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サイクルロードレース情報発信・コラム・戦術分析のブログ

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2021シーズン 8月主要レース振り返り(後半)

 

ついに始まったブエルタ・ア・エスパーニャ。

しかしその裏側のレースも、クラスは小さいながら、ツール・ド・フランス組など、注目の選手たちが多く出場している。

アレクサンダー・クリストフ、パスカル・アッカーマン、ジュリアン・アラフィリップ、さらには昨年のイル・ロンバルディア直前までの強さを取り戻しつつあると言われるレムコ・エヴェネプール・・・決して見逃してはいけないレースばかりの8月後半のレースを振り返っていく。

「若手の登竜門」の最高峰、ツール・ド・ラヴニールの結果にも注目だ!

 

目次

   

参考:過去の「主要レース振り返り」シリーズ

主要レース振り返り(2018年) カテゴリーの記事一覧 - りんぐすらいど

主要レース振り返り(2019年) カテゴリーの記事一覧 - りんぐすらいど

主要レース振り返り(2020年) カテゴリーの記事一覧 - りんぐすらいど

主要レース振り返り(2021年) カテゴリーの記事一覧 - りんぐすらいど

  

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ツール・ド・ラヴニール(2.Ncup)

ネイションズカップ 開催国:フランス 開催期間:8/13(金)~8/22(日)

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U23版ツール・ド・フランス。若手の登竜門の頂点に立つレースであり、過去にもナイロ・キンタナ、エステバン・チャベス、ミゲルアンヘル・ロペス、マルク・ソレル、ダヴィド・ゴデュ、エガン・ベルナル、そしてタデイ・ポガチャルなど、数多くのトップライダーたちを輩出してきた超重要レース。

昨年は新型コロナウイルスの影響により中止。今年、2年ぶりの開催となった。

ネイションズカップと呼ばれるシリーズ戦の1つであり、チームではなく国ごとの出場(上記表は参考までに所属チームを記載)。注目は今年のU23ジロ・デ・イタリア(ベイビー・ジロ)を制したフアン・アユソー。あるいは今年の年初のサントス・フェスティバル・オブ・サイクリングで活躍したルーク・プラップなど。

しかし今年は荒れに荒れ、第4ステージまでにアユソーもプラップもアンドローニジョカトリ所属のツール・ド・サヴォワ・モンブラン総合3位サンティアゴ・ウンバなどもリタイア。

最終的に残ったメンバーの中で飛び抜けた強さを誇ったのが、今年のベイビー・ジロでアユソーに続く総合2位を記録したトビアスハラン・ヨハンネセン。グラン・コロンビエ山頂フィニッシュの第7ステージ、そしてクロワ・ド・フェール峠を越えてフィニッシュする第8ステージで連勝するなど、圧倒的な強さを見せつけ、第8ステージ終了時点で総合2位カルロス・ロドリゲスに対して2分18秒差をつけて総合優勝は確実と見られていた。

しかし、最終日第9ステージ。コース中盤に標高2,758mの超級イズラン峠を通過し、最後も標高2,156mの超級山岳山頂フィニッシュとなるこのステージで、そのイズラン峠山頂(残り66.6㎞地点)からの下りでロドリゲスがアタック!

追走集団にいる総合3位フィリッポ・ザナ(イタリア)も総合4位ハイス・レームライズ(オランダ)も前を牽こうとせず、総合首位トビアスハラン・ヨハンネセンはアシスト不在の中自らの力だけでロドリゲスを追わざるを得ない状況に追い込まれた。

タイム差は着実に開いていく。残り3㎞の時点で2分10秒差。余裕はもう、8秒しかない。

だが、最後の最後で彼は踏ん張りきり――最後はわずか7秒を守り切り、総合優勝をキープした。

 

ギリギリで勝てはしなかったものの、カルロス・ロドリゲスもこの不可能とも思える逆転劇に見事挑戦してみせた。すでにイネオス・グレナディアーズ2年目、今年も年初のツール・ド・ラ・プロヴァンスで活躍している男として、意地を見せた格好だ。

さて、これで2019年のトビアス・フォスに続き、ノルウェー人が2大会連続でラヴニールを制した。

トビアスハラン・ヨハンネセンは双子の兄弟で第6ステージでも勝利しているアンドレアスハラン・ヨハンネセンと共に来年から3年間、Uno-Xプロサイクリングチームと契約をすでに結んでいる。

総合3位のフィリッポ・ザナは現バルディアーニCSF・ファイザネ所属で昨年・今年とジロ・デ・イタリアに出場し、今年は第18ステージで区間7位に。バルディアーニとの契約は今年までなので、来年はもしかしたらワールドツアーチームに行く可能性も?

総合4位のハイス・レームライズは今年ユンボ・ヴィスマ1年目。まだ大きな戦績は残していないが、こちらも注目の選手だ。

 

フアン・アユソーなどが早期にリタイアしてしまったのは残念だが、それでも今年も今後注目すべき選手たちがしっかりと上位に入る結果となった。

 

第8・第9ステージのレースレポートはこちらから

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ツアー・オブ・ノルウェー(2.Pro)

UCIプロシリーズ 開催国:ノルウェー 開催期間:8/19(木)~8/22(日)

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アークティックレース・オブ・ノルウェーと同じくノルウェーを舞台にしたステージレース。本来は5月頃に開催されるレースだが、今年は新型コロナウイルスの影響によりこの時期に。

純粋なスプリントステージもクライマー向けステージもあまりなく、急坂を含むアップダウンの激しいステージが連続する。

その中でも比較的登りの厳しい第1・第2ステージを制したのはイネオス・グレナディアーズの「スプリンター」イーサン・ヘイター。ただ、すでに今年のヴォルタ・アン・アルガルヴェやブエルタ・ア・アンダルシアの山頂フィニッシュも勝利している彼は、このノルウェーくらいの難易度は最も適したレイアウトなのかもしれない。

第3・第4ステージは同様に登りがスパイスを利かせるものの、第1・第2と比べればピュアスプリンター向け。第3ステージはそんな中、過去総合優勝もしているアレクサンダー・クリストフをスプリントで降して元世界王者マッズ・ピーダスンが勝利。

さらに第4ステージでは総合2位イーデ・スヘリンフによる逆転を諦めたボーラ・ハンスグローエが、最後の石畳のスプリントでトレインを作って東京オリンピックオムニアム金メダリストのマシュー・ウォルスを発射。今年プロ1年目の彼が見事プロ初勝利。実力を見せつけた。

そして東京オリンピックマディソンではウォルスとタッグを組んでいたヘイターが無事総合優勝を達成。今年これで7勝目。そしてキャリア初のステージレース総合優勝となった。

 

各ステージのレースレポートは以下の記事の文末に簡単に掲載しています。

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021 第6ステージ|りんぐすらいど・のーつ|note

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021 第7ステージ|りんぐすらいど・のーつ|note

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021 第8ステージ|りんぐすらいど・のーつ|note

ツール・ド・ラヴニール2021 第9ステージ|りんぐすらいど・のーつ|note

 

 

シマック・レディース・ツアー(2.WWT)

ウィメンズ・ワールドツアー 開催国:オランダ 開催期間:8/24(火)~8/29(日)

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名称は変われど24年の歴史をもつ伝統的なオランダのステージレース。昨年まではブールス・レディース・ツアーと呼ばれていたが、現SDワークスの前スポンサーでもあるブールスがこのレースのスポンサーも降りたことで名称が変更した。シマック(Simac)はオランダのIT企業らしい。

全体的にはオランダらしい起伏のほとんどない平坦基調。ゆえに登りによるタイム差はほとんどつかないため、とくに第2ステージの17㎞個人TTが総合争いに大きな影響を及ぼすと予想された。

実際、この第2ステージでオリンピックTT銀メダリストのマーレン・ローセル(アレ・BTCリュブリャナ)が圧勝し、初日プロローグの分と合わせ総合2位のエレン・ファンダイク(トレック・セガフレード)に12秒、総合3位のシャンタル・ブラーク(SDワークス)に39秒と、平坦基調が続くステージレースにおいてはかなり大きなタイム差をつけることに成功した。

だが、最初の波乱は第3ステージで巻き起こる。この日も集団スプリントが予定されていたが、残り6㎞の地点で、この日の優勝候補の1人であったロレーナ・ウィーベス(チームDSM)が落車。当然、集団のかなり前方にいたことによって大混乱。そこから抜け出せたのはわずか6名だった。

その6名の内訳は、チームDSMが2名と、SDワークスが4名。さらにその4名の中に、39秒差で総合3位のシャンタル・ブラークが含まれていたのだから、落車で足止めを食らったプロトン内のローセルは焦るしかない。

最後は数の有利を活かしたSDワークスの若き才能ローネック・ウネケンがステージ勝利。ローセルはそのフィニッシュからなんとか29秒遅れでフィニッシュし、10秒差でギリギリ総合リーダーを守ることには成功した。

ここで終われれば良かったのだが、さらに翌第4ステージで波乱が巻き起こる。平坦基調の今大会において、それでもわずかながらアップダウンがある程度用意されているのがこの第4・第5ステージ。

その第4ステージのラスト35㎞地点で、10秒差総合2位のシャンタル・ブラークが、カタジナ・ニエウィアドマ(キャニオンスラム・レーシング)マリアンヌ・フォス(ユンボ・ヴィスマ)アノスカ・コスター(ユンボ・ヴィスマ)と共に集団から抜け出すという展開に。

アレ・BTCリュブリャナもエースのために全力で集団牽引を試みるがなかなかタイム差は縮まらず。ローセル自身が牽く段になるとさすがにタイム差も縮まっていくが、それでもブラークらのフィニッシュから21秒遅れで終わってしまった。

これでブラークが逆転総合首位に。ローセルは20秒差の総合2位に転落。

最終日も懸命に立ちまわり最後のスプリントでブラークから3秒を奪うことに成功したものの、彼女にとって初となるステージレースでの総合優勝を成し遂げることはできなかった。

そしてシャンタル・ブラーク。2008年からチームに所属してレースを走る大ベテラン。来年2022年いっぱいをもって引退を決めている彼女にとって、このレースでは5年ぶり2回目の総合優勝。そしてウィメンズ・ワールドツアーのステージレースとしては初の総合優勝となった。

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ところで、同じく大ベテラン、というかもはや生けるレジェンドであるマリアンヌ・フォスは今大会でも計3回のステージ優勝を記録し、プロ勝利記録を238にまで伸ばしている。このレース自体の勝利数も13回にまで伸ばしている。

今シーズンだけでもすでに7勝。本当にとどまることをしらない怪物である。

 

各ステージのレースレポートは以下の記事内にあります(最終ステージのみ無し)

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021 第10ステージ|りんぐすらいど・のーつ|note

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021 第11ステージ|りんぐすらいど・のーつ|note

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021 第12ステージ|りんぐすらいど・のーつ|note

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021 第13ステージ|りんぐすらいど・のーつ|note

ブリュッセル・サイクリングクラシック2021&シマック・レディース・ツアー第4ステージ&ドイツ・ツアー第3ステージ|りんぐすらいど・のーつ|note

 

 

ドイツ・ツアー(2.Pro)

UCIプロシリーズ 開催国:ドイツ 開催期間:8/26(木)~8/29(日)

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一時期、ドーピング問題の影響でロードレース人気が下火になっていたドイツ。その影響を受けて2009年から2017年までの間、長い中断期間を挟むこととなったが、その間にアンドレ・グライペルやジョン・デゲンコルプ、トニー・マルティンやマルセル・キッテルといった名選手たちが活躍する中で再びドイツでの自転車人気も復活。その結実として、2018年からのこのレースも復活した。

昨年は新型コロナウイルスの影響により中止となり2年ぶりの開催となったこのドイツ・ツアー。平坦基調のコースが中心となるステージレースではあるものの、その中で抜け出しからの逃げ切りが決まり、そのタイム差でもって最終的な総合優勝が決まるというパターンが2018年(マテイ・モホリッチ)、2019年(ジャスパー・ストゥイヴェン)と続いた。

そして今年も同じパターンであった。第3ステージの残り8㎞。大集団スプリントになると予想されていた中で、逃げを捕まえたと同時にカウンターで生まれた8名の小集団の中から、残り7㎞でニルス・ポリッツが抜け出した。

ここにディラン・トゥーンス(バーレーン・ヴィクトリアス)も追随するが、最終的にラスト3㎞を切ってポリッツがこのトゥーンスも突き放してフィニッシュ。ボーナスタイム込みでトゥーンスに17秒差をつけてポリッツが総合首位に立った。

だが、そこで終わりではなかった。最終日第4ステージの残り60㎞地点でこのトゥーンスが集団から抜け出してモビスター・チームのマッテオ・ヨルゲンソンと共に逃げに乗る。当然、ボーラ・ハンスグローエはアシストの足を使いながらこれを全力追走し、残り10㎞を切ってからようやくこれを捕まえた。

だが、今度はそこからのカウンターへの対応だった。

残り3.3㎞からマルコ・カノラ(ガスプロム・ルスヴェロ)、残り1.5㎞からイヴ・ランパールト(ドゥクーニンク・クイックステップ)がそれぞれアタックし、すでにアシストの大半を失っているポリッツは自らこれらを捕まえる必要に迫られた。

それでもそのすべてを飲み込み、最後はしっかりと先頭集団でフィニッシュ。

母国ドイツでドイツチームの一員として総合優勝を飾ることとなった。

エーススプリンターのパスカル・アッカーマンも初日1位、2日目2位、3日目4位、最終日2位と好成績を重ね、総合2位&ポイント賞獲得ということで、ボーラにとって大成功となる4日間であった。

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各ステージのレースレポートは以下の記事内にあります(最終ステージのみ無し)

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021 第12ステージ|りんぐすらいど・のーつ|note

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021 第13ステージ|りんぐすらいど・のーつ|note

ブリュッセル・サイクリングクラシック2021&シマック・レディース・ツアー第4ステージ&ドイツ・ツアー第3ステージ|りんぐすらいど・のーつ|note

ブルターニュ・クラシック2021&ドイツ・ツアー第4(最終)ステージ|りんぐすらいど・のーつ|note

 

 

ブリュッセル・サイクリングクラシック(1.Pro)

UCIプロシリーズ 開催国:ベルギー 開催期間:8/28(土)

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レースレポートはこちらから

初開催は1893年と歴史の古い伝統的なセミクラシックレース。2012年まではパリ~ブリュッセルという名で知られていたが、2013年からはベルギー国内でのみ完結する形に。

例年は石畳の登りなども用意されつつも、基本的にはスプリンタータイプの選手たちにチャンスの多いレースであったが、今年は残り60㎞地点に「カペルミュール~ボスベルグ」の定番のセクションを用意するなど、かなり北のクラシックの色が濃くなったレイアウトが用意された。

結果、カペルミュール突入時点でセレクションされた先頭集団にはフィリップ・ジルベールやマルク・ヒルシ、ヴィクトール・カンペナールツといったクラシックハンターたちが並び、その中にレムコ・エヴェネプールの姿もあった。

タイム差は2分近くにまで広がり、この7名の中から勝者が出ることはほぼ確実となった。

 

そして、残り18㎞地点にある交差点で、事件は起きた。

7名中5名が間違った右のルートを選んでしまい、「地元」エヴェネプールとアイメ・デヘントの2人だけが正しい左のルートを選択した。

あとはもう、直前の「ドライフェンクルス・オヴェライス」でも60㎞の独走逃げ切り勝利を果たしているエヴェネプールの独壇場だった。同伴者デヘントも残り11㎞で千切られてしまい、そのまま悠々とエヴェネプールがフィニッシュを果たした。

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ジロ・デ・イタリアではやや悔しい経験を味わったエヴェネプールだったが、先日のポストノルド・デンマークルントでも独走勝利を果たし、ルフェーブルGMから「昨年のイル・ロンバルディア直前までのコンディションに戻ってきている」と太鼓判も押されているエヴェネプール。

フランドル世界選手権での優勝候補の筆頭として、注目すべき存在であることは間違いないだろう。 

 

 

ブルターニュ・クラシック(1.WT)

ワールドツアークラス 開催国:フランス 開催期間:8/29(日)

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レースレポートはこちらから

フランス北西部、大西洋に突き出た半島に位置するブルターニュ地方。フランスで最も自転車熱の高い地域ともされるこの地で開催されているのがこのブルターニュ・クラシック。

北のクラシックのような未舗装路とアルデンヌ・クラシックのような丘陵とが共に出現し、過去の優勝者もアレクサンダー・クリストフやオリヴェル・ナーセン、セップ・ファンマルクにマイケル・マシューズやエリア・ヴィヴィアーニなど幅広い。勝ち方もある程度大きな集団でのスプリントから少数抜け出しでの勝利など予想がつかない。

そんなこのレースの今年の展開は、序盤で生まれた4名の逃げに対し、残り62㎞地点に登場したこの日最初の未舗装路の登り「サウタララン」で優勝候補ジュリアン・アラフィリップとチームメートのミケルフローリヒ・ホノレ、ブノワ・コヌフロワ、そしてツール・ド・フランス覇者タデイ・ポガチャルとが飛び出すというサプライズな展開で幕を開ける。

ポガチャルは間もなく脱落したものの、非常に強力なこの3名が逃げ残りのデマルキを捕まえて先頭に。メイン集団も数を減らしながら懸命に追いかけていったが、最大で40秒程度にまで縮めるのが精一杯であった。

残り22㎞でデマルキも脱落し、先頭はアラフィリップ、ホノレ、コヌフロワの3名。実績的にも、2vs1という状況においても、アラフィリップの圧倒的有利、であったはずなのだが・・・途中ところどころで仕掛けるコヌフロワの加速に、ややアラフィリップの反応が遅く感じる場面が見えてはいた。

そして決定的だったのが残り2.7㎞地点でのアラフィリップのアタック。彼にとっては、ここで勝負を決める腹積もりだったのだろうが、ここでコヌフロワが難なく食らいついてきてしまう。逆にホノレを突き放すだけの結果に終わった。

コヌフロワもここで、アラフィリップが決して本調子ではないことを悟ったのだろう。すぐさまカウンターでアタック。

明確なギャップの生まれるアラフィリップとコヌフロワ。コヌフロワもここでなんとか突き放したいがゆえに、ひたすらダンシングで加速し続ける。

しかし、結局アラフィリップを完全に突き放すまでには至らなかった。

それでも、この時点で力の差は明確であった。

その後、共にペースを落とし、後ろからホノレが合流し、最後はホノレを先頭にしながらホームストレートへ。

ラスト150m。最後尾につけていたアラフィリップがスプリントを開始すると同時に、コヌフロワもアクセルを踏む。

最後はサイドバイサイド。横一線に並びながら、互いに一歩も引かない。

そして最後は——残り30mで、アラフィリップがついに、諦める。

圧倒的劣勢から、実績において天と地ほどの差がある世界王者を相手に、コヌフロワは力で真正面からこれを打ち倒した。

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詳細はこちらから

www.ringsride.work

 

 

グランプリ・ド・プルエー(1.WWT)

ウィメンズ・ワールドツアー 開催国:フランス 開催期間:8/30(月)

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レースレポートはこちらから
男子のブルターニュ・クラシックの翌日、同じブルターニュ半島を舞台にして開催される女子版ブルターニュ・クラシックがこのグランプリ・ド・プルエー。ブルターニュ・クラシック同様、丘陵レイアウトで繰り広げられる、13.68㎞の周回コースを全部で11周する全長150㎞のレースである。

優勝候補は世界王者のアンナ・ファンデルブレッヘン。ただ、絶好調すぎた今シーズンの疲れが溜まってきているのか、終盤にかけて遅れかける姿が目立ち始め、ついに残り2周回に入った直後の最大19%勾配の登り(コート・ド・レゾ)で集団がバラバラになると共に完全に脱落した。

逆に調子が良かったのが、シーズン中盤から調子を落としていたイタリア王者エリーザ・ロンゴボルギーニ。常に先頭で展開し続けていた彼女は、残り10㎞でついに独走を開始した。

あとはもう、誰も止めようがなかった。後続からはフローチェ・マッカイ(チームDSM)、リアヌ・リッパート(チームDSM)、マビ・ガルシア(アレ・BTCリュブリャナ)、ソラヤ・パラディン(リブレーシング)が追いかけるも、タイム差はむしろ広がる一方であった。

そして勝利。東京オリンピックでも銅メダルと調子を取り戻しつつあった彼女が、国内選手権以来2ヵ月ぶりとなる勝利を手に入れた。

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