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ブエルタ・ア・ブルゴス2020 プレビュー

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Class:UCIプロシリーズ

Country:スペイン

Region:ブルゴス県

First edition:1946年

Editions:42回

Date:7/28(火)〜8/1(土)

 

スペイン北部、バスク地方とも隣接するカスティーリャ・イ・レオン州のブルゴス県を舞台にして開催される5日間のステージレース。

例年であれば同じスペインで開催されるブエルタ・ア・エスパーニャの前哨戦の1つとして扱われ、過去にもナイロ・キンタナ、アルベルト・コンタドール、ミケル・ランダ、昨年・一昨年はイバン・ソーサと、スペイン語圏を中心にトップライダーたちが総合優勝者に名を連ねている。

 

そんなブルゴスも、今年は少しその与えられた意味合いが異なっている。

いつものブエルタ前哨戦というキャラクターがなくなった代わりに、新型コロナウイルスによる2020年シーズン長期中断後における最初の本格的なレースということで、その注目度は例年の比ではない。

出場チームも23チーム中、15チームがワールドツアーチームという豪華なラインナップ*1。しかも、その顔ぶれもレムコ・エヴェネプールやサム・ベネット、アルノー・デマールにマスソレルバルベルデなど、大物選手勢揃いといったところである。

 

今回は、そんな大注目の2020年シーズン「開幕戦」を徹底的にプレビューしていきたい。

 

 

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コースプレビュー

第1ステージ ブルゴス〜ブルゴス 157㎞(丘陵)

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世界遺産のブルゴス大聖堂近くから出発したプロトンは街を北上し、反時計回りに大きなループを描いて、最後は再びブルゴスの街へ。

残り14㎞地点で一度フィニッシュ地点となる3級山岳エル・カスティーヨを登り、ブルゴス市街地を1周したあと再びこのカスティーヨ「山頂フィニッシュ」に辿り着く。

登坂距離900m、平均勾配6.1%。登り始めの170mの勾配は10%を超え、石畳区間も存在するこのパンチ力ある登りは、例年の開幕ステージの定番フィニッシュとして、これまで登れるスプリンターやパンチャー、ときにクライマーたちに勝利をもたらしてきた。

昨年はジャコモ・ニッツォーロが驚きの勝利を遂げ、バスクの若き激坂ハンター、アレックス・アランブルが2番手につけた。

同年の第4ステージで勝利し、ポイント賞も獲得し、その直後のブエルタ・ア・エスパーニャでも2度の2位を掴み取っている才能溢れる24歳は、今年はアスタナ・プロチームの一員としてこのブルゴスに参戦する。

アスタナは同じく新加入のオスカル・ロドリゲスが昨年のブルゴス総合2位。今年のブルゴスは、このアスタナの新人たちが暴れ回りそうだ。

もちろん、昨年はニッツォーロが勝利したこの登りで、昨年のブエルタを席巻したサム・ベネットが勝利を掴めない理由など何一つない。

 

 

第2ステージ カストロへリス〜ビジャディエゴ 168㎞(平坦)

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スペインらしい多少のアップダウンはあるものの、基本的にはピュアスプリンターズステージ。

サム・ベネット、アルノー・デマール、ジャコモ・ニッツォーロ、フェルナンド・ガビリアなど、各チームのトップスプリンターたちが集結するこの豪華な戦いの第一幕が繰り広げられる。

ゴール直前500mの直角右カーブの存在には注意。トレインによる支配力と、ポジションを引き上げる「運び屋」的リードアウターの存在が鍵となる。前者はドゥクーニンクが、後者はFDJのグアルニエーリに注目だ(本当はティモ・ローセンが後者のスペシャリストだが、肝心のエーススプリンターをユンボが連れてきていないので・・・)。

 

 

第3ステージ サルヘンテス・デ・ラ・ロラ〜ピコン・ブランコ 150㎞(山岳)

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4年連続となる超級ピコン・ブランコ山頂フィニッシュ。2017年はミケル・ランダを、そして2018年・2019年はイバンラミーロ・ソーサを勝たせ、いずれも総合優勝をもたらしたステージである。

登坂距離7.8㎞、平均勾配9.3%、ゴール直前に最大勾配の15%が控える。

いわゆるグランツールの超級山岳ほどではないものの、十分に厳しい登りであり、シーズンの再開後のトップクライマーたちの足慣らし、そして1ヶ月後のツール・ド・フランスに向けての足試しにはもってこいのステージとなるだろう。

 

 

第4ステージ グミエル・デ・イサン〜ロア・デ・ドゥエロ 163㎞(平坦)

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標高800mから1000mの間という高原地帯で繰り広げられる、ほぼオールフラットなスプリンターズステージ。ゴール前1㎞にちょっとした登りがあるようだが、大きな影響を及ぼすことはないだろう。

またもサム・ベネットやデマール、ニッツォーロ、ガビリアなどによる頂上決戦が繰り広げやれそう。もちろん、イレギュラーなシーズン再開後の最初のレースだけに、予想のつかない勝者が生まれる可能性も?

 

 

第5ステージ コバルビアス〜ラグナス・デ・ネイラ 158㎞(山岳)

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超級山岳ラグナス・デ・ネイラのフィニッシュの難易度は、第3ステージのピコン・ブランコ以上。今大会のクイーンステージであり、直近2年もイバンラミーロ・ソーサを勝たせた重要なステージである。

とくに2018年の、ミゲルアンヘル・ロペス(前年の同ステージでの勝者)と当時アンドローニジョカトリ所属だったソーサとの激戦は名勝負の一言。ソーサという、ベルナルに続く才能の輝きを印象付けたレースであった。

今回も、第3ステージですでに大勢は決しているかもしれないが、それでも今年の今後を予感させるうえではかなり重要なステージとなるのは間違いないだろう。

 

超級ラグナス・デ・ネイロのプロフィールは登坂距離11.8㎞、平均勾配5.6%。ただしラスト3㎞にその厳しさは凝縮されており、1㎞ごとの平均勾配は9.6%、8.2%、11%となっている、

終始アップダウンの激しいレイアウトではあるものの、基本的には最後の登り一発勝負といった印象。果たして、今期再開後の最初の「最強クライマー」の座は誰の手に?

 

 

注目チームプレビュー

参考:https://www.procyclingstats.com/race/vuelta-a-burgos/2020/startlist

 

ドゥクーニンク・クイックステップ (DQT)

まずは昨年のブエルタ・ア・エスパーニャでも大暴れした「今年最強」候補のサム・ベネットにミケル・モルコフ、シェーン・アーチボルド、イヴ・ランパールトの最強スプリンターズ布陣。今大会2つあるスプリントステージ(第2・第4ステージ)はもちろん、昨年もニッツォーロが勝っている第1ステージの登りレイアウトでも勝ててしまいそうだ。

そして総合では20歳のレムコ・エヴェネプールに注目。すでに今年、ブエルタ・ア・サンフアンとヴォルタ・アン・アルガルヴェで総合優勝しているこの若き才能が今大会の優勝候補にならないわけがない。

アシストは21歳のジョアン・アルメイダと同じく21歳のアンドレア・バジョーリ。いずれも今年からワールドツアーの選手ということでかなり若い布陣ではあるものの、共に才能溢れる存在であることは間違いない。

「育成」しながらさらっと勝っちゃう・・・そんな絵すら見える楽しみなロースターである。

Embed from Getty Images

 

 

グルパマFDJ(GFC)

まずもってスプリンターズチームのアルノー・デマール、ラモン・シンケルダム、ヤコポ・グアルニエーリ、イグナタス・コノヴァロヴァスの「デマール班」が充実の布陣。平坦牽引としてはマイルス・スコットソンが役割を引き受けており、これはツールというよりはジロ・デ・イタリアなどに向けた準備といえるだろう。デマールもベネット同様第1ステージから勝てる見込みのある選手だ。

結果、ダヴィ・ゴデュにはロマン・セイグルしかアシストを与えられない形となっているが、それでもゴデュならある程度の結果を出してくれそうな思いはある。

ピノに続くチームのセカンドエースとしての期待を寄せられているゴデュ。来年はグランツールの単独エースの可能性もあるだけに、この辺りでしっかり結果を出しておきたい。

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モビスター・チーム(MOV)

本来のシーズン当初の構想と異なり、新カレンダー下におけるツール・ド・フランスではマルク・ソレルがメンバーから外れることになったわけだが、このブルゴスでは幻の「トリプルエース」が実現している。

すなわち、アレハンドロ・バルベルデ、エンリク・マス、そしてマルク・ソレルである。

果たしてこれが成功するのか、それとも。

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UAEチーム・エミレーツ(UAD)

まずは「復活」の待たれるフェルナンド・ガビリア。今年は盟友マキシミリアーノ・リケーゼが加入し、リケーゼ&フアン・モラノ&ガビリアの最強トリオを形成してジロに挑む。その前哨戦がこのブルゴスだ。。

一方の総合はファビオ・アルとダビ・デラクルスのコンビ。ツール・ブエルタ組で、とくにブエルタにおける主導権を占ううえで今回のブルゴスは意外と重要そう。

果たしてアルの復活はあるのか? そしてデラクルスも、クイックステップ時代の総合系への可能性を今年、再び灯らせることができるのか?

21歳のネオプロコロンビア人アンドレスカミーリョ・アルディラのアシスト力がいかほどのものなのかも密かな期待である。

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ミッチェルトン・スコット(MTS)

今年ジロ・デ・イタリアへの「2度目のリベンジ」を狙うサイモン・イェーツ。そのジロ行きを決めている最強アシストのジャック・ヘイグとルーカス・ハミルトンを引き連れて、今年の「開幕戦」に挑む。ヘイグとハミルトンは今年、ブエルタでのエース格出場も噂されていた。だが、コロナの混乱を経てとりあえず今年は、サイモンのために走ることになりそうだ。今度こそ成功を!

エステバン・チャベスとミケル・ニエベはツール出場を予定しており、このブルゴスには出場しないアダム・イェーツをアシスト予定。場合によってはステージ優勝も狙うことになるだろう2人にとっても、今回のブルゴスでの走りは重要なウォーミングアップになりそう。

ほかには平坦役のエドモンドソンとユールイェンセンで、ゴリゴリの山岳ロースター。

Embed from Getty Images

 

 

チーム・イネオス(INS)

昨年ジロ覇者のリチャル・カラパスと直近2年のブルゴス覇者ソーサの走りに大注目。ともにジロのエースを務める予定なので、そのコンビネーションにも期待だ。

その他、エディ・ダンバーや19歳のネオプロスペイン人カルロス・ロドリゲスなど若手の活躍にも期待したい。インディヴィジュアル・パーシュート世界王者(3年連続)で4㎞IP世界記録保持者でもあるフィリッポ・ガンナも、今回は個人TTはないものの、トニー・マルティンやヴァシル・キリエンカのような働きを期待できる存在になるかもしれず、その走りに注目だ。

 

 

アスタナ・プロチーム(AST)

チームの中心的存在であるミゲルアンヘル・ロペスやヤコブ・フルサンなどは登場しないものの、昨年もこのブルゴスで活躍していた新加入のアレックス・アランブル(昨年ポイント賞)、オスカル・ロドリゲス(昨年総合2位)などがメンバー入りしており、期待大。

とはいえ、昨年とは比べものにならないくらいに豪華なメンバーが集まる今年のブルゴス。果たして、どこまで活躍できるか。

 

 

その他注目チーム

アルケア・サムシック・・・キンタナ! ブアニ!

NIPPOデルコ・ワンプロヴァンス・・・中根!!  あと今年トロピカーレ・アミッサ・ボンゴ2勝やトロフェオ・ライグエーリア2位など今後への大きな期待を膨らませている20歳エリトリア人ビニヤム・ギルマイに大注目。ミナーリも頑張れ。

ガスプロム・ルスヴェロ・・・(ダミアーノの方の)チーマ! カノラ! チェルネトスキーは過去のブルゴスでも実績あり。

カハルラル・セグロスRGA・・・ブエルタ・ア・エスパーニャ常連の強豪スペインプロチーム。ヨナタン・ラストラやゴンサロ・セラーノに、スペイン北部レースに強いジョン・アベラストゥリにも注目。

エウスカルテル・エウスカディ・・・エウスカディ・バスクカントリーが昨年末をもって解散となり、そのメンバーも多く集まったこの元コンチネンタルチームが今年はプロチームに昇格。しかも、かつての「エウスカルテル」の名前を再び提げて! ファンホセ・ロバトやルーベン・フェルナンデスら元ワールドツアー選手に、ミケル・アリスティやミケル・ビスカラなど実力あるスペイン人選手たちの走りに注目だ。

 

 

とにかく豪華な「シーズン開幕戦」。

日本では中継を見る手段はなさそうだが、Twitterなどを駆使しながら、情報を集めていきたいと思う。 

 

なお、すでに1クラスのレースなんかは順次開催されており、ルーマニアで開催されているシビウ・ツアーでは早速ボーラ・ハンスグローエのサム・ベネットが勝ったりグレゴール・ミュールベルガーが勝ったりと暴れまわっている様子。

来週末はいよいよワールドツアーレース再開第一弾ストラーデビアンケも待ち構えており、本格的なレース再開間近で興奮が止まらない。

 

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*1:参考までに、昨年は出場18チーム中ワールドツアーチームは4チーム、一昨年も出場15チーム中ワールドツアーチームが4チームとなっている。

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