「ツール・ド・フランス」前哨戦いよいよ開幕!
フランス南東部、アルプスにほど近いドーフィネ地方を舞台に繰り広げられる全8日間のステージレース。
アルプスを利用した厳しい山岳コースも多く含まれ、ツール・ド・フランスと同じASOによる主催ということもあり、約1ヶ月後に控えたツール・ド・フランスに向けた調整レースとして、多くのトップライダーたちが参加する。
そして、ここでの結果が、ツール・ド・フランス本戦の結果を占ううえでも、重要なものとなってくる。
今回はこのドーフィネのコースを確認していく。
- 第1ステージ サン=テティエンヌ~サン=テティエンヌ 170km
- 第2ステージ サンシャモン~アルラン 171km
- 第3ステージ シャンボン・シュール・リニョン~チュラン 184km
- 第4ステージ ラトゥール・ドゥ・パン~ブルゴアン・ジャリュー 23.5km(個人TT)
- 第5ステージ ラ・トゥール・ドゥ・サルヴァニー~マコン 175km
- 第6ステージ パルク・デ・ゾワゾー/ヴィラール・レ・ドンブ ~ ラ・モッテ・セルヴォレックス 145.5km
- 第7ステージ アオスタ~アルプ・デュエズ 167.5km
- 第8ステージ アルベールビル~プラトゥー・ド・ソレゾン 115km
前半はスプリンター向けのステージが続く。ただし起伏が多いため、ピュアスプリンターが思うように活躍できるとは限らない。中盤の個人TTはツール第20ステージの個人TTとほぼ同じ距離。ただしレイアウトは結構違う。
後半は山岳3連戦が続く。とくに第6ステージに登場する「モン・デュ・シャ」が、今年のツールのクイーンステージに出てくる山と同じ登りを使用する。しかも登ってから下ってゴールというレイアウトも同じ(下ってからの平坦の距離が少し異なる)。
かなり厳しい登りであるため、今大会において、最も重要なステージとなるだろう。
そしてラルプ・デュエズのステージをこなし、最終日は115kmと短いくせにラストが11km:9%の難関山頂ゴール。どう考えても盛り上がるレイアウトで、ある意味でツール本戦よりも楽しめそうである。
参考リンク
第1ステージ サン=テティエンヌ~サン=テティエンヌ 170km
ロワーヌ県の県庁所在地サン=テティエンヌから出発し、同県を反時計回りにぐるりと一周。最後にサン=テティエンヌ市街と郊外のロシュタイエ峠を往復する周回コースを3周するレイアウトだ。
ロシュタイエ峠は3級山岳で標高差も200m程度なのでそこまで厳しくはないが、最後の山頂からゴールまでも7km程度しかなく、また最後も登っている。通常のスプリンターはまず残れないだろうから、あるとしてもボアッソンハーゲン、クリストフ、サイモン・ゲランスあたりでの勝負となるだろう。
あるいはアルデンヌ巧者による勝利か。こういうところでちゃっかりとバルベルデあたりが勝ってしまいそうなのが怖いところ。
第2ステージ サンシャモン~アルラン 171km
途中、2級と3級が連続し、結果として1000m近く登る区間があるため、ここをどれだけのスプリンターが乗り越えられるかが鍵。結局、ボアッソンハーゲンやクリストフ、ゲランスくらいしか残らないのではないかな。
また最後が登っている。しかも第1ステージ以上の登り。この2人でも厳しいかもしれない。となると、パンチャー的な選手が勝利を掴み取りやすいかもしれない。たとえばダニエル・マーティンなど。
ゴール前の下りからの逃げ切りを狙った飛び出しもありうるかも。昨年のアルのように。
第3ステージ シャンボン・シュール・リニョン~チュラン 184km
ようやくピュアスプリンター向けのステージが。と言ってもここもゴール前に結構登る。中には1回もメイン集団でゴールできないスプリンターがいてもおかしくないね今回のドーフィネ。
しっかりとスプリンターたちが無事に残るとして、期待したいのはブライアン・コカール。今年こそツールでの勝利も欲しいし、この辺りの景気付けの一発を!
あとはブアニ。またツール出場してすぐ、もしくは出場直前に退場しちゃうかもしれないから今のうちに勝っておかないとね!()
第4ステージ ラトゥール・ドゥ・パン~ブルゴアン・ジャリュー 23.5km(個人TT)
中距離TT。実はツール第20ステージの個人タイムトライアルも大体同じくらいの距離。とはいえあっちは、ド平坦に突然1か所だけ激坂(9%以上で1.2km程度の登り)という特殊なスタイルに対して、こちらは基本平坦だがちょっとだけアップダウンがある、というレイアウト。距離が一緒とはいえ、完全に参考にするのは難しそうだ。
マルティンに期待したいところだが・・・彼にしてはちょっと短いか? フルームが圧倒する可能性は十分ある。
ただ、いつもフルームのITT凄いね凄いねというのもつまらないので、ポートとか、コンタドールとかが、ツールに期待を持たせてくれるような走りをしてくれることに期待している。
第5ステージ ラ・トゥール・ドゥ・サルヴァニー~マコン 175km
第3ステージに引き続き、起伏がありながらも最後は平坦でのゴールとなるステージ。64km地点に2級山岳があるだけで、あとは大したことがないので、前ステージの中で最もピュアスプリンター向けと言えるだろう。
第6ステージ パルク・デ・ゾワゾー/ヴィラール・レ・ドンブ ~ ラ・モッテ・セルヴォレックス 145.5km
スタート地点のパルク・デ・ゾワゾー(鳥の公園)は、昨年ツール第14ステージのゴールになった地点である。とはいえ今回はスタート地点で、ゴールもそのときのカヴェンディッシュのようなスプリンターの出る幕ではない。ゴール手前に今大会最初の超級山岳「モン・デュ・シャ」を越える。
そしてこの「モン・デュ・シャ」こそ、今年のツールでクイーンステージになるかもしれないと言われている、第9ステージの最後に登る山なのだ!
この断面図の凶悪さ・・・。ちなみにツールでも下ってのゴールであるが、ツールの場合は今回のゴール地点よりももっと進んだ先にあるカンベリーとなる。
今大会の総合争いの行方を見極める意味でも、またツール本戦を見極めるうえでも、このステージはかなり重要なものとなるだろう。
厳しい勾配が延々と続くレイアウトなので・・・やはりフルームが有利かなと思う。
ポートやバルデがそこにどれだけ喰らいついていけるか。バルベルデ、コンタドール、アルにももちろん注目だ。
第7ステージ アオスタ~アルプ・デュエズ 167.5km
今大会のもう1つの目玉ステージ。ラルプ・デュエズ決戦。
とはいえ、普段上っているラルプ・デュエズの登りとは逆方向。代わりに、2013年大会の「ラルプ・デュエズ2回登坂」の際に、一回登ってから途中経由した「サレンヌ峠」を、そのときとは逆側――つまり、より厳しい方角から登りでチャレンジする。
サレンヌをクリアーできたほぼ総合勢だらけの小集団の中からアタックを仕掛ける選手が出てくるかどうか。チーム力が問われそうなレイアウトだ。
第8ステージ アルベールビル~プラトゥー・ド・ソレゾン 115km
ドーフィネ2017最終ステージは、9%越えを延々12km登らされる頂上ステージ。実力のはっきり出るステージで、ここでフルームについていける選手がどれくらいいるかで、今年のツールの表彰台の行方を占えそうだ。
もう1つの特徴が、このステージの総距離である。115km。そう、今年のツールの目玉ステージの1つである第13ステージ、「100km超単距離山岳ステージ」に近いレイアウトと言えそうなのだ。
ただしツール本戦の方は最後が平坦ゴールのため、より逃げが決まりやすいと言えるかもしれない。一方のこちらは登りのため、登りの強い選手が置いていかれたとしても挽回は可能そうだ。
とりあえず、コンタドールの攻撃に超・期待だね!
次回は注目チーム・選手をプレビュー予定。