りんぐすらいど

サイクルロードレース情報発信・コラム・戦術分析のブログ

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ストラーデビアンケ2021 注目選手プレビュー

 

いよいよ本日開幕! Jsports初放映の「白い道」ストラーデビアンケ!

その注目選手5名をピックアップしてプレビューしていきます!

 

レースの特徴やコース上の見所、そして過去のレース展開などは以下の記事を参照のこと。

www.ringsride.work

 

さらに自転車ロードレースシミュレーションゲーム「Pro Cycling Manager」を使用してコースや展開の予習ができる動画も作成しました!

動画中でもレースの特徴やコース、注目選手についても触れているので確認いただけると幸いです。

youtu.be

 

それではいってみよう。

 

 

目次

 

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ワウト・ファンアールト(チーム・ユンボ・ヴィズマ)

ベルギー、26歳

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当時まだプロコンチネンタルチーム(現UCIプロチーム)所属だった2018年にまさかの3位表彰台。翌年ユンボ・ヴィズマ初年度も3位。そして大怪我からの復帰初戦となった昨年はついに優勝。実績だけでいえば現役選手最強であることは間違いない。

www.ringsride.work

 

とはいえ、今季はこれがシーズン初戦。コンディションは合わせてきてはいるだろうが、他の選手と比べ未知数ではある。

それでもきっと、「ライバル」マチュー・ファンデルポールが飛び出したとき、彼は同じく強烈なアタックを繰り出してくれることだろう。今年も「ワウト・ファンアールト劇場」を繰り広げてくれるのか。

 

 

マチュー・ファンデルポール(アルペシン・フェニックス)

オランダ、26歳

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昨年は15位。北のクラシックならいざ知らず、このレースやリエージュ〜バストーニュ〜リエージュなど、クライマー向けともいうべきレースになるとファンアールトにやや劣ってしまうと言えそうなファンデルポール。

とはいえ、今年は初のツール・ド・フランス出場に向け、例年よりは登りへの意識を高めているはずだ。その成果を見るはずだったUAEツアーは初日で総合リーダージャージを着た直後にチームごと撤退となってしまい残念だったが、その分の気合をこのストラーデビアンケにぶつけられるか。

今年もシクロクロスで3年連続の世界王者を掴み取った直後から、ファンアールトより一足先に足を踏み入れたロードレースシーンで常に活躍。

先述した通りUAEツアーでは初日から(しかもアクチュアルスタート直後から)全力で飛ばしてフィニッシュも先頭で突き抜ける。

その後出場したクールネ〜ブリュッセル〜クールネではあわや逃げ切りかと思えるところまでいき、ギリギリまで逃げていたうえでスプリントに参加しようとしていた。

ル・サミンでもチームメートのティム・メルリエやドリース・デボンらと共に波状攻撃を仕掛け、最後はメルリエのためのアシストを(ハンドルが壊れていたにも関わらず)完璧に成し遂げてこれを勝たせている。

今年も絶好調間違いなし。レースは彼の脚質に完璧に合っているわけではないだろうが、勢いは期待十分だ。 

 

 

ジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ)

フランス、28歳

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2年前の優勝者。その実績だけでなく、今年は開幕からここまでの1ヶ月間の調子もめちゃくちゃいい。

まずはツール・ド・ラ・プロヴァンスでの、エガン・ベルナルと対等に渡り合う登坂力。冷静でクレバーなベルナルの走りとは対極的に、常に攻撃を仕掛け続けるアグレッシブさで、最終日平坦ステージではボーナスタイムを手に入れたうえで総合逆転して2位には浮上することとなった。

続いて出場したオンループ・ヘットニュースブラッドでは世界王者自ら集団を牽引し、囮のアタックを繰り出し、最後はダヴィデ・バッレリーニのスプリントのためのトレイン要員として完璧に働いた。

そんなこんなで十分に足を温めた彼が、今度は彼自身の勝利のために走れるか。

そんな彼を支える最高のアシストは「丘のデクレルク」ことドリス・デヴェナインス。2年前のストラーデビアンケでも、アムステルゴールドレースでも、丘陵〜山岳系レースで常にアラフィリップの傍を護りその勝利を支えているのがこの男である。

もちろんUAEツアー総合3位のジョアン・アルメイダ、オンループ覇者バッレリーニなども心強いが、今回のレースは北のクラシックと違い、アラフィリップが絶対のエースとして君臨することになるだろう。

 

 

バウケ・モレマ(トレック・セガフレード)

オランダ、34歳

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2年前に初出場したときは76位。今回が2回目の出場。実績は全くと言っていいほど、ない。

しかし今年の「前哨戦」トロフェオ・ライグエーリアでは優勝。それも、彼の得意な、優勝候補たちがお見合い状態となった隙をついて、残り15㎞からアタックして独走勝利するという、得意のパターンでの勝利。2019年のイル・ロンバルディアもそのパターンで勝っている。

note.com

 

とにかく一瞬の隙を突いたときの爆発力は凄まじい。今回も残り20㎞を切った後のピンズート、レ・トルフェあたりの動きには注目しておきたい。

ただ、ライグエーリアのときのヴィンツェンツォ・ニバリやジュリオ・チッコーネがいないのは不安要素。一応、ツール・デ・アルプ=マリティーム・エ・ドゥ・ヴァール最終日に大逃げ独走勝利・総合優勝を果たしたジャンルーカ・ブランビッラがエースナンバーをつけて参戦してくれているので、その働きには期待したいところ。

 

 

エガン・ベルナル(イネオス・グレナディアーズ)

コロンビア、24歳

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2019年ツール・ド・フランス覇者。昨年のツールでは背中の痛みのために途中リタイアを喫してしまったが、そこからの復活を遂げた今年のツール・ド・ラ・プロヴァンスでは再びその強さを見せつけていた。

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今年はジロ・デ・イタリアでの総合優勝を目指す。そんな「最強のステージレーサー」の1人ではあるが、実はその走りはめちゃくちゃアグレッシブで、かねてよりワンデーレースに対する意欲も高い。

それはたとえば2018年のイル・ロンバルディア。勝負所ムーロ・ディ・ソルマーノの激坂を終えたあと、集団から先頭のヴィンツェンツォ・ニバリやティボー・ピノらに追い付く姿を見せる。

そのときは最終的に12位に沈むが、翌年はツール・ド・フランスを制したあともこの秋のクラシック最終盤レースまで出場し、なんと3位表彰台を獲得。明らかにクリス・フルームやゲラント・トーマスとは違ったタイプの選手であることを示した。

そして今年も、先のツール・ド・ラ・プロヴァンスだけでなく、たとえば今回のストラーデビアンケ「前哨戦」たるトロフェオ・ライグエーリアで終盤まで集団の中でミケル・ランダらと鎬を削り合い、最終的にモレマに優勝は奪われるものの後続集団の中でのスプリント争いを制し2位を獲得した。

またエトワール・ド・ベセージュの第3ステージでは、まるでストラーデビアンケのような展開の中でミハウ・クフィアトコフスキと共に逃げ、彼のアシストとして働く姿も見せつけた。

今回はもちろん過去2回の優勝者クフィアトコフスキも連れてきているのでともに注目していきたいところである。

 

だが、このイネオスのエースナンバーをつけるのはクフィアトコフスキでもベルナルでもなく、昨年のU23ジロ・デ・イタリア覇者であり、かつシクロクロスにおいても「王者」ファンデルポールを一度下した男、トム・ピドコック。

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先日の「春のクラシック開幕戦」オンループ・ヘットニュースブラッドでも、中盤の強力な逃げ集団の中に加わりジュリアン・アラフィリップが独走を開始したときも牽制しあう集団の中でしっかりと先頭牽引を行う姿を見せるなど、ワールドツアーレースの中でも臆せず走る姿を見せてくれていた。

今回も「まさか」な走りを期待できるかもしれない。

なお、そのオンループの「カペルミュール」で先頭を走ったジャンニ・モスコンも、今年は調子が良さそう。

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ほかにもイタリアのレースでは強力なアシストを見せてくれるサルヴァトーレ・プッチョやパヴェル・シヴァコフなど、強力なライダーを揃えているイネオスの「チーム力」にも期待したい。

 

 

 

その他、注目選手としては昨年ツール・ド・フランス覇者で今年のUAEツアー総合優勝者のタデイ・ポガチャルも、昨年のリエージュ~バストーニュ~リエージュで3位など、ワンデーレースへの適性は十分にある選手。

今年チームDSMに移籍したロマン・バルデも、2018年には2位に入っており、昨年もパリ~ツール7位のほか、ロンド・ファン・フラーンデレンや、今年のオンループ・ヘットニュースブラッドに出場するなど、徹底的にワンデーレースシフトの活動を開始しており、期待できる。

ほか、バイクエクスチェンジからはサイモン・イェーツ、アスタナ・プレミアテックのヤコブ・フルサン、EFエデュケーション・NIPPOのアルベルト・ベッティオル、そしてモビスター・チームのアレハンドロ・バルベルデなど、注目選手は多数。

 

今年のイタリアのワールドツアー開幕戦、果たしてどんな展開が繰り広げられるのか。

 

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