りんぐすらいど

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ツール・ド・フランス2017 コースプレビュー(1週目)

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デュッセルドルフ中心部にある、現代建築が並ぶメディア・ハーバー。昨年のモン・サン・ミシェルも美しかったが、2015年のオランダのような現代風の街並みもいいものだ。

 

いよいよ開幕が目前に迫る、ツール・ド・フランス2017。

今回はその1週目のコースについて、簡単にプレビューしていきたい。

 

今大会は30年ぶりにドイツの都市からスタートし、ベルギー・ルクセンブルクを経てフランス国内に。

そして最大の見所は、今大会、フランスにある主要な5つの山岳地帯をすべて回る、ということ。すなわち、ヴォージュ山塊・ジュラ山脈・ピレネー山脈中央山塊・アルプスの5つである。

よって、クライマー向けのツールとも言われることがあるが、頂上ゴールは3つだけ。近年の流行りともいうべき「下りゴール」や「超短距離ステージ」など、トリッキーなステージを用意することでマンネリ化を防ぎたい運営側の思惑が透けて見える。

そして、もう一つ注目すべきが、例年に比べてタイムトライアルの総距離が短めだということ。・・・そこまで短いか?と思わなくもないが、そのいずれの要素も、某チームの独壇場になるのを避けたい、という思いが伝わってくる。果たしてうまくいくか。

 

なお、以下の情報は公式サイト(http://www.letour.fr/le-tour/2017/us/)を元にしております。

 

↓第2週のコースプレビューはこちら↓

suzutamaki.hatenablog.com

↓第3週のコースプレビューはこちら↓

suzutamaki.hatenablog.com

 

 

 

第1ステージ デュッセルドルフデュッセルドルフ 14km(個人TT)

ほぼ真平の個人TTで開幕するツール・ド・フランス2017年大会は、1987年の西ベルリン開催から実に30年ぶりのドイツスタートとなった。

もちろん、母国開催ということで、観客たちも、そして本人も強く望んでいるであろう、トニー・マルティン。その勝利への期待が高まっている。

そのマルティンは今年、いまだにITTでの勝利がない。直前のドーフィネでもリッチー・ポートにわずか2秒届かずであった。彼が得意としている世界選手権のような長距離ITTではなかった、というのも原因の一つかもしれないが、このステージもその意味で、彼が「得意ではない」距離と言えてしまう。

 

いや、そんなことはない。実は、2年前、オランダ・ユトレヒトで開幕を迎えたツールも、初日ITTがほぼ同じ、13.8kmの距離であった。そのときも、ローハン・デニスに敗れての2位ではあったが、今大会ではデニスがいない。さらに言えばそのとき3位のカンチェラーラも、4位のデュムランもいない。ドーフィネで勝敗に影響を及ぼした可能性のある起伏もほぼ存在しない。

 

よって、やはりここはマルティンに期待したい!

彼自身もそのために、全力の調整を行ってきているはずだ。

30年ぶり母国開幕戦でのマイヨ・ジョーヌ着用。

その、感動的なストーリーをぜひ我々に届けていただきたい。頑張れマルティン

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↓レースレポートはこちら↓

suzutamaki.hatenablog.com

 

 

第2ステージ デュッセルドルフリエージュ 203.5km(平坦)

初日ITTの舞台デュッセルドルフをスタートし、アルデンヌクラシックで有名なリエージュの街に向かう203.5km。4級山岳が2つあり、とくにステージ後半はそれなりの標高まで登るため、純粋な平坦ステージとはいいがたい。とはいえさすがに最後は集団スプリントとなるだろう。

逃げグループから最初の山岳賞が出るため、逃げメンバーに注目。とくに今大会初出場となるワンティ・グループゴベールの選手の活躍に期待だ。

また、ラストのスプリントだけでなく、中間スプリントでも争いが起きるのがツールの特徴でもある。今回の中間スプリントはやや登り勾配。サガン、マイケル・マシューズあたりの走りに注目したい。

ツール・ド・フランス2017、最初のスプリント覇者は誰になるのか。

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↓レースレポートはこちら↓

suzutamaki.hatenablog.com

 

 

第3ステージ ヴェルヴィエ~ロンウィ 212.5km(中級山岳)

リエージュ南東の街べルヴィエを出発して南下。ルクセンブルク国内に入り最後はフランスのルクセンブルク国境沿いの街ロンウィに到着する。

アルデンヌ地方ならではのアップダウン激しい中級山岳ステージ。ラストは11%の激坂部分を含む登りゴール。昨年同様に、サガンが制するか? それともベルギー人の意地を見せて、今年絶好調のジルベールあたりが獲りにくるか?

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↓レースレポートはこちら↓

suzutamaki.hatenablog.com

 

 

第4ステージ モンドルフレバンス~ヴィッテル 207.5km(平坦)

ルクセンブルクの年モンドルフレバンスから出発し、フランスのヴィッテルへ。このヴィッテルは、ツールのスポンサーとしても有名なミネラルウォーターの水源がある村である。

第2ステージに続くピュアスプリンター向きのステージだが、最後は少しだけ(勾配1%程度)登っている。

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第5ステージ ヴィッテル~ラプランシェ・デ・ベルフィーユ 160km(中級山岳)

今大会最初の山頂ゴールは、ヴォージュを代表する1級山岳ラプランシェ・デ・ベルフィーユ。3年前のツールで、1周目のラストに現れたクイーンステージのラストを締めくくった山であり、その年の優勝者ニバリが2勝目を飾った山である。5年前のツールでは前年の優勝者エヴァンスを振り切って、クリス・フルームがツール初優勝を決めた。

そんな、曰く付きの山だけに、今大会も注目が集まる。ただ昨年のツールにせよ今年のジロにせよ、これだけ序盤に出てくる「重要ステージ」に関しては、結果として大きな動きが起きない傾向にもある。とはいえ、その傾斜は厳しく、フィニッシュの250m手前には最大勾配20%の超・激坂区間も。

やはり、気になるステージとなるのは必至だ。f:id:SuzuTamaki:20170609223202p:plain

 

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第6ステージ ブズール~トロワ 216km(平坦)

再び平穏な平坦ステージ。今大会3回目の、純粋なスプリントステージだ。この辺りで今大会のスプリント勢の調子が大体わかり始めてくるか。

この日の中間スプリントもやや登り基調。

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第7ステージ トロワ~ニュイ・サン・ジョルジュ 213.5km(平坦)

この日も平坦ステージ。中間スプリント直前は一旦下ってから「みょん」と登っていく独特な地形。ワインで有名なコート=ドール県を通るため、葡萄畑が多く見られるかも。この地形もそれゆえかもね。

途中、一気に下る地点があるため、その辺りでの落車に注意したい。2年前、カンチェラーラも巻き込まれた大規模な落車も、確かこんな感じのレイアウトのところだった気が・・・。

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この日はぜひ、「ニュイ・サン・ジョルジュ」のワインを飲んで観戦しよう!  

 

 

第8ステージ ドル~スタチオン・デ・ルス 187.5km(中級山岳)

「近代細菌学の父」ルイ・パスツールが生まれた町であるドルを出発し、プロトンはいよいよ「2番目の山」ジュラ山脈に突入する。

この日はまだ、小手調べといったところか? 3級・2級ときて1級山岳は決して楽ではないが集団がバラバラになるほど強烈、というわけではないだろう。登り切ったあとも、ほぼ平坦なルートがおよそ10km残っている。

明日の凶悪なステージのこともあり、この日はまだ総合争いが過熱するようなことはないはず。よって、ステージ優勝を狙う山岳逃げスペシャリストたちの、積極的な動きが見られるはずだ。デヘント、ローラン、ルイ・コスタなどなど・・・。

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第9ステージ ナントゥア~シャンベリ 181km(上級山岳)

ついに来た、今大会のクイーンステージ候補。最後に登場する超級モン・デュ・シャ(猫の山)の破壊力は、すでにドーフィネで痛いほど思い知っている。この山で各チームのアシストはほぼ粉砕され、最終的に残ったのはアル、フルーム、ポートだけだったのだ。

そして、あのときと同じようにこの日もモン・デュ・シャの下りを経たうえでのゴールとなる。あの日よりも下り切ってからの距離は長いが、同じように、下りで圧倒的なスピードを誇るフルームが、力を見せつける可能性が高い。

さらにドーフィネのときと異なるのは、モン・デュ・シャに至るまでの間に2級山岳が1つ、3級山岳が2つ(公式サイトのMapを見るとわかる)、そして超級コル・ドゥ・ラ・ビシェと、昨年の第15ステージでも登った超級グラン・コロンビエールが待ち構えており、その両方ともかなり厳しい登りとなる。この段階から、激しい攻撃が繰り広げられる可能性は十分にあり、モン・デュ・シャに到達する頃には、万全の選手とそうでない選手との間に、致命的なタイム差が生まれている可能性もあるだろう。

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いずれにせよ、今大会において最も重要なステージの1つになるのは間違いない。

この日だけは、本当に最初から最後まで見逃すことができない。

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