りんぐすらいど

サイクルロードレース情報発信・コラム・戦術分析のブログ

スポンサーリンク

2019年はデヘントが3つのグランツール全てに出場⁉ ジョークから生まれた挑戦とその意義

Embed from Getty Images

 

スペイン・マヨルカ島で行われているロット・スーダルのキャンプで、トーマス・デヘントが、かつて自らが告げたジョークが現実のものとなりつつあると語った。

 

www.cyclingnews.com

 

「実際、それはジョークのつもりだった。3つのグランツール全てに出たい、と(スポーツディレクターの)マリオ・アールツに告げたら、彼はそれを書き留め始めたんだ。それからそれは、僕の2019年のプログラムの一部となった」

 

 

事の発端 

発端は、11月8日に彼がTwitter上に書いた以下のツイートである。blockquote class="twitter-tweet"><p lang="en" dir="ltr">I’m taking a look at my program for next year. Which GT’s should i include?</p>&mdash; Thomas De Gendt (@DeGendtThomas) <a href="https://twitter.com/DeGendtThomas/status/1060449367369375744?ref_src=twsrc%5Etfw">November 8, 2018</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script>

 

 

「僕の来年のプログラムについて、どのグランツールに僕は出るべきだと思う?」

 

その選択肢の最後に「ジロ、ツール、ブエルタ」なんて選択肢を入れれば、世界のデヘントファンの皆さんはそりゃ、それに投稿したくなるのも無理はない。

 

この結果を受けてデヘントも前向きに回答する。

 

 

「それじゃあ、きっと僕は3つ全てに挑戦することになるだろうね」

 

それがついに実現することになりそうだ。

 

 

デヘント自身の意図

上記の記事では、この3大グランツール全てにデヘントが出場することに関して、彼自身の意図と意義についても書かれている。

 

「ここ数年、僕はツールとブエルタに出場し続けてきた。そこにもう1つ追加されたところで、そこまで変らないんじゃないかと思っている。5月はいつもトレーニングキャンプに行っているんだけど、今回はそこにもう1つグランツールを加えることになりそうだね。

 ここ最近のシーズンでは、シーズン中2度目に出場したグランツールの方が好調な傾向にある。過去を振り返ってみても、ブエルタの方がツールの方がより良い結果を出していたり、ね。

 だから来年は、僕はツールに全力を尽くしたいと思っている」

 

だから、来年はツールからではなく、ジロから出場することに大きな意義を持っている、と本人は語るのである。

しかし、そこから「もう1つグランツールを増やしても変わらないだろう」と言ってのけるのは、さすが鉄人ハンセンと長く一緒に走ってきた男ならでは、年間1000km以上をエスケープし続ける男ならではの言葉である。

 

実際、デヘントは単に「逃げが得意」というだけでなく、その回復力の高さが尋常ではない、というところに特長があるようだ。

逃げ切り勝利を果たした今年のツール・ド・ロマンディにおける、DAZN解説の宮澤崇史による解説でもその点が言及されており、以下のブログ記事に詳しい。

zatsukan.ltd

 

 

もう1つの理由

また、デヘントが3つのグランツール全てに出場することに決めたのには「もう1つの理由がある」と最初の記事では語られている。

 

"ロット・スーダルはステージレース部門にはあまり重点を置いておらず、予算を若いライダーたち、クラシック、そしてカレブ・ユワンのためのスプリントトレインに集中することに決めました。デヘントの豊富な経験や高い能力は、チームにおける彼の責任や期待をより大きなものとしております。"

 

「僕は僕たちのチームがグランツールに相応しい選手をそれほど多くは抱えていないと感じている。若い選手も多いので、きっと、グランツールのためのベストな8名を揃えることも簡単じゃないだろう。僕ならばジロとツールで何かしらの結果を出すことができる。ブエルタは3つの中じゃそんなにハードなものじゃないしね」

Embed from Getty Images

 

また彼は、カレブ・ユワンのためのスプリントトレインを形成することに対しても前向きな姿勢でいる。

 

「もしカレブがジロに行くなら、そのとき僕は彼のスプリントのために働こう。それは僕がアンドレ・グライペルに対してやってきたのと変わらない。それで、それ以外のステージでは、僕は僕自身のために走るよ」

 

 

2019年のスケジュールについて

ただのジョークから始まったはずの彼の野望は、今やチームにとっても大きな意義をもった重要な試みとして明確にプログラムされている。

 

しかし、そのためのスケジュールで、例年のように勝利する機会が失われたり、さすがに体力が続かなくて積極的な逃げが見られない、ということにはならないのだろうか。

 

「来年はグランツールがもう1つ加わることになるので、ドーフィネとパイスバスコ(イツリア・バスクカントリー)はスキップすることになるだろう。ジロでは、逃げに最適な素敵なステージが沢山ある。だから、勝利数自体は例年とそれほど変わらないだろう。ブエルタはすごくリラックスできるレースで、僕のお気に入りだしね」

「もちろん、それぞれのグランツールが始まるときに疲れが残っている可能性はあるだろう。でも、ジロとツールの間に1か月間、ツールとブエルタの間には約1週間が空いている。そういうレースであれば大体僕は1週間もあれば、もう1度パワーを取り戻すには十分なんだ」

 

実に頼もしい言葉である。

是非ともデヘントには、1年間で3大グランツール全てでの逃げ切り勝利、という伝説に残る偉業にもチャレンジして頂きたいところ。

 

2019年もこの、偉大なる「エスケープ王」に注目し続けよう。

Embed from Getty Images

スポンサーリンク