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獲得UCIポイントで見る ブエルタ・ア・エスパーニャ2021 全チームランキング&レビュー(23位~12位)

 

プリモシュ・ログリッチの圧勝。モビスター&イネオスの「ダブルエース」の成功と失敗・・・ある意味で「らしくない」風景も見えた今年のブエルタ・ア・エスパーニャ。

今年もまた、毎年恒例の獲得UCIポイントでのチームランキングとレビューを行っていく。

2年前なんかと比べると元気のなかったUCIプロチームや、それ以上に存在感を示せなかった一部のワールドツアーチーム・・・今回の「23位~12位」については、期待通りの結果が出せなかったチームが中心となり、来シーズンに向けての課題を探る必要に迫られるチームたちだ。

 

一方で、数字には表れない活躍を見せる若手たちの存在も。

3週間の戦いを振り返っていこう。

 

過去の「全チームランキング&レビュー」

獲得UCIポイントで見る ブエルタ・ア・エスパーニャ2019 全チームランキング&レビュー(22位~12位) - りんぐすらいど

獲得UCIポイントで見る ブエルタ・ア・エスパーニャ2019 全チームランキング&レビュー(11位~1位) - りんぐすらいど

獲得UCIポイントで見る ブエルタ・ア・エスパーニャ2020 全チームランキング&レビュー(22位~12位) - りんぐすらいど

獲得UCIポイントで見る ブエルタ・ア・エスパーニャ2020 全チームランキング&レビュー(11位~1位) - りんぐすらいど

 

※ツール、ジロについても、「獲得UCIポイントで見る」のカテゴリータグからどうぞ!

 

目次

   

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第23位(昨年5位) イスラエル・スタートアップネーション 4pt.

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逃げ一覧

  • セバスティアン・バーウィック(第12ステージ)
  • セップ・ファンマルク(第14ステージ)
  • ガイ・ニーブ(第15ステージ)
  • ジェームス・ピッコリ(第18ステージ)

 

今大会はUCIプロチームがなかなか活躍できない印象があったが、結果としてそのUCIプロチームより活躍できなかったと言えるワールドツアーチームが2つあり、そのうちの1つがこのイスラエル・スタートアップネーションだ。昨年はマーティン1人で640ポイントを稼ぎ5位に入り込んでいた中で、今年は・・・。

そのダニエル・マーティンも昨年はEFで活躍したマイケル・ウッズもダリル・インピーも今回は出場しておらず仕方ない部分もあるが、そもそも今回出場していたメンバー8人中のうち5人が途中でリタイアしている。上記のアインホルンですらリタイア組だ。

残ったのはバーウィックとピッコリとニーヴ。ニーヴはともかくバーウィックとピッコリはポイント圏内となる総合60位以内に入ってもおかしくないポテンシャルを持っていたとは思うのだが、結果はそれぞれ135位と86位。ジロでは2回2位に入り込んでいたチモライも、全く奮わないまま1週目でレースを去っている。

明確に失敗に終わった今年のイスラエル。来年の戦略やいかに。

 

 

第22位(昨年17位) チーム・キュベカ・ネクストハッシュ 12pt.

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逃げ一覧

  • ファビオ・アル(第15、17、18、19ステージ)
  • ベルトヤン・リンデマン(第6、18ステージ)
  • ディラン・サンダーランド(第14、17ステージ)
  • サンデル・アルメ(第12ステージ)
  • ディミトリ・クレイス(第16ステージ)
  • セルジオ・エナオ(第17ステージ)

 

2015年大会総合優勝者ファビオ・アルのみがポイントを獲得。そのアルも、総合51位と、決して良くはない成績。

これにてアルは10年間のキャリアに幕を閉じる。浮き沈みの激しい、辛いことも多い10年だったかと思うが、最後の最後まで、果敢に攻撃をすることを忘れないライダーであった。今後の彼の人生に幸あらんことを。

その他の選手たちも、結果はついてはこなかったものの、積極的に逃げには乗った。

もともと昨年の解散ギリギリの状況からの急遽の戦力補充など、ワールドツアーチームに相応しい戦い方をするのは難しい中で、今年のジロの3勝はむしろ出来すぎたくらいだった。

来年はさらなる補強を経て、しっかりと年間を通して結果を出せるようにしたいところ。

 

 

第21位(昨年20位) カハルラル・セグロスRGA 20pt.

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逃げ一覧

  • フレン・アメスケタ(第3、9、10、12、17、19ステージ)
  • アリツ・バグエス(第8、14、18、19ステージ)
  • ジョナタン・ラストラ(第7、10、11ステージ)
  • オイエル・ラスカノ(第5、19ステージ)
  • セルジオ・マルティン(第2ステージ)
  • アルバロ・クアドロス(第13ステージ)
  • ジェフェルソンアルベイロ・セペダ(第17ステージ)

 

期待していたのは日本で走っていた経験も持ち、今もコンスタントに勝利を重ねる登れるスプリンターの実力者ジョン・アベラストゥリ。 しかし区間6位が3回。惜しくもポイント圏内(5位以上)には届かなかった。

あとは2年前に区間2位、今年もスペインのステージレースの総合で調子の良かったジョナタン・ラストラに注目していたのだが、今大会では奮わず。逃げに乗っても、TOP10リザルトに入ることすらできなかった。

一方、爪痕を残したのは25歳のエクアドル人、セペダ。今年のツアー・オブ・アルプス総合4位のジェフェルソン"アレクサンデル"・セペダ(アンドローニジョカトリ・シデルメク)は2つ年下の従弟で、どうしてもそちらの方が実績も上で目立ってしまうが、今回のこの「総合32位」をきっかけに、アルベイロの方もぜひさらなる活躍を重ねていってほしい。

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第20位(昨年11位) ロット・スーダル 44pt.

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逃げ一覧

  • ハーム・ファンフック(第7、11、18ステージ)
  • ステフ・クラス(第7、15、18ステージ)
  • アンドレアス・クロン(第7、17、19ステージ)
  • マキシム・ファンジルス(第12、15ステージ)
  • シルヴァン・モニケ(第17、20ステージ)
  • フロリアン・フェルメールシュ(第10ステージ)
  • マシュー・ホームズ(第14ステージ)

 

2017年ツール・ド・ラヴニール総合5位のクラスが、ついにグランツールで総合20位圏内に。今年で25歳。3年前にカチューシャ・アルペシンでデビューして昨年からロット・スーダル入り。来季の契約はまだない中で、少しは可能性を見せられたか。

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逆に今年のパリ〜ニース総合11位のファンフックや昨年の「ウィランガ・ヒル覇者」ホームズなど、もっと活躍してほしい選手たちがなかなか伸びきらない。

今シーズンワールドツアー2勝で急成長中のクロンにも強い期待がかけられていたが、相手が悪かった。チャンスのあった3ステージのうち2ステージで、マグナス・コルトニールセンに奪われる結果となった。

当初予定していたカレブ・ユアン体制が用意できなかった以上この結果はある意味仕方ないか。期待の若手たちがこのあと順調に成長していくことを願う。

 

 

第19位(昨年8位) グルパマFDJ 52pt.

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逃げ一覧

  • オリヴィエ・ルガック(第9、10、17、18ステージ)
  • アルノー・デマール(第14、17、19ステージ)
  • ケヴィン・ゲニッツ(第14、17ステージ)
  • ルディ・モラール(第9、15ステージ)
  • アントニー・ルー(第19ステージ)

 

ツールのリベンジを・・・と意気込んではみたものの、やはり重要な「ラスト1㎞までの牽引役」イグナタス・コノヴァロヴァスを欠いた状態ではそもそもゴール前の支配力が全く失われてしまうことが明らかとなった。さらには最終発射台グアルニエーリも1週目でレースを去ってしまい、あとは単なる消化試合に終わってしまった。

それでも山岳ステージでも果敢に逃げる姿勢は熱かった。ルガックも頑張ったし、第19ステージは久々にアントニー・ルーのワンデーレース適性の高さを感じさせたりもした。

結果は出なかったが、仕方ない。しかしチームの層の厚さを充実させることは、このチームの課題であることは間違いない。

 

 

第18位(昨年-位) エウスカルテル・エウスカディ 68pt.

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逃げ一覧

  • ミケル・イツリア(第8、12、16、17、20ステージ)
  • シャビエルミケル・アスパレン(第2、5、10、14ステージ)
  • ジョアン・ボウ(第4、6、11ステージ)
  • アントニオ・ソト(第3、19ステージ)
  • ルイス・マテ(第13、18ステージ)
  • ゴッツォン・マルティン(第18ステージ)

 

古のバスクチームの完全復活。そしてブエルタ初出場。結果として、カハルラル、ブルゴスといった先輩たちに引けを取らない結果を出したのは上出来である。

とにかく、逃げまくった。そして、総合でも決して悪くない位置に入り込んでポイントを稼いだ。いくつかのワールドツアーチームよりも確実に目立ってみせた。

もちろん、活躍の中心にいたのはイツリア(2019ブエルタ区間優勝)、ビスカラ(2018ブエルタ総合17位)、マテ(元コフィディスの超ベテラン逃げ職人)といった実績のある「いつものメンバー」。その中でも、今年25歳のマルティン、ネオプロ22歳のアスパレン、元NIPPOヴィーニ・ファンティーニの24歳ボウなど、若き選手たちの頑張りと数字に残る結果とは、今後に期待を持つのに十分な成果と言えるだろう。

 

 

第17位(昨年21位) ブルゴスBH 76pt.

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逃げ一覧

  • イェツ・ボル(第3、6、12、16ステージ)
  • ペラヨ・サンチェス(第5、17、18、19ステージ)
  • アンヘル・マドラソ(第4、9、17ステージ)
  • アンデル・オカミカ(第8、18、19ステージ)
  • ディエゴ・ルビオ(第2、13ステージ)
  • カルロス・カナル(第4、18ステージ)
  • ダニエル・ナバーロ(第14、20ステージ)

 

そのエウスカルテル以上にプロチームらしい頑張りを見せたのがこのブルゴス。今年は彼らの本拠地からのグランドスタートだっただけに、例年以上の気合の入りようだった。

結果、8名中7名が逃げに乗り、今年27歳のオスカル・カベドがキャリア最高の成績となる総合19位に。主にコフィディスで活躍し過去にツール・ド・フランス総合9位の経験をもつ大ベテランのナバーロも期待通りの活躍をしてみせた。

とはいえ、このチームのマドラソ含め、プロコンチネンタルチームの選手が大活躍していた2年前と比較すると、今回は全体的にプロチームが元気のないブエルタだったという見方もできる。

シーズン終盤、大番狂わせも起こりやすいブエルタだからこそ、来年はもっと彼らが活躍する姿を見たい。

 

 

第16位(昨年9位) アスタナ・プレミアテック 104pt.

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逃げ一覧

  • ゴルカ・イサギレ(第7、15、18ステージ)
  • アレックス・アランブル(第7、10ステージ)
  • ルイスレオン・サンチェス(第10ステージ)

 

第1ステージでまさかの勝利目前までいったアレックス・アランブル。

翌第2ステージもマイヨ・ロホを狙って中間スプリントポイントも含め積極的に動き、集団スプリントステージにも関わらず5位に入り込む強さを見せつけた。

そもそも今年はイツリア・バスクカントリーで勝ったりミラノ〜サンレモで7位に入ったりクリテリウム・ドゥ・ドーフィネでも区間2位に入ったりと絶好調で、間違いなくキャリア最高潮のコンディションであった。彼向きの激坂ステージも多く、このブエルタでもまた勝利のチャンスが・・・と期待していたのだが、第10ステージで落車し、翌日未出走のリタイアに。非常に残念だった。

また、昨年から世界トップクラスのライダーに成長しつつあったアレクサンドル・ウラソフ。昨年のブエルタも強さを見せつけ、今年のジロも総合4位と悪くない状態で乗り込んだが、今回は全く存在感を示せないまま第20ステージでひそかにリタイアしてしまった。

そんなこんなで、本来期待される水準にはまったく達せず、失敗に終わったアスタナのブエルタ。

ウラソフは来年からボーラ入り。ヴィノクロフGMは再び舞い戻ってきたがその代償としてスポンサーのプレミアテックが離脱するため、果たして来年に向けての十分な補強はできるのか・・・ニバリが戻ってくるという噂もあるが、果たして?

 

 

第15位(昨年15位) チーム・バイクエクスチェンジ 132pt.

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逃げ一覧

  • ロバート・スタナード(第9、17、19ステージ)
  • ニック・シュルツ(第10、18、20ステージ)
  • アンドレイ・ツェイツ(第7、14ステージ)
  • ダミアン・ホーゾン(第10、18ステージ)
  • ミケル・ニエベ(第15、17ステージ)
  • ルーカス・ハミルトン(第15ステージ)

 

勝ちきれなかったマシューズ。とくに第12ステージはチームも完璧な体制でフィニッシュまで彼を運び上げていた中で、最後の最後、目の前でEFのクークレール&コルトニールセンコンビにしてやられてしまった。

強いのは間違いない。だからこそツール・ド・フランスから続き常にその存在感を示し続けている。

だが、勝ちきれない。せっかくの古巣復帰初年度となった今年は、苦みを味わうこととなってしまった。

 

あとは、落車で苦しんだニエベ、ツェイツ、スタナード・・・皆、要所要所で良い走りは見せていたものの、彼らの本来の実力を考えると決して喜べる結果とは言えなかった。

とくに、本来はサイモン・イェーツと並ぶチームの総合エースとして成長してほしいルーカス・ハミルトンが、今回全くと言っていいほど活躍できなかったのは残念だ。

サイモン・イェーツ自身も2018年のブエルタ制覇以来、歯車のかみ合わない状態も続いており、財政面でも苦しい状態の続くこのオージーチーム、果たして今後はどんな風景を見せることができるのか。

 

 

第14位(昨年19位) トレック・セガフレード 180pt.

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逃げ一覧

  • ケニー・エリッソンド(第3、7、9、10ステージ)
  • ジャンルーカ・ブランビッラ(第15、18ステージ)
  • クイン・シモンズ(第16、19ステージ)
  • フアン・ロペス(第15ステージ)
  • アントニオ・ニバリ(第18ステージ)

 

ツール・ド・フランスのモン・ヴァントゥでは悔しい思いを味わったエリッソンドがマイヨ・ロホを着用! 残念ながら1日しか着用はできなかったが、一つの達成にはなった。

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その他、チッコーネもブランビッラも積極的な走りを見せるシーンが目立った。チッコーネは総合TOP10も狙える位置に居続けたのだが、同じく総合で躍進を見せていたジロ・デ・イタリアに続き切ない途中リタイア。

結果としては記録に残らなかったものの、今年のチッコーネは間違いなく進化の過程を見せてくれていた。今後もニバリやポートに代わるチームの総合エース筆頭としてさらなる成長を見せてほしい。

 

そして、注目はフアン・ロペス。元コメタ・サイクリングチーム(現EOLOコメタ)、ネオプロ1年目だった昨年は、ツアー・ダウンアンダーでリッチー・ポートのための強力な山岳アシストぶりを発揮していた若きスペイン人。

間違いなく伸びる、と期待し続けていたが、今回のこのブエルタで総合13位という快挙。

契約は2023年まで残っている今年24歳。もしかしたら彼が、チッコーネに次ぐチームの総合エースとなりうるかも?

 

 

第13位(昨年7位) ボーラ・ハンスグローエ 208pt.

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逃げ一覧

  • チェザーレ・ベネデッティ(第10、17ステージ)
  • パトリック・ガンパー(第18、19ステージ)
  • フェリックス・グロスシャートナー(第7ステージ)
  • マキシミリアン・シャフマン(第10ステージ)

 

いよいよ総合エースか・・・!と期待されていたマキシミリアン・シャフマンは第2ステージでいきなりの集団落車に足止めを食らい大きくタイムを失う。

さらに筋肉痛と不調によって第13ステージにて未出走。調子の上がり切らないまま、グランツール総合エースへの最初の挑戦を終えた。今年はパリ~ニース2連覇とツール・ド・スイス総合4位と着実に実力を高めつつある27歳ドイツ人。

ウラソフやヒンドレー、イギータなど、さらにライバルが増えていくボーラではあるものの、どこかでぜひともチャンスを掴んでほしいところ。

 

一方、本来の予定通りの総合エースであったグロスシャートナーも得意の激坂適性などを活かしつつ総合10位とまずまずの結果。最終日TTで7位というのは、彼の意外な強さを見た瞬間であった。

ジョルディ・メーウスも第2ステージの落車で地面に叩きつけられたメンバーの1人であったが、その後も区間4位や2位に入り込む活躍。元SEGレーシングアカデミー出身で今年まだネオプロ1年目。すでに今年ノケレ・コールス4位やツール・ド・ハンガリー区間優勝などの実績を残している彼は、アッカーマンもサガンも去る来年のボーラにおいて、サム・ベネットと並ぶエース格の1人として期待されているだけに、今回の結果だけで喜んでいる場合ではないぞ!

なお、サム・ベネットは北のクラシックではまだまだ不安要素があることが今年分かったので、クラシック風味のスプリントレースではむしろエース筆頭として走らせてもらえるかもしれない。

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第12位(昨年-位) アルペシン・フェニックス 256pt.

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逃げ一覧

  • ジェイ・ヴァイン(第7、14、17、19ステージ)
  • フローリス・デティエ(第10、18、20ステージ)
  • エドワード・プランカールト(第11、18ステージ)
  • トビアス・バイヤー(第3ステージ)

 

ツール・ド・フランスで3回の2位と3回の3位という、強かったけれども悔しい思いをし続けていたフィリプセン。しかし今回は見事にその殻を破った! しかも、ラインレース初日となる第2ステージでしっかりと勝ちきり、ジロ、ツールのメルリールの業績を引き継いで、チームとして「3大グランツールすべての最初の平坦ステージで勝利する」という偉業を成し遂げるに至った。プロチームでこれだから、本当に凄い。

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第2週序盤でリタイアしてしまったのは残念。ヤコブセンとの激戦をもっと見ていたかった。

 

もう1人、このチームで特筆すべき活躍を見せてくれたのが、これも「ネオプロ」の1人、今年26歳のオーストラリア人、ジェイ・ヴァイン。オーストラリアのコンチネンタルチーム「ネロ・コンチネンタル」に所属していた昨年、ヘラルドサン・ツアーの山頂フィニッシュでヒンドレーとバーウィックに次ぐ区間3位を記録するなど活躍を見せており、年末のオーストラリア国内シリーズ戦では2勝と総合2位を記録している実力者であった。

今年は元々、同じオーストラリアのコンチネンタルチームであるARAプロレーシング・サンシャインコーストで走る予定だったが、2020年のズイフト・アカデミー・プログラムで優勝したことにより、アルペシン・フェニックスでのまさかのデビューを飾ることとなった。

そして、そのチャンスを見事にモノにした。4月のツアー・オブ・ターキーではクイーンステージで区間2位を獲りそのまま総合でも2位。前哨戦ブエルタ・ア・ブルゴスでも最終日山頂フィニッシュで区間5位に入り込むなど、存在感を示した。

 

そしてブエルタ・ア・エスパーニャ。最終的な総合順位は73位。第14ステージでも勝つことはできず区間3位。

だが、何よりもその走りが見るものを奮い立たせた。もちろん、きっかけの落車自体は、彼の経験不足から起因するものだったと思われる。それでも、そこから執念で先頭集団に舞い戻り、トム・ピドコックとの激しいアタックの打ち合いを主導するほどの走りを見せる。

そして最終的にはそこから抜け出しての、区間3位。最後はさすがにベテラン、ヘスス・エラダに先行されたものの、実質的な2位集団でのフィニッシュということで、もはやただの「特別枠デビュー選手」では決してない、どうしても層の薄いアルペシンの山岳班の中心的人物になりうる存在であることを示した。

グランツールで区間勝利する日も、決して遠くないかもしれない。

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次回は11位~1位まで!

 

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