ファビオ・アルの欠場、ミケーレ・スカルポーニの悲劇、「ダウンヒル賞」を巡るあれこれ・・・
開催前は不安に満ちていた第100回記念大会だったが、蓋を開けてみれば歴史に残る激戦。見事な3週間だった。
今大会を振り返り、各チームの所感を勝手に述べてみようと思う。
★の数は本来そのチームに期待していた成績以上だったかどうかで決めている。
- チーム・サンウェブ ★★★★★
- モビスター・チーム ★★★★☆
- バーレーン・メリダ ★★★★★
- FDJ ★★★★★
- カチューシャ・アルペシン ★★★★☆
- AG2Rラモンディアル ★★★☆☆
- トレック・セガフレード ★★★☆☆
- クイックステップ・フロアーズ ★★★★★
- オリカ・スコット ★★★☆☆
- キャノンデール・ドラパック ★★★★☆
- UAEチーム・エミレーツ ★★★☆☆
- CCCスプランディ・ポルコヴィツェ ★★★★☆
- ロット・スーダル ★★☆☆☆
- アスタナ・プロチーム ★★★☆☆
- ボーラ・ハンスグローエ ★★★★☆
- チーム・スカイ ★★★★☆
- BMCレーシング ★★★☆☆
- チーム・ロットNLユンボ ★★☆☆☆
- ディメンション・データ ★★☆☆☆
- ガスプロム・ルスヴェロ ★★☆☆☆
- ウィリエール・トリエスティーナ ★★☆☆☆
- バルディアーニCSF ★☆☆☆☆
- DAZN ★★★★☆
チーム・サンウェブ ★★★★★
トム・デュムラン総合優勝
本来、彼が総合表彰台に立つことすら想像していなかった人も多いのではないか。確かに2年前のブエルタは素晴らしい走りを見せてくれた。確かに今年は総合を狙うと名言していた。確かに今年は個人タイムトライアルが長距離だった――しかし、しかしである。
そんな風に思われていた大きな原因はチーム力であった。彼個人の力は申し分なかったが、2年前はそれでは限界だった。昨年のクライスヴァイクの悲劇も、チーム力に起因するものと思っている人も多いだろう。
だが、デュムランは総合優勝を果たした。そしてそれは、彼自身の力もさることながら、まさにチーム力によって、であった。
もちろんモビスターやスカイ、さらに言えばバーレーン・メリダやカチューシャ・アルペシンにすら、チームのポテンシャルは届かなかったのではないかと思う。そのための補強として獲得したケルデルマンも早々に脱落してしまう。だが、3週目、デュムランが最大の危機に瀕したそのときに、テンダムが、ゲシュケが、そして本来山をそこまで得意とはしていないメンバーも含めて、エースを護るべく実力以上の力を発揮してくれた。
その結果、勝つことができた。最後は僅差だっただけに、サンウェブというチーム全体が果たした功績は計り知れないものとなったであろう。
アシストだけでなく、スプリンターのバウハウスの成長も目を瞠るものがあった。チームのエーススプリンター、マイケル・マシューズも、昨年も勝利を得ており最近上り調子のニキアス・アルントもいない中、最大で4位につける大躍進。残念ながら完走はできなかったものの、初のグランツールとしては上出来ではないだろうか。今後の成長が楽しみだ。
さて、 デュムランはツールでフルームを倒せるだろうか。
そもそもフルームは「誰にも負けない登坂力」と「世界チャンピオンに負けない独走力」を併せ持っている(さらに言えばチーム力も比類ないがここでは省略する)。
今までのフルームのライバルは、いずれも登坂力で彼に敵うことはできなかった。それでもキンタナやリッチー・ポートは、なんとか彼に喰らいつく状態にまでは仕上がってきているようには感じるのだが、タイムトライアルで圧倒されてしまう以上、勝つのはなかなか難しい。
一方でデュムランは、TTであればフルームに勝つことができる。あとは登りで負けなければいいだけ・・・その意味で、今回キンタナに打ち勝ったのはいい経験だろう。
とはいえ、今大会のジロはあくまでもTTが長く、そして最終日で別府さんが言っていたように「そこまで山の難易度が高くはなかった」のかもしれない。さらに言えばキンタナが3週目に不調に陥っていたという話もある。彼がより万全であったら、今回の勝利も難しかったかもしれない(まあデュムランも第16ステージのアクシデントはあったけれども)。
少なくともTTの短い今回のツールでどうにかするのは難しいだろう。まずはブエルタのリベンジを果たしつつ、TTの長い年を狙って、いつかツール総合優勝を目指してほしい。まだ彼も若く、チャンスは十分にあるはずだ。
おめでとう、トム・デュムラン。舌禍にはくれぐれもお気をつけて・・・
モビスター・チーム ★★★★☆
ナイロ・キンタナ総合2位
アンドレイ・アマドール総合18位
ゴルカ・イサギーレ1勝(第8ステージ)
戦前は圧倒的にキンタナ優位の予想が多かったように思う。アンドレイ・アマドール、ウィナー・アナコナなど「いつもの」最強アシスト陣の活躍も期待通りだった。第3週はさすがのキンタナも不調に陥ったようだったが、少なくともブロックハウスの彼を見る限り、そのコンディションは完璧だった。
差をつけるならばそのときだったが、そこにデュムランが喰らいついた。これが大きかったのだろう。そして2つのタイムトライアルによって、キンタナは大きくタイムを失った。
昨年のツールのフルームもそうだったが、もはやトップレベルの選手たち同士が登りで大きな差をつけるのは難しいのかもしれない。だからこそフルームのTTや下りでの奇襲が功を奏したわけだが、キンタナもまた、登りだけに期待をかけるわけにはいかなくなりつつあるのかもしれない。
その意味で、最終日のTTで、彼が予想以上の走りを見せてくれたことには驚きを禁じ得ない。TTは改善されたと何度も言われる中での第10ステージのあの失速。やはりか、と思っていたところでの最終日の走りには、キンタナもまた、今大会死力を尽くして戦い切ったことが証明されているように感じた。
惜しかった。けれど見事な2位だった。
さて、キンタナのツールはどうなるだろうか。今年はTTが短く、山が多めの、キンタナ向きのプロフィールではある。ジロの疲れをしっかり回復できるかどうか。昨年のツールも今回のジロも、3週目に不調で失速しているのが不安材料である。それこそバルベルデのセカンドエースとしての動きに期待したい。ちなみに、今のところアナコナの出場予定がないが、やはり彼の存在は大きいと思うので、なんとか彼にも出場してもらいたいところだ。
ゴルカ・イサギーレはステージ優勝はもちろんのこと、要所要所での、山岳アシストとしての活躍が目覚ましかった。JJロハスの前待ちの安定っぷりももはや職人である。これだけの逸材が揃いながらも勝ちきれなかった、それこそもう、サンウェブというチームが強かった、しか言えないだろう。
みんな、お疲れ!
バーレーン・メリダ ★★★★★
ヴィンツェンツォ・ニーバリ総合3位
ヴィンツェンツォ・ニーバリ1勝(第16ステージ)
いや、正直、ニーバリが総合表彰台に上がれるとは思っていなかった。彼自身が強いのはわかるが、ムラがあるタイプだとは思うし、チーム力にも不安があるように感じていた。だが、実際はどうだ。ニーバリの傍には常にペリゾッティがいた。ヴィスコンティも逃げに前待ちにとよく働いてくれた。シウトソウも頼れる男だった。もしかしなくても、モビスター、スカイに次いで高いチーム力を誇る軍団だった。これがアラブの金か・・・!
ヴィノクロフ大佐の手紙ならぬ、ナセル王子の黄金の手紙が、ニーバリの火付け役になったのだろうか。
冗談はさておき、今回の活躍により、今後のバーレーンには一層、期待していきたい。さすがにツールでヨンに総合表彰台を望むのは酷な気がするが、ブエルタでのニーバリ2度目の総合優勝とか・・・ペリゾッティやヴィスコンティも本気出せば総合上位狙えそうな気がする。
あとは豊富な資金力で来年以降もどんどん補強してもらいたい。有力選手がみんなスカイかモビスターに行ってしまうのも寂しいものがあるからね。
金満クラブが増えてこそ、レースは活性化するというものだ。
FDJ ★★★★★
ティボー・ピノ総合4位
ティボー・ピノ1勝(第20ステージ)
ここも驚きだった。まあなんだかんだで総合3位くらいには入れるかな、とは思っていたものの、総合4位でもやっぱり十分驚きである。ただTT改善がまったく見られなかったのは残念。アレはなんだ、期間限定の・・・スターみたいな効果だったのか?
ライヒェンバッハも期待通りの活躍。ピノの勝利は間違いなく彼の功績である。
ただ全体的に逃げが少なかった、あるいは目立たなかったのがちょっと残念。スプリンターも連れてきてないし、そこは仕方なかったのかね。
カチューシャ・アルペシン ★★★★☆
イルヌール・ザッカリン総合5位
ここもチーム力は大したことない、と思い込んでいた。だが第20ステージは凄かった。ゴンサルヴェスとヴィシオソの決死の牽引。モビスターの最強アシストたちを引き千切ったほどの勢いだった。仕事終了してからもしばらく集団に残り続けていたし・・・ヴィシオソはこの日の頑張りの結果か、翌日は未出走。まさに死力を尽くしてエースを支えたのだ。彼はもう40歳だよ?
そのあともキセロフスキーの猛牽引。彼が総合力のある実力者であることはわかっていたが、なんとなくここ数年のコンタドールアシストとしての彼を見ていて、そこまで期待はしていなかった。だが今回の働きは、アマドールやペリゾッティらに匹敵するほどのもので、今後も楽しみである。
昨年は果たせたステージ勝利が、今年は得られなかったことがとにかく残念。マミキンとか、期待してたんだけどなー。
AG2Rラモンディアル ★★★☆☆
ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ総合6位
ユベール・デュポン総合19位
ポッツォヴィーヴォがここまで頑張るとは・・・! 3年ぶりのグランツール総合ベスト10入りである。まだまだ終っちゃいない、というのを証明してくれた。ただ、これ以上、上にはいけるイメージはないんだよなぁ・・・。デュポンも昨年に続きよく頑張った。
ただステージ優勝がなかったのは残念。総合エースのアシスト、って感じのメンバーがいない分、もっと積極的に逃げてせめて2位~4位くらいは狙ってほしかったなぁ。ジェニエとか。
トレック・セガフレード ★★★☆☆
バウケ・モレマ総合7位
モレマのこの順位は至極妥当なポジションではあるんだけれど、昨年ツールでの頑張りと、第9ステージでの走りを見てると、やっぱりもうちょっと期待したかったな、というところ。
あとはジャスパー・ストゥイヴェンが本当に惜しかった。でも彼の積極性が見れたのは嬉しい。今度はツールでリベンジ、してほしいなぁ。スプリントでの勝利も期待してる。
ニッツォーロの3年連続ポイント賞は楽しみにしていたんだけれど(スポンサーもセガフレード社だし)、体調不良じゃしょうがない。ハンマーシリーズでは復帰予定なんだっけ? 活躍期待してるぞ!
クイックステップ・フロアーズ ★★★★★
ボブ・ユンゲルス新人賞
フェルナンド・ガヴィリアポイント賞
ボブ・ユンゲルス総合8位
ボブ・ユンゲルス1勝(第15ステージ)
フェルナンド・ガヴィリア4勝(第3,5,12,13ステージ)
やっぱりこのチームは凄い。その意味でこの結果は決して驚きではないのだけれど、それでもやっぱり凄い。アラフィリップが出ていたらどうなっていたことやら。
まずはユンゲルスの執念の登坂力が冴え渡った。第18ステージで一度落ちかけて新人賞ジャージも奪われるが、それでも傷を最小限に抑えた。そして第19、20ステージでは喰らいつき、得意のタイムトライアルでは圧倒した。第15ステージで見せたスプリント力も素晴らしい。将来はアラフィリップと共に、総合優勝を狙える貴重な存在になりうるだろう。
そしてガヴィリアの完全なる覚醒。初のグランツールでステージ4勝&ポイント賞。まさにサガンの再来である。その脚質的にブエルタの方が向いている気はするし、どうせキッテルのリードアウトって柄でもなさそうなので、ツールはパスしてブエルタで5勝くらいしてみてほしい。
そしてガヴィリアを支えた、マキシミリアーノ・リケーゼという最強発射台。本当にこのチームは才能ばかりが集まっている。これで裏のカリフォルニアでもしっかり勝ってるんだからね。
いつでも仲良く陽気なのもこのチームの魅力。チームとしては一番好きかもしれないなぁ。
オリカ・スコット ★★★☆☆
アダム・イェーツ総合9位
カレブ・ユワン1勝(第7ステージ)
クイックステップとオリカは、新人賞においてもスプリントにおいてもライバル同士が揃う今大会となった。そして、いずれもオリカは、敗北してしまった。
イェーツにとって、今回の結果は悔しさで一杯だろう。すでにツールで総合4位を獲っているだけに。登りが悪いわけではなかった。しかしタイムトライアルの遅さは致命的である・・・。
ユワンもまた、ライバルに水を開けられてしまった。勝利数だけではない。3度の出場経験がありながら、(チーム事情もあるとはいえ)いまだに完走を果たせていないユワンに対し、初参加でいきなり、しかも余裕さをもって完走してしまったガヴィリア。
うーん・・・なんとか再起してほしい。がんばれユワン。がんばれ!
メスゲッツのリードアウターとしての能力、タフトの平地牽引の頼もしさなど、チームとしての力も申し分ない。よくを言えばプラサが、もっと積極的に山で逃げて勝利や前待ちを決めてくれたな、という思いはある。昨年のツールもブエルタもこの前待ちが活きていただけに、今大会はそこが残念だった。
キャノンデール・ドラパック ★★★★☆
ダヴィデ・フォルモロ総合10位
ピエール・ローラン1勝(第17ステージ)
ピエール・ローラン、涙の勝利。そりゃあれだけ積極的に逃げていたんだもん。頑張ったよ。ツールでもぜひ1勝をあげてほしい。
そしてフォルモロも、ブエルタの9位に引き続き総合10位と大健闘。これが実力だ、と示してくれた。新人賞争いの上位がこれだけ接戦になるのは珍しいイメージがあるがどうなんだろう。彼も今後、総合上位の常連となる選手になれるか。ニバリに続くイタリア人総合ライダーの星となれるか(そういうことを言っているとフラグのようにしか思えないけれど・・・キャノデだしなぁ)。
一方でローラン以外の勝利がなかったのが残念。第15ステージでのヴィレッラの勝利にも期待していたんだけどなぁ。
ドンブロウスキーも結局イイトコなし。前半はマイケル・ウッズ調子が良さそうに見えたのだけれど、2週目からは大きく遅れ始める。
UAEチーム・エミレーツ ★★★☆☆
ヤン・ポランチェ総合11位
ヤン・ポランチェ1勝(第4ステージ)
ヤン・ポランチェは実によく頑張ってくれたが、ルイ・コスタェ・・・予想通りと言えば予想通りなんだけれど、シーズンの滑り出しがよかっただけに、今年こそはと期待できただけに、残念。まあランダやローランの執念と比べると、逃げが決まった回数も少なかったようには感じるしね・・・。
コンティは惜しかったけれど良い逃げだった。モホリッチもしっかり目立てていた気がするし、ペティッリも要所要所でのアタックが良かった。ただモドロはどうしたんだ。今大会だけで言えばフェラーリの方がよっぽど強かった。
1勝はしたのでチームとしての義理は果たせた気はするが、やはり寂しい。とくに、ランプレの後継チームだと思うと・・・
そもそもメンバーも最強を揃えていたわけではないし、やはりスポンサーが変わるだけで、方針も大きく変わってしまうんだね。
CCCスプランディ・ポルコヴィツェ ★★★★☆
ヤン・ヒルト総合12位
ヤン・ヒルトは強かった。逃げに乗ったことで順位を上げた部分もあるけれど、クイーンステージや厳しい第18ステージでメイン集団に喰らいついていけた唯一のプロコンチネンタルチームの選手だった。前半は遅れたステージが多かったみたいなので、後半になるにつれて調子が上がっていった、ということか。これだけ登れるのであればアシストとしての活躍は十分に見込める。来年はワールドツアーチーム入りか? ボーラ・ハンスグローエあたりに移籍して、チェコ人エースを支える役目を担ってほしいなと思うところ。
このチームは逃げでも活躍してくれていた。たとえばパテルスキーなんかは、よく名前を見ることができた。
現スロベニアロードチャンピオンのヤン・トラトニックは、個人タイムトライアルで存在感を示した(第10ステージ11位、第21ステージ9位)。
2年ぶり2度目のジロ出場を果たしたこのチームだが、今後も活躍が見込まれることだろう。
ロット・スーダル ★★☆☆☆
マキシム・モンフォール総合13位
アンドレ・グライペル1勝(第2ステージ)
うーん・・・モンフォールは頑張ったけれど・・・やはり、昨年の4勝を見ているだけに、今年は残念。グライペルが勝てなかった、というよりも、グライペルのためのトレインがまったく作れていなかった、ということか。総合を狙うのかスプリントに絞るのかはっきりしない、中途半端なチーム構成だったと言えるかもしれない。
とりあえずツールでは万全の態勢でグライペル砲が発射されるのを期待している! ウェレンスは今年はツールで勝利を獲ってくれ!
アスタナ・プロチーム ★★★☆☆
ダリオ・カタルド総合14位
結局勝利ならず。それでも、存在感を示してはくれた。エトナ山でのジャスパー・ハンセンの積極的な攻撃、ティラロンゴンの雄姿、ルイスレオン・サンチェスの、スカルポーニ賞獲得・・・惜しむらくはカンゲルトの落車リタイア。彼ならそのまま総合TOP10に残れていただろうに・・・その代わりにカタルドがしっかりとこの位置につけてくれてよかった。
未だスカルポーニ以外の勝利がないアスタナ。実力はないわけではないが中途半端にから回ってしまっているようなイメージ。アルとミゲルアンヘル・ロペスの早期復活が待たれる。
ボーラ・ハンスグローエ ★★★★☆
パトリック・コンラッド総合16位
ルーカス・ポストルベルガー1勝(第1ステージ)
元ティンコフで固めたカリフォルニア組と比べ、こっちはプロコン時代からの選手が多めで「2軍」感否めず。1勝もできず終わるかな・・・と思っていたところ1日目からまさかの勝利。山岳賞含め初日の特別賞ジャージ独占は快挙。
それ以外にもサム・ベネットを支えるリードアウト陣も超強力で、この部分だけ比較したらカリフォルニア組以上のものがあったね。とくにルディガー・ゼーリッヒは非常に有能。
サム・ベネットの勝利がなかったのは残念だったが、まあアレは周りが強すぎたというのがあるからしゃーない。結果的に勝ったスプリンターはユワングライペルガヴィリアだけって、ツール並みの激戦になってしまった。ベネットはよくやった方である。
チーム・スカイ ★★★★☆
ミケル・ランダ山岳賞
ミケル・ランダ総合17位
ミケル・ランダ1勝(第19ステージ)
落車は本当に残念だったけれど、そのあとのタイムトライアルでのトーマスの本気には恐れ入った。ティレーノでもそうだったけれど、転んでもただでは起きない彼の走りは本当に格好いいね。リベンジ待ってるぞ!
そしてそんな不運なチームを救ったのが、ミケル・ランダの連日の執念と、彼を支えたローザ、ダイグナン、セバスチャン・エナオ。やっぱり最強のチーム力だわ。
キリエンカのタイムトライアルがイマイチ振るわなかったのが残念。
BMCレーシング ★★★☆☆
ティージェイ・ヴァンガーデレン総合20位
シルヴァン・ディリエ1勝(第6ステージ)
ティージェイ・ヴァンガーデレン1勝(第18ステージ)
こっちもデニスが悲運に巻き込まれ早々にリタイア。彼が総合エースとしてどこまで通用するか、そして中長距離TTでのデュムランとの一騎打ちを楽しみにしていたのだが、残念。彼も間違いなく今後グランツールライダーとして成長していくだろうから、期待したい。
一方のTJ。ステージ1勝で許された感があるけれど、山ではひたすらに遅れ、ツアー・オブ・ジ・アルプスで期待させてくれたタイムトライアルもイマイチだったので、本人は総合エースを諦めないと宣言したらしいけれど、やっぱり不安である・・・。ローラン同様にステージ優勝にフォーカスするというのも手だと思うが・・・。
ディリエの勝利と合わせ、2人以上で勝利を挙げたのはクイックステップとこのBMCしかいない。その意味でよく頑張ったチームではある。
チーム・ロットNLユンボ ★★☆☆☆
ヨス・ファンエムデン1勝(第21ステージ)
クライスヴァイクのリベンジならず。今年引退を決めたユルゲン・ヴァンデンブロックの懸命なアシストむなしく、翌日にリタイア。このまま消えてしまう感が漂っているが、そんなことはないよね? 気長に待ちます。
結果、何も持ち帰ることなく3週間が終わろうとする中、最後に決めてくれたのがヨス・ファンエムデン。マジ救世主。最後の喜びっぷりも歴史に残るレベルだったが、気持ちはわかる。ある意味総合優勝レベルの歓喜だったんじゃないか。
ただもうちょっと、逃げとかでも目立ってほしかったなぁという印象は否めない。
ディメンション・データ ★★☆☆☆
オマール・フライレ1勝(第11ステージ)
連日のテクレハイマノの逃げと中間スプリント賞の獲得、山岳賞争いを沸かせてくれたフライレ、ズバラーリ以上に良いスプリントを見せてくれたギボンズ・・・何かと存在感を示してくれたものの、蓋を開けてみれば結果と言える結果はフライレの勝利くらい。凄いんだけど、凄く見えるんだけど、やっぱり今年もワールドツアーチーム残留に苦労しそう。「ステージレースの賑やかし要因」に厳しいポイントシステムが悪いと言えば悪いんですけどね・・・。
せめてイゴール・アントンがもうちょっと頑張ってくれれば・・・チーム最高順位はジャックの総合36位。
ガスプロム・ルスヴェロ ★★☆☆☆
連日のように逃げていたその積極性は十分。プロコンチネンタルチームとしてのあるべき姿を見せてくれた。イタリアンチームより全然目立っていたね・・・ただステージ勝利を決めた昨年と比べるとどうしても。その勝ったフォリフォロフがチーム内最高順位(40位)で、フィルサノフは全くダメでした。
ウィリエール・トリエスティーナ ★★☆☆☆
ズパが序盤頑張ってたのと、マレツコのスプリントが熱かった。あとポッツァートが無駄に格好いい。キアラ!
バルディアーニCSF ★☆☆☆☆
ここはもう言うことないでしょう・・・目立てなかったのは遠慮したわけではないと思うが。
DAZN ★★★★☆
不安ばかりのDAZN実況解説付だったが、良かったと思う。
最初の実況が木下さんだったのは幸運だったね。上野さん、林さんも最初は不満は多かったようだが、回を重ねるごとにそれぞれの味が出てきて非常に良くなった。さすがベテランである。選手判別はベテランでもできる人は少ないと思うので仕方ない。ジャージ間違えも1週目だけだったし。
解説も別府さんが凄くよかった! 元選手や関係者でない分、純粋にレースの解説をしてくれて、とくに戦略面なんかは非常に適切。変に脱線することもなくて、開設者としてはかなりファンになった。
綾野さんの解説ももちろん面白かった。またどこかで解説していただけると嬉しい。
運営側で良かった点は、質問を積極的に拾ってくれたところ。終盤は別府さん以外では少なめだったけれど。あと放送直後の公式ツイッターでの映像付速報! あれは良かった。ハイライトなんかも、自分はあまり使わなかったけれど、DAZNならではの利点だったと言えるだろう。インタビュー部分だけの放送とかね。
気になる点としては、やはり放送トラブルの多さ。ブラックアウトや音声の途絶えはもちろん、水曜日や土日などサッカーが盛り上がる日に回線が不安定になるという人が続出したのは、オンデマンド放送の宿命なんだろう(それでもDAZN自体の問題も、少なからずありそうだが・・・)。
ただその際のテロップ表示だったり、先述した「速報」でネタバレに配慮した表記に変えたり、そもそも質問コーナーが追加されたことも含めて、あと上野さん林さんの改善も含めて、全体的に、ワガママな視聴者の声を真摯に聞いて可能な限り改善を図ろうとする姿勢が見えて非常に良かった。
JSPORTSとのダブル契約はやはり難しいし、これからのツール・ブエルタはぜったい見たいしで、DAZN解約は不可避で申し訳ないけれど、来年もまたジロをやるならばそのときにまた契約させていただきます(好きなときに1ヶ月契約が簡単にできるのも利点だね)。
契約期間中ほかのスポーツも見られることも嬉しいんだけどね~・・・お得感は間違いなくある。
あ、でも、番組表とかはもっと見やすくしてほしいです。
とにかくDAZNさんも、本当にお疲れ様!