自転車ロードレースシミュレーションゲーム「Pro Cycling Manager 2019」を使用して、ブエルタ・ア・エスパーニャの展開を予想していく企画の第6弾。
使用するチームは「ミッチェルトン・スコット」。エステバン・チャベスの総合とメスゲッツのスプリント勝利を狙いつつ、実際のレースに向けてのコースの下見、展開のプレビューを行っていく。
が、前回第8ステージまでの間に総合争いにおいてチャベスは完全に脱落。ミケル・ニエベはなんとか喰らいつくが現時点では6分以上遅れての総合14位。いけて総合10位以内を目指せるかどうかってところか。
そんな中迎える、第1週最終日。
アンドラ公国で迎える短距離山岳ステージである。
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第9ステージ アンドラ・ラ・ベリャ 〜 コントラルス・デンカンプ 94.4㎞(山岳)
山頂フィニッシュ3連戦など、1週目から濃い内容が続いた今年のブエルタ・ア・エスパーニャ。
その第1週のトリを飾るのは、もはや恒例となったアンドラ公国の山岳地帯で行われる「登っては下る」山岳ステージ。
超級山岳が初登場すると共に、距離も100kmに満たない超短距離。
果たして、どんな展開が生まれてしまうのか。
そして、ミッチェルトン・スコットとしては、ここで一つ新しいチャレンジを狙って行く。
すなわち、総合を失った選手/チームたちが狙うもう1つの「目標」――山岳賞である。
現状、山岳賞はロット・スーダルのカールフレドリク・ハーゲンが32ポイントを稼いでいるが、今回は超級山岳が初登場し、合計で35ポイント(最後の1級が取れなかったとしても25ポイント)を荒稼ぎできるチャンス。
ここから山岳賞に向けて挽回を狙っていける可能性があるステージだけに、何としてでも山岳賞のために選手を出していきたい。
アクチュアルスタートとほぼ同時にハーゲンがアタック。
しかし集団からもそれを逃したくない選手たちが次々と飛び出し、連なり、封じ込める。
チャベスも今日の逃げ候補の1人。スタート時点で前の方にいれたこともあり、積極的に逃げを打っていく。しかしコンディションは悪く、アタックのキレがない。逃げに乗ることができず何度も引き戻される。
今回はもう、チャベスはきついのか・・・?
結局、繰り返されるアタック合戦が次々と封じ込められていった結果、有効な逃げが生まれないまま、主にアスタナの支配するプロトンが最初の1級山岳の山頂残り3kmまでやってくる。
ミッチェルトン・スコットの「次の手」はこの日コンディションが+2と好調なニック・シュルツ(オーストラリア、25歳)。補正の加わった山岳能力73はチャベスに匹敵し、加えてスタミナやレジスタンス(アタック持続力)が高い値を誇っているのは大きい。
すでに第6ステージでも紹介しているが、昨年までカハルラルの選手で、今年ヘラルドサン・ツアーで区間1勝&総合2位に入っている若き逸材である。
ホーゾンに牽引させて、集団の先頭付近に。
ここで再びハーゲンがアタック。そこにカハルラル、そしてエウスカディ・ムリアスの選手も反応する。
シュルツもホーゾンに牽かせて加速。
やがて最初のアタックで足を使いすぎていたのか、最大のライバルであるハーゲンが失速。プロトンに飲み込まれる。
そしてホーゾンを踏み台にして、シュルツもアタック。
先行していたヨナタン・ラストラ(カハルラル・セグロスRGA)、ミケル・ビズカラ(エウスカディ・ムリアス)に次いで3位で最初の1級山岳を通過する(4ポイント獲得)。
ラストラは現在山岳賞3位で15ポイント保有。ビズカラは同4位で13ポイントを保有している。今回の1位・2位通過でそれぞれ10ポイント、6ポイントを獲得したため、山岳賞の暫定順位は1位ハーゲン(32ポイント)、2位ラストラ(25ポイント)、3位ビズカラ(19ポイント)となっている。
しばらくはラストラ、ビズカラ、シュルツの3人でローテーションしながら逃げ続けていたが、やがて次の超級山岳の登りを前にして、後続から抜け出てきた選手たちと合流して合計10名の逃げ集団が形成された。
その中には現実のレースで優勝しているヘスス・エラダやアンヘル・マドラソなどの姿も。
ただ、この超級山岳コル・デ・ラ・ガッリーナ(登坂距離12km、平均勾配8%)はやはり一筋縄ではいかない登り。登り始めの直後から中腹、後半にかけて、10%を軽く超える勾配が続いていく。
よって、10名に膨れ上がった先頭集団も一気に崩壊。
昨年ブエルタ1勝、今年のブエルタ・ア・ブルゴス総合2位のオスカル・ロドリゲス(エウスカディ・ムリアス)が単独で抜け出し、これを少し遅れてシュルツも単独で追走を仕掛ける。
アタックのためのゲージも使い果たしアタックできない中、なんとか出力を保ったままDot指示(自分のペースで走る指示)を出し続ける。
これで一時はロドリゲスに追い付く場面も見せたが、そこからさらにペースアップした彼にはついていけず。
結局この超級山岳も2位通過。それでも10ポイントは獲得。最初の4ポイントと合わせ、合計14ポイントに。山岳賞6位にまで浮上した。
そのあともシュルツはロドリゲスと2人旅に。
超級のあとに待ち受ける2つの2級山岳(残り18km地点と残り10.6km地点)の山頂も、喰らいつきながらも連続で2位通過。
ロドリゲスには勝てなかったが、なんとか可能な限りの山岳ポイント収集を成功させた。
そして、この2級山岳2連続を越えると、いよいよこの日最大の目玉である「未舗装路区間」に突入。
すでに30名弱に絞り込まれたプロトンの中、ミッチェルトン・スコットのアシストは全員脱落し、ニエベはただ一人で最後の勝負に挑まざるを得なくなっていた。
(もちろん前にはシュルツがいるわけだが、アシストするだけの足は残っているはずもなく)
未舗装路では大きな動きは起こらず、残り5kmのゲートをくぐるタイミングで先頭の2名は集団に吸収された。
そしてここから始まる最後の1級山岳コントラルス・デンカンプ(登坂距離5.7㎞、平均勾配8.3%)。
登り始めの厳しい区間で、まずはラファル・マイカがアタックし、マイヨ・ロホを着るロペスが自らこれをチェックする。
ゲーム中、マイカは連日積極的な動きを見せている。現実のレースでの第7ステージでも、「4強(ロペス、ログリッチェ、キンタナ、バルベルデ)」に次いで良い走りをしているマイカ。ぜひどちらの世界でも活躍してほしいところ。
このマイカの動きは残り3kmで捕まえられるが、それとほぼ同じタイミングで、ニエベも集団から遅れ始める。
集団の先頭ではロペス、マイカ、ウラン、バルベルデ、プールス、クライスヴァイクの6名が抜け出す格好となり、これも残り1kmでロペス、マイカ、バルベルデの3名に絞られる。
ゲーム中ではこの「3強」が他を突き放す脚力を持っているようだ。
そして、最後のスプリント。
普段の脚質であれば、バルベルデが圧倒的優位。
しかし、勢いというのはときに実力を上回る。
ミゲルアンヘル・ロペス、衝撃の3勝目。
現実の世界でも3度目のマイヨ・ロホ着用を実現させていたようだが、そちら以上に絶好調のゲーム世界でのロペスである。
ロペス、マイカは総合のリードをさらに広げる形に。
第3ステージでの落車で大きくタイムを失っていたバルベルデも、少しずつ挽回をしつつある。
ミケル・ニエベは3分21秒遅れの15位でゴール。
総合成績は以下の通り。ロペス、マイカが抜け出すと共に、バルベルデも総合3位に。これで名実ともに「3強」の完成である。
ニエベは変わらず総合14位。なんとか、総合10位以内を目指していきたい。
そして、山岳賞ランキングは以下の通り。
シュルツはこの日だけで20ポイントを積み重ね、山岳賞5位に。
ロドリゲスがこのあとも山岳賞を目指していくのであれば強敵となるだろう。もちろん、勢いが留まるところを知らないロペスがこの調子だと山岳賞まで奪い取ってしまいそうでもある。
シュルツは純粋なクライマーではないために不安はあるものの、調子が良い状態が続くであろうことを考え、今後も積極的に山岳賞獲得を狙って行く。
チャベスはホーゾンやグルマイと共にニエベのためのアシストに。
総合表彰台などを目指すのは夢のまた夢といった状況の中で、なんとか次善の策を見つけて実現していくほかない。
もちろん、後半ではステージ優勝も。
次回は2週目の初日。フランスのポーで開催される、36.2kmの個人TTである。
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