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UAEツアー2021 プレビュー

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Class:ワールドツアー

Country:アラブ首長国連邦

Region:-

First edition:2019年

Editions:3回

Date:2/21(日)~2/27(土)

 

過去のレース

【全ステージレビュー】UAEツアー2019 - りんぐすらいど

 

↓今大会のレースレポートはこちらから↓

note.com

 

いよいよ今週末、今年最初のワールドツアーレースが開催される。

その名もUAEツアー。奇しくも、昨年、最も最初に新型コロナウイルスの影響が出て開催期間中の中止となってしまったレースである。

その後、レースカレンダーは大きく崩れてしまった。

 

今年に関しては、そこからの一つの再生を象徴するレースとして開催。

1年を経て徹底整備された感染対策の中、タデイ・ポガチャル、アダム・イェーツ、マチュー・ファンデルポール、エリア・ヴィヴィアーニ、サム・ベネット、カレブ・ユアン、そしてクリス・フルームなどが今シーズンのレースデビューを飾る。

 

激闘の7日間、今年最初のビッグレースを、徹底的にプレビューしていこう。

 

目次

 

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レースについて

元々はアラブ首長国連邦各地で別々に開催されていたアブダビ・ツアー、ドバイ・ツアー、シャルージャ・ツアーなどが2019年に一つに統合。

「UAEツアー」として生まれ変わったこのレースは、タイムトライアル、3つ以上の平坦スプリントステージ、2つ以上の山頂フィニッシュ、7日間にわたる日程など、グランツールに準ずる非常に高いバランスをもったステージレースとして、個人的にも非常に好きなレースとなっている。

 

初開催の2019年にはアレハンドロ・バルベルデを下してプリモシュ・ログリッチが総合優勝。ダヴィ・ゴデュも覚醒し総合3位に入った。

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2020年にはその年のツールを制することになるタデイ・ポガチャルが強さを見せつけるが、これを抑えてアダム・イェーツがワールドツアークラスのステージレースを初制覇する。

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そしてスプリントステージにおいてもカレブ・ユアンやエリア・ヴィヴィアーニ、サム・ベネット、パスカル・アッカーマンなど世界トップクラスのスプリンターたちが覇を競い合い、今年も彼ら全員が出場している。

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まさに、現代の「第4のグランツール」と呼んでもいいのではないかと思えるほどの豪華なレース。

中東マネーとRCSスポルト*1の協力のもとに実現した迫力あるカメラワークも魅力の一つで、決して見逃すことのできない最高峰のレースである。

 

とくにUAEチーム・エミレーツにとっては「地元レース」ということでチームの全てを賭けたような布陣で乗り込んできている。

以下では、このバランスの取れたステージ構成と詳細、そして注目チーム・選手たちを紹介していく。

 

 

コースについて

第1ステージ アル・ダフラ城〜アル・ミルファ 177㎞(平坦)

日本時間17:10頃スタート予定、21:30頃フィニッシュ予定

 

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 7日間のレースの開幕ステージは、アラブ首長国連邦の首都アブダビの南西に位置するダフラ地域を舞台にし、ペルシア湾を臨む小さな村ミルファでフィニッシュする。これまでのUAEツアーでも訪れたことのない地である。

この日は典型的な集団スプリント争いが繰り広げられることになるだろう。ユアン、アッカーマン、ガビリア、サム・ベネット、ヴィヴィアーニ、ニッツォーロ、グライペル、ジャスパー・フィリプセン、フィル・バウハウス、ケース・ボル、ケイデン・グローブス、マッテオ・モスケッティなど数え切れないほどの名スプリンターたちが集結している。

ある意味、今年最初のスプリンター頂上決戦。

ここを制したものが、今年最強のスプリンター候補となるかもしれない。

 

第2ステージ アル・フダリアット〜アル・フダリアット 13㎞(個人TT)

日本時間21:30頃終了予定

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2019年大会の初日チームタイムトライアルの舞台となったこのフダリアット・アイランドで、今年は短距離個人タイムトライアルが実施される。今大会最初の「総合争い」の舞台となるだろう。

コースは非常に曲がりくねっており、かつ島ということで横風による影響も大きそう。

2年前のチームタイムトライアルの際はユンボ・ヴィズマが勝利したものの、そのときの最強布陣(ログリッチ、トニー・マルティン、ヨス・ファンエムデン)は今回は連れてきておらず、注目選手としてはポガチャル、ビョーグ、ダニエル・マルティネス、マチュー・ファンデルポール、ワウト・プールス、ホアン・アルメイダ、クリス・ハーパー、ウラン、イギータ、バルベルデ、フルームなど。

ただし、フィリッポ・ガンナがいるので、もうガンナでいいのではないか。ガンナしかいないだろう。PCS・Gameでは星9個あげたいくらいである。

と、言った中で、距離が短めでスプリンターにもやや有利なレイアウトを、マチュー・ファンデルポールがかっ飛んでいく姿なんかも密かに期待してみたいものだ。

 

第3ステージ アル・アイン〜ジュベル・ハフィート 162㎞(山岳)

日本時間17:15頃スタート予定、21:30頃フィニッシュ予定

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アブダビツアー時代からの定番クイーンステージ、ジュベルハフィート山頂フィニッシュである。昨年は第5ステージで使用され、それが昨年の最終ステージとなった(新型コロナウイルスによる中断のため)。

そのとき勝ったのはタデイ・ポガチャル。3位フィニッシュしたアダム・イェーツが総合を守り、彼にとって初めてとなるワールドツアーステージレースの総合優勝となった。

登坂距離10.8㎞。平均勾配は6.6%。難易度だけでいえば先日のツール・ド・ラ・プロヴァンスで使われたシャレー・レイナード(モンヴァントゥー中腹までの登り)の方が上かもしれないが、今回は面子が面子だけにより白熱した争いが繰り広げられそうだ。

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このステージの過去の優勝者は、アブダビツアー時代を含めエステバン・チャベス、タネル・カンゲルト、ルイ・コスタ、アレハンドロ・バルベルデ(2回)、そしてタデイ・ポガチャル。

今年はポガチャル、フォルモロ、マイカ、アダム・イェーツ、ダニエル・マルティネス、バルベルデ、ウラン、イギータ、ワウト・プールス、アルメイダ、そしてクリス・フルームとやはり豪華な顔ぶれ。

その中で、今年ツール・ド・フランス初挑戦を控えるマチュー・ファンデルポールが果たして「どこまで登れるのか」にも注目をしておきたいところだ。

 

第4ステージ アル・マルジャン島~アル・マルジャン島 204㎞(平坦)

日本時間16:40頃スタート予定、21:30頃フィニッシュ予定

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3日間にわたるアブダビ首長国での戦いを終え、プロトンは一気に首長国連邦の最北端、ラアス・アル=ハイマ首長国へと向かう(途中、隣接するウンム・アル=クワイン首長国も通過)。

フィニッシュ地点のアル・マルジャン島は、過去「ドバイ・ツアー」の方で、2017年にはマルセル・キッテル、2018年にはエリア・ヴィヴィアーニといった、その時代時代のトップスプリンターたちの勝利を祝福してきた。

今年もまた、この地にて「その年最強のスプリンター」が勝利を飾ることになるのか。

ラスト5㎞は海の上の周りに何もないふきっさらしだけに、横風による混乱が起きる可能性も。

 

第5ステージ フジャイラ国際マリーンクラブ~ジュベルジャイス 170㎞(山岳)

日本時間16:50頃スタート予定、21:30頃フィニッシュ予定

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アラブ首長国連邦で唯一ペルシャ湾に面していないフジャイラ首長国からスタートし、再びラアス・アル=ハイマ首長国へ。そして、その北端、オマーンの飛び地との国境線沿いに位置する「UAE2つ目の山頂フィニッシュ」ジュベルジャイスへと飛び込む。

2019年にも使用され、そのときはプリモシュ・ログリッチが勝利した登坂距離21.1km・平均勾配5.4%のだらだらと長い登り。

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ラスト2㎞の手前に最大勾配9%区間が一瞬現れるものの、そのあとも7%程度の勾配が続く。

2019年にはログリッチを護るためのローレンス・デプルスの強力な牽引が続き、ライバルたちは手も足も出せず。

残り300mでようやくダニエル・マーティンがステージ優勝のために飛び出すが、そこに反応したトム・デュムラン、ダヴィ・ゴデュらの後ろから、ログリッチが悠々と先頭でフィニッシュラインを通過した。

この年ブエルタ・ア・エスパーニャを制覇することになる男の強さが炸裂したステージであった。

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第6ステージ ドバイ・ディラ島~パーム・ジュメイラ 166㎞(平坦)

日本時間17:15頃スタート予定、21:30頃フィニッシュ予定

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おそらく日本においてはアラブ首長国連邦で最も有名なドバイ首長国を舞台にした第6ステージは、ドバイ・ツアー時代から定番となる人工島「パーム・ジュメイラ」フィニッシュ。

2015年と2016年はエリア・ヴィヴィアーニ、2017年はマルセル・キッテル、2018年はディラン・フルーネウェーヘンがそれぞれ制し、ドバイの超近代的な高層ビル街を背景に「最強」の名を轟かせることとなった。

今大会3度目の集団スプリント。実はUAEツアーにおいてはスプリントステージにおいて2勝以上している選手が存在しない。世界トップクラスのスプリンターたちが集結する(ある意味ツール・ド・フランス以上の)このUAEツアーでは、戦力が拮抗し続けているとでもいうのだろうか。

今年はどうだろう。2勝以上挙げ、その勢いを証明するスプリンターは現れるのか。

 

第7ステージ ヤス・モール~アブダビ防波堤 147㎞(平坦)

日本時間18:00頃スタート予定、21:30頃フィニッシュ予定

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アラブ首長国連邦の首都アブダビの中心地ヤス島を縦横無尽に駆け巡り、最後は海に突き出す防波堤(Breakwater)でフィニッシュ。昨年も最終日に同じフィニッシュ地点が用意されていたが、残念ながら新型コロナウイルスの影響でキャンセルとなってしまった。

スタート地点のヤス島はF1アブダビグランプリの舞台としても有名なヤスマリーナ・サーキットも存在するアブダビの繁栄を象徴する島。2017年のアブダビ・ツアーでは、このサーキットで、アブダビGPよろしくナイトレースの形式でスプリントステージが用意され、カレブ・ユアンが勝利を飾っていた。なかなか非日常的な雰囲気を味わえるステージだったので、またいつか実現してほしいところ・・・。

この日が泣いても笑ってもUAEツアー最終日。

総合はおそらく確定しているだろうが、スプリンターたちによる頂上決戦のクライマックスを存分に楽しみたいところだ。

 

 

注目選手紹介

総合優勝候補

タデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ)

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昨年総合2位。そしてツール・ド・フランス覇者。しかも個人タイムトライアルでプリモシュ・ログリッチを2度、負かした男。

今大会の最有力総合優勝候補であることは間違いない。

チーム体制も完璧だ。元イタリア王者で今年のジロ・デ・イタリアのエース候補であるダヴィデ・フォルモロに、過去ブエルタ・ア・エスパーニャ総合3位で過去にアルベルト・コンタドールなど有力選手たちのアシストもこなしてきた元ボーラ・ハンスグローエのエース、ラファウ・マイカ。そして山岳アシストとして抜群の信頼感を誇るエトナ覇者ヤン・ポランツ。エースとしてもアシストとしても実績を誇るクライマーたちがポガチャルを支える。地元レースを制するための、かなり本気の体制であることがわかる。

一方、割を食っているのはフェルナンド・ガビリア。発射台として盟友マキシミアーノ・リケーゼはいるものの、それ以上の専属アシストはおらず、ミッケル・ビョーグが残り1㎞からの牽引で手伝ってくれるくらいか。

先日のクラシカ・ドゥ・アルメリアでも17位と悔しい結果に終わっているため、仕方ないと言えば仕方ないが・・・中東レースへの相性はいい選手なので、なんとかリベンジを図りたいところ。

  

アダム・イェーツ(イネオス・グレナディアーズ)

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昨年総合優勝者。ツール・ド・フランスでは総合9位。

今年からこのイネオスに。今のところは、ブエルタ・ア・エスパーニャのエースを任される予定だが、ライバルが多いチームだけに、今回のようなエースとして走れるチャンスでしっかりと実績を積んでいく必要はある。

実際、必ずしも最後まで彼がエースになるとは限らない。つい先日のツール・ド・ラ・プロヴァンスで総合優勝を果たしたイバン・ソーサや、いつグランツール総合優勝してもおかしくないポテンシャルを秘めたダニエル・マルティネスなどを連れてきている。もちろん、彼らがアシストしてくれれば、これ以上心強いものはないのだが。

ほかにも現役最強山岳アシストの1人として名高い、昨年ブエルタのカラパス総合2位も支えたアンドレイ・アマドールに、プロヴァンスでのカルロス・ロドリゲス同様覚醒が期待されるネオプロ2年目のブランドン・リベラ、平坦職人ルーク・ロウなどアシストの豪華さは全チーム中随一と言ってよい。

もちろん、フィリッポ・ガンナも平坦アシストとして2~3人分の働きをこなしてくれることだろう。彼については別項目も用意しているのでそちらを参照。

 

ホアン・アルメイダ(ドゥクーニンク・クイックステップ)

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昨年のジロ・デ・イタリアでレムコ・エヴェネプールの「代役」として出場したはずが、そこで15日間にわたりマリア・ローザを着用するという格性を果たした若きポルトガル人。TT能力も非常に高く、その意味でも今大会最大の総合優勝候補の1人である。

アシストとしても、そのジロでアルメイダを献身的にアシストしながら自らも総合9位に入り込んだファウスト・マスナダと、彼同様にアンドローニジョカトリ出身で昨年のブエルタ・ア・エスパーニャでも強い走りを見せていたマティア・カッタネオなど、強力なクライマーが揃っている。

ただ、チームメートには最強スプリンター候補のサム・ベネットもいるため、彼のためのアシストも十分に揃えなければならない関係上、上記2名に関するとやや山岳アシストは不足気味。

その差が最終的にどういった結果をもたらしてしまうのか。

 

ワウト・プールス(バーレーン・ヴィクトリアス)

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元クリス・フルームの右腕の一人で、ときに彼以上の登坂力を見せることもある超級クライマー。ただしリッチー・ポートにも似て安定感のなさを感じさせる場面もあり、アシストとしては優秀ながらグランツールの総合エースとしてはやや物足りない場面も多かった。

一方で、勝負所の山頂フィニッシュが1つしかないようなシーズン序盤の短いステージレースでは強く、先日のツール・ド・ラ・プロヴァンスでもクイーンステージでエガン・ベルナルとジュリアン・アラフィリップに唯一食らいついていけたライダーであった。

今回のUAEツアーでは得意の個人TTは存在するものの山頂フィニッシュは2つ。彼が成功するかどうかはやや賭けではある。

また、今年からバーレーン入りしたジャック・ヘイグもプロヴァンス総合7位と悪くない結果を出しているので注目。山岳アシストとしても最強の一角であるダミアーノ・カルーゾに、若き才能ジーノ・マーダーなど、それなりに揃っている。

また、スプリンターとしては、過去アブダビ・ツアー時代に勝利経験があり、昨年も同じ中東のサウジ・ツアーで2勝&総合優勝を果たしていて、つい先日のプロヴァンスでもアルノー・デマールを下したダヴィデ・バッレリーニを下すという強さを見せたフィル・バウハウスがきている。

勢いに乗っているという意味では実は今大会最も注目すべきスプリンターは彼なのかもしれない。

 

アレハンドロ・バルベルデ(モビスター・チーム)

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2019年のUAEツアー総合2位。長きにわたりその実力の高さを発揮し続けていたが、さすがに2020年は失速気味だった。それでもツール・ド・フランス総合12とブエルタ・ア・エスパーニャ総合10位は40歳の成績ではないとは思うけれど・・・。

そんな彼も、今年いっぱいでついに引退を宣言している。そんな中迎えたこのUAEツアー。総合優勝までは望めなくとも、総合上位に入り込むだけの走りはしてくれると期待。

 

スプリンター

サム・ベネット(ドゥクーニンク・クイックステップ)

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昨年のツール・ド・フランスで実力でマイヨ・ヴェールをペテル・サガンから奪い取った男。 今回も盟友シェーン・アーチボルドと世界最強リードアウター、ミケル・モルコフを連れてシーズン緒戦に挑む。というかモルコフ1人いるだけで全チーム最強のトレインが完成する感はある。

ただ、ベネットにとっても、昨年は「チームのおかげで」勝った感は否めなくはある。「最強スプリンターである」と自信をもって宣言するにはやや足りないというか、カレブ・ユアンやアルノー・デマールとまだまだ拮抗している部分はある。

今大会でそこを抜け出し、我こそが最強だと高らかに宣言することはできるか。

 

カレブ・ユアン(ロット・スーダル)

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2019年ツール・ド・フランス最多勝の勢いを、2020年もしっかりと継続できており、その強さとチームとの相性は決して一過性のものではないことを示した。今年も期待している。

チームメートとしても最強の運び屋ロジャー・クルーゲとチーム最強の発射台ジャスパー・デブイストと連れてきており、元トラックレーサーのハリー・スウィーニーやトッシュ・ファンデルサンドなども実力あるスプリンターである。そこにトーマス・デヘントさんを加えて、頭から尻尾まで完全なるカレブ・ユアンシフト。

唯一の総合エースと言えるのがハーム・ファンフッケで、昨年のジロ・デ・イタリアでもエトナ山ステージで区間3位・第1週目に総合上位に残り続けた若き才能ではあるものの、さすがにアシストもおらず最強すぎるクライマーたちが集っているこのUAEツアーで総合TOP10入りすることもかなり難しいだろう。

逆に言えばそこでそれを達成したならば彼の才能は本物だ。ひそかに期待したい。

 

ジャコモ・ニッツォーロ(チーム・キュベカ・アソス)

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昨年もイタリア国内選手権とヨーロッパ選手権を共に制し、ツール・ド・フランスでも1勝はするに違いないと期待していた中で、残念ながら落車の影響による早期リタイアを経験した男。

今年も初戦エトワール・ド・ベセージュで区間3位と4位と調子が良いところを見せながら、クラシカ・ドゥ・アルメリアでは実力派スプリンターたちを押しのけて前評判通りの圧倒的勝利を見せつけた。

今年も十分に期待できる男。今回のUAEツアーでも十分に勝ちうるだろう。そして今年こそはツール・ド・フランスで・・・。

 

パスカル・アッカーマン(ボーラ・ハンスグローエ)

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今や世界最高峰のスプリンターの1人であることは疑いようなく。昨年もブエルタ・ア・エスパーニャでマドリード含む区間2勝。

ただ、昨年はとにかく2位が多かった。強いのは確かだが、あまりにも勝ちきれなかった。今年もその傾向はあり、エトワール・ド・ベセージュでは初日の登りスプリントは仕方ないにしても、第4ステージのスプリントでも、集団先頭をクリストフ・ラポルトに奪われて実質的な2位。この呪いは今年も継続してしまうのか・・・?

とはいえ、昨年のUAEツアーでは初日にしっかり勝っている。信じよう!

 

ジャスパー・フィリプセン(アルペシン・フェニックス)

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昨年のブエルタ・ア・エスパーニャで1勝。そして、今年あえて2部チームであるアルペシン・フェニックスへと移籍。今年全グランツール出場を決めているこのチームのエースとして、ツール・ド・フランスも狙える立場にいるのは明確。

とはいえ、このチームのティム・メルリエも名スプリンターではあり、フィリプセンとしてもしっかりと実績を出して立場を護る必要がある。

ロイ・ヤンス、クリスティアン・ズバラーリ、ヨナス・リッカールトなど、チームメートにもスプリンターたちに恵まれている。とはいえ、彼らもワールドツアー級の戦いの中でどれだけ最前線に立っていられるかはわからないところはあるので、ある程度はフィリプセン自身の単独の立ち回りも重要になってくるだろう。

あるいは、マチュー・ファンデルポールのアシストを受けることも十分にできる。実際昨年のメルリエはファンデルポールのアシストを受けながら上位に入ることも多数。今年のアルペシンの最強コンビの力を見せつけることができるか。

 

その他注目選手

マチュー・ファンデルポール(アルペシン・フェニックス)

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今年ツール・ド・フランスへの初挑戦を決めている男。もちろん、マウンテンバイクで出場予定の東京オリンピックもあり、決して本気というわけではないのは確か。それでもある程度登れる力も求められるのは間違いないだろうから、そのためのこのUAEツアーへの参戦である。

よって、今大会は彼の目を瞠るような活躍を期待するのは難しいかとは思われる。逃げ切り向きのステージもないわけで・・・ハッタ・ダムがあればワンチャンあったとは思うけれど。

基本的にはジャスパー・フィリプセンのアシストや、あるとしたら第2ステージの個人TTでの勝利くらいか。まずは登りでどれだけ生き残れるかに注目をしておこう。 

 

フィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアーズ)

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エトワール・ド・ベセージュで見せたような鮮烈な逃げ切り勝利を期待するようなステージはこのUAEツアーにはない。もちろん、不可能を可能にするポテンシャルを持っているのも確かだけれど。

ただ、第2ステージの個人TTでは最有力優勝候補なのは間違いないだろう。Pro Cycling StatsのGameでは☆9個すべて上げたいくらいの有力ぶりである。

また、平坦アシストでは彼一人で2~3名分の活躍もしてくれそうで、なんだかんだ活躍の場は広そう。

 

クリス・フルーム(イスラエル・スタートアップネーション)

いよいよ「イスラエル・フルーム」の始動である。

もちろん最初から総合争いとかを期待するつもりはない。まずは、どれだけの走りをしてくれるのかの注目である。アシストもそこまでガチガチではなく、山岳アシストとしては中東レースでの実績のあるベン・ヘルマンスくらいなものである。チームとしても今回はトレーニングの一環と位置付けていそうな感じはある。

それでもやっぱり期待してしまう。2010年代を象徴する、一時代を築いた男なのだから。

また、スプリンターとしてはアンドレ・グライペルも連れてきている。アシストとして、リック・ツァベルを連れて。

もちろん彼も勝利まではなかなか期待しづらいものの、フルーム同様に応援していきたいところだ。

 

 

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*1:ジロ・デ・イタリアやティレーノ〜アドリアティコの主催者。

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