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2020シーズンを振り返る③ UCI世界ランキング個人20位〜11位全レビュー

 

2020シーズンを振り返るシリーズ第2弾は、こちらも毎年恒例の「ワールドランキング」上位選手紹介。

今年一年で最も活躍した上位20名の選手たちを、「獲得UCIポイント」という基準で選出するという形。

グランツールもクラシックもスプリントも同じ指標の中で測れるという意味では、十分に意義のあるランキングだと思っている。

 

また、自分がまだまだサイクルロードレース初心者だった頃に、影響を強く受けたとあるブログでやっていたUCIランキングベスト50レビューという記事が、選手の特徴を覚えていくうえですごく役に立った。

初心者にこそ見てほしい、それがこのランキングである。

 

ではまず20位~11位を見ていこう。 

※年齢表記はすべて2020/12/31時点のものとなります。

  

  

↓10位~1位はこちら↓

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過去の「UCI世界ランキング」記事

2016年シーズンを振り返る① ~UCIワールドランキング個人ベスト21位~11位全レビュー~ - りんぐすらいど

2016年シーズンを振り返る② ~UCIワールドランキング個人ベスト10位~1位全レビュー~ - りんぐすらいど

2017年シーズンを振り返る② UCIワールドランキング個人21位~11位全レビュー - りんぐすらいど

2017年シーズンを振り返る③ UCIワールドランキング個人10位~1位全レビュー - りんぐすらいど

2018年シーズンを振り返る② UCIワールドランキング個人20位~11位全レビュー - りんぐすらいど

2018年シーズンを振り返る③ UCIワールドランキング個人10位~1位全レビュー - りんぐすらいど

2019年シーズンを振り返る② UCI世界ランキング個人20位~11位全レビュー - りんぐすらいど

2019年シーズンを振り返る③ UCI世界ランキング個人10位~1位全レビュー - りんぐすらいど

 

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第20位 レムコ・エヴェネプール(ドゥクーニンク・クイックステップ)

昨年39位 ベルギー、20歳、オールラウンダー

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昨年の衝撃のプロデビュー。U23カテゴリをすっ飛ばしての、いきなりのワールドツアーデビュー。

そしてクライマーズクラシック最高峰のクラシカ・サンセバスティアンでの優勝。

まさに十数年に1人の逸材。「エディ・メルクスの再来」と騒ぎ立てられるのも無理もない。

↓昨年の活躍については下記の記事を参照↓

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そして今年もまた、いや今年はさらにより一層、期待通りの活躍をしてみせた。

まずは、ジュリアン・アラフィリップが体調不良により早々にリタイアした年始のブエルタ・ア・サンフアンで、何の驚きもない総合優勝。

続くヴォルタ・アン・アルガルヴェでも危なげなく総合優勝を果たし、ブエルタ・ア・ブルゴス、ツール・ド・ポローニュと、今年出場した4つのステージレース全てで総合優勝という偉業を成し遂げた。

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そして今年「5レース目」にあたるイル・ロンバルディアへの出場。

彼にとっての初モニュメントとなるわけだが、すでにして優勝候補筆頭に数え上げられていた。

そして実際に、勝負所マドンナ・デル・ギザッロからムーロ・ディ・ソルマーノにかけての17㎞を、「山岳トラクター」ドリス・デヴェナインスが強力に牽引。

最終的に「壁」の頂上で、勝ち逃げ集団となった7名の中にエヴェネプールは含まれ、アシストがいないとはいえ、十分に勝ちを狙える位置にいた。

 

だが、悲劇はそのあとに巻き起こった。

ソルマーノの壁から続く急勾配でテクニカルな下り。

その前半はエヴェネプールが自ら積極的に前を牽いてペースアップを仕掛けていた。

それはもしかしたら、誰かのラインに入るよりも自分のペースで走れることの方が安全だと考えていたのかもしれない。

実際、時折膨らむ瞬間があるなど、やや、下りに少し覚束なさを感じる走りを見せてはいた。

 

その走りを見かねて、前に出たのが世界最強のダウンヒルスペシャリスト、ヴィンツェンツォ・ニバリ。

バイクカメラすら必死で逃げることに専念しないとならないほどの圧倒的な降下が、このあとの若者の悲劇を招くこととなった。

 

その瞬間、エヴェネプールは、ブレーキをかけていたこともあるのだろうが、すでに6名から少し離されていた。

焦りが、不要なオーバーランを生んでしまったのかもしれない。

 

それでも、コース際ギリギリのラインを取れてはいた。

しかし、不運なことに、そのラインの終端は行き止まりだった。

橋に接続される瞬間の、わずかに狭くなるポイント。

そこに前輪をひっかけたエヴェネプールは空中を一回転し、欄干に一度身体をぶつけてから、 数メートル下の大地に叩きつけられた。

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幸いにも命に別状なく。

シーズンの残り期間をすべて無にすることにはなったが、病室から元気な姿を見せてくれもするなど、来期に向けて気持ちを切り替えることはできているようだ。

 

本来であれば彼にとって初のグランツールとなるジロ・デ・イタリアで、総合優勝候補筆頭として活躍するはずでもあった。

少なくともUCIランキングにおいて、TOP10に入る活躍をしていてもおかしくはなかっただろう。

 

ただ、まずは無事復帰できることがまずは第一。

またその素晴らしい走りを、2021年に見せてくれることが楽しみだ。

 

 

第19位 パスカル・アッカーマン(ボーラ・ハンスグローエ)

昨年8位 ドイツ、26歳、スプリンター

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昨年のジロ・デ・イタリアでマリア・チクラミーノを獲得。名実ともに世界トップクラスのスプリンターへと進化した彼は、今年、思わぬ苦しいシーズンを過ごすことになる。

 

シーズン初戦にあたるマヨルカ・チャレンジで、いずれも若きネオプロ2年目のマッテオ・モスケッティに敗れ2位を2回。

直後のクラシカ・ドゥ・アルメリアやUAEツアーでは優勝するも、シーズン再開後のツール・ド・ポローニュではマッズ・ピーダスンやダヴィデ・バッレリーニといった、決して最強クラスのスプリンターではないと思われていた選手たちにも敗れての2位が2回。

さらには2連覇を狙ったドイツ国内選手権ロードレースでは、まさかのシクロクロッサー、マルセル・マイセンに敗れての2位・・・2位、2位、2位・・・それは彼がやはり安定して強いことを示してもいるのだが、一方で「勝ちきれない」、詰めが甘いことも示している。

 

ティレーノ〜アドリアティコではフェルナンド・ガビリアを相手取り2勝。

調子を取り戻したかのように思えたが直後のビンクバンクツアーでは今度は3位が2回。

いずれも、「早く出過ぎて最後失速する」というパターン。盟友とも言える専属発射台ルディガー・ゼーリッヒは非常に優秀なリードアウターなのだが、今年はどこか噛み合わないところがあった。

 

そんな苦しいシーズンの締めくくりとして迎えたブエルタ・ア・エスパーニャ。

昨年までのチームメートで、ある意味アッカーマンが「追い出した」と言えなくもないサム・ベネットとの直接対決。

その第1幕たる第4ステージは完敗。続く第9ステージも先着されたが、サム・ベネットが斜行判定を下され、降格処分。

今年7回目の「2位」になるかと思われていたアッカーマンが、初のブエルタ勝利を手に入れた。

 

もちろん、まだ先頭でブエルタのフィニッシュラインは越えられていない。

第15ステージでは道中のアップダウンでベネットを振るい落とすことには成功するが、最後のスプリントでフィリプセンに敗れての今度こそ今年7回目の2位。

このまま判定上の1位だけで終わるのか・・・と思っていたところで、迎えた最終ステージ、マドリードで掴み取った、正真正銘の「1位」!

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勝てなかったわけでも全然上位に入れなかったわけでもないが、とにかく「苦しかった」2020シーズン。

その最後を歓喜で終えることのできたアッカーマンは、来年、再び大きく輝くことができるか。

 

 

第18位 ギヨーム・マルタン(コフィディス・ソルシオンクレディ)

昨年45位 フランス、27歳、クライマー

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U23版リエージュ〜バストーニュ〜リエージュで優勝、ツール・ド・ラヴニールでは区間1勝と総合10位。

輝かしき才能をもったフランス人ながら、プロ生活の最初に選んだチームはベルギーのプロコンチネンタルチーム。

ゆえに絶妙にプレッシャーから逃れ、ゆっくりと着実に成績を伸ばしてきた。

 

2017年から毎年出場し続けたツール・ド・フランスでは総合23位→総合21位→総合12位と確実に伸びてきている。

今年はついにフランスのワールドツアーチームへと移籍し、その最初のツールで、中盤まで総合3位を守るなど、印象に残る走りを見せてくれた。

昨年活躍したティボー・ピノが初日の落車によって早々に脱落を見せていたのに対し、このマルタンが新たなフランスの希望の星として大きな期待を寄せられることとなった。

 

残念ながらいくつかの不幸も重なり、第13ステージ以降は失速してしまう。

それでも総合11位と、彼にとって最も良いツール・ド・フランスを過ごすことには成功し、さらに続くブエルタ・ア・エスパーニャでは、ピエールリュック・ペリションのアシストを受けながら見事、山岳賞を獲得。

近年流行の急激な台頭ではなくゆっくりと一歩一歩踏みしめながらではあるが、確実に成長しつつある男がこのマルタンである。

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今後の課題はチーム力。ブエルタではチーム一丸となって彼の山岳賞を守る動きを見せてはくれていたが、総合争いにおいて最終盤で彼を守る役目を果たせる選手がほぼいない。今年はヘスス・エラダがイマイチだったのもあるが。

ワールドツアー2年目として期待された今年の移籍市場も、実にコフィディスらしい選手の獲得には余念がないが、マルタンのアシストとして期待できるのはルーベン・フェルナンデスくらいか。

この流れなら来年のツールはTOP10入りを期待したいところだが、果たして。

 

 

第17位 テイオ・ゲイガンハート(イネオス・グレナディアーズ)

昨年124位 イギリス、25歳、オールラウンダー

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昨年124位という記録、今年の獲得ポイントの大半を占めるジロ。

そんなところからも、今年の彼の飛躍が彼自身も含め誰も想像していなかった事態であることは明白だ。

事実、ジロ・デ・イタリアにおいても、セカンドエースの立場ではあっただろうが、あくまでもエースはゲラント・トーマス。

そのアシストが最大の役割であったはずだ。

 

彼とチームにとって不幸中の幸いだったのは、トーマスの離脱がかなりの序盤であったこと。

ツールのベルナルのように終盤に差し掛かるタイミングであれば、ステージ優勝を狙うしかなくなる。

エトナ終了時点でゲイガンハートは総合24位ではあったが、タイム差で言えばまだ2分半程度。

挽回は十分に可能で、かつ警戒されづらい位置にあった。

 

だから第9ステージではアグレッシブな攻勢に出た。同じくエースを失いセカンドエースとして攻めの姿勢に出ざるを得ないルーカス・ハミルトンと共に。

この日、ジェイ・ヒンドレーからは19秒、ホアン・アルメイダからは30秒以上を奪った。

 

それでもまだ総合17位。その気概は感じても、最終的にTOP10に入りはしても、まさか総合優勝者に名を連ねるとは、この時点でも想像できていた人はそういないのでは?

この状況が完全にひっくり返るのは、第2週最終日のピアンカヴァッロ。

アルメイダを突き放し、ヒンドレーとケルデルマンにも先行して自らの力でステージ優勝を遂げたその瞬間に、彼は一気にその総合順位を4番手にまで押し上げ、そして総合優勝候補として認知されるようになった。

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正直、各チームのエース陣が軒並み離脱もしくは不調に苦しむ中で掴み取った勝利でもあるだろう。

とはいえ彼自身も本命のエースでなかったところから執念でのしあがってきた結果でもある。今年を象徴する勝利であると言える。

 

彼を最初に認知したのは2017年のハンマー・シリーズだった。あのとき、チーム・スカイの優勝を決めた、決死のスプリント。ゲオゲガンハート。

昨年はパヴェル・シヴァコフと共にエース格でツアー・オブ・ジ・アルプスやツール・ド・ポローニュを走り、活躍した。

しかし、トラブル相次いだイネオスのエースとして抜擢されたブエルタ・ア・エスパーニャでは、期待された走りを見せることができず、正直、「ポスト・フルーム&トーマス」という役割を彼が担えるのかに対し、個人的には疑問を覚えてしまうこともあった。

その中での、このジロでの成績。彼を取り巻く世界も大きく変わることだろう。

 

もちろん本当に重要なのはこれからだ。今回の勝利が混乱の中訪れた奇跡のようなものではなく、実力による必然的なものだったのだと証明すべく、さらなる結果を出し続けなければならない。

それは純粋な力だけでなく、精神力との戦いでもある。

 

↓ゲイガンハートについてより詳しく知るために↓

 

 

第16位 フロリアン・セネシャル(ドゥクーニンク・クイックステップ)

昨年101位 フランス、27歳、ルーラー

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エヴェネプール、アルメイダ、アラフィリップ、カヴァニャなどが活躍する中、実はコツコツと成績を重ねていったのがこの、クラシカルスプリンター・セネシャルである。
 8年前にクイックステップのトレーニーだったことはあるが、その後しばらくはプロコンチネンタルチーム時代のコフィディスで走る。

 

決して大きな勝利はないながらも、パリ〜ルーベを10番台でフィニッシュするそのポテンシャルの高さを評価され、2018年からクイックステップへ復帰。

重要な北のクラシックレースには常に帯同し、非ワールドツアーのとくにスプリント主体のレースではエースを任され、クラシカ・ドゥ・アルメリア5位、ドワースドール・ウェストフラーンデレン2位、グラン・ピエモンテ2位、ツール・ド・ユーロメトロポール2位、そしてル・サミン優勝といった結果を積み重ねていった。

 

そして今年は、ブルターニュ・クラシック3位と、ヘント〜ウェヴェルヘム2位。

大きな勝利まではあと一歩。来年、さらに「化ける」セネシャルの姿を我々は見ることになりそうだ。

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第15位 ウィルコ・ケルデルマン(チーム・サンウェブ)

昨年155位 オランダ、29歳、オールラウンダー

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彼もまた、間違いなく高い実力を持ちながらも、あと一歩が届かないことの多い選手であった。

元々はラボバンク〜ベルキン〜ロットNLユンボの系列で活躍し、一時はジロ・デ・イタリア総合7位など、期待されうる結果を出したこともあった。

 

そんな中、2017年にはチーム・サンウェブに。

ツールを獲れる男として台頭しつつあった同国人トム・デュムランの最高のアシストとして期待されての移籍であった。

その年のジロは残念ながら早期リタイアし、デュムランの総合優勝を見届けることはできなかったが、デュムラン不在のブエルタでは終盤まで総合3位を保ちつつ、最後の最後で表彰台を逃す悔しい結末を迎えた。


ある意味、そこがピークだった。2019年はデュムランが怪我で苦しみ、ケルデルマンにチャンスが回ってきた年ではあったが、彼自身もうまく噛み合わず。

数多くいる、実績と実力はあるがグランツール表彰台という壁を越えられないままに終わってしまう選手の1人ーーそんな風になるのではないかと、危惧していた。

 

だが、その懸念を今年、しっかりと塗り替えてくれた。

それも、ジロまでに今年出場したすべてのステージレースで総合TOP10に入るという調子の良さを見せて。

 

正直、総合優勝も狙える位置にいたとは思う。ヒンドレーやゲイガンハートよりもずっと実績はあったのだから。

だがそこで最後の最後で力を失ってしまうのは、ある意味ケルデルマンらしいとも言える。

ただここで彼は一つの大きな壁を乗り越えたのだから、次なる「総合優勝」という壁も、きっと乗り越えられる。

 

来年からはボーラ・ハンスグローエ。同じく良い選手は多いがいずれも表彰台の壁を乗り越えられずにいる選手たちの多いチームだ。

ここでエースとして成功するか否か。来年はその重要なシーズンとなるだろう。

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第14位 マキシミリアン・シャフマン(ボーラ・ハンスグローエ)

昨年27位 ドイツ、26歳、オールラウンダー

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昨年はアルデンヌ・クラシック3連戦すべてでTOP5に入るなど、稀代のパンチャー、という印象が強かったが、今年はなんとパリ〜ニースでの総合優勝。

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イル・ロンバルディア、クライマー向けの世界選手権でも実績を積み上げ、エマヌエル・ブッフマンやパトリック・コンラッドなどと並ぶ、チームの総合エース候補となりうる存在に。

特にそのTT能力の高さは、チームのオールラウンダーの中でも飛び抜けている。2024年までの大型契約更新は、チームからの期待の表れと言えるだろう。

 

もちろん、今年のパリ〜ニースはやや、特殊な状況下でもあり、その結果だけをもって彼が本当にステージレーサーとしてトップ選手たちと互角に渡り合えるかはまだ何とも言えない。

とくに3週間のグランツールとなると。

 

その意味で今年のツール・ド・フランスは良い試金石となりうるものだったが、直前のイル・ロンバルディアでの事故の影響で十分なコンディションでなかったことが悔やまれる。

それでいて積極的に山岳で逃げステージ3位は十分凄いけれど・・・。

 

来年のツールはTTの総距離も長いだけに、期待したい。あるいはアルガルヴェや、イツリア・バスクカントリーのような、TTが重要なステージレースでは総合優勝の可能性が十分にあるだろう。

 

 

第13位 ホアン・アルメイダ(ドゥクーニンク・クイックステップ)

昨年632位 ポルトガル、22歳、オールラウンダー

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誰もが驚く大飛躍。昨年のハーゲンスバーマン・アクセオンがプロコンチネンタルチームだったために正確にはネオプロではないが、それでも昨年の順位が632位だったことを考えれば、飛躍以外の何者でもない。

元々はレムコ・エヴェネプールの右腕ともいうべき存在として期待されていたのだろう。シーズン再開後一発目のブエルタ・ア・ブルゴスではいきなりそのエヴェネプールと並ぶ実力を発揮し、イル・ロンバルディアでエヴェネプールが戦線離脱したあとは、そのリベンジ戦としてのジロ・デッレミリアで2位。

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そしてこれもまたエヴェネプールの代役として出場したジロ・デ・イタリアでは、正直、そこまで期待されていなかったはずだが・・・まさかの、15日間マリア・ローザ着用。

しかもそれを脱いだあとも大きく後退することはなく、最終日TTでも順位を1つ上げ、総合4位の大快挙となった。

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ファウスト・マスナダらチームメートの活躍も目覚ましく、あと数年かかると思われていたクイックステップの「ツール獲り」も、来年あたり突然実現してしまってもおかしくはないんじゃないだろうか?

逆に気になるのはエヴェネプールとのエース争い。エヴェネプールはTTにおいては世界の頂点を獲れるレベルではあるが、アルメイダもそこは悪くないし、パンチャーレベルのスプリント力の存在は逆にアルメイダの強みである。

あとは来年についてはエヴェネプールの怪我からの復活次第で、どちらがエースとして走るかは確言はできなさそうだ。

 

しかし一体、ドゥクーニンクはどうやってこれほどの才能を見つけ出してくるのか・・・。

 

 

第12位 アレクサンドル・ウラソフ(アスタナ・プロチーム)

昨年108位 ロシア、24歳、クライマー

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こちらも急成長を遂げたロシアの新・最強候補。

2018年にベイビー・ジロで総合優勝。ツール・ド・ラヴニールは総合4位。

前年のベイビージロ覇者パヴェル・シヴァコフと並び期待されるも、ガスプロム所属ではそこまで大きなレースに多く出られるわけでもなく、ツアー・オブ・ジ・アルプスでは総合10位に留まる。

もしかしたらそこまで伸びないかもしれない、といった不安な印象を抱いていた中、今年ツール・ド・ラ・プロヴァンス総合2位、ルート・ドクシタニー総合3位、モンヴァントゥ・チャレンジ優勝と絶好調。

そしてイル・ロンバルディアでは、見事な走りでヤコブ・フルサンの2つ目のモニュメント制覇をサポートした。

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ツール・ド・フランスの2日目に体調不良でリタイア。ブエルタ・ア・エスパーニャも序盤はそれを引きずっていたのか大きくタイムを落とすが、その後はログリッチ、カラパス、カーシー、マーティンらトップ選手たちと常に互角に争い、総合11位に。

最初から万全であれば、TOP5も十分に見える走りだった。

 

来年、ミゲルアンヘル・ロペスが抜けるアスタナにとっては、フルサンと並ぶ明確なチームのエース。なのだが、なんだか、イネオスへの移籍という噂も・・・

果たしてどうなるのか、その行方はまだまだわからない。

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第11位 リチャル・カラパス(イネオス・グレナディアーズ)

昨年25位 エクアドル、27歳、クライマー

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昨年のカラパス獲得の報に接した際は一体どうなるんだと困惑した。

フルーム、トーマス、ベルナルのツール総合覇者が3名も揃っているなかにジロ総合覇者を招くなんて、と。

 

だが、蓋を開けてみればその3名が全員、沈没。

結果、ツールではベルナル脱落後に連日積極的な走りを見せ、最終的にはミハウ・クファトコフスと共にステージ勝利。

ブエルタでは単独エースとして、堂々たる走りでログリッチの喉元まで食らい付いてみせた。

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一方でゲイガンハートの台頭などもあり、やはり来年の立ち位置はなかなかに不明確。

ニコラ・ポルタルなき今、イネオスのマネジメント力が問われる。

 

 

↓10位~1位はこちら↓

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