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2020シーズン 2月主要レース振り返り(後編)

 

アンダルシアにアルガルヴェ、ライグエーリアにアルメリア、UAEツアーにオンループ。世界各国でいよいよ本格的にロードレースシーズンが開幕していく中、今年の「強い選手」が少しずつはっきりしてきた。

この半月でも本当にバリエーション豊かな才能が輝いており、一瞬のようでいて濃密な半月。

しっかりと振り返りつつ、この先の「本戦」に向けての予習としていこう。

(記事中の年齢は全て、2020/12/31時点のものとなります) 

 

↓過去の「主要レース振り返り」はこちらから↓

主要レース振り返り(2018年) カテゴリーの記事一覧 - りんぐすらいど

主要レース振り返り(2019年) カテゴリーの記事一覧 - りんぐすらいど

  

 

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ツアー・コロンビア(2.1)

UCIアメリカツアー 1クラス 開催国:コロンビア 開催期間:2/11(火)〜2/16(日)

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3つのスプリントステージはすべてUAEチーム・エミレーツのフアン・モラノが、初日のチームTTと2つの山岳ステージは共にEFプロサイクリングが支配。この2チームによって(そしてコロンビア人たちによって)完全に支配された6日間となった。

アレクサンドル・クリストフ、そしてフェルナンド・ガビリア、最近ではジャスパー・フィリプセンなどのタレントが集まるUAEにおいて、モラノの存在はあくまでもエースという印象はなく、どちらかというとガビリアの発射台という印象だった。

しかし、昨年のツアー・オブ・グアンシーや今年のブエルタ・ア・サンフアンでも、ガビリアが崩れたステージでは彼がチームの先頭でゴールに突き進み、上位に食い込んでいる。昨年のツアー・コロンビアでも、早々にリタイアしたガビリアの代わりにチームに1勝をもたらしている。もはやエースとアシストというよりは、ダブルエースに近いような存在として、ここまでやってきた。

そんな彼が、今回のツアー・コロンビアでは絶対エースとしての出場を許され、その期待に応える見事な3勝を成し遂げた。

ただし、彼自身が述べるように、ここには「最強発射台」マキシミリアーノ・リケーゼの存在がある。今回のコロンビアは、モラノという才能の誕生を象徴するレースであったと共に、リケーゼという男の強さを再確認させるものでもあった。

2年前のツール・ド・フランスでも、ガビリアはこのリケーゼの力を借りてマイヨ・ジョーヌとステージ2勝を勝ち取っている。

www.ringsride.work

 

今年のツール・ド・フランスでも、ガビリアはこの最強リケーゼと共に、絶好調のライバル・ユアンとの熾烈な闘いを演じてくれそうだ。

 

 

そして総合勢では、EFプロサイクリングが絶好調。初日のチームタイムトライアルで大きくタイムを稼いだというのはあるものの、最終的にはセルジオ・イギータ、ダニエル・マルティネス、ヨナタン・カイセドと、いずれもEFプロサイクリングの若手南米勢が表彰台を独占した。

もちろん、ライバルとなる選手たちも強力だった。とくにチーム・イネオスは、昨年のジロ総合優勝者リチャル・カラパスと昨年のツール総合優勝者エガン・ベルナルのダブルエースが見事なコンビネーションを発揮した。

第4ステージでは残り2㎞でまずカラパスがアタックし、EFが先頭で追いかける集団の後方でベルナルが待機。残り300mでカラパスは捕まえられるが、これを追いかけたアラフィリップとイギータと共にベルナルも最終スプリントに挑んだ。

第6ステージでは残り5㎞からカラパスがベルナルのための強力な牽引。残り3㎞でオールアウトしたカラパスに代わってベルナルが一気にアタックを仕掛けた。

しかし、いずれもEFプロサイクリングの3名、とくにイギータとマルティネスは強さを見せつけた。

第4ステージでは元々スプリンターと思われていたほどにスプリント力のあるイギータがベルナルを完全に突き放す。

第6ステージでもベルナルのアタックに3人ともしっかりとついていき、その時点で彼の勝利はなくなってしまった。最後まで前を牽き続けた結果力を失ったベルナルを尻目に、マルティネスとイギータのワンツーフィニッシュを果たした。

Embed from Getty Images

 

最終的に、新コロンビアチャンピオンとしてノリに乗っている「コロンビアのバルベルデ」イギータが総合優勝。

Embed from Getty Images

 

世界最強のコロンビア人の中のさらに最強の名を欲しいままにした。

 

 

ただ、今回のツアー・コロンビア、第4ステージも第6ステージも登りの難易度はさほど高くない。むしろ緩やかな区間も多く、それがスプリント力の高いイギータに有利に働いた面はある。

より厳しく長いグランツールの超級山岳において、同じようにカラパスやベルナルについていけるかどうか。

それがイギータとマルティネスの今後の課題である。

 

ベルナルも決して悪くない。むしろ、この時期はスロースターターなことが多いイネオスのエースとしては珍しく、かなり攻撃的な走りを見せていた。それはカラパスも同様で、2人のこれからのシーズンの走りが楽しみになるような姿だった。

 

1クラスながら毎年見どころたっぷりなこのレース。そろそろクラスも上げて、より盛り上がりを見せていってほしいところだ。

 

 

ブエルタ・ア・ムルシア(2.1)

UCIヨーロッパツアー 1クラス 開催国:スペイン 開催期間:2/14(金)〜2/15(土)

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バレンシアナ州の南、アンダルシア州に隣接するごく小さなムルシア州を舞台とする2日間のミニ・ステージレース。小さい州だが、アレハンドロ・バルベルデやルイスレオン・サンチェスといった偉大な選手を輩出しており、毎年この2名が活躍しているレースである。

だが、今年は幾分か様子が違った。なんと、第1ステージで10名の逃げ切りが決まり・・・しかもタイム差は最終的に17分弱。一体何が・・・主要チームがあらかた逃げに乗せたため、集団で牽引責任の押し付け合いがあったのではとの見方が有力だ。

そんな中、最後の登りフィニッシュを制したのは、昨年のツール・ド・フランスで意外な健闘を見せていたベルギー人パンチャー、ムーリッセ。2日目も先頭集団に残れた彼はそのまま総合優勝を果たす。

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なお、2日目はバルベルデがレース中盤から積極的に勝負を仕掛ける。最終的にはボーラ・ハンスグローエのレナード・ケムナと2人逃げを始めるが、これも最終的には吸収されてしまう。

そして、最後は残り2㎞でサンチェス得意のレイトアタック。強烈な一撃はプロトンを置き去りにして、3年連続となるムルシアの勝利を手に入れた。

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地元出身の2人の英雄による活躍もしっかり見せつつも、ベルギー人の新星による新しい風も吹かせたレースとなった。

 

 

マレーシアン・インターナショナル・クラシックレース(1.1)

UCIアジアツアー 1クラス 開催国:マレーシア 開催期間:2/15(土)

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ツール・ド・ランカウイの大会25周年を記念して初開催されたワンデーレース。ランカウイ最終日の翌日に開催され、出場選手もほぼ同一である。ランカウイ開幕日前日の顔見せクリテリウムも含めると、実に10日間にも及び続いた戦いがここで幕を閉じることとなる。

序盤から激しい展開が続き29名の大規模な逃げ集団が形成。あらゆる有力チームがメンバーを乗せたこの逃げを追走するモチベーションが集団にはなく、大きなギャップがついた上で1周9㎞の短い周回コースに入ると共に、29名以外は皆バイクを下ろされた。

そして、この29名の中に、中根英登・伊藤雅和・増田成幸・鈴木龍の4人の日本人選手も含まれる結果に。残念ながら勝つことはできなかったが、6位に伊藤(UCIポイント40ポイント)、7位に鈴木(同35ポイント)、11位に中根(15ポイント)、12位に増田(10ポイント)が入り、東京オリンピック選考ランキングは以下の通りに。

 

  1. 新城幸也 383
  2. 増田成幸 271.8
  3. 中根英登 220
  4. 石上優大 161.5
  5. 伊藤雅和 153

 

とくに増田と中根との差は今回のランカウイで随分と縮まり、選考における最終戦ツアー・オブ・ジャパンが終わるまで何が起こるか・・まだまだ分からない。

 

なお、レースを勝ったのは、一瞬の隙を突いて終盤で抜け出したルボン。昨年は13勝中8勝をブライアン・コカール、4勝をロレンツォ・マンザンで稼いでいたこのチームにとって、重要な1勝になったと言えるだろう。

  

 

 

ツール・ド・ラ・プロヴァンス(2.Pro)

UCIプロシリーズ 開催国:フランス 開催期間:2/13(木)〜2/16(日)

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その名の通り南仏プロヴァンス周辺を舞台とした歴史の浅いステージレース。

今年はワールドツアー入りを目指し有力選手を掻き集めていたアルケア・サムシックが、その黄金人材をすべて吐き出したかのようなロースターで挑み、見事にステージ2勝と総合優勝を勝ち取った。

とくに第3ステージのクイーンステージであるモン・ヴァントゥー決戦では、2014年なんかに見た「最盛期のキンタナ」ともいうべき飛ぶようなクライムを披露。1994年にマルコ・パンターニが残したヴァントゥー登坂記録を塗り替えたらしく、いかにその勢いが凄まじかったかを物語っている。ブアニも2年ぶり勝利を果たしたサウジ・ツアーに続き早くも2勝目。アルケア全体が調子良い雰囲気を出している。

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そんな中、注目したいのが、第2ステージ終盤(残り2㎞)でアタックしてそのまま逃げ切り、モンヴァントゥステージでも区間4位に入り最終的にも総合2位となったアレクサンドル・ウラソフ。元ガスプロムで、期待されながらワールドツアー入りを果たした彼の開幕戦は最高の状態で終えることができた。モンヴァントゥステージでウラソフと同タイムでゴールしているヒュー・カーシーも、今年のジロ総合での爆発に期待したい若手だ。

昨年は苦しいシーズンを過ごし、一方でデュムランが去ったチームでの総合エースの座を託されているウィルコ・ケルデルマン。第2ステージ集団先頭を取るなど、決して悪くない走りをして最終的には総合5位。

かつてブエルタ・ア・エスパーニャ総合4位にまで登り詰めた男。復活が待たれる。

 

 

トロフェオ・ライグエーリア(1.Pro)

UCIプロシリーズ 開催国:イタリア 開催期間:2/16(日)

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イタリア北西部、フランス国境とアルプスにほど近いリグーリア州で開催される、イタリアの伝統的なシーズン開幕戦。海岸線に張り付いた丘陵地帯のアップダウンが特徴的なパンチャー向けレイアウトで、例年逃げ切りが多く見られるレースである。

毎年の勝負所となる「コッラ・ミケッレ(登坂距離2.1km、平均勾配7.9%)」を含む周回コースに入り、4周するうちの2周目の登りでディエゴ・ローザが抜け出す。そこにギルマイ、ティッツァ、そしてチッコーネがついていった。

4名は後続に30秒近いタイム差を築き上げ、次のコッラ・ミケッレでシャルノフやヴェンドラーメによる追走集団が組織されるものの、彼らが先頭を捕まえることはできなかった。

そして最後のコッラ・ミケッレで、チッコーネが抜け出す。ゴールまでは10㎞。ここを、普段はトレック・セガフレードで走り、昨年はジロ山岳賞を獲得、ツール・ド・フランスでも一度マイヨ・ジョーヌを着たイタリアの次代の英雄が、見事な逃げ切り勝利を決めた。

下馬評通りではあるが、明確な強さを見せつけた瞬間だった。

 

驚くべきは、2位につけたギルマイ。昨年のツール・ド・ラヴニール最終ステージで区間5位をつけた若き確かな才能ではあるが、1月のラ・トロピカーレ・アミッサ・ボンゴでも区間2勝とポイント賞を獲得している。

登りスプリント力に定評のある男だが、今回チッコーネやローザのような一流クライマーについていったことからも、彼が今後を嘱望されるべきクライマーでもあることが証明されたようだ。

さらなる活躍に期待。

 

 

クラシカ・ドゥ・アルメリア(1.Pro)

UCIプロシリーズ 開催国:スペイン 開催期間:2/16(日)

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アンダルシア州東部に位置し、ムルシア州と隣接するアルメリア県で開催されたスプリンター向けのワンデーレース。

スプリンター向けといいつつ、例年横風や登りで一筋縄ではいかない結果になることもままあるレースだが、今年は比較的順当な結果となったようだ。

昨年に続きアッカーマンが連勝。年初のチャレンジ・マヨルカでは若きイタリア人マッテオ・モスケッティに2連敗していただけにその調子に不安もあったが、問題なく今年も大暴れしてくれそうだ。

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上位3名は妥当だが、他にも「プロチーム落ち」したファンポッペルがしっかり4位に入っていたり、アモリー・カピオが相変わらず安定のTOP10入りを果たしていたり、ブエルタ・ア・サンフアンで強さを見せていたルディ・バルビエが今回もしっかりと結果を出していたりと、トップスプリンター以外も注目すべき結果となっている。

このあとアンダルシアの激坂登りスプリントで集団先頭を取ったロバトも9位と悪くなく、元モビスター、NIPPOを経て現在はバスクのプロチームで活躍するこの「元祖激坂ハンター」は密かに応援してるので今後も楽しみだ。

 

 

ブエルタ・ア・アンダルシア(2.Pro)

UCIプロシリーズ 開催国:スペイン 開催期間:2/19(水)〜2/23(日)

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スペイン南端、灼熱のアンダルシア州で開かれる別名「ルタ・デル・ソル(太陽の道)」。スプリンター向けのステージは1つもなく、かといって今年は純粋な山頂フィニッシュもなし。激しいアップダウンと激坂フィニッシュの連続で、実力者たちだけが残る展開に。

最強はヤコブ・フルサン、ミケル・ランダ、そしてジャック・ヘイグだった。かつてはサイモン・イェーツの頼れるアシストというイメージの強かったヘイグが、いよいよ正真正銘のエースへ。今年のブエルタはルーカス・ハミルトンと共にエースを張る予定らしいが、その準備は順調に進んでいるようだ。

また、各チームのアシスト体制を見るうえでも良いレースだった。フルサンのアシストのヨン・イサギレ、ランダのアシストのディラン・トゥーンスとペリョ・ビルバオなど、みんな調子が良い。バーレーン・マクラーレンは、マーク・パドゥンとダミアーノ・カルーゾも良い走りをしていた。

そして、ミッチェルトン・スコットの新たなるアシスト、アンドレイ・ツェイツ。元アスタナのグランツール総合優勝請負人である彼が、カザフスタン人としてはかなり異例のアスタナ抜けを果たし、ミッチェルトンへ。その見事なアシスト力を発揮し、早速、ヘイグにとっての最高のパートナーになってくれた。

今年のグランツールにおける彼の活躍が楽しみだ。

 

その他、意外な走りを見せたロット・スーダルのハーム・ファンフックや、第2ステージで見事なアタックを決めたゴンサロ・セラノなど、全5ステージの詳細は以下のリンクで。

www.ringsride.work

 

 

ヴォルタ・アン・アルガルヴェ(2.Pro)

UCIプロシリーズ 開催国:ポルトガル 開催期間:2/19(水)〜2/23(日)

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ポルトガル南部アルガルヴェ地方で開催される同国最大のステージレース。登坂力だけでなくTT能力の高さも総合優勝に大きく関わるオールラウンダー向けのステージレースで、過去にはゲラント・トーマスやミハウ・クウィアトコウスキ、プリモシュ・ログリッチなどが勝利している。

その意味で今年の優勝候補は圧倒的にエヴェネプールだった。だったが、それでもやはりその強さをまざまざと見せつけられると、やっぱりすごいとしか言いようがない。

とはいえ、登坂力はたとえばまだポガチャルの域には達していない。ライバルたちを完璧に突き放す勢いすら見せることもあるポガチャルは間違いなく世界トップクラスのクライマーだが、エヴェネプールはまだ、トップクライマーたちと競り合うことができる、というレベルではある(もちろん20歳でそれはとんでもなく凄いことではあるのだけれど)。第2ステージは終盤で抜け出したものの最後はマクシミリアン・シャフマンに追いつかれてギリギリ差されそうになっていた。第4ステージはロペス、マーティンに出し抜かれ、先に行かれてしまった。最終日のTTでは圧倒的有利のため、この2人を無理に追う必要がなかったのは確かだけれど。

その意味で、彼はまだ圧倒的ではない。

 

だが、TT能力では圧倒的だった。今回は、本調子ではなかったのかもしれないが、世界選手権で敗れたローハン・デニスへのリベンジを果たした。これで事実上の世界最強タイムトライアリストとなった。

純粋な登坂力ではまだまだベルナルやポガチャルには敵いそうにないが、クラシックも含めた総合力で見ればやはり現役トップクラスなのは間違いない。やはり彼は、エディ・メルクスの真の意味での後継者たりうる存在なのかもしれない。

 

なお、圧倒的ではないとは言ったが、なんだかんだミゲルアンヘル・ロペスやダン・マーティンらを真正面から、力でねじ伏せた第2ステージはやっぱり歴史的な瞬間だったとは思う。昨年はクラシカ・サンセバスティアンで勝ったりしているが、なんだかんだ真正面というよりは、奇襲的な勝ち方だったので・・・。

2つあるスプリントステージでは、ヤコブセンとボルという、2人の期待しかない若手が「順当な驚くべき」勝利を果たした。

 

 

UAEツアー(2.WT)

ワールドツアークラス 開催国:アラブ首長国連邦 開催期間:2/23(日)〜2/29(土)

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平坦ステージとパンチャー向けステージ、山頂フィニッシュとバランス良く配置された良ステージレース。昨年はそこにチームTTもあったのでさらにバランス良かったのが、今年は無くなってちょっと残念。

スプリントステージではサム・ベネットとカレブ・ユアンとフェルナンド・ガビリアとディラン・フルーネウェーヘンとパスカル・アッカーマンという、いないのはエリア・ヴィヴィアーニくらいと言ってもよいくらいの豪華メンバーだったが、その中で最初に勝ったのがアッカーマンだから驚き。言うて、このメンバーの中では一段劣る印象もあったが、そこを一気に突き抜けたのは素晴らしい。今年はジロとブエルタ(ジロはもしかしたらサガンのアシスト)ということだが、ツールに挑んだとしても十分に良い成績を残しそうだ。

なお、サム・ベネットのリードアウターはいつも通りのミケル・モルコフとシェーン・アーチボルド。ただし、ツアー・ダウンアンダーのときとは逆に、今回はアーチボルドが最終発射台。第4ステージはそれで、モルコフの牽きが強すぎてアーチボルドが途中で脱落してしまったようにも見えたので、順番はやっぱりダウンアンダー形式の方が良いのかも?

 

登りではアダム・イェーツが絶好調。そしてそこに食らいつくポガチャル。この男はもう完全に世界で10本の指に入るクライマーになっている気がする。ネオプロ2年目にして。

ここに食らいついたのがダヴィ・ゴデュだったりするので、ツール・ド・ラヴニール出身者の底力を感じる・・・ソレルも頑張れ! ルツェンコも食らいついていく選手で、昨年のツアー・オブ・オマーンも凄かったけど、グランツールレベルでなければこのルツェンコもかなりクライマーとして成長してきていることを感じる。

なお、そんなアダム、ポガチャル、ルツェンコ、ゴデュの4強に次ぐ選手として、第2ステージはラファウ・マイカだったけれども、第4ステージではイルヌール・ザッカリンが!

確かに過去、UAEツアーの前身であるアブダビ・ツアーのジャベルハフィートでは良い成績を出しているザッカリンではあるけれども、こうしてCCCチームとしての初戦で良い走りを見ることができて、安心している。

CCCのほぼ唯一の総合系ライダー。ぜひ、活躍をしてほしい。

 

と、楽しんでいたところで、新型コロナウイルスの感染者がスタッフの中から出てしまったことで、第5ステージを最後に中止が決定。幸いにも総合争いを左右するステージは第5ステージで終了だったため、アダム・イェーツの総合優勝は文句なく決まったものの、やはり何か収まりの悪い終わり方にはなってしまった。

アダムにとっても初めてのワールドツアーステージレースでの総合優勝だっただけに・・・残念。

 

 

オンループ・ヘット・ニュースブラッド(1.WT)

ワールドツアークラス 開催国:ベルギー 開催期間:2/29(土)

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春のクラシックの開幕を告げるレース。2年前からコースが変わり、往年のロンド・ファン・フラーンデレン、すなわち伝説の「カペルミュール」がゴール前16㎞地点に用意されたレイアウトに変更された。

しかし、今年の決定的な動きは、ゴールまでまだ70㎞以上を残したレケルベルグで巻き起こった。セーアン・クラークアナスンやマッテオ・トレンティン、マイク・テウニッセン、イヴ・ランパールトにティム・デクレルク、そしてジャスパー・ストゥイヴェンといった強力な面々が含まれた8名の逃げが形成される。

とくに「トラクター」デクレルクの強力な牽引によって、プロトンとのタイム差は2分を超えて縮まることはない。いよいよ先頭の逃げ切りが確定したところで、最後の勝負所カペルミュールがやってくる。

ランパールトにとって、スプリント力のあるストゥイヴェンやトレンティンはあまりにも危険な存在であった。できればこのカペルミュールで突き放しておきたい。そう考えた彼はこの登りでアクセルを踏み、狙い通り、トレンティンやテウニッセンはここで突き放されていった。

ただ、ストゥイヴェンだけは、食らいついてきた。どころか、ランパールトの前に立って、むしろ率先して先頭で踏んで行った。

この日のストゥイヴェンはあまりにも強過ぎた。

その後、遅れて追いついてきたクラーウアナスンと合わせて3名で最後の平坦路を突き進む。

どうしても小集団スプリントに持ち込みたくないランパールトは、残り2㎞で決死のアタックを仕掛ける。ここで、ストゥイヴェンがクラーウアナスンとお見合いしてくれれば・・・しかし、ストゥイヴェンは一切の迷いなくランパールトに食らいついてきて、しかも逆にカウンターアタックを仕掛けるほどであった。

ランパールトはこのカウンターにもなんとかついていった。しかしもう、スプリントする足は残っていなかった。

最後はストゥイヴェンを前に出させたままホームストレートに。背後のランパールトが腰を上げた瞬間にストゥイヴェンもスプリントを開始し、結局彼に一度も前に出させないまま、ストゥイヴェンは余裕の勝利を成し遂げた。

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2016年にクールネ〜ブリュッセル〜クールネを制し、間もなくクラシックのビッグレースでも次々と勝っていくだろうと思われていた若き才能。

しかしその後は思ったようには勝てず、苦しい時期を過ごし続けてきていた。

今回、彼は「何が何でも勝つ」という思いは捨てていた。その結果、残り70㎞で生まれた逃げにも気負うことなく乗ることができて、最後の勝利に繋がったのである。

「この先も自分が優勝候補筆頭だとは思ってない」と語るストゥイヴェン。

過度なプレッシャーを背負うことなく、自然体で走る彼が、再度の栄光を掴み取っていけるか。

 

ストゥイヴェン以外の様々な選手のコメントから詳細に振り返る記事は以下の通り。

www.ringsride.work

 

 

アルデシュ・クラシック(1.Pro)

UCIプロシリーズ 開催国:フランス 開催期間:2/29(土)

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春のクラシック開幕戦と並行して、南フランスではパリ〜ニースやアルデンヌ・クラシックに向けての前哨戦となる山岳・丘陵ワンデーが2日間連続で開催される。

その1日目はアルデシュ県で開催されるアルデシュ・クラシック。標高400〜600mの丘陵地帯を常に登るか下るかしながら駆け巡り、最後はゴール前2㎞に登坂距離1.4㎞、平均勾配11%弱点の激坂を登らされる。

そんなアルデシュ・クラシックで今年勝ったのは、ドゥクーニンク・クイックステップのレミ・カヴァニャ。

昨年もツアー・オブ・カリフォルニアやブエルタ・ア・エスパーニャにて逃げ切り勝利を果たしているチーム随一の「逃げ屋」は、この日も早期に形成された逃げに乗った上で、残り50㎞地点で早くも独創を開始する。

プロトンでもヴィンツェンツォ・ニバリらが追走の構えを見せるもそのギャップを埋めることはできず、結局メイン集団から3分近いタイム差でもって逃げ切り勝利を成功させた。

 

これからもこの男はチームで最も信頼できる逃げ屋として活躍しそうだ。

そしてやがて、アラフィリップが本気でツール・ド・フランスの狙うときには、その最も信頼する山岳アシストになってくれることを願う。

 

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