りんぐすらいど

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【PCM2019】ブエルタ・ア・エスパーニャ 第20ステージ

自転車ロードレースシミュレーションゲーム「Pro Cycling Manager 2019」を使用して、ブエルタ・ア・エスパーニャの展開を予想していく企画の第17弾。

 

本日はいよいよ最後の山岳ステージ。

総合優勝はほぼ、アスタナ・プロチームのミゲルアンヘル・ロペスで決まりだろう。

ミッチェルトン・スコットも、ニック・シュルツによるステージ2勝と山岳賞という、十分すぎる成果を得られている。

ルカ・メスゲッツによるスプリント勝利も欲しいところだったが、前回はさすがに急坂すぎて厳しかった。

最終日マドリードのスプリントバトルに懸けたいと思う。

 

 

ただ、もう1つ、取りこぼしたものがある。

 

このミッチェルトン・スコットを選ぶうえで、メスゲッツによる勝利とともに目標にしたものがある。

それは、長きにわたる苦難を乗り越えて、いよいよ久方ぶりのグランツール単独エースとして参戦することとなった彼である。

今回のゲーム内ではランダムで決定されるコンディションの悪さから早々に総合争いから脱落した彼だったが、その後、シュルツの山岳賞獲得に向けたアシストなどで貢献し続けてくれていた。

 

エステバン・チャベス。

今回は、彼の勝利のために全力を尽くす。

 

 

↓第3週のコースプレビューはこちら↓

www.ringsride.work

 

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第20ステージ アレナス・デ・サンペドロ〜プラタフォルマ・デ・グレドス 190.4km(山岳)

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今年のブエルタ・ア・エスパーニャの最終山岳ステージは、第1・第2週の強烈な山岳ステージや第18ステージと比べてもかなり大人しいステージであると言える。

最後は山頂フィニッシュとはいえ難易度の低い3級山岳。むしろその1個手前の1級山岳の方が総合争いには重大な影響を与えそうなくらいである。

 

実際のレースでは、それでも第3週の2つの平坦ステージで疲弊しているであろうユンボ・ヴィズマのアシスト陣の状況や、予断を許さない新人賞争いなど、白熱する部分はありそう。

だが、スタート直後に登場する1級山岳の存在などから考えても、この日は「逃げ切り」による勝利が最も可能性が高いものであると考えることができるだろう。

 

 

それはゲームの中でも同様だ。

この日は、逃げに乗って勝利を得る大きなチャンスとなる。

我らミッチェルトン・スコットにとっても、エステバン・チャベスのそれを狙う最後にして最大のチャンスとなる。

 

 

 肝心のチャベスのコンディションは決して良くはない。

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逆にニエベが+2、シュルツが+1と好調であるため、彼らをアシストとして起用し、3名での逃げを敢行する。

 

 

アクチュアルスタートから6.6kmで、比較的簡単に3名を含んだ逃げが完成する。

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後続からのちに追い付いてきたものも含めて、最終的には11名。

ミッチェルトン・スコットの3人以外では、ロット・スーダルのトーマス・デヘント、EFエデュケーション・ファーストのダニエル・マルティネス、コフィディス・ソルシオンクレディのホセ・エラダ、ディメンションデータのベンジャミン・キング、UAEチームエミレーツのヴァレリオ・コンティ、エウスカディ・バスクカントリー・ムリアスのオスカル・ロドリゲスなど。

いずれも今大会よく逃げに乗っている強力なクライマーたちではあるものの、チームメートと共に逃げているのはミッチェルトン・スコットだけであり、逃げに最適なレイアウトの割にはその数は少ない。

 

 

それでも、3人乗せているミッチェルトン・スコットが、チャベスをニエベに守らせながらシュルツには積極的にローテーションに参加させるなどして協力体制を維持したこともあり、逃げとメイン集団とのタイム差は着実に拡大していった。

残り100kmに達する頃にはそのタイム差は15分を超えるほどにまで。

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メイン集団の先頭はリーダーチームのアスタナ・プロチームがほぼ横一列に広がり、完全にコントロールモード。

ミッチェルトン・スコットの3名が先頭に出て、 ホーゾンについては抜け出してしまっているが、下記の通りそれぞれ最低限のパワーでリレー指示(先頭でローテーションを回しながら牽く指示。パワーを下げると「蓋をする」役割を果たす)を行っているにも関わらずこうなってしまうのだから、プロトンがいかにやる気がないかがよくわかる。

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そのタイム差も、残り100kmを超えたあたりからさすがに段々と縮小傾向に。

また、先頭集団でも動きが起きる。

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残り121km。2級山岳を丁度超えたあたりで、逃げ集団からベンジャミン・キングとヴァレリオ・コンティがアタックして抜け出す。

 

余計な追走に足を使いたくないミッチェルトン・スコットは一旦これを見送って、他の逃げメンバーの様子を窺う。

しかし、当たり前ではあるが、3名もいるミッチェルトン・スコットに完全にお任せモードといった感じで、下記の通りリレー指示のパワーを最低限にしても他チームの誰も前に出てこない。

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そうしているうちに逃げ2名とのタイム差は一気に1分近くにまで開いていった。

これはさすがにやばいと感じ、足を削られることのないレベル(パワー64くらい)で追走を仕掛け始めると、すぐに2人は捕まった。

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結果的には問題なかったものの、このあたりはしっかりとゲームでも反映。

数を多く逃げに乗せたのであれば、それなりの責任は伴うものとなる。

と同時に、足を削らない程度のパワーでも簡単に捕まえられてしまうのだから、やはりこのゲームで1~2名で抜け出すというのは結構至難の業である。単独大逃げとかロマンだけど、うまくいくのは結構難しい気はする。

 

 

さて、残り40kmをきって、最後の1級山岳ペニャ・ネグラ(登坂距離14.2km、平均勾配5.9%)に突入すると、さすがにここまで集団牽引を多くになってきたシュルツが脱落。

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そして残り10kmから始まる最後の3級プラタフォルマ・デ・グレドス(登坂距離9.8km、平均勾配3.4%)に入ると同時に、トーマス・デヘントがアタック。

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これを吸収した直後にカウンターアタックでベンジャミン・キングとオスカル・ロドリゲスがアタック。

いずれも、ミッチェルトン・スコットが静観する構えを見せれば他の逃げ集団は勝利を犠牲にしてでも牽制してくるため、タイム差は一気に開いてしまう。

とはいえ、ここで無闇に追いかけても、捕まえればまたカウンターアタック。こっちの足が削られるだけ。

 

そこで、とりあえずニエベにチャベスへのプロテクト(▽)指示を出しながら、そのニエベの足が削られない程度のパワーで追走をしかけるよう指示。

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これにより先頭2人(キングとロドリゲス)とのタイム差は少しずつ開いていき1分近くにまで到達するものの、我慢して待ち続ける。

 

そして、残り3kmに達するまではこの状態をキープし、これを超えたところでパワーを上げてEffort Crusor(○→)指示に切り替える。

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ニエベの足は一気に削られていくが、同時に先頭2人とのタイム差も縮まっていく。

 

ゴールまで残り2km。

先頭2人とのタイム差を40秒にまで縮めたニエベの足が0に。

ここで、チャベスにアタック指示を与える。

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後続の集団からは、誰もついていけない。

ここまでずっとシュルツとニエベによって守られてきたチャベスのアタックを前にして、デヘントもエラダもコンティもマルティネスも一瞬にして勝負権を失ってしまった。

 

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先頭2名に追い付いたチャベス。残りは1kmを切っている。

状況は圧倒的にチャベス有利であった。キングもロドリゲスも当然、ここまでの逃げで足を使い切ってしまっている。

後続とのタイム差も40秒以上開いており、チャベスは冷静に2人の後ろに身を潜めながら、残り距離が縮まっていくのを確認していく。

 

 

あとはどのタイミングで飛び出すか。

早すぎてもダメだし、遅すぎてもダメ。いかに相手の完璧なタイミングを外してアタックを仕掛けられるか。

 

待って、待って、待ち続け、最後に選んだのは「残り500m」だった。

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残り300mの段階でもパワーはこれだけ残っていたので、十分に余裕があると判断していた。

 

 

しかし。

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最後の最後で、チャベスのパワーが尽きた。

そして、どこにそんなパワーが残っていたのか・・・ベンジャミン・キングが、最後の瞬間にチャベスを差してしまった。

 

 

 

結局、チャベスのステージ優勝の夢は潰え、2位で終わった。

これは、彼らの責任ではない。

最後の最後で、逸りすぎて、見誤った私の責任である。

 

 

メイン集団も最後は結局、ロペスが抜け出し。

このゲーム中、ロペスは終始崩れることなく、最強を維持し続けた。

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これにて、3週間の長い戦いがほぼほぼ終了。

ミッチェルトン・スコットはステージ2勝と山岳賞という大きな成果を手に入れたものの、本来のエースであるチャベスに栄光を与えることができずに終わった。

 

次回は最終日マドリード決戦。

ここで、ルカ・メスゲッツによる、チームにとっての3勝目を何としてでも手に入れて終わりたい。

 

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