。
・・・もっとUniSAなどが積極的に動いてほしかっただけに、残念である。
今年、UniSA目立ってなくないか?
なお、デヴリーズは個人TTでいつも上位に食い込んでいる独走力のある選手。
逃げは得意中の得意というわけで、今回も山岳賞とスプリントポイントを1つ獲得したうえで最終的に100km近く逃げ続けた。
一方のメイン集団は、オリカ・スコットのダミアン・ハウスンがほぼ単独で牽き続け、その後ろにトレック・セガフレードのトレインが連なる形となった。
ハウスンは昨年のブエルタ第20ステージで、コンタドールとの1分以上のタイム差をひっくり返して表彰台に上がろうとするエース・チャベスを、死力を尽くして・・・まさに言葉通り死力を尽くして牽引し続け、見事これに貢献した最高にカッコいいアシストである。
確かそれで、チャベスの同郷のコロンビア人たちにありがとうツイートをされまくっていた気がする。あれはちょっと感動的だった。
そんなハウスンがこの日もしっかりと仕事をする。そしてトレックは、今日こそトゥーンスのスプリント勝利を狙っているのだろう。
いずれにしても、単独の逃げ。
そして40度を超える酷暑もあって、レースペースは非常にゆったり。
先頭のデヴリーズと集団との差も1分超をキープし続けていた。
だがそんな平穏も、最初のスプリントポイント(74.3km地点の「オウム谷」)が近づいたことにより打ち破られる。
先頭通過はデヴリーズで間違いないが、数秒のボーナスタイムを巡り、集団内がにわかに活気づいてくる。
まず、オリカ・スコットのアシストたちが前に出てくる。狙うはサイモン・ゲランス。チャベスもいるが、平坦でのポイント争いにはしっかりとゲランスで食らいつき、どちらでも優勝を狙える位置につくはずだ。
これを防ぐためトレインを作って前に出てくるのがディメンションデータ、そしてボーラ・ハンスグローエ。
ダリル・インピーの激しい加速に導かれてサイモン・ゲランスが発射!
しかし、
獲ったのはディメンションデータのネイサン・ハース。
そして3着はトレックのマッツ・ペーダーセン・・・それともボーラのジェイ・マッカーシーか?
ゲランスはボーナスタイムを得ることができなかった。
(と、思っていたが、ゴール後の総合タイム差を見てみると、実はここでゲランスがちゃんと3位を取っていたようだ。凄い。)
この争いの結果、集団とデヴリーズとのタイム差は一時15秒まで縮まるが、その後再び集団のペースはゆったりに。
だが、さすがに一人で最後まで逃げるのは難しく・・・デヴリーズは、第2スプリントポイント(100.8km地点)の直前で吸収される。
そして、1着の座も残されているこの第2スプリントポイントでの争いも白熱。
最初に飛び出しのはチーム・カチューシャのホセ・ゴンサルベス。しかしこれを物凄い勢いで抜き返し、差し切ったのがボーラ・ハンスグローエのジェイ・マッカーシー。
3秒のボーナスタイムを獲得するに至ったマッカーシー。
サガンがいるけど、今年も総合上位やスプリント賞を狙っていくつもりだろうか。
ゴンサルベスが2位、そしてここでもゲランスがしっかりと3位を獲得し、合計で2秒のボーナスタイムを得た状態で今日のステージを終えることに。
そしてこのタイミングで飛び出したのが、2014ツールで奇跡の逃げ切り勝利を成し遂げたヤン・バークランツ。そして「鉄人」アダム・ハンセン!
バークランツは残り5km地点を過ぎるまで逃げ続けたものの、バーレーンのツカブ・グルメイなどを中心に牽引するメイン集団によってあえなく吸収。
しかし今日のレースを平穏なままでは終わらせない、魅せる走りをしてくれた。
そしていよいよ、ラストスプリントである。
スプリンターを抱えるすべてのチームがトレインを形成し、熾烈なポジション争いを繰り広げる。
そんな中、残り200mの左カーブを曲がり、最終ストレートに入ったタイミングで、サガンが前に!
ロングスプリントか!?と意外な気持ちでこれを見つめていると、さらに意外なことが。
なんと、サガンはサム・ベネットのスプリントのアシストをしていたのだ!!
一昨日のピープルズチョイスクラシックでも実はそういうことだったのか?
今回のダウンアンダーでは、ボーラはサム・ベネットをエーススプリンターとして扱うのか?
しかしサガンの総合優勝を狙うのであれば、ステージ優勝のボーナスタイムはぜひとも取っておきたいところだと思うのだが・・・いいのだろうか。
まあ、まだ第1ステージではあるのだが・・・
さて、そんなベネットの渾身のスプリントだったわけだが、これに並び食らいついていくのがやはりカレブ・ユアン。
今日も低姿勢からのスプリントが炸裂する。
そしてもう一人、チーム・スカイの23歳オランダ人スプリンター、ダニー・ファンポッペル。
2年前のブエルタでパンクからの奇跡の勝利を演出した、個人的に期待しているスプリンターの1人だ。
この3人が並んだスプリント・・・果たして勝つのは誰だ!?
ゴール直後、誰も手を上げない。
前から見ているだけでは、わからない。
しかし・・・
わずかに、ユアンが差し切った!
ファンポッペルが2位、そしてベネットが3位となった。
ガッツポーズなしの勝利。
しかし、ユアンはチームの期待にしっかりと応え、そして昨年と同じ、クラシック&第1ステージ制覇という偉業を成し遂げる。
昨年はシーズン後半から調子が上がり切らず、序盤の大きすぎた期待に押しつぶされたような結果となってしまっていたカレブ・ユアン。
今年も不安いっぱいのスタートではあったはずだが、こうしてしっかりと結果を積み上げていくことができている。
今年こそは、昨年以上の結果を。
そんな期待を改めて持つことができるようになった。
ツアー・ダウンアンダー ステージ1
アンリー~リンドック 145km ゴール順位
1.カレブ・ユアン(オリカ・スコット)
2.ダニー・ファンポッペル(チーム・スカイ)
3.サム・ベネット(ボーラ・ハンスグローエ)
6.ニキアス・アルント(チーム・サンウェブ)
7.バプティスト・プランカートル(チーム・カチューシャ)
9.マイルズ・スコットソン(BMCレーシング)
10.ショーン・ドゥビー(ロット・ソウダル)
ボニファツィオ、プランカートル、トゥーンスはクラシックでも上位に入っており、今大会調子の良さそうなメンバーである。
スコットソンもスプリントいいのか? 明日も期待したいところだ。
さて、結果として、初日から総合勢による激しいボーナスタイム稼ぎが展開されるということはなかった。
しかし問題は明日。
今大会、ウィランガヒルに次いで結果を左右するであろうと思われている、パラコームの登りフィニッシュである。
一昨年はここを制したローハン・デニスがそのまま総合優勝を獲得している。
今年は誰が出るか・・・サガンか?それとも、チャベスがここで出てくるか??
見逃せないステージである。
(ただ、明日は仕事がありライブでは見られないのと、夜もあまり時間がないため、レースレポートはあったとしても簡潔なものとなると思われます)