自転車ロードレースシミュレーションゲーム「Pro Cycling Manager 2019」を使用して、ブエルタ・ア・エスパーニャの展開を予想していく企画の第10弾。
今回は「ミッチェルトン・スコット」を使用してプレイしているものの、すでに総合争いでは絶望的な状況。
であれば、戦略を変えるのみ。
本日は「壁」「地獄」「痛みの山」「非人道的な登り」と形容される超級山岳ロス・マチュコスの山頂フィニッシュ。
ここで、オージーチームは反撃に出る。
- 絶対に逃げに乗るために
- 1つ目の3級山岳(残り127km)
- 2つ目の3級山岳(残り109.8km)
- 1つ目の2級山岳(残り80.4km)
- 2つ目の2級山岳(残り60.4km)
- 残り40km
- 「痛みの山」決戦
↓第2週のコースプレビューはこちら↓
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第13ステージ ビルバオ~ロス・マチュコス 166.4km(山岳)
この日のプロフィールを見て、ピンときたものがある。
もちろん、最後のロス・マチュコスでどうにかしようという思いは一切ない。そこでは総合勢が争ってくれればいい。
注目したいのはそこまでに存在する山岳ポイントの数である。なんと、6つ。
すべて先頭通過すれば、合計で22ポイントもの山岳ポイントを獲得できる。
現時点での山岳賞ランキングは以下の通り。
もしもこの日、最後の超級以外のすべての山岳ポイントを先頭通過できれば、ニック・シュルツの山岳賞逆転は十分に可能(もちろんハーゲンが一切ポイントを獲れないと仮定して)。
そうでなくともポイントの荒稼ぎは十分にできるということで、ミッチェルトン・スコットにとって、「次なる目標」を達成するうえでこの日は決して逃してはいけない日である。
絶対に逃げに乗るために
シュルツのコンディションも上々。
ただ、特別賞ジャージ獲得者以外はランダムで決まるスタート位置がプロトンのかなり後ろになってしまったため、逃げに乗るために前に出てくるまでに時間がかかりそう。
当然その間にかかってしまうアタックに対しては、前の方にいたダミアン・ホーゾンにチェックさせて、先に逃げに乗ってもらう。
逃げ集団に乗って山岳賞を稼ぐうえで重要なのは、たった一人で逃げないということ。
とくに純粋なクライマーではないシュルツにとって、一人で戦ってもなかなかポイントを得ることは難しい。
道中で体力をキープするうえでも、同伴者は絶対に必要。このホーゾンも「先待ち」することで、のちにシュルツが追い付いてきたときに重要な役割を果たすことだろう。
シュルツがなかなか前に出てこれないうちにさらに生まれたアタックに、今度はチャベスとメスゲッツも乗せることに。
スタートから8kmを消化して、ようやくシュルツがグルマイに牽かれて先頭に。
ここからシュルツを発射させるべく、シュルツに最大パワー(99)でのEffort Cursor(○→)指示。これをプロテクト(▽)しているグルマイがそのアタックゲージ(赤ゲージ)を消費しながら全速力で上がっていく。
なお、ここでディオン・スミスに最低限のパワーでリレー(○○○→)指示。
これでいわば「蓋をする」ことができる。実際、プロトンのペースが一気にダウン。
おかげで、シュルツだけでなくグルマイもチャベスたちに追い付くことができた。
集団はここまで先頭を牽いていたスミスが一気にペースを落としたので、続くアスタナの面々も戸惑っている様子。
結果、20名の逃げ集団の中にミッチェルトン・スコットがメスゲッツ、チャベス、ホーゾン、グルマイ、そしてシュルツの合計5名も入れこむという結果となった。
1つ目の3級山岳(残り127km)
ただ、プロトンも、さすがにこの事態を手をこまねいて見ているわけではない。
一時は1分以上に開いた逃げ20名とメイン集団とのタイム差も、25kmを消化した段階で少しずつ縮まっていき、50秒近くに。
よって、数の利を生かすために、ミッチェルトン・スコットの面々で集団を猛牽引。
なんとしてでも追い付かせないよう、全力を尽くす。
その結果、最初の3級山岳(登坂距離5.9km、平均勾配4%)に突入した頃にはグルマイとメスゲッツは脱落し、14名に絞られた先頭集団の中のミッチェルトン・スコットの人数は3名に。
そして、山頂まで残り1kmでヘスス・エラダがアタック。カハルラルのヨナタン・ラストラがこれに喰らいついていく。
ラストラは早々に千切れ、先行するエラダを追うシュルツ。
その横に、「エスケープ王」トーマス・デヘンが並ぶ。
山頂先頭通過はヘスス・エラダが獲得。
そして2位の座は・・・
ほんのごくわずかの差で、シュルツが先着。
まずは2ポイントを獲得した。
2つ目の3級山岳(残り109.8km)
下りを経て、一度は遅れかけていたチャベスも復帰。
15名の集団は2つ目の3級山岳(登坂距離7.9km、平均勾配6.4%)に突入する。
残り1kmでCCCチームのビクトル・デラパルテがペースアップ。
アタックに対して反応するコマンドもあるが、それを使いすぎると一気に足が削られてしまう。
それよりは、アシストがいるのであれば、彼にプロテクトさせた状態でEffort Crusorを使用する方が良い。
上記の通りアシスト役となったチャベスの足は失われてしまうものの、エースの足はしっかりと健在のまま、アタックを潰すことができる。
だが、最初に飛び出したデラパルテの勢いまで抑え込むことはできなかった。
シュルツはまたも2位。これで本日獲得ポイントの合計は現時点で4。
ハーゲンまであと12ポイントだ。
1つ目の2級山岳(残り80.4km)
2つの3級山岳を終え、次の2級山岳(登坂距離13km、平均勾配3.9%)に突入する前に少し平坦区間(もちろんアップダウン付きの)が待ち構えている。
そこで、活発的なアタックが繰り返される。
その都度、ミッチェルトン・スコットはプロテクトとEffort Crusor指示を行い、カウンターアタックはしないようにしながら足を温存し、繰り返しアタックを潰していく。とくに数の有利を活かし切らないといけない。
山頂まで残り1kmを切ってからも繰り出されるアタック。
それもすかさずホーゾンが抑え込む。
ここでチャベスが完全終了。
今大会、決して主役になれなかった彼ではあるが、この日は実に素晴らしい働きをしてくれた。
残り500mでUAEチームエミレーツのヴァレリオ・コンティが先行。
ホーゾンが全力でシュルツを引っ張り上げながらこれを追う。
残り300m。ホーゾンを踏み台にしてシュルツもアタック。後ろからはデヘントとデラパルテも迫る。
この日最初の2級山岳の勝敗は・・・
直前でコンティが被せるようにして前に出て、先着される。
デラパルテも最後、伸びてきたが、なんとか2位通過で3ポイントを獲得した。
これで本日合計7ポイント。ハーゲンまであと9ポイント。
2つ目の2級山岳(残り60.4km)
最初の2級山岳を終え、先頭集団の人数は8名に絞り込まれる。
ヘスス・エラダ、ビクトル・デラパルテ、トーマス・デヘント、ヴァレリオ・コンティ、ヨナタン・ラストラ、イェツ・ボル、そしてホーゾンとシュルツの8名だ。
同チームで2人いるのはミッチェルトン・スコットだけ。有利な状況に変わりはない。
そして、この日2つ目の2級山岳(登坂距離8.5km、平均勾配6%)に突入。
この登りでボル、そしてラストラの2人のプロコンチネンタルチームの選手が脱落。
先頭は6名に。
その後、デヘント、デラパルテ、そしてエラダの代わる代わるにアタックを仕掛けるが、シュルツを牽引するホーゾンが一人でその全てを抑え込み、そしてそのまま先頭を突き抜けていく。
食いついてくるエラダ。
危うく先頭で山頂を突き抜けそうな勢いだったホーゾンの背中からシュルツが抜け出し・・・
どっちだ!?
見事、シュルツが先頭通過! 5ポイントを獲得。
これで本日合計12ポイント。ハーゲンまではあと4ポイントとなった。
残り40km
さて、先頭6名のまま、いよいよ残り40kmが近づいてくる。
次の3級山岳(残り29.1km)まで距離があるが、ここで再び激しいアタック合戦が。
そんな中、ビクトル・デラパルテが単独で抜け出そうとする。
単独の逃げはそこまで怖くない。
毎回毎回ミッチェルトン・スコットが抑えの役割を果たすのも足が勿体ないし、ここは反応しないようにしよう、と考えていたが・・・
エラダ・コンティ「どうぞどうぞ」
いわゆる「牽制」である。2人いるんだからお前ら行けよ、みたいな。
そりゃそうだが、ゲームでもちゃんとこういうのあるんだなーと。
仕方なくホーゾンに命令し、デラパルテを追わせて逃げを潰した。
この日3つ目の3級山岳(登坂距離6.3km、平均勾配4.5%)に入り、頂上まで残り4kmでデラパルテがペースアップ。
これもしっかりとホーゾンが抑える。
本当、ホーゾン様様である。
ここで、ヴァレリオ・コンティが脱落。
再三に渡って積極的な攻勢に出ていたデラパルテも遅れ始める。
サバイバルな展開は続く。
山頂は余裕をもってシュルツ。デヘントを下す。
3ポイントを獲得。
立て続けにこの日4つ目の3級山岳(残り19.2km)に。
登坂距離4.2km、平均勾配4.7%のこの登りでデヘントがペースアップ。エラダはその背中にきっちりとつけ、ホーゾンもペースを乱さずに喰らいついていく。
そして、山頂前。
抜け出したデヘントにシュルツが並ぶ。
そして、抜き去る・・・!
さすがにここまで1人で戦ってきたデヘントたちと、ホーゾンに守られ続けてきたシュルツとの差は大きい。
そして、この時点でシュルツたちとプロトンとのタイム差が9分近くにまで広がっていた。
絶対にありえないと思っていた「ステージ優勝」が、目の前に姿を現し始めた。
「痛みの山」決戦
残り20km。
ここまで合計6つの山岳ポイントを越え、いよいよ残すは最後の超級山岳ロス・マチュコス(登坂距離6.8km、平均勾配9.2%)のみ。
プロトンと先頭とのタイム差も10分近くにまで広がり、逃げ切りは濃厚になってきた。
先頭は2名。トーマス・デヘントとニック・シュルツ。
追走集団のヘスス・エラダとダミアン・ホーゾンとのタイム差は1分半近くにまで広がり、ステージ優勝はほぼこの2人に絞られた。
ロス・マチュコスの凶悪なるプロフィールは以下の通り。
登り始めから25%なんていう化け物じみた勾配が登場。
その見た目はゲームの中でもまさに「壁」。
時速10kmに満たない速度で2人は駆け上がっていく。
なお、シュルツは一切、前に出ない。
何しろ後ろにホーゾンが控えているのだ。
正直、一流クライマーのデヘント相手に真っ向勝負をして勝てるとは思えない。
だったらホーゾンと合流した方が有利になるのだから、前を牽く理由はない。
10%を超える勾配が当たり前のように連続していく登りを駆け登っていく2人。
デヘントも無理なアタックはせず、意外なほど落ち着いた雰囲気で、2人は2人だけの時間を過ごしつつ、やがて最後の1kmが近づいていく。
だがここでプロトンでも動きが。
ポイント賞ジャージを身に纏う世界王者アレハンドロ・バルベルデが、マイヨ・ロホのミゲルアンヘル・ロペス、そして総合6位プリモシュ・ログリッチェらを突き放してアタック。
この時点で彼らも残り2.2km。意外なほどに近くまで迫っていた。ホーゾンたちも捕まえられる。
シュルツたちとバルベルデとのタイム差も一気に1分半にまで縮まる。
だが、シュルツたちももう、ゴールは目の前。
残り1kmのアーチを潜り、いまだ先頭はデヘント。そのペースアップに、しっかりとシュルツもついていく。
そして、ゴール目前でシュルツ、スプリントを開始。
タイミングは一か八かだったが、デヘントにはもう、これを追いかける足は残っていなかったようだ。
ゴール前、観客席の前を駆け抜ける、シュルツ。
見事、勝利!
ニック・シュルツ。
今年25歳のオージークライマー。昨年まではカハルラルに所属しており、今年ついにワールドツアー入りを果たしたばかりのまだまだ若手。
ライバルとなったトーマス・デヘントは、偉大過ぎる逃げ王者。
これを差しての、まさかの勝利。
最後はロス・マチュコスをほぼすべてツキイチで過ごした結果だとは思うが、格が違う相手だったわけで、そこはなんとか容赦して頂ければ・・・ホーゾンに合流してほしかったのは実際にそうだったし。
ステージ順位は以下の通り。
終盤でバルベルデが抜け出していたプロトンだったが、どうやら最後はまたロペスがこれを抜き返して先にゴールしたようだった。
シュルツとのタイム差は47秒。残り20kmで10分近いタイム差があった中でのこの詰めよう。これがこのゲームの怖いところだ。
なお、プロトンの様子をリプレイで確認しようかと思ったが、このリプレイがしっかりと保存されていなかったのか、再生できず。
総合順位はほぼ変わらず。
リゴベルト・ウランが大崩れした結果順位を下げたくらいか。
そして、今やミッチェルトン・スコットにとっては最も重要なものとなった山岳賞ランキング。
想定外の超級山岳先頭通過という大きな成果も加わり、総合計ポイントは50ポイント。2位のハーゲンに対しても大きな差をつけることができた。
もちろん、ロペスの存在が怖い。この後も同様の勢いで山頂フィニッシュを奪われ続ければ、山岳賞の保持は厳しい。
ただ、とにかくこの日はステージ優勝と山岳賞ジャージ獲得という2つの大きな目標を達成することのできた日。
最終的にどうなるかはわからないが、この方針は間違っていない。
今後も、メスゲッツの勝利を狙える日以外は、シュルツの山岳賞を守るためにチーム一丸となるようにしよう。
ここからがミッチェルトン・スコットの反撃だ。その勢いは止まらない。きっと。
次回は久々のスプリンターステージ。この勢いのまま、メスゲッツ、勝てるか?
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