F1の開催地モンツァ・サーキットから、ミラノ・ドゥオーモ広場までの下り基調の29.3km個人タイムトライアル。
基本的にはTTスペシャリスト向きと思われたレイアウト。1分近くキンタナから離されているとはいえ、デュムランの圧倒的有利という前評判のもとスタートした。
結果としては以下の通り。
11位以下は総合系選手のみ掲載。総合ベスト5は黄色で強調した。
まず驚くべきは、ステージ優勝のヨス・ファンエムデンである。
たしかに、ティレーノ~アドリアティコでも2位。ローハン・デニス以外には勝利する走りを見せていた。第10ステージでも8位。
しかしまさか、あのデュムランに勝つとは。
本人はあまりの驚きように、ホットシートから飛び上がるような姿すら見せていた。
結果的にステージ上位はほぼほぼ団子レース。
これまでデュムランは他を圧倒する走りを見せ続けていただけに、今回はさすがに疲労が溜まっていた、という見方もできる。
いずれにせよ、ファンエムデン、おめでとう。
そして、クライスヴァイクも最終日にリタイアし、昨年と比べて結果を出せずに終わっていたロットNLユンボに、しっかりと勝利をもたらしてくれたというのは本当に大きい。
オランダ・チームの救世主となってくれた。
そしてナイロ・キンタナは意外なほどの健闘を見せた。
タイムトライアルは改善されつつあるとはいえ、第10ステージの結果を見る限り、やはり他の総合勢と比べると大きくタイムをロスするタイプだと思われていた。
最悪、総合表彰台すら失うのではないか、とも予想されていた。
だが、蓋を開けてみれば、ピノやザッカリンを上回る走り。ニバリからも30秒しか失わず、総合2位を守り切ることができた。
やはり、グランツール最終日のタイムトライアルというのは、簡単に予想できない結果をもたらしてくれるものだ。
残念な結果に終わったのはアダム・イェーツ。ユンゲルスに新人賞ジャージを奪われるのは予想通りだが、それにしても悪いタイムに終わってしまった。
フォルモロも同様に。今後のTT能力の改善が望まれる。
そして、デュムラン、初のグランツール総合優勝おめでとう!
オランダ人としても初となるジロ総合優勝だという。
ここから、どれだけの戦績をグランツールで出していくことができるか。
勝利が決まったときの、彼の表情は忘れられない。
もしも第16ステージのトラブルが、あるいは第19・第20ステージの不調がなければ、ここまで激しく喜んだだろうか。
多くの危機、苦しみがあったからこその、万感の思い籠った勝利だったのだと思う。
グランツールで勝つことは決して簡単ではない。
そのことを強く思い知らせてくれる、3週間となった。