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【PCM2019】ブエルタ・ア・エスパーニャ 第21ステージ

自転車ロードレースシミュレーションゲーム「Pro Cycling Manager 2019」を使用して、ブエルタ・ア・エスパーニャの展開を予想していく企画の第18弾。

 

いよいよ、3週間の戦いが終わりを告げる。

本日はスペイン首都マドリードでの周回スプリントステージ。

ポイント賞も含め各種ジャージは確定しており、あとは最後の平坦を誰が制するかを決めるのみ。

 

今年最後のグランツールの最終ステージを確認しつつ、3週間の戦いも振り返っていこう。

 

↓第3週のコースプレビューはこちら↓

www.ringsride.work

 

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第21ステージ フエンラブラダ〜マドリード 106.6km(平坦)

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ジロ・デ・イタリアは年によって最終日の街もレース形態もまちまちだが、ブエルタ・ア・エスパーニャはツール・ド・フランスのパリ・シャンゼリゼ同様、最終日は恒例のマドリードステージとなる。同日に女子レースも開催される。

 

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特別賞ジャージが揃い踏み。

左から山岳賞のニック・シュルツ、マイヨ・ロホのミゲルアンヘル・ロペス、アスタナの選手を挟んでポイント賞のアレハンドロ・バルベルデ、そしてロペスから繰り下げで着用している新人賞2位のダニエル・マルティネス。

 

 

今日のスタート地点は、つい先日現役を引退した「神の子」フェルナンド・トーレスの生誕地フエンラブラダ。

マドリード郊外のこの長閑な街を舞台に、4名の逃げが生まれる。

(実際のレースではパレードラン区間のためアタックは生まれないはず)

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チーム・イネオスのオウェイン・ドゥール。

ロット・スーダルのイェレ・ワライス。

チーム・サンウェブのニコラス・ロッシュ。

そしてチーム・ユンボ・ヴィズマのトニー・マルティン。

実際のレースではロッシュもマルティンもリタイアしてしまいこのマドリードには来れていないが、ゲームの中でしっかりとこうして活発に走ってくれている。

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フエンラブラダを含む、マドリード郊外の主要都市とマドリードとを結ぶ高速道路「M-45」を突き進むプロトン。

集団の先頭はコフィディス、UAE、トレック、ボーラ、アスタナ、AG2Rなど各チームがそれぞれ1人ずつ選手を出してローテーション。

この日の主役たるメスゲッツもアシストに守られながら集団の中ほどで待機する。

 

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そしてゴール前残り60km。

いよいよマドリード中心地の周回コースへと突入する。

 

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マドリードの中心に位置するシベーレス(キュベレー)広場は18世紀後期から20世紀初頭にかけて建てられた著名な建築が立ち並び、その中でも「コムニカシオネス宮殿(現マドリード市庁舎)なんかは非常に見ごたえのある建物である。残念ながらゲームではシベーレスの噴水も含め再現はされていない。

 

また、どうやらこのシベーレス広場にゴール地点が置かれているようだが、ゲームではそこも再現はされていない。このシベーレス広場の少し前が、ゲーム中のゴール地点だ。

 

 

この周回コースは1周6km。合計で10周する。

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そしてゲーム中でも、いよいよ最終周回に。まだ逃げ4名は捕まっておらず、タイム差は22秒ほど残っている。

 

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この最終周回で、まさかの大落車。

総合勢が巻き込まれるなどの事態には陥らなかったものの、AG2Rラモンディアルのフランソワ・ビダールが即時リタイアとなるなど、最終日には決して起こってはほしくない事態が巻き起こる。

 

その中でミッチェルトン・スコットは、独走力も高いダミアン・ホーゾンに前を牽かせ、発射台役のディオン・スミス、そしてメスゲッツがその後ろについている。

集団の先頭はトレック・セガフレードのヤコポ・モスカが強力に牽引。

 

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そしていよいよラスト1kmを目前に控えたところで、ようやくトニー・マルティンたちすべての逃げを吸収する。やっぱりマルティンは怖い。

集団の先頭はトレック、ボーラ、UAEの3チームが別々のトレインを形成して支配。

ミッチェルトン・スコット・トレインもトレックの背後につきながら前に出ていく。

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この4チーム以外では、サム・ベネットの後ろにマルク・サローがつき、その後ろにボアッソンハーゲン、そしてヴェントゥリーニ。

ミッチェルトン・スコット・トレインの左にはパトリック・ベヴィンが単独で構えている。

 

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残り1km。各チームが本格的なスプリントを開始。メスゲッツもスプリントを開始したいところだが、なかなか伸びない。スミスの方が先に出ているくらいだ。

メスゲッツの後ろにはポイント賞ジャージのバルベルデ。彼も少しで遅れたか?

 

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残り600mで先頭はボアッソンハーゲン。そこにベネットが追いすがる。

 

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メスゲッツはなおもこの位置。スミスが先行。バルベルデもメスゲッツの後ろ。

先頭ではボアッソンハーゲンが失速し、真ん中のベネットが先頭に。

そして、そのベネットの左後ろから、人一倍鋭い勢いで加速する男が・・・。

 

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なんと、マルク・サローがベネットを追い抜いて、先頭に!

実際のレースでも、グルパマFDJのエースナンバーを着けて参戦。26歳とまだ若いが、実際のレースでも第4ステージ5位、第14ステージ4位と、上位に安定して入れているという点で、このブエルタにおいては5本の指に入るスプリンターである。

そんな彼が、ゲームの中とはいえ、この最後のマドリードで先頭に! これは、実際のレースでも期待したい!

 

そして、勢いよく伸びるスミスに対し、メスゲッツが全然伸びない・・・その隣から、アレハンドロ・バルベルデが番手を上げていく。

 

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マルク・サロー、そのキャリア最大の勝利が、今、目の前に。

 

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!?

 

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彼自身も人生最大の勝利を「確信してしまった」サロー。

思わず、そのハンドルから両手を放してしまう。

ガッツポーズを、したいのか――この、ゴール目前に――!

向かって左側からは、猛烈な勢いで追い上げてくる緑の悪魔の姿が!

 

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ああ――。

 

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その横顔は、何を思うのか。

その両手は何を掴もうとしたのか。

 

 

切ない人間ドラマを再現できるのも、このゲームの特長である(ちょっと違う?)

 

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今日のリザルトは上記の通り。

 

なお、まったく伸びなかったメスゲッツだったが、原因は結局、プレイヤーにあった。

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このゲームにおけるスプリントの仕組みは、とくに「発射台」の再現については、このメスゲッツが選択している「フォロー」(>>S)指示が肝となる。

フォローしている相手に全力でついていくというコマンドで、エーススプリンターが発射台役をフォローして発射台役にスプリントさせ、その足が売り切れた瞬間にエーススプリンターがスプリント(S)を開始する、というのが基本である。

 

そして今回、いざメスゲッツがスプリントを開始すべきその瞬間に、押すべきスプリント(S、右下のボタン)を開始「し忘れた」ため、最後の最後までスミスの後ろに「ついていく」ことしかしなかったのである。

最後、スミスが常に前にいたのはそういう理由だった。

前回のチャベスの失敗に続き、この日も、大きな失敗をしてしまった・・・

すまない、メスゲッツ・・・まだこんなにパワー残っていたのに・・・もしかしたら勝っていたかもしれない・・・。

 

 

まあ代わりに、サローの大金星、およびそれが目の前で奪い取られた貴重な瞬間を見られたのは、まあ、よかった、かもしれない・・・。

 

 

 

 

そして、いよいよ3週間が終わる。

 

ここからは、表彰台を確認。

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まずはマイヨ・ロホのミゲルアンヘル・ロペス。

今大会、ゲーム中では常に強すぎた。あらゆる山頂フィニッシュでタイムを稼ぎ続け、2位以下に5分差、4位以下に10分差をつけるという圧倒ぶり。最後までどうなるかわからなかったツール・ド・フランス編と比べると、やや単調な展開となってしまった。

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ちなみに、現実のブエルタ・ア・エスパーニャではポディウムガールが廃止されているが、ゲーム中ではそのあたり再現されていないというか、そこは使いまわしだから仕方ないってとこだろう。

 

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そして、山岳賞は我らがミッチェルトン・スコットのパンチャー、ニック・シュルツが堂々と獲得。

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2人のエースが総合争いから早々に脱落したのを受け、アンドラ公国で戦われた第9ステージにて、そのとき最も足の調子が良かったシュルツが挑戦を開始した山岳賞獲得レース。

同じく厳しい山頂フィニッシュとなった第13ステージで、さらなる山岳賞ポイント収集と、そして見事な超級山岳山頂制覇を果たした。

その後もアストゥリアスの山岳ステージでポイント収集を続け、上記の通りこれもまた圧倒的な差で山岳賞を確定させた。

 

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ポイント賞争いも圧倒的な差。

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実際、ブエルタのポイント賞のルールはバルベルデの脚質に最もフィットしたものである。

それでいてゲーム中では3勝も果たしていることで、文句なし。強すぎである。

 

最後に新人賞ジャージのロペス。総合首位でもあるため、これは当然。

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実際のレースではタデイ・ポガチャルとの間に熾烈な争いが繰り広げられている新人賞ではあるが、ゲーム中では現実のようなポガチャルの覚醒は見られず。

2位マルティネスに20分以上もの大差をつける結果に。

 

 

以上、3週間のブエルタ・ア・エスパーニャを自転車ロードレースゲーム「Pro Cycling Manager 2019」を用いてシミュレーションしていく企画は終わりを迎える。

現実のスタートリストを再現して試してはみたものの、今回は白熱したツールの時と比べて総合争いはちょっとロペスが頭3つも4つも突き抜ける形となってしまい、やや退屈なものとなってしまった。

 

代わりに、当初の目標である総合争いから早々に切り替えての山岳賞狙いを成功させ、シュルツによるステージ2勝も手に入れるなど、十分に成功を収めたブエルタということができるだろう。

 

 

ツールに続くブエルタでのPCM2019企画はこれにて終了。

手探りでの企画ではあったが、何か感想や意見などあれば、ぜひコメントにてよろしくお願いいたします。

 

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