りんぐすらいど

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リエージュ~バストーニュ~リエージュ2022 プレビュー

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Class:ワールドツアー

Country:ベルギー

Region:ワロン地域

First edition:1892年

Editions:108回

Date:4/24(日)

 

アルデンヌ・クラシック、そして「春のクラシック」の最終幕を飾る世界最古のクラシックレース。

連続する起伏は山といってもいいほどのプロフィールを誇り、スプリンターに毛が生えた程度のパンチャーではどうしようもなく、グランツールで活躍するようなトップクライマーたちが上位入賞者に名を連ねるクライマーズクラシック。

世界5大クラシックレース「モニュメント」の1つでもあり、その勝者にもたらされる栄誉はロンド・ファン・フラーンデレンやパリ~ルーベにも匹敵する。

 

今年も前年覇者タデイ・ポガチャルはもちろん、世界王者ジュリアン・アラフィリップ、ラ・フレーシュ・ワロンヌ2位のアレハンドロ・バルベルデと優勝者ディラン・トゥーンス、昨年ツール・ド・ラヴニール覇者で今年も早速強さを見せつけているトビアスハラン・ヨハンネセン、さらには2020年優勝者のプリモシュ・ログリッチは出場しないものの、ワウト・ファンアールトがついにリエージュ~バストーニュ~リエージュ初出場。

今年も豪華メンバーで繰り広げられるクラシックシーズン最終章を、徹底的にプレビューしていこう。

 

 

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コースについて

今年も2019年から続く、「ラスト15㎞前後に最後の勝負所のラ・ロッシュ・オ・フォー・コンを置く」スタイルを踏襲。かつてのようにラストだけではなく、最後までどうなるかわからない追いかけっこが続くという北のクラシックスタイルが追及されている。

しかも、今年はマイナーチェンジとして、ラ・ロッシュ・オ・フォー・コンの一つ手前の勝負所であるコート・ド・ラ・ルドゥットがフィニッシュに向けて6㎞近くなり、この「ラ・ルドゥット」から「ラ・ロッシュ・オ・フォー・コン」までの距離が16㎞にまで縮まった。

今年は例年以上に、「ラ・ルドゥット」から攻撃を仕掛ける価値が増したと言える。

https://www.liege-bastogne-liege.be/en/stage-1

 

さらに、総距離が例年よりわずかに短くなったことで、最後の「ラ・ロッシュ・オ・フォー・コン」からフィニッシュまでの距離も約13㎞。

この小さな変化が例年の激戦をさらに魅力的なものにしてくれるのか。

 

割と最近は、北のクラシックと比べても「ラ・ロッシュ・オ・フォー・コン一発勝負」感があったため、そのあたりに何か意外性が出てくるのだとしたら楽しみである。

 

それでは以下、過去にも大きな動きの起こった「勝負所」を紹介していく。

 

 

残り76.3㎞ コート・ド・ストック

登坂距離1、平均勾配12.5%

「史上最強の自転車選手」エディ・メルクスの記念碑が建てられたこの登りは、わずか1㎞と短いながらも平均勾配が12%に達するという、ユイの壁も顔負けな超激坂である。

フィニッシュまで80㎞近くを残すため勝負所にはならないものの、レースの本格的な開幕を告げる象徴的なポイントとなるだろう。

 

2020年大会では逃げ集団に入っていたミヒャエル・シェアーが、ここで他のメンバーを切り離して独走を開始。その後、残り35㎞地点で吸収されるまで独りで逃げ続けた。



残り69.9㎞ コート・ド・ラ・オートルヴェ

登坂距離2.2、平均勾配7.5%

超激坂コート・ド・ストックを終えてすぐに訪れる長めの登り。

単体での破壊力はさほどないものの、特に最初の500mの平均勾配が約12%と厳しく、コート・ド・ストックでやや混乱した集団の中からセカンドエース級の選手たちが最初の仕掛けを行うにはもってこいのポイントだったりもする。

 

事実、2019年大会ではグレッグ・ファンアーヴェルマート、ヴィンツェンツォ・ニバリ、フィリップ・ジルベールといった超強力な選手たちがここでアタック。単独で逃げていたジュリアン・ベルナールを飲み込んで先頭に立つこととなった。

「何が起こるかわからない」最近のクラシックであれば、決して油断のできないポイントであると言える。

 

 

残り43.5㎞ コート・ドゥ・デニエ

登坂距離1.6㎞/平均勾配8.1%

昨年初登場の登り。オート・デニエの町を通過する登りである。

勾配は常に厳しく、とくに真ん中の500mは平均勾配が10%弱。

このあとは勝負所の1つコート・ド・ルドゥットも控えており、ここでジャブのようなアタックがかかる可能性も。



残り29.4㎞ コート・ド・ラ・ルドゥット

登坂距離2.0㎞、平均勾配8.9%

リエージュ~バストーニュ~リエージュ名物の「PHIL,PHIL,PHIL,PHIL,ジルベール」のペイントが施された象徴的な登り。でも昨年はそのペイントがなかったような・・・?

 

コース改定後はひたすらコート・ド・ラ・ロッシュ・オ・フォー・コンでの勝負が続いているが、今年はこの「ラ・ルドゥット」がさらにフィニッシュに近くなり、その山頂はフィニッシュまでラスト30㎞という、クラシックにおいて「最も重要で危険なポイント」に位置づけられることとなった。

と、なれば、やはりここでレースが動くと見て良い。2019年大会はティム・ウェレンスやパトリック・コンラッドを含む強力な4名の小集団が抜け出してラ・ロッシュ・オ・フォー・コンまで逃げ続けた。

2020年大会はそういった動きを嫌ってジュリアン・アラフィリップ率いるクイックステップが、ドリス・デヴェナインスを先頭にペースアップを図りアタック封じ込めにかかった。

昨年はジロ覇者テイオ・ゲイガンハートを先頭にイネオス・グレナディアーズが一気にペースアップして集団を絞り込みにかかり、一時はアラフィリップが後方集団に取り残されるシーンも見られた。

 

それでも、例年結局は「ラ・ロッシュ・オ・フォー・コン」勝負へともつれ込んだ。

マイナーチェンジを経た今年は、果たしてどうなるか?

なお、その位置変更もあって、昨年までは「ラ・ルドゥット」直後に用意されていた「コート・ド・フォルジュ」の登りは省略されている。

次の登りはいよいよ、「ラ・ロッシュ・オ・フォー・コン」である。

 

 

残り13.3㎞ コート・ド・ラ・ロッシュ・オ・フォーコン

登坂距離1.3㎞、平均勾配11.0%

言わずと知れた最後にして最大の勝負所。

残り距離、登坂距離、平均勾配ともに絶妙なステータスを持っており、間違いなく決定的な攻撃が巻き起こる最重要ポイント。

登り口から厳しいが、本当に厳しいのは残り14.1㎞から13.6㎞のポイント。13%を超える激坂区間で、優勝候補たち同士の激烈な加速バトルが繰り広げられることになるだろう。

 

さらに、これが終われば勝負所はすべて終わり、ではない

実はこの「ラ・ロッシュ・オ・フォー・コン」の直後、山岳ポイントとしては設定していない「名もない登り」が存在している。

ラ・ロッシュ・オ・フォー・コンの山頂から約2㎞の位置、今年で言えばおそらく残り11㎞から10㎞にかけての位置だと思うが、そこにそれは存在する。

ラ・ロッシュ・オ・フォー・コンほどの破壊力はないが、ラ・ロッシュ・オ・フォー・コンで遅れて何とかもう一度追いつこうとした選手たちに決定的なダメージを与えて完全に脱落させるなどの働きは十分にする登りであり、昨年の女子レースのマリアンヌ・フォスなんかがまさにそれで勝負権を失っている。

 

ラ・ロッシュ・オ・フォー・コンと、この「名もなき登り」。2つの登りのセットが、リエージュ~バストーニュ~リエージュのクライマックスを彩る。

 

最後は2020年大会・2021年大会のような精鋭たちによる小集団スプリントで決着するのか。それとも2019年大会のヤコブ・フルサンのようにラ・ロッシュ・オ・フォー・コンからの独走で決まるのか。

 

今年の注目すべき選手たちを、以下、数名ピックアップしていこう。

 

 

注目選手たち

タデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ)

スロベニア、23歳

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現役世界最強ライダー。グランツールだけでなく、クラシックもすべて喰らい尽くしてしまおうとするまさに「現代のカニバル」。

昨年もジュリアン・アラフィリップやアレハンドロ・バルベルデらとのマッチスプリントを制し優勝。今年もストラーデ・ビアンケの残り50㎞からの独走勝利や、初出場ロンド・ファン・フラーンデレンでの「最強の走り」など、余人の想像を遥かに超える活躍ぶりを見せており、今年の最大の優勝候補であることは間違いない。

 

但し、全く不安要素がないわけではない。直前のラ・フレーシュ・ワロンヌは12位と、期待外れの結果だったことは否めない。

さらに、この週末、婚約者ウルスカ・ジガルトの母親が急逝したとのことで、急遽母国スロベニアへと帰国していた。

一応弾丸で戻ってきて土曜日にはチームと合流しているようだが、とはいえ、精神的な面での疲労や、試走などが十分にできていない可能性はあり、万全を期待するのはやや酷かもしれない。

 

とはいえ、UAEチーム・エミレーツはポガチャル一強ではない。2020年大会2位、昨年も6位のマルク・ヒルシや、ディエゴ・ウリッシ&マルク・ソレル&ジョージ・ベネットなどの錚々たる(本当に錚々たる)顔ぶれが並ぶ。

今年はチーム全体が好調で、勝利数もすでに22と、クイックステップ・アルファヴィニルもイネオスも超えて勝利数首位に立っている。

 

「最強」タデイ・ポガチャル、あるいは「最強」UAEチーム・エミレーツにて、今年もリエージュを制することができるか。

 

 

ジュリアン・アラフィリップ(クイックステップ・アルファヴィニル)

フランス、29歳

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今年に限って言えば、この「世界王者」は必ずしも優勝候補筆頭とは言えないかもしれない。今年もイツリア・バスクカントリーで1勝していたり、直前のラ・フレーシュ・ワロンヌでも4位と決して悪くはないものの、彼本来のポテンシャルを考えれば、今年はどこか「地味」なリザルトが並んでいる。

そして何より、チームが苦しい。北のクラシックは惨憺たる有様であったし、アルデンヌ・クラシックに入ってからも、ブラバンツペイルではあろうことか自分たちのチームカーとの衝突によってアラフィリップがDNF。先頭集団に潜り込んでいたレムコ・エヴェネプールも、イネオス・グレナディアーズの本来自分たちの十八番であったはずの「数の有利」に翻弄され、惨敗を喫した。

結果、勝利数ランキングでもUAEチーム・エミレーツ、イネオス・グレナディアーズに敗れ現在3位。強いは強いが、王者としての風格は、今年のクイックステップには、ない。

 

だが、そんなときだからこそ、彼らは「何かやってくれる」気がしている。とくに、ブラバンツペイルではうまくいかなかったが、エヴェネプールとアラフィリップの組み合わせは、イツリア・バスクカントリーなどでも強烈な結果を残しており、期待したいところ。

むしろ、例年そこまで絶好調だった中で最後の最後のリエージュ~バストーニュ~リエージュで失速するパターンが割と多かった気がするので、ここまで微妙だったアラフィリップが今年はこのリエージュで爆発するなんてパターンも、あり得るかもしれない。

 

 

ワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィズマ)

ベルギー、27歳

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2020年覇者プリモシュ・ログリッチは今年は欠場。代わってリエージュ~バストーニュ~リエージュ初出場となるワウト・ファンアールトが参戦することに。

元々のスケジュールにはなかったかもしれない。しかし、ロンド・ファン・フラーンデレン直前のCovid-19陽性によってスケジュールにぽっかりと穴が開いた結果、参戦することになったのか。

いずれにせよ病み上がりであることは心配だが、そんな心配をされていて本人もチームもエースでないことを認めていたパリ~ルーベでまさかの2位。

依然、無理はしてはほしくないが、俄然この初出場リエージュに向けての彼への期待が高まっていることは間違いない。

小集団スプリントになれば最強なのは言うまでもない。あとは、そこまでの展開でしっかりと生き残れるかということと、出遅れて「いつもの」牽制合戦に陥らないかということ。

北のクラシックではクリストフ・ラポルトやティシュ・ベノートの存在が、そんなファンアールトの「いつもの」を回避させてくれていたが、アルデンヌではどうか。ヨナス・ヴィンゲゴーは実績的には期待したいが、ラ・フレーシュ・ワロンヌでの早期リタイアは気になるところ・・・。

 

ただ、パリ~ルーベでも、負けてはしまったものの、後続集団でのシュテファン・クンのアタックにいち早く反応するなど、昨年の世界選手権でも見られたような保守性は幾分薄らいでいたように見える。復帰初戦でまったく勝てる気がしないまま参戦した中で、余分な肩の力を抜くことができていたのかもしれない。

今回も初出場ということで、気負いなく伸び伸びと戦ってほしい。勝っても負けても、彼が彼らしく全力で戦う姿を見られることが何よりもファンとしては嬉しいところである。

 

 

アレハンドロ・バルベルデ(モビスター・チーム)

スペイン、41歳

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過去4度、このリエージュを制しているアルデンヌ・クラシック王。3月のボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャでは連日奮わず、最終的にはリタイアという結末を迎え、キャリア最終年、その限界を感じさせるような姿を見せていた。

が、そう思わせた次の瞬間にめちゃくちゃ強くなるのがこの男である。先日のラ・フレーシュ・ワロンヌでは、タデイ・ポガチャルもジュリアン・アラフィリップも失速する中、一時は先頭を取り「また勝つのか」と誰もが思った。

最終的には非常に強かったディラン・トゥーンスに敗れ足を止めてしまったが、それでも41歳でのあの激坂バトルでの2位は、実に驚異的なものであった。

 

今回のリエージュ~バストーニュ~リエージュ、「最後の」リエージュ~バストーニュ~リエージュも、本命とまで言うことはできないだろう。

それでも、この20年にわたり自転車界を支え続けてきたレジェンドに、神様が最後に大きなプレゼントをもたらしたとしても、何も不思議ではないだろう。

 

 

イネオス・グレナディアーズ

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少なくとも今年の「ウルフパック」はクイックステップではなく、このイネオスにこそ相応しい呼び名なのかもしれない。

何しろ、アムステルゴールドレース(ミハウ・クフィアトコフスキ)、ブラバンツペイル(マグヌス・シェフィールド)、そしてパリ~ルーベ(ディラン・ファンバーレ)と、春のクラシック3連覇を成し遂げた。それもシェフィールドや、この3レースすべてで重要な働きをしてみせたベン・ターナーなど、ネオプロを含めた若手メンバーが大活躍し、アムステルゴールドレースではピドコックとクフィアトコフスキ、ブラバンツペイルではピドコックとターナーとシェフィールド、パリ~ルーベではターナーとファンバーレというように、常に最後の先頭集団に2名以上を乗せる「数の有利」を実現し続けていた。

 

よって、今回のリエージュ~バストーニュ~リエージュも、それこそ北のクラシックのクイックステップのように、「誰が勝つかはわからないけれど、誰かが勝つだろう」という期待感をこのイネオスには寄せられる。メンバーもターナーやファンバーレこそいないものの、ローレンス・デプルス、オマール・フライレ、カルロス・ロドリゲス、トム・ピドコック、ミハウ・クフィアトコフスキ、ダニエル・マルティネス、ゲラント・トーマスと、まさに誰が勝ってもおかしくない、エースばかりの7名を連れてきている。

 

もちろん、数の有利が常に勝つとは限らない。フレーシュ・ワロンヌも、同時並行で行われていたツアー・オブ・ジ・アルプスも、集団を完璧にコントロールしながらも、優勝には届かなかった。

クイックステップもそんな時期が結構あった。2022年代の新生イネオスが「クラシックチーム」として大成していくうえで、このリエージュでの戦い方は一つの試金石となりそうだ。

 

 

 

女子レースについて

最後に、女子レースについても見ていこう。

まずはコースは140.9㎞と、男子レースよりも120㎞近く短い。

しかし残り56㎞地点のコル・ドゥ・ロジエ以降は男子と全く同じレイアウトで戦うことになるため、同じ勝負所を参照していただければ問題ないだろう。

https://www.liege-bastogne-liege-femmes.be/en/stage-1

 

昨年はその年が引退年であったアンナ・ファンデルブレッヘンが若き後継者デミ・フォレリングのための全力のアシストを担い、そしてフォレリングがこれに応えて見事に勝利を飾った。

note.com

 

 

では、そんな女子版リエージュ~バストーニュ~リエージュの注目選手は?

男子と比べて知識が少ないので男子以上にあてにならないかもしれないが、参考までに。

 

 

エリーザ・ロンゴボルギーニ(トレック・セガフレード)

イタリア、30歳

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女子ロード界最強のオランダ人3人、アンナ・ファンデルブレッヘン、アネミエク・ファンフルーテン、マリアンヌ・フォスに割って入るイタリアの英雄。その実力の割には大きな勝利は決して多くなかったが、今年のパリ~ルーベでは非常に強い独走勝利を果たして見せた。

もちろん登りもいける(というかそれが最も得意)。昨年のリエージュ~バストーニュ~リエージュでも3位。女王ファンフルーテンにも十分食らいつけるだけの実力者だ。

だが最後のスプリントで負けてしまうこともしばしばあるので、やっぱり勝つならばルーベのように独走したいところ。簡単に逃がしてもらえるような存在ではないが、混戦の中でなんとかチャンスを掴みたいところ。

チームとしての強さも女子トレックの強み。パリ~ルーベでも、チームメートのルシンダ・ブラントが先行して飛び出したり、引き戻されたあともロンゴボルギーニがとびだったあとのプロトンでローテーション妨害をしたりと活躍していた。

今回のメンバーはフルメンバーといった感じではおそらくないが、女子レースでも近年多く見られるようになってきたという「チーム戦略」をぜひ楽しみたいところ。

 

 

アネミエク・ファンフルーテン(モビスター・チーム)

オランダ、39歳

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女子界のバルベルデ。モビスターだし。とはいえ、バルベルデほど長い期間第一線で活躍していたわけではなく、一時の停滞期を挟み、世界最強級として名を挙げてきたのはここ5~6年ほどといった印象。合ってる?

某界隈では「プランA」として評判。実際、強いから仕方ない。

とはいえ、今年はロッタ・コペッキーだったりマルタ・カヴァッリだったりに、あと一歩で及ばない場面も見られ・・・いや、それでも継続して滅茶苦茶強いので、やっぱり怖い。

というか、武器はやはり常に独走である。リエージュ~バストーニュ~リエージュで勝った2019年も独走。今年のオンループ・ヘットニュースブラッドの勝利も独走。フレーシュ・ワロンヌもライバルをすべて引き千切って単独で山頂に向かうつもりだった中でカヴァッリについてこられてしまったがゆえの敗北。

今年のリエージュも独走に持ち込めるかどうかが勝利の鍵となるだろう。ロンゴボルギーニとの2人旅なら、なんとかなりそうだけど・・・。

 

 

デミ・フォレリング(SDワークス)

オランダ、25歳

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昨年優勝者。ファンデルブレッヘンの後継者的なポジションで実力の高さを見せているが、昨年の世界選手権ではオランダチームの中でうまく連携が取れなかったり、今年のオンループ・ヘットニュースブラッドでは(ファンデルブレッヘンの指示とはいえ)ファンフルーテンにツキイチで最後のスプリントに挑みながら敗北。

昨年のリエージュ勝利以来の強い印象があまり感じられない中だったが・・・先日の「アルデンヌ前哨戦」ブラバンツペイルでは残り30㎞を切った地点でのポーリナー・ロイヤッケルス(キャニオンスラム・レーシング)のアタックに唯一食らいつき、さらにラスト10㎞の勝負所モスケストラートで強烈なアタックによってロイヤッケルスを置き去りに。そのまま独走勝利を達成した。

直近のフレーシュ・ワロンヌでもカヴァッリ、ファンフルーテンには置いていかれるが3位に食い込むなど、調子は悪くない。

同じく優勝候補のアシュリー・ムールマン、ブラバンツペイル4位のマーレン・ローセル、その他強豪のシャンタル・ブラーク、カタブランカ・ヴァスなどと共に、女子ロード界のクイックステップともイネオスとも呼ばれる「最強チーム」SDワークスが、コペッキー不在でもトップレースを勝てるのだというところを証明してみせよう。

 

 

カタジナ・ニエウィアドマ(キャニオンスラム・レーシング)

ポーランド、27歳

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女子ロード界のクフィアトコフスキ・・・別にポーランド人だから、というだけでなく、実際アルデンヌ系からフランドル系まで、クラシック全般に強い脚質は似ている。

今年もストラーデ・ビアンケ4位、アムステルゴールドレース5位、ブラバンツペイル2位と、安定感の高い走りをしてみせており、リエージュ~バストーニュ~リエージュ自体も2017年3位、2019年6位、昨年は4位と、息が長く好成績を出している。

が、なかなか勝ちきれない。勝利という意味ではすでに3年間も遠ざかっており、典型的な「勝てない強者」であることは確かだ。

チームメートにはパリ~ルーベ4位のエリーズ・シャベイ、トロフェオ・アルフレッド・ビンダ3位のソラヤ・パラディン、そして先日ブラバンツペイルでフォレリングに敗れたポーリナー・ロイヤッケルスと、同じく非常に良い成績は出しているがひたすら「勝てない」選手たちが揃っていて・・・チーム自体も昨年8勝、今年はまだ無勝と苦しんでいるので、「良い成績」だけでは終わりたくないところ。

 

 

マルタ・カヴァッリ(FDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ)

イタリア、24歳

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正直これまではそこまで強い!という印象の選手ではなかった。時折上位には名前を見る実力者ではあれど、実際勝利というリザルトはほとんどない。

が、この春、アムステルゴールドレースとフレーシュ・ワロンヌと、アルデンヌ・クラシックで立て続けに勝利。しかもフォレリングとファンフルーテンをそれぞれ破っており、滅茶苦茶強い勝ち方だ。あのファンフルーテンの鬼気迫る登坂に食らいつき、最後突き放すのだから。ありえない。コペッキーが勝つならまだ分かるが、カヴァッリが、というのは驚きだった。

パリ~ルーベ5位と、とにかくコンディション自体がものすごくよい。リエージュ~バストーニュ~リエージュの実績自体は全然TOP10にも入っていないレベルではあるが、これまでの実績は今回の予想には役に立たないだろう。

問題はチームメートか。普段なら優勝候補になるセシリーウトラップ・ルドヴィグが出場しておらず、ロンド9位で先日のフランスのパンチャー向けレースで勝っているブローディー・チャップマンと逃げ巧者グレイス・ブラウンがベテラン組。あとはエヴィタ・ムジッチやジェイド・ウィールなど、実力はあるがまだまだ若手の選手くらい。

爆発力で魅せられるか。

 

 

Jsportsで女子レースは18:30~(オンデマンド限定、英語のみ)、男子レースは21:00~。

春のクラシック最終戦、確実に盛り上がるクライマーズクラシックを共に楽しもう。

 

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