りんぐすらいど

サイクルロードレース情報発信・コラム・戦術分析のブログ

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ツール・ド・フランス2017 第2ステージ

本日はJsports「フランスワインを飲みながらツール・ド・フランスを楽しもう」イベントに参加。20時まで現地で視聴していました。

 

注目のファーストアタック。プロコンチネンタルチームの選手が飛び出し、集団が即座に容認する、というお決まりのパターンに今年もなるだろうと考え、パレード・ランの最中に前方に出てくる選手に注目する。

マイヨ・ジョーヌを着るトーマス、マイヨ・ビアンカを切るステファン・クーン、マイヨ・ヴェールを繰り下がりで着用するヴァシル・キリエンカなどと並んで、ロット・スーダルの面々や、ワンティ・グループゴベールの選手が前に出てきてやる気を見せる。ロット・スーダルはさすがにグライペルの発射台などもあるので、飛び出しはしないだろうが、ワンティはまず間違いなくアタックするつもりだろう。

スタート前、並ぶトーマス、キリエンカ、そしてマイヨ・ブラン・・・ではなく、通常ジャージのフルーム。キリエンカの緑ジャージ姿は貴重である。

 

テープカットの後、再びパレード・ランが開始され、いよいよリアルスタート。飛び出したのは・・・フォルテュネオ・オスカロ、ディレクトエネルジー、キャノンデール・ドラパックの選手たち・・・あれ? ワンティは?

 

直後、蓋をされてしまったプロトンから、慌てて追走を仕掛けたワンティの選手が1名。よかった。なんとか無事、乗ることができた。公式プログラムでも毎日のように逃げに乗りたいといっていたワンティ。逃げに乗ることが最も重要な仕事であるだろう彼らにとって、この初日から逃げに乗れないというわけにはいかないだろう。

 

ともかくも、この4名で逃げ確定。

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オフレドは元FDJ。フィニーは元アメリカTTチャンピオンで昨日の第1ステージも12位と悪くない結果であった。 

 逃げに乗った4名。先頭からオフレド、ブダ、フィニー、ピション。

 

スタートから6.5km地点に最初の山岳ポイント。

ルーラータイプのフィニーやブダよりも、体重が軽く、パンチャータイプのオフレドやピションが有利かなと思ってみていたが、この山岳争いを制したのはフィニーだった。やはりここは、実績の差といったところか。緒戦は4級山岳で、勾配も5%くらいの短い登りだったことも要因の1つだったろう。

 

だが、問題はゴール前20kmの地点にあるもう1つの4級山岳。

昨日も言われていたことだが、ここまでの間に逃げが吸収される可能性もある。

その場合、フィニーが山岳賞ジャージをキープするためには、先頭集団に残って上位でゴールする必要がある。 

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82.5km地点の中間スプリントポイントはブダが先着。集団内で行われた5位争いではクリストフ、コルブレッリ、マシューズ、デマール、サガン、キッテル、グライペルカヴェンディッシュの順でゴールとなった。

クリストフ、カヴェンディッシュは今大会、そこまで良い状態で入れていないと思っていたが、この時点ではそれなりの位置に。逆にデゲンコルブはポイント賞に興味を示すことがなかった。

 

さて、残り30km時点でタイム差は30秒近く。このままでは山岳に到達する前に逃げ集団が吸収されてしまうか、と思っていたそのとき。

プロトンの前方で巻き起こった、大規模な落車。バルデ、フルームなどがこれに巻き込まれる。3年前の彼のリタイアを思い起こさせる。衝撃。

 

とりあえずバルデもフルームも比較的早く復帰し、とりあえずは大丈夫だったようだが、後遺症などが残らないことを祈るばかりである。昨年もコンタドールが、痛みによって連日苦しんでいたようなので・・・

 

 

この混乱の中、先頭4名は4級山岳ポイントに到達。ピションが飛び出し、追走のフィニーもなかなか追いつけずにいたが、最後の最後、ギリギリでフィニーが差し切った。初日の山岳賞を確定。

 

 

その後の下りを活かしてフィニーが単独で飛び出し、やがてそこにオフレドが追い付いてきた。逃げはこの2名だけに。 

終盤までペースを保ち、残り1km近くまで逃げ続けたものの、最後はあえなく吸収されてしまった。敢闘賞はオフレド。

 

 

そして始まる、今年最初のスプリントバトル。

残り3km地点近くまで、トレインの前方を強力に牽引していたクイックステップ勢も集団に飲み込まれ、先頭にはサガン、コルブレッリ、ブアニなど。

しかし彼らの飛び出しは少し早すぎたか。集団の中からトレンティンによって引き上げられたキッテルがそのまま一気に加速。左からはグライペル、右からはデマールが上がってくるが、キッテルには追い付けなかった。

 

かくしてマルセル・キッテル、2017年最初の勝者となる。

ゴール後に涙を見せるキッテル。今日のステージが、彼の故郷であるドイツスタートだったことによるものか。それとも、期待されていた昨年、1勝しか果たせなかったことに大きなプレッシャーを感じ続けていたからか。

ツール・ド・フランスではすでに10勝しているこの男の見せた、意外な姿であった。

 

本日のリザルトは以下の通り。

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今日の勝者をデマールと予想して、それは外れたものの、それでも良い走りを見せてくれたのでとりあえず満足。第4ステージは登りゴールで彼の得意分野なので期待している。

 

またカヴェンディッシュが良い位置につけていることも驚き。逆にクリストフ、デゲンコルブの姿がまったく見えない。

 

 

サガンの大崩れも意外。いつもはキッテルなど強い選手の背中に張り付いて高い順位を取る、というパターンが多かったが、今日は警戒されたこともあり、早い段階で集団の前に出てしまったことが不運だった。

 

 

さて、ここ数年、最初のスプリントステージを制した選手が、その年の最多勝者となっている(2012年サガン、2013年キッテル、2014年キッテル、2015年グライペル、2016年カヴェンディッシュ)。

その流れでいくと今年は、キッテル復活の年となるだろうか。

 

 

※改めてゴール前の映像を見返してからの追記※

残り10kmの段階で逃げと集団のタイム差は47秒。距離間隔は900m。

逃げの時速は45km/h、集団の時速は50km/h。集団先頭はキリエンカが陣取っており、まだスプリンターチームの本気の追い上げは始まらない様子。

残り6km~5kmあたりから、アダム・ハンセンやジャック・バウアー、ユライ・サガンなど、スプリンターチームのルーラー勢が加速していく。集団の時速は57km/hまで上昇。逃げもこの時点でまだ53km/hなどを保っており、そのタイム差は30秒を残している。間隔は440m。しぶとい。

残り1kmで吸収。ロット・スーダルトレインが最も良い形。クイックステップは沈む。

ラスト500m。緩やかな左カーブを終えて最終ストレート。

集団の先頭に出たのはボーラ・ハンスグローエのアシスト。リザルトから確認するに、おそらくはジェイ・マッカーシー。残り400mで千切れる。

マッカーシーの後ろはコフィディス。クリストフ・ラポルトかな。その後ろにサガン、ブアニ、ブアニの左隣にフルーネヴェーヘン、右隣にFDJのアシスト。おそらくグアルニエーリがデマールを従えている。ブアニの後ろにはグライペルが単独。デマールの隣に並ぶようにしてクリストフ、スウィフトが単独で。

このときコルブレッリは12番手、キッテルは13番手くらいの位置で、コースの左端にいた。

 

残り200mを切って、ラポルトが外れ、サガンが前に出る。このときサガン、やや牽制?

その間に、デマールの背後から飛び出してきたコルブレッリが前へ。さらにキッテルも、同じく集団の中をかいくぐって、コースの右端の方から少しずつポジションを上げていく。このあたりのコルブレッリ、キッテルの動きは大胆で巧みである。

 

そして集団先頭はサガングライペル、コルブレッリが横並び。その後ろにデマール、キッテル、ブアニ、フルーネヴェーヘン、マシューズ。その一段後ろにデゲンコルブ、トレンティン、スウィフト、カヴェンディッシュ。クリストフはもうこの段階で完全に遅れてしまっていた。

コルブレッリが一旦、前に出るが、早過ぎた。着実にペースを上げていたキッテルが先着。その後ろに貼り付いていたデマールが2位。

 

 

1.マッカーシーがもうちょっと粘れていたら違った?

2.サガンが牽制せずにそのまま行っていたらもうちょっとよかった?むしろいつも通り強豪の背中に張り付く作戦すべきだった?アシストを信頼しすぎた?

3.強豪トレインによる完璧なリードアウトがなければ駄目という印象のあったキッテルが、途中までトレンティンに引き上げられたとはいえ、そのあと集団の中をかいくぐって最適なコースを選択するテクニックが十分にあることが証明された。

4.クリストフやっぱダメ。

 

あとはユライが頼れる男だということを再確認できたステージでした。

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