りんぐすらいど

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リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ2020(YouTube実況プレイ) プレビュー

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Class:ワールドツアー

Country:ベルギー

Region:ワロン地域

First edition:1892年

Editions:106回

Date:4/26(日)

 

アルデンヌ・クラシック3連戦、そして3月頭から2ヶ月間にわたり続いてきた「春のクラシック」のフィナーレを飾るのは、「ラ・ドワイエンヌ(最古参)」の異名をもつ世界最古のクラシックレース。

起伏や登りを多く含むアルデンヌ・クラシックの中でも、とくにその登り・アップダウンの連続が厳しいレースとして知られ、レース全体の総獲得標高は4000mを超えることも。

ゆえに過去の優勝者も、他2つのアルデンヌ・クラシックと比較してもグランツールなどでも活躍するクライマーなどが名を連ねることも多く、それだけ厳しいレースであることがわかる。

世界5大クラシックレースの「モニュメント」の1つでもあり、その勝者にもたらされる栄誉はロンド・ファン・フラーンデレンやパリ〜ルーベにも匹敵する。

 

3月のストラーデビアンケから続く「幻の2020年シーズンレースを実況」シリーズも、このリエージュ〜バストーニュ〜リエージュでひとまずの完結を迎えたいと思う。

やればやるほど、現実のレースを見たかった・・・!という思いに駆られもするが、それが叶わない以上、ぜひこちらの「バーチャルレース」でもって、ほんのわずかでも興奮を感じ取ってもらえると幸い。

 

今回はそんな、春のクラシック最終戦レースの「予習」をしていきたいと思う。

 

↓実際の動画はこちらから↓

youtu.be

 

 

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コースについて

前回のフレッシュ・ワロンヌ同様、今回も2019年のコースを借用する。

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2019年はコースに大きな変革がもたらされた。

28年間使用され続けてきたフィニッシュ地点が、アンスからリエージュに変更されたのである。

 

すなわち、レース名通りのリエージュからバストーニュに至り、再びリエージュに戻ってくるというコースになったのだ。

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この変更により、これまでは終盤の勝負所であったコート・ド・ラ・ロッシュ・オ・フォーコンがゴールまでは15㎞地点に設定された最後の登りとなってしまった。

すなわち、これまでのリエージュ〜バストーニュ〜リエージュではよくあったような、終盤の登りでのアタック合戦、小集団スプリントのような展開ではなく、まるでロンド・ファン・フラーンデレンやパリ〜ルーベのような、ゴール前20〜15㎞地点からのアタックによる独走勝利などの展開が期待される形となった。

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事実、2019年はこの「ゴール前15㎞のラ・ロッシュ・オ・フォー・コン」がレースを大きく動かした。

 

逃げていたティム・ウェレンス、タネル・カンゲルトらを飲みこんだメイン集団の先頭から、ヤコブ・フルサンが鋭いアタックを見せて、これに食らいついていけたのはダヴィデ・フォルモロとマイケル・ウッズの2人だけだった。

ここまで何度となくフルサンを打ち破ってきたジュリアン・アラフィリップは、このとき、集団の真ん中付近に埋没しており、完全にこの登りに適応できずにいた。

 

さらに、「ラ・ロッシュ」の山頂通過直後に現れる、「コースマップには載っていないもう1つのの登り」において、フルサンがさらなる加速を見せ、フォルモロとウッズを突き放す。

そのままフルサンは独走で勝利。

彼にとって初となるモニュメント制覇であり、これまで繰り返し破れてきた最大のライバルに対する最高のリベンジとなった。

Embed from Getty Images

 

今回も、このラ・ロッシュ・オ・フォー・コンで勝負が決まるのか? それとも以前のように小集団スプリントで決まるのか?

 

春のクラシック最終戦。

その栄光を巡る争いにおける注目選手たちを見ていこう。

 

 

 

注目選手

ヤコブ・フルサン(アスタナ・プロチーム)

Embed from Getty Images

昨年優勝者。ストラーデ・ビアンケ、フレッシュ・ワロンヌと常にジュリアン・アラフィリップの後塵を拝していた男が、最後の最後、この最も重要なモニュメントで、完全に力で彼を打ち倒した。

その後の彼は、クリテリウム・ドゥ・ドーフィネで2度目の総合優勝を果たすなど史上最高のコンディションを維持し、クリス・フルーム不在のツール・ド・フランスにおける総合優勝候補の1人としてかなり大きな期待を持たれてはいたものの、そのツール・ド・フランスで序盤から落車、そして第3週でも冒頭から落車に見舞われ、最終的にはバイクを降りることとなってしまった。

 

だがもちろん、そこで止まる男ではない。ブエルタ・ア・エスパーニャではエースのミゲルアンヘル・ロペスのためのアシストをしつつ、自らもステージ優勝を飾る。

そして今年に入ってから最初のレースとなったブエルタ・ア・アンダルシアでは、危なげない走りを披露して昨年に続く総合優勝。

そして彼の今年の最大の目標が4年前は2位に終わったオリンピックにおける金メダルであり、そのためにツールはエースの座をロペスに譲り、彼自身はジロ・デ・イタリアを本気で狙う――はずだった。

 

その思いは新型コロナウイルス問題において露と消え、また栄光のアルデンヌ・クラシックも、現実世界からは消滅してしまったのである。

 

ただし、このゲームの中では、しっかりと強さを見せつけた。ストラーデ・ビアンケ、アムステルゴールドレースなどでは、昨年のようなアラフィリップについていく姿は見せられず、どこか一段劣るような姿を見せていたものの、直近のフレッシュ・ワロンヌでは絶好調。

そのまま、このリエージュ~バストーニュ~リエージュで、王者の座を護り切れるか。

 

「栄光のアルデンヌ・クラシック」は、ゲームの中ではしっかりと息づいている。

もう1勝を、重ねられるか。

 

 

ジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ)

Embed from Getty Images

昨年のリエージュ~バストーニュ~リエージュでは、それまでのアルデンヌにおける圧倒的な強さがすべて霧散してしまったかのように、最後のコート・ド・ラ・ロッシュ・オ・フォー・コンで力なく崩れ落ちてしまっていた。

結果は16位。本当に驚くべきほどの急降下ではあったが、その後、彼はツール・ド・フランスで再び飛躍する――が、このときも最後の最後で崩れるし、直後のクラシカ・サンセバスティアンも出たはいいが早々にリタイアするわで、その前年もそうだけど、何というか、彼の急激する進化・覚醒ぶりに、彼自身がついていけないような印象すら覚える。

その意味で、その「進化」の3年目となる今年は、そろそろ板についてきたんじゃないか――なんて期待はするのだけれど、シーズン序盤の思い通りに調子が上がり切らない期間を過ごしているうちに、コロナ問題でレースが完全中断してしまった。結局、今年のアラフィリップは調子がいいのか?悪いのか? わからずじまいである。

現実世界では。

 

ただし、ゲームの中では相変わらず調子が良い。

調子が良いというか、アグレッシブすぎる。北のクラシックではフィリップ・ジルベールがそんな感じだったけれど、アルデンヌではこのアラフィリップが本当に調子が良い。

ただしそれが勝ちにつながるかというと・・・? 昨年は逃してしまったこの「彼にとっての2つ目のモニュメント」を、なんとかその手に掴み取りたいところ。

 

 

マキシミリアン・シャフマン(ボーラ・ハンスグローエ)

Embed from Getty Images

もはや繰り返し語ってきたので今更ではあるが、ゲーム上でも相変わらず強いシャフマン。前回のフレッシュ・ワロンヌも、昨年の現実のレースと同じ順位で安定感は抜群。

となれば、昨年3位のこのリエージュ~バストーニュ~リエージュも、当然、注目に値するだろう。

 

何しろ、登れて、スプリントもできて、激坂もいけて、独走力もある。まさにアルデンヌ・クラシックのために生まれてきたかのような脚質を持ち合わせ、フィリップ・ジルベールやジュリアン・アラフィリップに並ぶ才能であることは間違いない。 

あとは試合慣れすること。昨年も、集団先頭を取るパワーは間違いなくあったが、(フォルモロをアシストする側に回ったという見方もできるが)適切なタイミングでの抜け出しができずに終わった。

最後のスプリントになれば強いのはわかる。ただ、昨年からのリエージュ~バストーニュ~リエージュは、残り15㎞での動きがすべてを決める。

チャンスをつかむ走りができるか。

 

 

アレハンドロ・バルベルデ(モビスター・チーム)

Embed from Getty Images

かつてのアルデンヌの王は、現実世界の2019年では少し衰えを見せ始めたのか、アムステルゴールドレース66位、フレッシュ・ワロンヌ11位、そしてリエージュ~バストーニュ~リエージュではDNFと、寂しい結果に。

2020年シーズンもここまで勝利なし。得意のマヨルカ・チャレンジでも2位どまり。地元ムルシアのレースでも総合14位、昨年総合2位のUAEツアーも総合12位と、(これまでがこの年齢で異様に成績が良かったというのもあるが)ふるわない。

2021年末の引退も匂わせつつあるこのレジェンドが、5回目のリエージュ勝利を刻み込むのは、正直、厳しいと言わざるをえない。

 

現実世界では。

 

ただ、ゲームの中ではまだまだその力を失ってはいない。

前回のフレッシュ・ワロンヌでは、最後に驚きの走りを見せてくれていた。

 

このリエージュ~バストーニュ~リエージュで、再びその輝きを見せてくれるか。

 

 

タデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ)

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昨年のブエルタ・ア・エスパーニャ総合3位。今年も早速ボルタ・ア・ラ・コムニタ・バレンシアナ総合優勝にUAEツアー総合2位。その意味で、紛れもないステージレーサーであり、総合系ライダーである彼ではあるが、ネオプロ時代の昨年もイツリア・バスクカントリーの登りスプリントでアグレッシブな動きを見せたり、ワンデーレースへの適性も十分にあることを感じさせている。

前回のフレッシュ・ワロンヌでは11位。期待ほどではなかったものの、こういったレースにも十分強いことを感じさせた。

チームには昨年2位のダヴィデ・フォルモロもおり、場合によっては彼のアシストに動くこともありうるだろうが、それでもその活躍を期待したい。

 

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