本日いよいよ開幕する欧州ワールドツアー・ステージレースの開幕戦、「太陽へ向かうレース」パリ~ニース。
その出場する全22チーム総勢154名のスタートリストを、独断と偏見でつけた脚質と合わせて紹介&簡単なプレビューを付与。
レース中の参考にしてもらえれば幸いだ。
※表中の年齢表記はすべて2022/12/31時点のものとなります。
※各国ロード王者は国籍の部分を太字にしてあります。
コースプレビューはこちらから
目次
- 1~.ボーラ・ハンスグローエ(BOH)
- 11~.コフィディス(COF)
- 21~.ユンボ・ヴィズマ(TJV)
- 31~.チーム・アルケア・サムシック(ARK)
- 41~.イネオス・グレナディアーズ(IGD)
- 51~.アスタナ・カザフスタンチーム(AST)
- 61~.バーレーン・ヴィクトリアス(TBV)
- 71~.グルパマFDJ(GFC)
- 81~.UAEチーム・エミレーツ(UAD)
- 91~.AG2Rシトロエン・チーム(ACT)
- 101~.トレック・セガフレード(TFS)
- 111~.クイックステップ・アルファヴィニル(QST)
- 121~.チーム・バイクエクスチェンジ・ジェイコ(BEX)
- 131~.モビスター・チーム(MOV)
- 121~.チームDSM(DSM)
- 131~.ロット・スーダル(LTS)
- 161~.EFエデュケーション・イージーポスト(EFE)
- 171~.トタルエナジーズ(TEN)
- 181~.アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ(IWG)
- 191~.イスラエル・プレミアテック(IPT)
- 201~.アルペシン・フェニックス(AFC)
- 211~.B&Bホテルス・KTM
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1~.ボーラ・ハンスグローエ(BOH)
昨年総合優勝者のマクシミリアン・シャフマンがエースナンバーを付ける。とはいえ、今年はボルタ・ア・ラ・コムニタ・バレンシアナ総合優勝者アレクサンドル・ウラソフもいるため、必ずしも総合エースがシャフマンとは限らない。2019年のイツリア・バスクカントリーにおけるシャフマンとエマヌエル・ブッフマンのような、素晴らしいダブルエース体制が実現すると非常に面白いレースになりそうなので期待したい。
スプリントではもちろんサム・ベネットがエースだが、今シーズン唯一出場しているUAEツアーでは結局勝利なし。ダニー・ファンポッペルは実に完璧なリードアウトができていたものの、そこから放たれるベネットがどうしてもジャスパー・フィリプセンたちに対して力負けをしていた。
サム・ベネットの本来の調子が取り戻せていればいいのだが・・・。
場合によってはダニー・ファンポッペルのエースとしての走りを見てみたくもある。
11~.コフィディス(COF)
毎年少しずつツール・ド・フランスの総合順位を上げているギヨーム・マルタンがエース。昨年のパリ~ニースも総合6位。また、今年は新たな総合エースとしてヨン・イサギレも加わっており、彼は昨年のこのパリ~ニース総合3位のため、実質のエースがどっちになるかは・・・
実際、マルタンにとっては、このヨンの存在が意味するところは、自身のツール・ド・フランスの総合エースの座が必ずしも安定したものではないということでもある。今回のパリ~ニースは彼にとって、緊張すべきものとなるだろう。
そして、やはり注目はブライアン・コカール。今シーズンここまで、かなり絶好調なのは間違いない。
その勢いを、この豪華な顔ぶれが並ぶ「ミニ・ツール・ド・フランス」で発揮できるかどうか。今年のツールで夢見る「1勝」に向けて、本当の戦いの始まりだ。
21~.ユンボ・ヴィズマ(TJV)
ほぼツール・ド・フランスと言ってもいいくらいの豪華な顔ぶれを揃えて、昨年最後の最後で零れ落ちることとなった総合優勝へのリベンジを狙うプリモシュ・ログリッチ。本当、あの落車癖だけは何とかしてほしいところ・・・。
そして、スプリントではワウト・ファンアールトも狙ってくる。トップスプリンターたちを相手取っても十分勝てるポテンシャルを持っているうえ、第3ステージのような一筋縄ではいかないレイアウトでも生き残って勝利を狙えるので心強い。
そしてファンアールト、ローハン・デニスで共に第4ステージの個人TTでも勝利を狙う。もちろん、最後が急坂になっている丘陵系TTのため、プリモシュ・ログリッチにもチャンスはあるだろう。
ユンボ・ヴィズマは例年同様、すでにツール・ド・フランスのメンバーをほぼほぼ決めて発表している。但し、「あと1枠」はまだ未定。メンバー的におそらく平坦系の選手が入る可能性も十分にあるこの枠をかけた戦いもまた、テウニッセンやファンフーイドンク、ラポルトの間で熾烈な争いが繰り広げられるのかもしれない。
31~.チーム・アルケア・サムシック(ARK)
今年もシーズン序盤の調子が非常に良いナイロ・キンタナ。ツール・ド・ラ・プロヴァンスとツール・デ・アルプ・マルティーム・エ・ドゥ・ヴァールの両方で総合優勝。今年出ている全てのレースで勝っていることになる。
とはいえ、彼が本当に強くなければならないのはこのあと。同じような成績だった2020年はパリ~ニースで総合6位、そのあとのツール・ド・ランで総合3位、そしてツール・ド・フランスでは総合17位で終わってしまっている。まあ、このときは新型コロナウィルスによる中断期間を挟んでいるのであまり参考にはならないけれど・・・。
まずは今回のパリ~ニースで総合TOP5には最低でも入りたいところ。
また、アモリー・カピオも今年ついにプロ初勝利。そしてこのパリ~ニースに出場するのも初めて。
これだけのトップスプリンターたちの中で争う経験はこれまでに殆どなかっただろうから、彼がそこでどれだけ食らいついていけるか楽しみである。
41~.イネオス・グレナディアーズ(IGD)
UAEツアー総合2位のアダム・イェーツが実質的な単独エースで出場。一応、ダニエル・マルティネスもヴォルタ・アン・アルガルヴェで総合3位でもありエースとなる資格は十分にあるだろうが、チームとしてもベルナル不在の中、グランツール総合エースを担いうる存在としてのアダムは今年の主軸の一人として考えているだろうから、おそらくは彼単独で戦うことになるだろう。
TTはプリモシュ・ログリッチやジョアン・アルメイダにはどうしても劣るが、UAEツアーでも悪くはなかったので、その点でも十分に戦えるはずだ。
全体的にはそのアダムのためのシフトのため、逃げを含めステージ勝利を狙う可能性というのはあまりないだろが、考えられるものとしては第3ステージの丘陵スプリントでイーサン・ヘイターが狙ってくる可能性があるくらいか。
もちろん、序盤の横風などでアダムが早速総合争いから脱落したときは、このマルティネスやフライレが解き放たれた獣のように逃げに乗るだろう。
51~.アスタナ・カザフスタンチーム(AST)
グラフから見ても分かるように、チームとしても正直あまりやる気がないように感じられはする。もちろん、ダビ・デラクルスはジロ・デ・イタリアのトリプルエース候補ではあるが、直近のUAEツアーでは正直良くはなかった。むしろ早々に総合争いから脱落し、過去に2回も優勝している最終日エズ峠ステージでの3回目の逃げ切りを狙ったりもするか?
昨年ついにプロ初勝利を遂げるなど、着実に成長しつつある元U23ロード世界王者バティステッラは、今年のツール・ド・ラ・プロヴァンスでの荒れたスプリントステージでも上位に入っていたりと、特殊な展開でのサバイバルに自信あり。そして、パリ~ニースはそういう日が出てきやすいので、チャンスはある。
ほか、デボッドもTTではそれなりに上位に入ることも多い選手ではあるが・・・いずれにせよ、勝ちを持ち帰ることのできるイメージはあまり湧かないチームだ。
61~.バーレーン・ヴィクトリアス(TBV)
昨年ブエルタ・ア・エスパーニャ総合3位ヘイグと5位マーダー、そして今年のブエルタ・ア・アンダルシア総合優勝者ワウト・プールス、さらには万能スプリンターコルブレッリと、かなりの強力なメンバーで挑む。
コルブレッリも第1ステージや第2ステージのようなピュアスプリントステージではさすがにトップスプリンターたちには敵わないだろうが、これが横風や悪天候などで混乱すれば(過去に実際に勝っているように)チャンスは十分にある。また、例によって第3ステージの丘陵の先にあるスプリントでもチャンスがあるし、場合によっては第5ステージのような普通のスプリンターでは絶対越えられないような先のスプリントにも参加できるかも。
そして第6ステージの「逃げスペシャリスト向き」ステージはまさにこのチームの独壇場。新加入のルイスレオン・サンチェスも生き生きしそうなステージだ。最終ステージももちろん。
あとはいつものパリ~ニースであればヘイグやマーダーも十分に総合上位に入り込めるのだが、今年は例年にも増してメンバーが豪華*1なので果たして。
71~.グルパマFDJ(GFC)
昨年は総合単独エースとして挑んだツール・ド・フランスで総合11位。まだまだ大先輩ティボー・ピノの代わりになるには力不足ではあるが、今年もヴォルタ・アン・アルガルヴェで総合5位など、悪くない走りを見せているダヴィド・ゴデュ。1週間のステージレースであるこのパリ~ニースについては、何としてでも表彰台レベルはいきたいところ。個人的にはかなり期待している。
そしてシュテファン・クンは逆に「後輩」に敗れるわけにはいかない。シュテファン・ビッセガー。UAEツアーでは世界王者フィリッポ・ガンナを破った男。昨年もパリ~ニースのTTで勝っており、今回の第4ステージも彼向きの短距離・丘陵系。クンにとっては最も得意とする領域ではないところだが、簡単に敗北するわけにはいかないだろう。プライドとプライドのぶつかり合いだ。
そして、逃げ切り向きステージの第6ステージで、昨年ブエルタ2勝のストーラーが再び輝きを見せられるか。今年のツール・デ・アルプ・マルティーム・エ・ドゥ・ヴァール最終ステージでも区間6位と悪くなかった。山岳逃げという意味では、りんぐすらいどれでぃおの方でも言及しているカンタン・パシェにやっぱり期待。一番は今年のツールで勝つことだけど、その前にプロ初勝利の花火をあげてもいいんだよ?
81~.UAEチーム・エミレーツ(UAD)
あれ?アルメイダがエースじゃないんだ? 一応アルメイダがジロ・デ・イタリアのエース、マクナルティがツール・ド・フランスでポガチャルのアシスト、という予定でいるはずなので、今回のパリ~ニースも基本はエースとアシストの役割はそれで変わらない、はず。
とはいえ二人ともTTも得意だし、ここは一応「ダブルエース」の形でやってみて、にはなるだろう。マクナルティがもう一段階覚醒することも楽しみではある。
そして、なかなか勝利という結果には結びつかないものの上位にはよく入り込んでいて好成績を残しているフアン・モラノ。とくに昨年ブエルタ・ア・エスパーニャ序盤のマッテオ・トレンティンとのコンビネーションはかなり良く(トレンティンのリードアウトは第1ステージにおいては最強クラスだった)、モラノが1週目でリタイアしていなければ1勝はもぎ取れる勢いだったように感じる。
今回、そのコンビネーションが復活することに期待だ。
そしてまだ未知数の才能フィッシャーブラックはその才能の兆しを見せることができるか。
91~.AG2Rシトロエン・チーム(ACT)
昨年ツール・ド・フランス総合4位のベン・オコーナーは、その走りがフロックでないことを示せるか。彼もいつも通りのパリ~ニースならば総合上位には十分は入れるだろうが、今年は本当に豪華なので果たして・・・。
また、昨年のブエルタ・ア・エスパーニャ第20ステージで衝撃のステージ勝利を挙げたフランス期待のクライマー・シャンプッサンもいよいよ覚醒の時を迎えてきている。今年もここまでフォーン=アルデシュ・クラシック6位やトロフェオ・ライグエーリア10位など、丘陵系ワンデーを中心に上位に入り込み続けている。
このままワンデータイプで終わるのか、それともティボー・ピノやロマン・バルデに続く総合系ライダーへと進化していけるのか。今回、突然総合上位に食い込んでくる可能性も十分にある男だ。
あとは地味~に逃げ巧者のデウルフ(昨年ブエルタ区間5位、今年のアンダルシア区間3位など)にもちょっと注目してもいいかも。
101~.トレック・セガフレード(TFS)
今年冒頭のグランプリ・シクリスト・ラ・マルセイエーズ2位、直後のエトワール・ド・ベセージュの激坂フィニッシュで1勝&区間2位でポイント賞も獲っているマッス・ピーダスンならば、パリ~ニース特有の荒れた展開の中や第3ステージのスプリントでチャンスはありそう。元々シャンゼリゼ2位の経験もあり、トップスプリンターたち相手でも決して引けはとらない。
あとは山岳逃げスペシャリストのバウケ・モレマによる、第6ステージや最終ステージでの逃げには注目。ジュリアン・ベルナールも昨年のツール・ド・フランスでのモン・ヴァントゥーステージでモレマたちとのコンビネーションが良かったので、ぜひチームワークで結果を持ち帰ってほしいところ。何だかんだまだこのチーム、今期2勝しかできていないからね・・・。
111~.クイックステップ・アルファヴィニル(QST)
まずは何よりもファビオ・ヤコブセンのスプリント。今大会最強スプリンターは彼で間違いない。しかも、今年すでに5勝している彼は、そのうちの3勝を「モルコフ無し」で勝っている。そもそも昨年のブエルタ・ア・エスパーニャでの3勝もモルコフ無しだ。そこでモルコフがついてどれだけ暴れまわるのか。昨年ブエルタの相棒セネシャルもいて、開幕3ステージ全勝しても驚かないレベルである。
一方で、ヤコブセン以外にはやや決め手に欠ける。クライマー的な勝ち方ができるのはファンセヴェナントくらいなので、彼による第6ステージや最終ステージの逃げ切りに期待か。あるいは、第3ステージなどでのゼネク・スティバルあたりのレイトアタックなんかも、パターンとしてはありかも。
121~.チーム・バイクエクスチェンジ・ジェイコ(BEX)
サウジ・ツアーで2勝しているフルーネウェーヘン。その立役者はルカ・メズゲッツの強力なリードアウト。それはUAEツアーでも引き続き発揮されたが、エースのフルーネウェーヘン自身のポジション取りのミスや判断ミスなどがあり勝ちには繋がらず。その辺り(チームメートは強くてあとは本人の問題)はサム・ベネットと近い状況にある。
ファビオ・ヤコブセンとジャスパー・フィリプセンという超強豪スプリンターにワウト・ファンアールトやソンニ・コルブレッリなどが混じる今回の「頂上決戦」でしっかり勝ちきるには、彼自身のもうひと伸びが必要になってきそうだ。
総合ではサイモン・イェーツ。今回、久々の「イェーツ兄弟」対決。チームのほぼ唯一の総合エースと言ってもいい状態に置かれている彼は昨年もシーズン全体を通してこき使われていたが、今年こそ悲願のジロ・デ・イタリア制覇に向けて、まずは危なげなくこのパリ~ニースで結果を出したいところ。
ルーカス・ハミルトンも座席としては空いている「第2総合エース」の座を本当につかめる男なのかどうか、そろそろしっかりと証明していかないと立場が危うい。シュルツも良い山岳アシストしていたからな・・・。
131~.モビスター・チーム(MOV)
アスタナ・カザフスタンチームと並んで明確にやる気のなさを感じさせるチーム。ヨルゲンソンは確かに今年のツール・ド・ラ・プロヴァンス総合4位ではあるが、今回のパリ~ニースの面子を考えれば彼が総合エースというのはなかなか違和感ではある。かといってゴルカ・イサギレに総合を狙わせるのも確かに無理はあるので・・・。
あとはひたすら期待通りの活躍ができていないイバン・ガルシアがどんな活躍を見せるか。個人的には好きな選手は揃っているが、勝ちを得るイメージは、正直ない。
121~.チームDSM(DSM)
昨年ワールドツアーチーム中最下位で今年もまだ未勝利の、苦境に立たされ続けているチーム。今回の最大の目標は昨年もこのパリ~ニースで勝っているケース・ボルでの勝利。UAEツアーにも出場していたが、そっちはアルベルト・ダイネーゼがエースだったからか上位には入らず。それがボルが調子悪かったから仕方なくダイネーゼにした、という形でないならいいのだが。
今回もジョン・デゲンコルプとセットの出場なので、実際にはどちらがエースになるかは分からない。
あとはUAEツアーの山岳ステージで割としっかり登れていたレクネスンドにちょっと注目。体型は完全に平地系(185㎝、72㎏)なのだが、同じような体型のセーアン・クラーウアナスンが2年前のパリ~ニースでもかなり登っていたのでまあ、何とでもなるだろう。
実際、昨年は散々だったDSMだが、2年前のこのパリ~ニースからツール・ド・フランスにかけて見せていたあの神が勝ったチームワークをまた復活させてくれないか期待している。
131~.ロット・スーダル(LTS)
昨年DSMと同様に散々なシーズンを過ごしていたロット・スーダルも、今期は序盤から激しいスタートダッシュ。
もちろん、今回集まったメンバーは決してそのときのメンバーじゃないし、それこそ昨年から今年にかけて実績を出せていないメンバーたちが中心だ。ジルベールもさすがに勝利を狙える感じではなさそうだし、彼にとっては今後のクラシックに向けての足慣らしといったところか。第3ステージとかでのレイトアタックなんかには、注目したいけれど。
ただ、サウジ・ツアーでのファンヒルスの活躍などは、事前の兆候がない中でのものであった。今回も、ロット・スーダルU23出身のグリニャールの覚醒や、2年前目覚ましい走りを見せながら昨年はちょっと沈んでしまったホームズやファンフックの「復活」に期待したい。
161~.EFエデュケーション・イージーポスト(EFE)
UAEツアーにて、決して最も得意ではないはずの平坦TTで、世界王者フィリッポ・ガンナを見事打ち破ったビッセガー。そのまま、昨年も勝ったこのパリ~ニースの短距離丘陵TTで、今度は母国の大先輩シュテファン・クンと元世界王者ローハン・デニスを相手取る。
「世界制覇」に向けての試金石となる重要な一戦だ。
一方、ビッセガー以外にはちょっと決め手に欠けるメンバー構成。カーも山岳アシストとしては優秀だが、単体でどこまでやれるか・・・。昨年クラシカ・サンセバスティアン覇者パウレスの第6ステージや最終ステージでの逃げ切りなどに期待。
171~.トタルエナジーズ(TEN)
さすがにボニファツィオのスプリント勝利は厳しいとは思う。今年のエトワール・ド・ベセージュ総合4位、ツール・ド・ラ・プロヴァンス総合5位のピエール・ラトゥールに期待したいが、彼も総合というよりは逃げの強さが際立っている男なので、中途半端に総合が悪くない状態で後半の逃げ切り向きステージに突入してほしくはないなぁ、とは思う。
あとはブルゴドーが今年、エトワール・ド・ベセージュの開幕登りスプリントステージ2連戦でともに上位に入っていること、そしてフォーン=アルデシュ・クラシック13位・ドローメ・クラシック10位と割合好調なので、そろそろビッグウィンに期待しても良いのかもしれない。彼もプロ4年目だが、実はまだ未勝利なのだ。
181~.アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ(IWG)
一応昨年のマイヨ・ロホ着用者で今年のツアー・オブ・オマーン総合8位のターラマエは注目したいところだが、さすがに総合で勝てるタイプとは言えないだろう。最終ステージの逃げは一つのチャンスだが、登りフィニッシュというよりは下っての小集団スプリントになることの多いこのレイアウトは決して彼向きではない。若きツィマーマンの方が可能性はあるかも。
若き才能という意味ではビニヤム・ギルマイこそ最注目。クライマー寄りのパンチャーレベルには登れ、かつ並みのパンチャーよりもスプリント力のある結構独特な彼の脚質は、たとえば第5ステージ終盤の1級山岳もしっかりと超えたうえで、総合勢にまじったスプリントで勝利を掴むなんてパターンもありうるかもしれない。
あとはロイック・ヴリーヘン。今年のブエルタ・シクリスタ・ア・ラ・リジョン・ムルシアやクラシカ・ハエン・パライソ・インテリオールでそれぞれ5位や3位。基本石畳クラシック系の選手ではあるが、丘陵もこなせる脚質で第6ステージレベルの難易度なら十分チャンスを狙える。
191~.イスラエル・プレミアテック(IPT)
ルディ・バルビエは普通に強いスプリンターなので今回もTOP10にはしっかりと入ってきそう。勝ては、しないだろうけれど・・・。
正直、ステージ優勝を狙うには力不足なので、積極的に逃げに乗って目立っていきたい。もちろんその中でも、ジェームス・ピッコリやカールフレドリク・ハーゲンの2~3年前の強さが戻ってきてくれればとは思うけれども。
201~.アルペシン・フェニックス(AFC)
UAEツアーではさすがの強さを発揮して見せてくれたジャスパー・フィリプセン。現在の世界トップクラスのスプリンターであることは明確に証明され、今年こそツール・ド・フランスでの勝利を狙いたいところ。
もちろん、そのために越えなければならない壁がファビオ・ヤコブセン。昨年のブエルタでは2勝3敗。だが、ややアシストに不安もあった昨年と比べ、今年はUAEツアーでのクリスティアン・ズバラーリのアシストが非常に良かったので期待したい。
あとはジェイ・ヴァイン&トビアス・バイヤーの若手クライマーたちの活躍に期待。ヴァインは先日のE-sports世界選手権を優勝した「世界王者」でもある。さすが、元々Zwiftアカデミーからアルペシン入りした男・・・。
211~.B&Bホテルス・KTM
おそらく今大会最もプロチームらしいプロチームであり、その意味で毎日逃げに乗せて目立って・・・みたいなイメージもあるが、実際にはボナムールは昨年のジロ・デ・イタリアでシングルリザルトを3回記録している山岳逃げスペシャリストだし、ルーカ・モッツァートも昨年15回のシングルリザルトを記録している実力派スプリンター。
結局勝つのは難しいかもしれないが、下手なワールドツアーチームより活躍する可能性はある。
なお、ヴィクトル・コレツキーはマウンテンバイクにおけるトップ選手の1人で、東京オリンピックでも5位に入っている。過去、マウンテンバイク選手は成功する選手(カデル・エヴァンスやヤコブ・フルサン)もいればマウンテンバイク選手としては今も現役で普通に強いがロードレースではまったく目が出なかった選手(オンドレイ・シンクなど)もいる。
果たしてコレツキーはどちらになるかな。
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*1:Pro Cycling Statsで集計しているStartlist Qualityでも今年は圧倒的。