前日のゴール地点リエージュを出発し、ルクセンブルクを経由してフランスのルクセンブルク国境沿いの街ロンウィに到達する212.5kmのロングステージ。
アルデンヌ・クラシックの舞台も近く、非常にアップダウンの激しいコースプロフィールとなっている。
こういったステージのお約束として、逃げも人数が多め。
最初に飛び出したのはニルス・ポリッツ(カチューシャ・アルペシン)、ロマン・シカール(ディレクトエネルジー)、ネイサン・ブラウン(キャノンデール・ドラパック)、フレデリック・バッカールト(ワンティ・グループゴベール)、ロマン・アルディ(フォルテュネオ・オスカロ)、そしてアダム・ハンセン(ロット・スーダル)の6名。
さらに残り60kmを過ぎた頃に、プロトンから追加の3名が飛び出す。リリアン・カルメジャーヌ(ディレクトエネルジー)、ピエールリュック・ペリコン(フォルテュネオ・オスカロ)、そしてトーマス・デヘント(ロット・スーダル)。
実力で言えばデヘントが頭一つ抜けているような印象もあったが、残り22kmの、カテゴリのない登り区間。平均勾配5%くらいあるのかな?そんな区間をおそらく時速40km以上のハイスピードでカルメジャーヌが牽引し、これについていけなかったデヘントとアルディが遅れていく。
その後、最後に残ったペリコンも突き放して、カルメジャーヌはたった1人で、残り10km地点まで逃げ続け、敢闘賞を獲得した。
昨年ブエルタで1勝し、今年既に区間3勝、総合優勝3勝と、パリ~ニース山岳賞を獲得している24歳の若き才能である。
このツールでヴォクレールが引退し、コカールもチームを離れるとのことだが、ディレクトエネルジーにおける新たな時代のエースとして、今後の活躍が期待できる。
ちなみに山岳賞は、途中の3級山岳の先頭通過を果たしたネイサン・ブラウンが、チームメートのタイラー・フィニーから受け継ぐ形で獲得。
25歳のアメリカ人クライマー。独走力も高くオールラウンダーの素質もあり、昨年のジロは総合48位と悪くない、こちらも有望な選手の1人である。
さて、今日のフィニッシュ地点は注目の登りスプリント。
途中勾配11%の激坂部分もあり、登れるスプリンターが有利なのか、それともフレッシュ・ワロンヌなどを制するクライマー・パンチャー系が有利なのか・・・判断が難しいレイアウトとなった。
残り2kmを過ぎて登りに入ったとき、最初に主導権を握ったのは優勝候補ヴァンアーヴェルマートを含んだBMC。
しかし、ヴァンアーヴェルマートはかなり早い段階で先頭に出て、むしろエースのリッチー・ポートをアシストする役回りに。たしかに、ポートが得意とするウィランガ・ヒルのように、短くて厳しい登りであることは間違いない。
事実、ポートが途中、飛び出すシーンも見られたが、これにすかさず飛びついたのが・・・コンタドールか? その後ろにおそらくマイカ、そしてサガンが続いた。
残り360mを切ったところで、サガンが先頭に。予定以上に早く前に出てしまったらしいサガンはここで、後ろを振り返りながら様子見。
ヴァンアーヴェルマートが加速したのを見て再びペダルを踏みこもうとするが、そこでなんとクリートが外れる!
だがそのあとのサガンも冷静だった。1秒も立たずクリートを嵌めなおし、再び加速。
後方から猛烈な勢いで追い上げを見せたダン・マーティン、そしてマイケル・マシューズに追い抜かれることなく、そのまま勝利を掴んだのである。
「サガン・キラー」ヴァンアーヴェルマートも、ポートのアシストという仕事もこなさなくてはならなかった今日は、さすがに勝ち目が薄かったようだ。
2年前にサガンを倒したロデズの登りゴール(第14ステージ)で、リベンジを果たしたいところ。
いやあ、やっぱり強い、サガン。
常に我々の想像を超える勝ち方をしてくれる。今年は果たして、何勝するのか。